『ホビット』日本語動画各種

長らくこのブログを放置していて済みませんでした。その間に、日本語の動画が(とうにご存じかと思いますが)続々と公開されております。

キャラクター名の発音は、俳優が「トーリン」を「ソーリン」などと英語風に発音しているため、字幕でも発音に沿った表記がされるのではないかと思っておりましたが、ご覧の通り原作『ホビットの冒険』を訳した瀬田貞二氏の表記と同じなので、原作ファンが混乱することもないでしょう、嬉しい点です。

なお「Thorin」などを本当はどう発音するかは、西方語の発音をどうするかという点に関わってくるので、難しい問題です。トールキンは、西方語を英語に“翻訳”して『ホビットの冒険』や『指輪物語』を書いたという設定ですので、エルフ語など西方語以外の言語は、英語風に発音するのが正しいのかもしれません。その一方でトーリンはドワーフの名前を、古アイスランド語の文献に登場する名前から引用して英語風に表記しています。ですので古アイスランド語風に発音するのが正しいのかもしれません。ドワーフの命名については、『指輪物語 エルフ語を読む』に書かれております(もちろんそれ以外のことも)。

なお、既に公開されたビデオブログ(メイキング動画)にも日本語字幕がつけられております。

英語版ではProduction Video #6まで公開されておりますが、これも順次日本語化されていくものと思われます。

なお、次のようなサイトも作られております。

「ホビット 思いがけない冒険」特集:ホビット通信- 映画.com

私の記憶では『ロード・オブ・ザ・リング』公開前、日本においてマスコミの注目度はそれほど高くなかったと思います。欧米での原作『The Lord of the Rings』の知名度の高さ、それに由来する期待度の高さに比べると、という意味です。もし日本で、原作の知名度の高さを生かそうとするなら『ロード・オブ・ザ・リング』なんてタイトルではなく『指輪物語』というタイトルになり、サブタイトルの『The Fellowship of the Ring(旅の仲間)』もちゃんと翻訳されて、最初から「全三部作の壮大な物語」ということがアピールされていたでしょう。ところが何度か触れたように、日本では「全三部作」という情報は可能な限り触れられませんでした。

たとえば、このティーザートレイラーを見たら、全三部作ということを前面に押し出していることが分かりますが、このトレイラーは日本では公開されていません。実際、日本で第1部の公開を見た人からは「ここで終わりなの!? 続編があるの?」という感想が上がっておりました。ではなぜ全三部作の情報が伏せられたかというと「続きがあるなら、後で纏めてレンタルで見ればいいや」と思う人がいるからだと思われます。実際私も映画館に行ったとき、そんな話をして見るのを止めようと言っている人を見かけました。日本ではそれだけレンタルの力が強いということなのかもしれません。

ところが日本でも『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』が成功したため、日本でも「続編がある」と最初から情報を流すようになりました。『ナルニア国物語』や『ライラの冒険』などがその例と言えるでしょう(もっとも『ライラの冒険』は、続編の作成が中止されてしまいましたが……)。

『ロード・オブ・ザ・リング』の成功がなければ、『ナルニア国物語』も『ナルニア・クロニクル』なんて邦題になっていたのかもしれません……。