#author("2017-11-11T00:22:09+09:00","","")
#author("2024-01-15T22:37:51+09:00;2023-07-30T08:51:28+09:00","","")
* &ruby(きり){霧};ふり&ruby(さんみゃく){山脈}; [#tdb08eb8]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Misty Mountains|
|~異訳|霧ふり山連山|
|~その他の呼び名|ヒサイグリア(Hithaeglir)((『[[指輪物語]]』に含まれた地図上のヒサイグリン(Hithaeglin)は語形の誤り。))|
|~その他の呼び名|ヒサエグリル、ヒサイグリア(Hithaeglir)((『[[指輪物語]]』に含まれた地図上のヒサイグリン(Hithaeglin)は語形の誤り。))|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で「霧の塔」(Towers of Mist)を意味する''ヒサイグリア''の[[西方語]]訳。
[[中つ国]]北西部に横たわり、[[エリアドール]]と[[ロヴァニオン]]を東西に隔てる大山脈。[[アンドゥイン]]上流域から[[ローハン谷]]まで連なり、[[グンダバド]]、[[カラズラス(赤角山)>カラズラス]]、[[ファヌイゾル(雲乗山)>ファヌイゾル]]、[[ケレブディル(銀枝山)>ケレブディル]]、[[メセドラス]]といった山々がある。
[[シンダリン]]で「霧の塔」(Towers of Mist)を意味する''ヒサエグリル''の[[西方語]]訳。
[[中つ国]]北西部に横たわり、[[エリアドール]]と[[リョヴァニオン]]を東西に隔てる大山脈。[[アンドゥインの谷間]]の上流域から[[ローハン谷]]まで連なり、[[グンダバド]]、[[カラズラス(赤角山)>カラズラス]]、[[ファヌイゾル(雲乗山)>ファヌイゾル]]、[[ケレブディル(銀枝山)>ケレブディル]]、[[メセドラス]]といった山々がある。
山脈の北端からは、西に向かって[[アングマール山脈]]が、東に向かって[[灰色山脈(エレド・ミスリン)>灰色山脈]]が伸びている。南端では[[ローハン谷]]を挟んで[[白の山脈(エレド・ニムライス)>エレド・ニムライス]]に接している。

山脈には無数の山道があるが、そのほとんどは込み入って行き止まりになっており、山越えの困難なことで知られていた。比較的安全でよく知られた峠道に[[本道(イムラドリスの山道)>本道]]や[[赤角山道]]などがある。((『[[旅の仲間]]』「指輪、南へ行く」では、この他に[[あやめ川]]の水源に山越えの山道があることが言及されている。))
山脈には無数の山道があるが、そのほとんどは込み入って行き止まりになっており、山越えの困難なことで知られていた。比較的安全でよく知られた峠道に[[本道(イムラドリスの山道)>本道]]や[[赤角山道]]などがある。((『[[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「指輪、南へいく」では、この他に[[あやめ川]]の水源に山越えの山道があることが言及されている。))
かつて霧ふり山脈の地下には[[ドワーフ]]最大の都市[[カザド=ドゥーム(モリア)>モリア]]があったが、[[バルログ]]が出現して荒廃し、その後[[オーク]]に奪われた。他にも[[ゴブリン町]]をはじめ、各地にオークの拠点が穿たれており、さらに地上には[[巨人]]が出没するところもあった。

*** 霧ふり山脈の山の名 [#x0062915]

>「あそこに聳えるのは、[[バラジンバル]]、すなわち[[赤角山]]、無慈悲なる[[カラズラス]]です。その向こうにあるのは[[銀枝山]]と[[雲乗山]]すなわち白き[[ケレブディル]]と灰色の[[ファヌイゾル]]、[[われらの言葉>クズドゥル]]でいえば[[ジラク=ジギル>ジラクジギル]]と[[ブンドゥシャスゥル]]です。 &br; 「あそこで霧ふり山脈は二つに分かれ、その両方の腕にかかえられるように横たわるのが、われらには忘れることのできぬ深い影の谷間、[[アザヌルビザール]]、すなわち[[おぼろ谷]]、[[エルフ]]の[[ナンドゥヒリオン]]と呼ぶところです。」((『[[旅の仲間]]』「指輪、南へ行く」[[ギムリ]]の言葉。))
>「あそこに聳えるのは、[[バラジンバル>カラズラス]]、すなわち[[赤角山>カラズラス]]、[[無慈悲なるカラズラス>カラズラス]]です。その向こうにあるのは[[銀枝山>ケレブディル]]と[[雲乗山>ファヌイゾル]]すなわち[[白きケレブディル>ケレブディル]]と[[灰色のファヌイゾル>ファヌイゾル]]、[[われらの言葉>クズドゥル]]でいえば[[ジラクジギル>ケレブディル]]と[[ブンドゥシャスール>ファヌイゾル]]です。
「あそこで霧ふり山脈は二つに分かれ、その両方の腕にかかえられるように横たわるのが、われらには忘れることのできぬ深い影の谷間、[[アザヌルビザール>ナンドゥヒリオン]]、すなわち[[おぼろ谷>ナンドゥヒリオン]]、[[エルフ]]の[[ナンドゥヒリオン]]と呼ぶところです。」((『[[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「指輪、南へいく」 [[ギムリ]]の言葉。))

