#author("2023-10-28T22:17:18+09:00;2023-03-29T17:10:14+09:00","","")
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* &ruby(つかびと){塚人}; [#h7791e10]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Barrow-wights|

** 解説 [#Explanation]

[[塚山丘陵]]の古墳に巣くう亡霊。かつて[[アングマール]]との戦いで死んだ、[[アルセダイン]]と[[カルドラン]]の[[ドゥーネダイン]]の成れの果て、または[[アングマール]]と[[リュダウル]]からきた悪霊と思われる。彼らは死体の中に入り、生きているものを塚の中に引きずり込む。その青白い眼光で獲物の体を硬直させ、低い冷たい声で恐怖に満ちた眠りに誘う。手は氷のように冷たい。
[[エルロンド]]によると多くの名で知られているといい、[[ホビット庄]]でもその存在は恐ろしい噂として知られていた。

>ふるえながらかれは上を見ました。すると背の高い黒っぽい姿が星空に浮かぶ影のように立っているのがちょうど目にはいりました。それはかれの上に体を屈めました。かれは二つの目を見たように思いました。それはずっと遠くの方から射してくる青白い光を受けて光っている、とても冷たい目でした。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』「霧の塚山丘陵」))
>かれ([[フロド>フロド・バギンズ]])は頭の後ろの方で何かがきしみこすれる音を聞きました。片腕をついて体を起こし、薄い光の中にかれが見たのは、自分たちが今いるのは通路のようなところで、それはちょうどかれらの頭の後ろで曲がっていることでした。その曲がり角のところから長い腕が手探りしながら伸びて来て、指で床をまさぐりながら一番近くに横たわっているサムの方に、そしてかれの上に置かれた剣の柄の方に少しずつ近づいて来ました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』「霧の塚山丘陵」 石室に横たえた[[四人のホビット>旅人たち]]を殺そうと迫ってくる塚人の手の描写。))

[[フロド・バギンズ]]ら[[四人のホビットたち>旅人たち]]は[[トム・ボンバディル]]の家から[[ブリー村]]に向かう途中で[[塚山丘陵]]に迷い込み、塚人に襲われた。
[[フロド・バギンズ]]たち[[四人のホビット>旅人たち]]は[[トム・ボンバディル]]の家から[[ブリー村]]に向かう途中で[[塚山丘陵]]に迷い込み、塚人に襲われた。
塚人は眠りと霧によって[[ホビット]]達を惑わして塚山におびき寄せ、石室に横たえて[[呪いの歌>Wight's Chant]]で息の根を止めようとした。しかし間一髪で勇気を取り戻したフロドに反撃され、最後には助けにやってきた[[トム・ボンバディル]]の歌によって塚から追い払われた。
その後塚の副葬品からボンバディルによって[[塚山出土の剣]]が選び出され、ホビット達に与えられた。

『[[終わらざりし物語]]』によると、もともと[[魔王]]が送り込んだ悪霊であり、ホビット達を待ち伏せるためにあらためて呼び起こされたという。
『[[終わらざりし物語]]』によると、もともと[[魔王]]が送り込んだ悪霊であり、ホビット達を待ち伏せるためにあらためて呼び起こされていたという。

*** “ワイト” [#iee60bec]

元来、塚人の原語であるBarrow-wightのwightは、[[古英語]]で「(神秘的・超自然的な)人間」という意味であり、これ単独では亡霊を直接示すものではない(barrowは英語で墳丘墓のこと)。13~14世紀頃に書かれたアイスランド文学Grettis saga([[WikipediaEN:Grettis saga]])がウィリアム・モリス([[Wikipedia:ウィリアム・モリス]])によって英訳されたとき、作中に登場する亡霊haugbuiのことがbarrow wightと訳されたのが知られている([[WikipediaEN:Wight]])。なお『[[Guide to the Names in The Lord of the Rings]]』で[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]はBarrow-wightsは造語で、「塚山に住む生き物」と説明している(('''Creatures dwelling in a ‘barrow’ (grave-mound)'''))。
元来、wightは[[古英語]]で「(神秘的・超自然的な)人間」という意味であり、これ単独では亡霊を直接示すものではなかった。13~14世紀頃に書かれたアイスランド文学Grettis saga([[WikipediaEN:Grettis saga]])がウィリアム・モリス([[Wikipedia:ウィリアム・モリス]])によって英訳されたとき、作中に登場する亡霊haugbuiが“barrow wight”と訳された([[WikipediaEN:Wight]])。『[[Guide to the Names in The Lord of the Rings]]』で[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]はBarrow-wightsは造語で、「塚山に住む生き物」と説明している(('''Creatures dwelling in a ‘barrow’ (grave-mound)'''))。

『[[指輪物語]]』でBarrow-wightという言葉が使用されて有名になったことにより、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などのゲームを中心としたファンタジー作品で“ワイト”は亡霊、アンデッドモンスターとして定義されるようになった。

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