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* &ruby(まおう){魔王}; [#oda94f9f]

#contents

** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Witch-king((彼は男性だが、英語の‘witch’は通例は「魔女」を指す語である。しかし[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は「witchは、邪術を使う者に男女の別なく使用された」としてこの語を用いた。))|
|~異訳|魔術王、妖術使いの王|
|~その他の呼び名|アングマールの魔王 (Witch-king of Angmar, Witch-lord of Angmar) &br; モルグル王 (Morgul-lord, Lord of Morgul, Morgul-king) &br; ミナス・モルグルの王 (King of Minas Morgul) &br; 指輪の幽鬼の首領 (Lord of the Ringwraiths) &br; 幽鬼たちの首領 (Wraith-lord)  &br; 幽鬼の王 (Wraith-king) &br; ナズグールの王、ナズグールたちの首領 (Lord of the Nazgûl) &br; ナズグールの頭 (High Nazgûl) &br; 黒の総大将 (Black Captain) &br; 破滅の将軍 (Captain of Despair) &br; サウロンの大軍師 (Captain of Sauron) &br; &ruby(ドウイマーレイク){化けもの};(dwimmerlaik)|
|~その他の呼び名|アングマールの魔王 (Witch-king of Angmar) &br; モルグル王 (Lord of Morgul, Morgul-lord) &br; ミナス・モルグルの王 (King of Minas Morgul) &br; 指輪の幽鬼の首領 (Lord of the Ringwraiths) &br; 幽鬼たちの首領 (Wraith-lord)  &br; 幽鬼の王 (Wraith-king) &br; ナズグールの王、ナズグールたちの首領 (Lord of the Nazgûl) &br; ナズグールの頭 (High Nazgûl) &br; 黒の総大将 (Black Captain) &br; &ruby(ドウィマーレイク){化けもの};(dwimmerlaik)|
|~種族|[[ナズグール]]|
|~性別|男|
|~生没年|不明~†[[第三紀]]3019年3月15日|

** 解説 [#Explanation]
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''アングマールの魔王''と呼ばれる。[[指輪の幽鬼ナズグール>ナズグール]]の首領であり、[[冥王]][[サウロン]]の最も強力な召使。
ナズグールの弱点である[[太陽]]の光や水に対しても耐性があり、他のナズグールと比べてある程度自立的に行動することも出来る。だが結局は魔王の意思は、サウロンに完全に支配されている。

>「賢人たちでさえ、九人がその恐るべき首領の下に一団となった時、抵抗しきれないのではあるまいかと思われたからじゃ。この首領たるや、その昔は、偉大なる王であり、悪しき魔術師であったが、今ではたえがたい恐怖の主じゃ。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]」「エルロンドの会議」 [[ガンダルフ]]の言葉。))

>この[[怪鳥>恐るべき獣]]の上に人間の姿をした者が乗っていましたが、これは黒いマントを着ていて、非常に大柄で、不気味でした。この者は鋼の王冠を載せていましたが、冠のふちと長衣の間には何一つ見えるものはなく、ただ死のように恐ろしい光を湛えた目があるだけでした。これぞナズグルたちの首領でした。((『指輪物語 [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「ペレンノール野の合戦」))
>この[[怪鳥>恐るべき獣]]の上に人間の姿をした者が乗っていましたが、これは黒いマントを着ていて、非常に大柄で、不気味でした。この者は鋼の王冠を載せていましたが、冠のふちと長衣の間には何一つ見えるものはなく、ただ死のように恐ろしい光を湛えた目があるだけでした。これぞナズグールたちの首領でした。((『指輪物語 [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「ペレンノール野の合戦」))

*** アングマールの魔王 [#k2f400cf]

魔王は[[九つの指輪]]を授けられた[[ナズグール]]の一人として、[[第二紀]]2251年頃にはじめて姿を現す。第二紀末に[[最後の同盟]]によって[[サウロン]]が敗れると、一時姿を消す。だが[[第三紀]]になり、サウロンが[[ドル・グルドゥア]]で再び形を取ると、魔王もまた現れた。
魔王は[[九つの指輪]]を授けられた[[ナズグール]]の一人として、[[第二紀]]2251年頃にはじめて姿を現す。第二紀末に[[最後の同盟]]によって[[サウロン]]が敗れると、一時姿を消す。だが[[第三紀]]になり、サウロンが[[ドル・グルドゥル]]で再び形を取ると、魔王もまた現れた。