|~[[シンダール語]]|~[[西方語]]|~[[クズドゥル]](ドワーフ語)|
|~[[シンダリン]]|~[[西方語]]|~[[クズドゥル]](ドワーフ語)|
|||[[グンダバド]]|
|[[カラズラス]]|&ruby(あかつのやま){赤角山};|バラジンバル|
|[[ファヌイゾル]]|&ruby(くものせやま){雲乗山};|ブンドゥシャスゥル|
|[[ケレブディル]]|&ruby(ぎんし){銀枝};&ruby(やま){山};|ジラクジギル|
|[[カラズラス]]|&ruby(あかつの){赤角};山|バラジンバル|
|[[ファヌイゾル]]|&ruby(くものせ){雲乗};山|ブンドゥシャスール|
|[[ケレブディル]]|&ruby(ぎんし){銀枝};山|ジラクジギル|
|[[メセドラス]]|||

*** 歴史 [#qd38e5f3]

この山脈は元々、[[星々の時代>二つの木の時代]]に[[オロメ]]が[[中つ国]]へ前進することを妨げるために[[メルコール]]の手によって築かれたもので、もっと高い山脈だったと言われる。
西方の[[アマン]]を目指す[[大いなる旅]]を行く[[エルフ]]([[エルダール]])にとってもこの山脈は最初の難所の一つとなり、山越えを拒んで山脈の東に留まった者達は[[ナンドール]](後の[[シルヴァン・エルフ>シルヴァン]])と呼ばれる民となった。
この山脈は元々、[[星々の時代>二つの木の時代]]に[[オロメ]]が[[中つ国]]へ前進することを妨げるために[[メルコール>モルゴス]]の手によって築かれたもので、もっと高い山脈だったと言われる。
西方の[[アマン]]を目指す[[大いなる旅]]を行く[[エルフ]]([[エルダール]])にとってもこの山脈は最初の難所の一つとなり、山越えを拒んで山脈の東に留まった者達は[[ナンドール]](後の[[シルヴァン・エルフ]])と呼ばれる民となった。
[[ドワーフ]]の祖の一人[[不死のドゥリン>ドゥリン]]によって[[カザド=ドゥーム(モリア)>モリア]]が築かれたのも星々の時代のことであり、このため霧ふり山脈は[[ドゥリンの一族]]にとって特別な場所となった。

[[太陽の第一紀>第一紀]]の歴史は主に[[ベレリアンド]]を中心に語られているため、霧ふり山脈の名はあまり出てこない。

[[第二紀]]になると、霧ふり山脈は天険としてしばしば[[サウロン]]と[[自由の民]]の戦いに影響を及ぼすようになる。第二紀を通じて、山脈は[[モリア]]の[[ドワーフ]]とその東西に居住する[[エルフ]]によって保持されており、これを避けてエリアドールに侵入する唯一の道である[[ローハン谷]]が戦略的要衝として認識されるようになった。
[[エレギオン]]の滅亡後、[[エルロンド]]は霧ふり山脈の麓に[[イムラドリス]]の避難所を築き、[[最後の同盟]]は霧ふり山脈の山道を辿って[[モルドール]]へ進軍して行った。

