#author("2018-02-28T01:39:19+09:00","","")
* &ruby(おど){躍};る&ruby(こうまてい){小馬亭}; [#p4f70707]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|The Prancing Pony|
|~その他の呼び名|小馬亭(The Pony)、ブリー村の宿(屋)(Inn of Bree, Inn at Bree)|

** 解説 [#Explanation]

[[ブリー村]]にある古旅籠。数えられないほどの昔から代々バタバー一家によって経営されてきた宿屋で、[[喫煙>パイプ草]]の習慣もここから始まったという。[[指輪戦争]]の時代には[[バーリマン・バタバー]]が亭主で、彼の下で[[ボブ]]や[[ノブ]]が働いていた。
ブリー村が[[南北街道]]([[緑道]])と[[東街道]]の交差点の近くに位置するため、[[ブリー郷]]の[[人間]]や[[ホビット]]だけでなく、街道を旅する[[ドワーフ]]や[[アルノール]]の[[野伏]]、さらには[[魔法使い]][[ガンダルフ]]や[[トム・ボンバディル]]といった存在までもが立ち寄る稀有な場所だった。だが夜ごと小馬亭の集会所でかれらと寄り合うブリー郷の住人にとっては日常の風景であり、さして意識されていなかった。

ブリー村の西門から東へ伸びる[[東街道]]が南へ向きを変える場所に、街道に面して立っており、三階建ての建物の両翼部の間に大きなアーチが開き、厩のある中庭に通じている。入口はアーチの左側の石段の上にある。[[人間]]と[[ホビット]]が共存する[[ブリー郷]]の環境に合わせてホビット専用の部屋もあり、この部屋のある小馬亭の奥側は背後の[[ブリー山]]が次第にせり上がってきているため、地面がホビット用の丸窓の下すぐにまで迫っている。

*** [[指輪物語]]での記述 [#la8fdc4c]

[[裂け谷]]に向かう[[フロド・バギンズ]]達が、[[トム・ボンバディル]]の勧めによってここに立ち寄り、[[馳夫]]([[アラゴルン二世]])に出会うこととなる。
フロドは[[ガンダルフ]]の指示通り[[山の下]]の偽名を使ったが、[[ホビット庄]]の世間話を始めて調子に乗った[[ペレグリン・トゥック]]が「バギンズ」の名を出してしまいそうになったため、咄嗟にごまかそうとしたフロドはテーブルの上に乗って歌を歌い、足を踏み外して“偶然”[[一つの指輪]]を指にはめてしまう。フロドの姿がかき消えたことでその場は騒然となり、結果、おそらく[[しだ家のビル]]の密告によって[[黒の乗手]]の注意を引くことになってしまった。
その晩、宿は黒の乗手の襲撃を受ける。馳夫の忠告で部屋を変えていたフロド達は危機を免れたが、黒の乗手によって厩につながれていた馬がすべて逃げてしまったため、宿泊客や亭主の[[バタバー>バーリマン・バタバー]]は大損害を被った(バタバーは[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]をはじめ馬を失った客に弁償するはめになったが、その後ほとんどの馬が無傷で戻ってきたため、結局バタバーは格安で馬を手に入れた形となった)。

[[指輪戦争]]後、フロド達は[[ホビット庄]]へ帰る道中にも再びこの宿に一泊した。その頃[[ブリー郷]]は(おそらく[[シャーキー>サルマン]]の手先の影響で)治安が悪化しており、宿も不況であったが、フロド達が戻ってきたという噂を聞きつけた人々が集まり、久々の盛況となった。

*** その他 [#f51aadf8]

『[[追補編]]』の「ドゥリンの一族」によると、[[第三紀]]2941年3月15日に旅から帰る途中で[[ブリー村]]に宿泊していた[[トーリン二世]]と、休養のために[[ホビット庄]]へ向かっていた[[ガンダルフ]]がブリー村で偶然出会い((『[[終わらざりし物語]]』の「エレボールの遠征」での原稿では、[[ガンダルフ]]と[[トーリン二世]]は[[ブリー村]]へ向かう道中で偶然出会い、二人でブリー村に宿泊したとされている。))、[[はなれ山]]への遠征(『[[ホビットの冒険]]』)が計画される切っ掛けになった。
この時に二人が出会った場所は躍る小馬亭と推測されるが、直接の言及はない。

*** 画像 [#md66e7ca]

&ref(AlanLeePrancingPony.jpg,,25%,アラン・リー作画による躍る小馬亭(フロドが一つの指輪で消えた瞬間));

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

[[フロド]]たちが[[ホビット庄]]から外界へと抜け出て、[[ホビット]]と[[人間]]が混在する混沌とした場所に入り込んだことなどを示すため、最初から不穏な空気を強調した演出になっている。
フロドと[[バタバー>バーリマン・バタバー]]のやりとりはほぼカットされており、[[ガンダルフ]]の手紙や、[[馬]]がいなくなった話もなく、フロドたちが帰郷時に立ち寄る場面も出てこない。
[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]が口を滑らすのを防ぐため、フロドが歌を歌ってごまかそうとするシーンもない。原作と異なり、フロドが本名を隠していることなどの状況をよく知らないままついてくることになったピピンと[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]が、そのままフロドを紹介しようとして、あわてて止めに行こうとしたフロドが転んだ拍子に[[一つの指輪]]が指にはまって姿が消えてしまい、騒ぎとなる。その直後再び姿を現したフロドが[[馳夫]]にいきなりつかまって部屋に連れて行かれるという展開となっている。また[[黒の乗手]]は、フロドが指輪をはめたことを直接感じ取ったように描かれており、宿に侵入した黒の乗手におびえてバタバーが隠れている場面がある。

*** グッズ [#f92d96d7]

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** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

原作小説『[[ホビットの冒険]]』ではこの宿や[[ブリー郷]]、[[ブリー村]]についての言及はないが、『[[追補編]]』にある記述を元に、第二部『竜に奪われた王国』冒頭で、[[トーリン>トーリン二世]]と[[ガンダルフ]]がこの宿で出会う回想場面が描かれている。だが原作と異なって偶然ではなく、ガンダルフがトーリンに会いに来た形になっている。当時の宿の亭主はバーリマンの父(Butterbur Snr)で、トーリンの注文に応じたウェイトレスはバーリマンの母のベッツィ・バタバー(Betsy Butterbur)(([[ピーター・ジャクソン]]の娘のカメオ出演))という設定。また店内でトーリンのことを睨んでいたごろつきのひとりは、[[しだ家のビル]]の父(Bill Ferny Snr)という設定になっている。

そこではトーリンは、行方不明になっている父[[スライン>スライン二世]]が[[焦茶の国>褐色人の国]]の近くにいたという噂を聞いて探しに行き、発見できずに戻ってきた途中という設定になっている。[[エクステンデッド・エディション]]では、さらにトーリンとガンダルフの会話シーンが長くなっており、スラインについて語っている。

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

&ref(PrancingPony.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における躍る小馬亭外観);&ref(ScreenShot00335.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における躍る小馬亭の酒場);&ref(ScreenShot00338.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における躍る小馬亭客室);

** コメント [#Comment]

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