[[第三紀]]1300年、魔王はサウロンの命を受けて北方に出現して魔国[[アングマール]]を築き、その王として恐れられた。その目的は、分裂した[[ドゥーネダイン]]の[[北方王国]]を滅ぼすことであった。
1409年から1636年にかけて断続的に続いた戦いと[[悪疫]]で、分裂した北方王国のうち[[ルダウア]]と[[カルドラン]]は滅亡。[[アモン・スール]]の塔は毀たれ、[[ティルン・ゴルサド>塚山丘陵]]には魔王が送り込んだ悪霊である[[塚人]]が巣食うようになった。
1974年、ついにアングマールは最後に残った[[アルセダイン]]を滅亡させる。最後の王[[アルヴェドゥイ]]は[[フォロヘル]]湾に逃れたが、魔王が招来した寒波のために海上で氷雪に閉ざされ、命を落とした。こうして北方王国[[アルノール]]は終焉を迎えた。魔王自身はアルセダインの王都[[フォルンオスト]]をわがものとしてこれを邪悪な輩で満たし、王権を簒奪した。
1409年から1636年にかけて断続的に続いた戦いと[[悪疫]]で、分裂した北方王国のうち[[リュダウル]]と[[カルドラン]]は滅亡。[[アモン・スゥル]]の塔は毀たれ、[[テュルン・ゴルサド>塚山丘陵]]には魔王が送り込んだ悪霊である[[塚人]]が巣食うようになった。
1974年、ついにアングマールは最後に残った[[アルセダイン]]を滅亡させる。最後の王[[アルヴェドゥイ]]は[[フォロヒェル]]湾に逃れたが、魔王が招来した寒波のために海上で氷雪に閉ざされ、命を落とした。こうして北方王国[[アルノール]]は終焉を迎えた。魔王自身はアルセダインの王都[[フォルンオスト]]をわがものとしてこれを邪悪な輩で満たし、王権を簒奪した。

しかし1975年、[[ゴンドール]]からの援軍を率いる[[エアルヌア]]が、遅ればせながらも[[リンドン]]に上陸。それに[[キーアダン]]の軍勢とアルノールの生き残りの軍勢が合流し、アングマールへの反撃を開始する。魔王はフォルンオストから撃って出て、[[ネヌイアル]]湖と[[北連丘]]の間で大合戦が行われた([[フォルンオストの合戦]])。
この戦いでアングマール軍は敗退し、[[カルン・ドゥーム]]へ遁走に転じたところを、追いついてきたエアルヌアの軍勢と[[グロールフィンデル]]率いる[[裂け谷]]の軍勢に迎撃されて殲滅された。
しかし1975年、[[ゴンドール]]からの援軍を率いる[[エアルヌル]]が、遅ればせながらも[[リンドン]]に上陸。それに[[キールダン]]の軍勢とアルノールの生き残りの軍勢が合流し、アングマールへの反撃を開始する。魔王はフォルンオストから撃って出て、[[ネヌイアル]]湖と[[北連丘]]の間で大合戦が行われた([[フォルンオストの合戦]])。
この戦いでアングマール軍は敗退し、[[カルン・ドゥーム]]へ遁走に転じたところを、追いついてきたエアルヌルの軍勢と[[グロルフィンデル]]率いる[[裂け谷]]の軍勢に迎撃されて殲滅された。

だが最後に、黒の長衣に黒の仮面をつけた魔王その人が[[エアルヌア]]の前に現れる。この時、エアルヌアの乗馬が恐怖により発狂して、魔王と戦う前にエアルヌアを運び去ってしまった。それを見て魔王は笑ったが、[[グロールフィンデル]]がやってくると再び逃走に転じて姿を消した。エアルヌアは魔王を追おうとしたが、グロールフィンデルは彼を留めて、次のように[[予言>魔王#prophecy]]した。
だが最後に、黒の長衣に黒の仮面をつけた魔王その人が[[エアルヌル]]の前に現れる。この時、エアルヌルの乗馬が恐怖により発狂して、魔王と戦う前にエアルヌルを運び去ってしまった。それを見て魔王は笑ったが、[[グロルフィンデル]]がやってくると再び逃走に転じて姿を消した。エアルヌルは魔王を追おうとしたが、グロルフィンデルは彼を留めて、次のように[[予言>魔王#prophecy]]した。

