* &ruby(ししゃ){死者};の&ruby(ぐんぜい){軍勢}; [#c1941ec7]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|事象|
|~スペル|Shadow Host, the Dead (Men)|
|~異訳|幽霊部隊、亡霊たちの軍勢|
|~その他の呼び名|誓言破りし者(Oathbreakers)|
|~種族|[[人間]]の亡霊|

** 解説 [#Explanation]

死者の王(The King of the Dead)に率いられた、亡霊達の軍勢。[[エレヒ]]にて[[アラゴルン二世]]によって招集され、[[ペラルギア]]方面にいたサウロン軍を駆逐。[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]救出に大きな役目を果たした。

生前彼らは、後に[[死者の道]]と呼ばれることになる地域などに住んでいた、[[褐色人]]と近い関係にある未開の民族だった。彼らは[[第二紀]]末、[[サウロン]]が[[中つ国]]で大きな勢力を持っていたころは、サウロンを崇拝していた。だがサウロンが[[ヌーメノール]]の捕虜として連れ去られ、さらにその後[[イシルドゥア]]によって[[ゴンドール]]が建国されると、彼らは[[エレヒ]]にてイシルドゥアに忠誠を誓う。
やがて、[[最後の同盟の戦い>最後の同盟]]が始まると、イシルドゥアは彼らをサウロンとの戦いに招集する。だが彼らは、かつて崇拝していたサウロンと戦うことを拒否。するとイシルドゥアは怒り、彼らの誓約が果たされるまで、死の安らぎを得られることがないようにと呪いをかけた。彼らはイシルドゥアの怒りの前に逃げ出し、山の中に隠れ住むようになって、やがて人々から忘れ去られることになった。しかし彼らは死の安らぎを得ることができず、亡霊となってこの世に留まることを強いられた。
やがて、[[最後の同盟の戦い>最後の同盟]]が始まると、イシルドゥアは彼らをサウロンとの戦いに招集する。だが彼らは、かつて崇拝していたサウロンと戦うことを拒否。するとイシルドゥアは怒り、彼らの誓約が果たされるまで、死の安らぎを得られることがないようにと呪いをかけた。彼らはイシルドゥアの怒りの前に逃げ出し、山の中に隠れ住むようになって、やがて人々から忘れ去られた。しかし彼らは死の安らぎを得ることができず、亡霊となってこの世に留まることを強いられた。

[[指輪戦争]]のおり、[[エレヒ]]にて[[アラゴルン二世]]が「サウロンと戦う」という誓約を果たさせるため、[[イシルドゥア]]の世襲として死者の軍勢を招集する。彼ら亡霊はアラゴルンに率いられて[[ゴンドール]]南方の[[ペラルギア]]まで遠征し、[[海賊]]や[[ハラド人>ハラドリム]]たちからなる[[モルドール]]の同盟軍に激しい恐怖を与えることで潰走させて駆逐した。そのため、ゴンドール南部領土のゴンドール軍が[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]救出のための増援として[[ペレンノール]]に向かうことができるようになった。

>そこで直ちにかれは山の下の亡霊の出る道のこと、エレヒでの暗夜の会合のこと、そしてそこからアンドゥイン河畔のペラルギアにいたる九十三リーグの長旅のことを語りました。「黒の石から馬を進めて四日四晩、そして五日めにかかった。」と、かれはいいました。「するとどうだ! モルドールの送ってよこす暗闇の中でわたしの望みが強まってきたのだ。なぜならその薄閣の中で亡霊たちの軍勢はしだいに強く、また見るも恐ろしくなってきたように見えたからだ。馬にまたがっているのもあれば、徒歩の者もいた。しかし全員がいちように非常に速い速度で進んでいた。かれらは黙したまま何の音もたてなかった、が、その目にはかすかに光るきらめきがあった。ラメドンの高地でかれらはわれらの乗馬に追いつき、われらの周りをかすめて、もしアラゴルンが禁じなければ、われらを通り越して行ってしまったかもしれない。
「かれの命令にかれらは後退した。『人間の亡霊までがかれの意向に従うのだな。』と、わたしは思った。『そのうちかれがいざという時にかれらは役に立つかもしれない!』
(中略)
「しかしアラゴルンはここで立ち止まると、大音声で呼ばわった。『いざや来たれ! [[黒の石>エレヒ]]にかけ、われはなんじらを召し出すぞ!』すると突然それまで一番後ろで動きかねていた幽霊部隊が灰色の潮のように押し寄せて、その前にあるものは何もかも一掃してしまった。わたしはかすかな関の声を聞いた。かすかに角笛の吹き鳴らされる音も無数の遠い声のざわめきも聞いた。あたかも遠い昔の暗黒時代の今は忘れられた合戦のこだまのようだった。薄青い剣が抜かれた。だがその刃が昔と変わらず敵に切りつけようとしたかどうか、それはわたしにはわからない。なぜなら死者たちはもはや恐怖以外のどんな武器も必要としなかったのだから。何者もかれらに抵抗しようとはしなかったから。
(中略)
それから敵から奪ったたくさんの喇叭をいっせいに吹き鳴らさせた。すると亡霊たちの大軍は岸辺に引き揚げた。かれらはそこに音もなく静まって立ち、その姿も炎上する船のぎらぎらと眩ゆい光を受けて赤くきらめく目の光を除いてはほとんど見えないくらいだった。そしてアラゴルンは大音声で死者たちに呼ばわっていった。
「『今ぞイシルドゥアの世継の言葉を聞け! なんじらの誓言は成就せられたり。戻りて二度とかの谷間の地を騒がすことなかれ! 行きて永遠の眠りにつくべし!』とね。
「するとすぐに死者たちの王が亡霊たちの前にくっきりと姿を現わし、持っている槍を折って捨てた。それからいかれは低く一礼して去っていった。するとたちまち灰色の大軍は一人残らず突風に追い払われた靄のように撤退して消え失せた。わたしはまるで夢から覚めたような気がしたものだ。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]]』レゴラスによる回想))

誓言を果たした死者の軍勢は、アラゴルンによって誓言より解放され、この世から去って安らかな眠りを得ることになった。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

#amazon(B00092H6J2)
#amazon(B00092H6QK)
#amazon(B0008EGZ2U)
死者の王は、ポール・ノレル(Paul Norell)が演じている(吹き替えは[[納谷六朗]])。
死者の軍勢は原作とは異なり、[[死者の道]]で召集され、船に乗って[[ペレンノール]]にまでやってきて、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]を攻撃していたモルドール軍を直接攻撃して壊滅させている。

** コメント [#Comment]

#pcomment_nospam(,,noname,,,,reply)