#author("2022-08-24T23:51:50+09:00;2016-05-28T01:26:57+09:00","","")
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* &ruby(くろ){黒};の&ruby(いき){息}; [#ef8414a1]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[言葉・単語]]|
|~スペル|Black Breath|
|~異訳|黒い吐息|
|~その他の呼び名|&ruby(くろ){黒};の&ruby(かげ){影};(Black Shadow)|

** 解説 [#Explanation]

[[ナズグール]]がもたらす病気のような呪魔。[[ゴンドール人]]は''黒の影''とも呼んでいた。
ナズグールと間近で接触した者や、その影の下に長く留まりすぎた者がこれに侵されることがあった。侵された者は意識を失って暗い夢の中に徐々に落ち込んでいき、ついには音も立てず冷たくなって死んでしまうという。
本編中では[[ファラミル]]、[[エーオウィン]]、[[メリアドク・ブランディバック]]らがこれに侵されて危篤に陥ったが、[[アラゴルン二世]]の[[アセラス(王の葉)>アセラス]]を使った治療によって救われた。

>黒い吐息が吐かれたら、
死神が陰を広げたら、
光がすっかり消えたなら、
アセラス、おいで! 王の葉、ここに!
絶える息の緒、蘇らせよ、
王様の手に渡されて。((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「療病院」 [[ゴンドール]]の民間に伝わっていた歌))

黒の息は最初、[[ブリー村]]で[[黒の乗手(ナズグール)>ナズグール]]に接触した[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]を襲ったものとして言及される。[[躍る小馬亭]]の外で黒の乗手を目撃したメリーは後を追って様子を窺ったものの恐怖に襲われ、逃げ出そうとしたところを背後から何者か(おそらく別の黒の乗手)に忍び寄られて意識を失う。小馬亭の[[ノブ]]に助け起こされたメリーは「深い水の中に落っこちたのかと思った」と口走ったが、メリー自身は何が起こったのかわからず、ただ力が抜けていやな夢を見たとしか覚えていなかった。これを聞いた[[アラゴルン二世]]が黒の息によるものだと述べている。

[[モルドール]]にほど近い[[ゴンドール]]では黒の息に侵される者が大勢いたが、治療法は知られていなかった。
前線で長らく[[ナズグール]]の影に接していた[[ファラミル]]は人知れずこれに侵食されており、大将としての責務や父[[デネソール>デネソール二世]]との不仲といった心労、さらに[[ハラドリム]]の矢を受けた傷が重なったことで昏睡状態に陥った。
[[ペレンノール野の合戦]]で[[魔王]]を刺した[[エーオウィン]]と[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]も、剣を持っていた右腕を通じて黒の息を受けた。エーオウィンは長年の[[セーオデン]]の看護や[[蛇の舌>グリーマ]]から囁かれた毒の言葉、[[死者の道]]への同行を[[アラゴルン二世]]に拒まれたこと等により絶望に駆られており、魔王と対峙した精神的打撃が決定打となって意識を失った。メリーはしばらく意識を保っていたが、自分の歩く道が死に通じていると思い込むなど次第に絶望に囚われていき、やがて意識を失った。

三人は[[療病院]]に運び込まれ、[[ヨーレス]]が覚えていた「王の手は癒しの手」との言葉がきっかけとなって招来された[[アラゴルン二世]]の治療を受ける。アラゴルンはまずそれぞれの額に手を当てて、かれらを暗い死の夢から呼び戻し、最後に[[アセラス]]を使用して意識を取り戻すことに成功した。
三人は[[療病院]]に運び込まれ、[[ヨレス]]が覚えていた「王の手は癒しの手」との言葉がきっかけとなって招来された[[アラゴルン二世]]の治療を受ける。アラゴルンはまずそれぞれの額に手を当てて、かれらを暗い死の夢から呼び戻し、最後に[[アセラス]]を使用して意識を取り戻すことに成功した。
ここから王の再来の噂が[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]に広がり、黒の息の影響を受けた多くの者がアラゴルンと[[エルロンドの息子]]の治療を受けることができた。

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