>「かれを追跡なさるな! かれはこの土地には戻らぬだろう。かれの滅びる日はまだ遠い先のことだ。それにかれは人間の男の手では討たれぬだろう。」

こうして[[アングマール]]は滅び、魔王は北方から駆逐されたが、[[北方王国]]もまた荒廃に帰し、[[アルノール]]の[[ドゥーネダイン]]は野山をさすらう[[野伏]]となることを余儀なくされた。

*** モルグル王 [#hf504d1e]

北方から姿を消した魔王は[[モルドール]]に帰還し、その地に他の[[ナズグール]]を召集する。
2000年にナズグール率いる軍勢は[[キリス・ウンゴル]]を越えて[[ゴンドール]]の[[ミナス・イシル>ミナス・モルグル]]を包囲攻撃し、2002年にこれを陥落させた。以後、ナズグールに占領されたミナス・イシルは幽鬼の都と化し、ミナス・モルグルと呼ばれるようになる。

魔王は、北方で自らを敗北せしめた[[エアルヌア]]に強い憎しみを向け続けていた。
2043年にエアルヌアが[[ゴンドール]]王として戴冠すると、魔王は'''北方の戦いでは自分の前に立つこともできなかったではないか'''とエアルヌアを嘲り、[[ミナス・モルグル]]で自分と一騎打ちをするよう求める。この時は[[執政]][[マルディル]]がエアルヌアを制止したが、2050年に魔王は再びエアルヌアを挑発して'''若年の頃の意気地のなさに今では老齢の弱気を加えている'''((『[[追補編>指輪物語/追補編]]』「ゴンドール、またアナリオンの後継者たち」))と嘲りを重ねた。この時はマルディルも王を制止しきれず、エアルヌアは僅かな供回りだけを連れてミナス・モルグルへ向かい、そのまま戻らなかった。
こうして魔王は復讐を果たし、エアルヌアには子がいなかったため、ゴンドールの王の血筋は絶えた。
魔王は、北方で自らを敗北せしめた[[エアルヌル]]に強い憎しみを向け続けていた。
2043年にエアルヌルが[[ゴンドール]]王として戴冠すると、魔王は'''北方の戦いでは自分の前に立つこともできなかったではないか'''とエアルヌルを嘲り、[[ミナス・モルグル]]で自分と一騎打ちをするよう求める。この時は[[執政]][[マルディル]]がエアルヌルを制止したが、2050年に魔王は再びエアルヌルを挑発して'''若年の頃の意気地のなさに今では老齢の弱気を加えている'''((『[[追補編>指輪物語/追補編]]』「ゴンドール、またアナリオンの後継者たち」))と嘲りを重ねた。この時はマルディルも王を制止しきれず、エアルヌルは僅かな供回りだけを連れてミナス・モルグルへ向かい、そのまま戻らなかった。
こうして魔王は復讐を果たし、エアルヌルには子がいなかったため、ゴンドールの王の血筋は絶えた。

以来魔王は配下の[[ナズグール]]と共に[[ミナス・モルグル]]に潜み、2942年に[[サウロン]]が[[モルドール]]に帰還するまでその準備を進めた。

*** 指輪の幽鬼の首領 [#y5d3948d]
>かれらの青白い顔には無慈悲な目が燃えていました。黒いマントの下には灰色の長衣をまとっていました。灰色の頭には銀の兜がかぶせられていました。やせさらばえた手には鋼の剣が握られていました。 … 三人目はあとの者より背がいっそう高く、長い髪をきらめかし、兜の上に冠をいただいていました。かれは片手に長い剣を持ち、もう一方の手に[[ナイフ>モルグルの刃]]を握っていました。ナイフもそれを握る手も青白い光を放っていました。((『指輪物語 旅の仲間』「闇夜の短剣」 [[一つの指輪]]を身につけたときの[[フロド>フロド・バギンズ]]の視点。))


やがて、捕えられた[[ゴクリ]]の口から[[一つの指輪]]が再び見出されたことが判明すると、魔王率いる[[ナズグール]]は指輪を奪回する命を受けて、[[モルドール]]より出撃した。
[[大いなる年]]の3018年、魔王はモルドール軍を指揮して[[オスギリアス]]を攻撃し、[[ボロミア]]と[[ファラミア]]の部隊に打撃を与えた。ナズグールは衣装をまとわず目に見えない姿で密かに橋をわたり[[アンドゥイン]]を越え、その先で馬と装束を受け取って指輪の追跡を開始した。
[[大いなる年]]の3018年、魔王はモルドール軍を指揮して[[オスギリアス]]を攻撃し、[[ボロミル]]と[[ファラミル]]の部隊に打撃を与えた。ナズグールは衣装をまとわず目に見えない姿で密かに橋をわたり[[アンドゥイン]]を越え、その先で馬と装束を受け取って指輪の追跡を開始した。

