#author("2022-08-26T11:19:13+09:00;2022-01-03T19:55:41+09:00","","")
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* ウルモ [#u42ee281]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Ulmo|
|~その他の呼び名|水の王(Lord of Waters) &br; 海の王(King of the Sea) &br; 水底深く住むお方(Dweller in(of) the Deep)|
|~種族|[[アイヌル]]([[ヴァラール]])|
|~性別|男|
|~生没年||
|~配偶者|なし|

** 解説 [#Explanation]

[[アラタール>ヴァラール#Aratar]]の一人に数えられる[[ヴァラ]]。''水の王''と呼ばれ、ウルモの名前は[[エルダール]]によって「雨を降らせる者(the Pourer, the Rainer)」の意味に解釈された。妃はおらず独り身で、普段は目に見える形をまとうことはなく[[外なる海]]に住まい、[[アマン]]にもめったに姿を見せることがない。
[[マンウェ]]、[[アウレ]]と共に[[アルダ]]の形成時に中心的な役割を担ったヴァラで、その力はマンウェに次いでいた。

>[[エルの子ら>イルーヴァタールの子ら]]は、かれを見ると強い恐怖に襲われた。海の王が現われる時は、黒っぽい兜の前立を泡立たせ、鎖かたびらは、上は銀、下にゆくほど色濃い緑にきらめき、陸地に打ち寄せる山なす大波さながらの恐ろしさであったからだ。マンウェのトランペットは喨々と吹き鳴らされるが、ウルモの声は、かれのみが見たことのある深いわたつみのように、太い低い声である。((『[[シルマリルの物語]]』「ヴァラクウェンタ」))

*** 水の王 [#p6aaace0]

[[ヴァリノール]]が建造されるまでは[[マンウェ]]と最も親しく、彼とともに[[メルコール>モルゴス]]の猛威に抗って戦った。そのためメルコールの寒気と熱気もウルモの領域である水を破壊することはできず、霜雪や雲に姿を変えて美を創出した。

ウルモの力は河川や海はもとより、雲や雨から地下水脈にいたるまで[[アルダ]]をくまなく巡っている。[[メルコール>モルゴス]]の暗闇の下でも生命が絶えることがないのは、このようなウルモの働きによるという。ウルモは水を通して[[子ら>イルーヴァタールの子ら]]の嘆く声を聞くことができ、また水の調べを通じて自らの言葉をかれらに伝えることができた。

また、彼は[[イルーヴァタール]]の[[音楽>アイヌリンダレ]]を最もよく理解する者であり、その音楽の谺は水を通じて今に伝わっているとされる。[[人間]]や[[エルフ]]が波の音に耳を澄ませ、心惹かれるのはそのためだという。彼の吹き鳴らす角笛[[ウルムーリ]]の音を聞いた者は、海への憧れをかき立てられる。

*** [[中つ国]]を愛する者 [#xdf6f87c]

ウルモは[[ヴァラール]]のほとんどの者が[[中つ国]]を見捨てた後も、[[エルフ]]と[[人間]]を深く愛し、かれらと中つ国の大地のことを常に気にかけている。

[[エルフ]]が見出された時は、かれらを[[アマン]]へ招致することに反対した数少ないヴァラだった。だがヴァラールがかれらの招致を決定すると、[[大海]]に浮かんでいた島を曳いて渡し船として使い、エルフ達をアマンへと連れてきた。ウルモは海を愛する[[テレリ]]の頼みを快く聞き入れ、この島を[[エルダマール湾>エルダマール]]に繋ぎ止めて[[トル・エレッセア]]とした。一方、中つ国の側で浅瀬に乗り上げてちぎれた先端は[[バラール島>バラール#Isle]]として残った。

[[ノルドール]]の反逆後も、ウルモは[[マンドスの呪い]]に抗して立ち働き、[[フィンロド]]と[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]に隠れ都市を造るように啓示を与えて[[ナルゴスロンド]]と[[ゴンドリン]]の建造に導いたり、人間の[[トゥオル]]に語りかけて彼を自らの使者としてゴンドリンに派遣し、トゥアゴンへの警告を与えるなど、エルフと人間の力になり続けた。
[[ノルドール]]の反逆後も、ウルモは[[マンドスの呪い]]に抗して立ち働き、[[フィンロド]]と[[トゥルゴン>トゥルゴン(フィンゴルフィンの息子)]]に隠れ都市を造るように啓示を与えて[[ナルゴスロンド]]と[[ゴンドリン]]の建造に導いたり、人間の[[トゥオル]]に語りかけて彼を自らの使者としてゴンドリンに派遣し、トゥルゴンへの警告を与えるなど、エルフと人間の力になり続けた。
この時ウルモは、[[ネヴラスト]]の岸辺でトゥオルの前に威厳ある姿で直接現れている。

>その時、水平線の彼方から巨大な波がおこり、まっすぐに岸をめがけて逆巻きながら進んでくるように見えたが、 … その上に黒い霧のようなものが現われた。それは近づくと突然巻き上がり、砕け、水泡の長い腕を突き出した。その砕けた中央に、わき起こる嵐を背にして黒々と立つ、丈高く厳めしい一つの生ある姿が現われた。 …
帯びる王冠は銀のようで、そこから垂れる長い髪は黄昏の中で水泡のようにきらめき、霧のごとくに纏っていた灰色のマントをはねのけると、見よ! 巨大な魚の鱗のようにぴったりとした輝く上衣を纏っていて、深緑の短衣には海蛍がまつわり、陸へとゆっくり近づいてくるにつれてきらめき、明滅した。 … かれの目の光と、この世の底から響いてくるかのようなその深い声に、トゥオルは畏怖の念に満たされ、砂の上に身を投げ出した。((『[[終わらざりし物語]]』「トゥオルおよびかれがゴンドリンを訪れたこと」))

また、[[エルウィング]]が[[フェアノールの息子たち]]の襲撃を逃れて[[シルマリル]]と共に海に身を投げた時には、彼女を抱きとめて白い鳥に変えてやり、夫の[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]と再会できるようにした。
[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]が定命の者には禁じられた[[アマン]]にたどり着き、[[ヴァラール]]に言上した時には、彼が[[半エルフ]]であることを挙げて彼の身を擁護し、「[[エルフ]]と[[人間]]いずれの生を選ぶか」という選択が半エルフに与えられるきっかけを作った。

*** ウルモの民の[[マイアール]] [#p1cf2019]

ウルモの民として言及があるのは以下のマイアールである。

-[[オッセ]]
中つ国の岸辺を支配している。基本的にはウルモの命に従うが、主人の命がなくとも勝手に荒れ狂うことがあった。
-[[ウイネン]]
オッセの妃。荒れ狂うオッセを鎮めることができるため、船乗りからは特に崇拝された。
-[[サルマール]]
ウルモの角笛[[ウルムーリ]]の製作者。

*** 画像 [#occ4ec98]

&ref(Ulmo.jpg,,35%,ジョン・ハウ作画によるウルモとトゥオル); &ref(ulmobyrogergarland.jpg,,30%,ロジャー・ガーランド作画によるウルモとトゥオル);

#include(Include/アイヌル,notitle)

** コメント [#Comment]

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