[[第三紀]]になると[[エルフ]]と[[ドワーフ]]の勢力が衰退し、霧ふり山脈は[[サウロン]]の働きかけを受けて[[自由の民]]の障害として立ちはだかるようになった。
1300年頃よりこの地で数を増やした[[オーク]]がドワーフを攻撃しはじめ、また山脈の北端付近に[[アングマール]]が出現して悪しき者達が集結するようになる。1981年には[[バルログ]]によって[[モリア]]が荒廃し、[[ドゥリンの一族]]がこの地を追われる。するとサウロンは2480年頃から配下のオークを送り込んで山中に拠点を築かせ、全ての[[自由の民]]の通行を妨げようとした。
2509年には[[赤角山道]]を通行しようとした[[ケレブリアン]]一行がオークに襲われる。2510年にはこの地のオークは[[ドル・グルドゥア]]の[[バルホス族]]と協同して[[ゴンドール]]を攻撃し([[ケレブラントの野の戦い]])、[[ローハン]]建国後もしばしば[[ローハン谷]]を脅かした。2740年頃には[[エリアドール]]への侵入も試みている([[緑野の合戦]])。
2509年には[[赤角山道]]を通行しようとした[[ケレブリーアン]]一行がオークに襲われる。2510年にはこの地のオークは[[ドル・グルドゥル]]の[[バルホス族]]と協同して[[ゴンドール]]を攻撃し([[ケレブラントの野の戦い]])、[[ローハン]]建国後もしばしば[[ローハン谷]]を脅かした。2740年頃には[[エリアドール]]への侵入も試みている([[緑野の合戦]])。

2793年から2799年にかけて起きた[[ドワーフとオークの戦争]]で、霧ふり山脈のオークはほとんど殲滅されたかに思われた。だがドワーフがモリアと霧ふり山脈を奪還するには至らず、山中の拠点でオークは密かに勢力を回復させる。
2941年、[[本道]]を越えようとした[[トーリンとその仲間]]たちが[[ゴブリン町]]に捕らえられた。この時[[大ゴブリン]]が殺されたことと、その後の[[スマウグ]]の死が発端となり、霧ふり山脈中のオークは[[グンダバド]]に集結してから[[エレボール]]を急襲、[[五軍の合戦]]を引き起こしたが殲滅された(『[[ホビットの冒険]]』)。
2941年、[[本道]]を越えようとした[[ソーリンとその仲間]]たちが[[ゴブリン町]]に捕らえられた。この時[[大ゴブリン]]が殺されたことと、その後の[[スマウグ]]の死が発端となり、霧ふり山脈中のオークは[[グンダバド]]に集結してから[[エレボール]]を急襲、[[五軍の合戦]]を引き起こしたが殲滅された(『[[ホビットの冒険]]』)。

これでロヴァニオン北方の安全は大きく回復されたものの、いまだに霧ふり山脈には[[オーク]]の残党が巣食っていたようで、2951年に[[サウロン]]が[[モルドール]]で復活を宣言すると勢いを盛り返す。
2989年、[[モリア]]再興を目指して入植を試みた[[バーリン]]一党は、2994年にオークと[[バルログ]]によって滅ぼされた。3009年頃からは霧ふり山脈の横断は非常に危険なものとなり、安全に通行できるのは[[ビヨルン一党]]が確保する[[本道]]のみとなっていた。
これでリョヴァニオン北方の安全は大きく回復されたものの、いまだに霧ふり山脈には[[オーク]]の残党が巣食っていたようで、2951年に[[サウロン]]が[[モルドール]]で復活を宣言すると勢いを盛り返す。
2989年、[[モリア]]再興を目指して入植を試みた[[バリン]]一党は、2994年にオークと[[バルログ]]によって滅ぼされた。3009年頃からは霧ふり山脈の横断は非常に危険なものとなり、安全に通行できるのは[[ビヨルン一党]]が確保する[[本道]]のみとなっていた。

3019年([[大いなる年>大いなる年#year3019]])、[[赤角山道]]で山越えを試みた[[指輪の仲間]]は[[カラズラス]]の悪意に阻まれ、通過を余儀なくされた[[モリア]]で[[オーク]]と[[バルログ]]に襲撃される。その後、[[フロド]]は[[視る椅子]]で霧ふり山脈からオークの軍勢が出撃する光景を目にしている。また[[パルス・ガレン]]で[[メリー]]と[[ピピン]]を捕らえたオークの混成部隊にはモリアから出撃してきた北の国のオークも混ざっていた([[ウグルク]]の項も参照)。(『[[指輪物語]]』)
3019年([[大いなる年>大いなる年#year3019]])、[[赤角山道]]で山越えを試みた[[指輪の仲間]]は[[カラズラス]]の悪意に阻まれ、通過を余儀なくされた[[モリア]]で[[オーク]]と[[バルログ]]に襲撃される。その後、[[フロド>フロド・バギンズ]]は[[視る椅子]]で霧ふり山脈からオークの軍勢が出撃する光景を目にしている。また[[パルス・ガレン]]で[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]と[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]を捕らえたオークの混成部隊にはモリアから出撃してきた北の国のオークも混ざっていた([[ウグルーク]]の項も参照)。(『[[指輪物語]]』)

** コメント [#Comment]

#pcomment(,,noname,,,,reply)
#pcomment(,,,,,,reply)