魔王の指揮の下、[[ホビット庄]]に到達したナズグールは庄境を守る[[野伏]]を追い散らした後は分散行動を取り、魔王自身は[[ブリー村]]の南[[アンドラス]]に野営していた(『[[終わらざりし物語]]』によれば、その時に[[塚人]]を含む[[古森]]と[[塚山丘陵]]一帯の悪霊を呼び起こしたという)。

その後、[[風見が丘]]において[[指輪>一つの指輪]]をはめた[[フロド・バギンズ]]を、魔王は[[モルグルの短剣>モルグルの刃]]によって刺し、瀕死の深手を負わせる。
魔王たちナズグールは、モルグルの刃の傷によって幽界に引きずり込まれようとするフロドを追跡し、[[ブルイネンの浅瀬]]において9人全員でフロドを追い詰めたものの、[[エルロンド]]と[[ガンダルフ]]の起こした[[ブルイネン]]の水流に押し流されて馬と外見を失い、追跡は失敗に終わった。

*** 黒の総大将 [#r8124a20]

>うず高い死者の山の上に見るも恐ろしい姿の者が現れました。馬に乗って、背が高く、頭巾をかぶり、黒いマントを着ていました。死んだ者たちを踏みつけながら、かれはゆっくりと馬を進め、いかなる矢もものともしませんでした。かれは立ち止まり、微かな光を放つ長い剣を示しました。かれがそうすると、守る側にも敵側にも等しなみに、非常な恐怖が全員を襲いました。…
黒の乗手は頭巾を後ろに払いました。すると、いかに! かれは王冠をいただいていました。それなのに、その王冠は目に見える頭の上にのっているのではないのです。王冠とマントを羽織った大きな黒い肩との間には赤い火が燃えさかっていました。見えざる口から死の笑いが聞こえてきました。((『指輪物語 [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「ゴンドールの包囲」 [[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の大門を打ち破り、ガンダルフと対峙した場面。))

[[モルドール]]に逃げ帰った魔王は、[[サウロン]]より力を吹き込まれて復活する。
[[西方との全面戦争>指輪戦争]]の烽が上がると、魔王は[[ミナス・モルグル]]より出陣してモルドール軍の総大将として[[ゴンドール]]攻撃を指揮し、[[ペレンノール野の合戦]]においてその姿を見せた。
[[グロンド>グロンド(破城槌)]]と呪文によって[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の大門を破壊した魔王は、騎馬姿で入城を果たし、そこで[[白のガンダルフ>ガンダルフ]]と対峙する。
しかし曙光と共に[[ローハン]]の軍勢がやってくると、魔王はこの希望を打ち砕くべく門から身を翻して立ち去り、[[恐るべき獣]]を駆って[[セオデン]]を強襲した。
しかし曙光と共に[[ローハン]]の軍勢がやってくると、魔王はこの希望を打ち砕くべく門から身を翻して立ち去り、[[恐るべき獣]]を駆って[[セーオデン]]を強襲した。

斃れたセオデンに手をかけようとする魔王の前に立ちはだかったのは、若武者デルンヘルムに身を扮したローハンの姫[[エオウィン]]であった。さらに、正体を現したエオウィンの声に勇気づけられた[[ホビット]]の[[メリアドク・ブランディバック]]の手には、かつて魔王が滅ぼした[[北方王国]]で作られた[[塚山出土の剣]]があった。
魔王は黒い矛を振るってエオウィンの左腕を盾ごと砕くが、背後から忍び寄ったメリーが塚山出土の剣を魔王の膝裏に突き刺して彼を不死身にしていた呪力を打ち破り、そしてエオウィンが頭のあるべき空隙に剣を突き刺したことで、遂に魔王も滅ぼされた。
斃れたセーオデンに手をかけようとする魔王の前に立ちはだかったのは、若武者デルンヘルムに身を扮したローハンの姫[[エーオウィン]]であった。さらに、正体を現したエーオウィンの声に勇気づけられた[[ホビット]]の[[メリアドク・ブランディバック]]の手には、かつて魔王が滅ぼした[[北方王国]]で作られた[[塚山出土の剣]]があった。
魔王は黒い矛を振るってエーオウィンの左腕を盾ごと砕くが、背後から忍び寄ったメリーが塚山出土の剣を魔王の膝裏に突き刺して彼を不死身にしていた呪力を打ち破り、そしてエーオウィンが頭のあるべき空隙に剣を突き刺したことで、遂に魔王も滅ぼされた。

かくして、[[グロールフィンデル]]の「人間の男の手」によっては倒されないという予言は成就したと言われている。
かくして、[[グロルフィンデル]]の「人間の男の手」によっては倒されないという予言は成就したと言われている。

** グロールフィンデルの予言 [#prophecy]
** グロルフィンデルの予言 [#prophecy]

[[グロールフィンデル]]が予言した言葉「かれ(魔王)の滅びる日はまだ遠い先のことだ。それにかれは''人間の男の手では''討たれぬだろう。」の原文は‘Far off yet is his doom, and ''not by the hand of man'' will he fall.’である。
[[グロルフィンデル]]が予言した言葉「かれ(魔王)の滅びる日はまだ遠い先のことだ。それにかれは''人間の男の手では''討たれぬだろう。」の原文は‘Far off yet is his doom, and ''not by the hand of man'' will he fall.’である。
また、同じ予言を指した[[ガンダルフ]]の言葉では「そして&ruby(いにしえ){古};にいわれた言葉が真実なら、''&ruby(ますらお){丈夫};の手によっては''かれは倒れぬという。(And if words spoken of old be true, ''not by the hand of man'' shall he fall)」((『指輪物語 王の帰還』「ゴンドールの包囲」))となっており、‘hand of man’は「人間の男の手」とも「丈夫の手」とも訳し分けられている。

英語のmanには、「人」「性別としての男」「種族としての[[人間]]」など複数の意味があり、文脈によって指し示すものが変化する。
‘not by the hand of man’と言った場合には、最初の「人」の意味、すなわち「([[エルフ]]なども含めた)''&ruby(なんぴと){何人};にも''討たれることはない」の意味に取るのが一般的な読み方になる。
しかし実際には魔王を討つことになるのは「女」である[[エオウィン]]と、人間ではない「[[小さい人>ホビット]]」である[[メリアドク・ブランディバック]]だったのであり、予言のmanは「性別としての男」と「種族としての人間」をも同時に意味していた、というところにこの予言の仕掛けがあったことになる。
しかし実際には魔王を討つことになるのは「女」である[[エーオウィン]]と、人間ではない「[[小さい人>ホビット]]」である[[メリアドク・ブランディバック]]だったのであり、予言のmanは「性別としての男」と「種族としての人間」をも同時に意味していた、というところにこの予言の仕掛けがあったことになる。

日本語にはこのmanの多義性を簡潔に訳せる言葉が存在しないため、訳文は上述のようにいささか回りくどくなっている。

なおこの予言と解釈は、シェイクスピアの『マクベス』([[Wikipedia:マクベス (シェイクスピア)]])における「女から産み落とされた者」では倒せないと言われた者を「帝王切開で取り出された者は“女から産み落とされた”とは言えないため倒せた」という解釈に、[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]が不満であったため考案されたという((『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』などより))。

** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#ICE]

[[ICE>Iron Crown Enterprises]]設定によると、魔王の正体は12代目の[[ヌーメノール]]王[[タル=キアヤタン]]の第二王子で、[[タル=アタナミア]]の弟の''ティンドムル''(Tindomul)(([[クウェンヤ]]で「黄昏の子」の意))である。生年は[[第二紀]]1820年。彼は[[エルフ]]への敵意を募らせ、[[アドゥーナイク]]で「黒き王子」の意である''エル・ムーラゾール''(Er-Mûrazor)と呼ばれるようになった。彼は[[中つ国]]に勢力を伸ばしていたが、そこを[[サウロン]]につけ込まれ、彼に忠誠を誓って[[九つの指輪]]の一つを与えられたことにより、[[ナズグール]]と化したという。詳しくは、[[エル=ムーラゾール]]の項を参照。
[[ICE>Iron Crown Enterprises]]設定によると、魔王の正体は12代目の[[ヌーメノール]]王[[タル=キルヤタン]]の第二王子で、[[タル=アタナミル]]の弟の''ティンドムル''(Tindomul)(([[クウェンヤ]]で「黄昏の子」の意))である。生年は[[第二紀]]1820年。彼は[[エルフ]]への敵意を募らせ、[[アドゥーナイク]]で「黒き王子」の意である''エル・ムーラゾール''(Er-Mûrazor)と呼ばれるようになった。彼は[[中つ国]]に勢力を伸ばしていたが、そこを[[サウロン]]につけ込まれ、彼に忠誠を誓って[[九つの指輪]]の一つを与えられたことにより、[[ナズグール]]と化したという。詳しくは、[[エル=ムーラゾール]]の項を参照。

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** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|Shane Rangi、Brent McIntyre(旅の仲間)&br;[[ローレンス・マコーレ]](王の帰還)&br;[[アンディ・サーキス]](声)|
|~日本語吹き替え|[[小林清志]]|

『旅の仲間』では原作通り[[モルグルの刃]]で[[フロド>フロド・バギンズ]]を突き刺す。
『王の帰還』でも原作通りに冠のような兜をかぶった姿で登場するが、[[サウロン]]と混同されるのを防ぐためか、燃え盛る顔の炎は表現されていない。[[エオウィン]]と戦う際に使った武器は原作のメイスではなくフレイル。
『王の帰還』でも原作通りに冠のような兜をかぶった姿で登場するが、[[サウロン]]と混同されるのを防ぐためか、燃え盛る眼光は表現されていない。[[エーオウィン]]と戦う際に使った武器は原作のメイスではなくフレイル。

[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の城門を呪文で破って入城するシーンはないが、[[エクステンデッド・エディション]]では[[恐るべき獣]]に乗った魔王が[[ガンダルフ]]と対峙するシーンが挿入されている。
また非常に大きな相違点として、[[メリアドク・ブランディバック]]が魔王を刺した武器は[[塚山出土の剣]]ではなく([[エクステンデッド・エディション]]において[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]が[[ロスローリエン]]で[[ガラドリエル]]から受け取った[[ノルドール]]のナイフであるという説と、柄の形状から[[ローハン]]製の短剣であるという説とがあり、映像からは判然としない)、原作にあった運命と予言の妙は再現されていない。

*** 画像 [#Image]

&ref(Witchking1.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における魔王); &ref(Witchking2.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における魔王);

*** グッズ [#Goods]

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** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

当初、[[ドル・グルドゥア]]の[[ネクロマンサー(死人占い師)>死人占い師]]が、この魔王ではないかと疑われた。
だが[[ガラドリエル]]などのセリフによると、魔王は遥か昔に倒され、死体は[[ルダウア]]の塚に葬られて、呪文で封じられたはずだったという、独自の設定が付与されている。
『竜に奪われた王国』でガンダルフと[[ラダガスト]]がこの塚を偵察に行くと、塚は内部から破られており、魔王は他のナズグールと共にドル・グルドゥアに集結していた。
当初、[[ドル・グルドゥル]]の[[ネクロマンサー(死人占い師)>死人占い師]]が、この魔王ではないかと疑われた。
だが[[ガラドリエル]]などのセリフによると、魔王は遥か昔に倒され、死体は[[リュダウル]]の塚に葬られて、呪文で封じられたはずだったという、独自の設定が付与されている。
『竜に奪われた王国』でガンダルフと[[ラダガスト]]がこの塚を偵察に行くと、塚は内部から破られており、魔王は他のナズグールと共にドル・グルドゥルに集結していた。

ちなみに『竜に奪われた王国』の魔王が塚に葬られる回想シーンでは、[[ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]の曾孫ロイド・トールキンがカメオ出演している(墓に剣を投げ込んでいる人物)。
ロイド・トールキンは『[[ロード・オブ・ザ・リング]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』でもカメオ出演していたほか、ニュージーランド航空の機内安全ビデオにも出演している。

*** グッズ [#x42f8ddd]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

[[塚山>塚山丘陵]]で[[塚人]]を呼び起こす場面に、黒の乗手の姿で現れる。
[[ペレンノール野の合戦]]の場面でも登場し、原作通りの展開を見ることができる。

*** 画像 [#c5308fa6]

&ref(CPMKA2eVEAEbWsy.jpg,,20%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における魔王); &ref(lotro2007.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における魔王); &ref(ScreenShot00768.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ミナス・ティリスに入場した魔王); &ref(ScreenShot00477.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、エオウィンと対峙した魔王);
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** 外部リンク [#Links]

- [[彼方の島 ICE設定の翻訳:http://megalodon.jp/2014-1004-1441-55/homepage2.nifty.com/lotr/naz/Witchk.html]]

** コメント [#Comment]

#pcomment(,,,,,,reply)