#author("2018-04-12T06:52:22+09:00","","")
* &ruby(き){木};の&ruby(ひげ){鬚}; [#l04c3f9d]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Treebeard|
|~その他の呼び名|ファンゴルン(Fangorn)、始源に生まれたお方(Eldest)|
|~種族|[[エント]]|
|~性別|男|
|~生没年|不明|

** 解説 [#Explanation]

[[ファンゴルンの森>ファンゴルン]]に住む[[エント]]の最長老。[[シンダール語]]では''ファンゴルン''と呼ばれ、木の鬚はその[[共通語]]名。古代[[エント語]]における彼の本名は、彼の来歴をそのまま物語るものであるため非常に長大であり、また軽々しく他人に明かされることもない。始源に生まれた者と呼ばれ、[[中つ国]]の生命の中で最も最初に現れた者に入る。
[[第一紀]]以前には[[ベレリアンド]]に足を運び、[[タサリナン(ナン=タスレン)>タサリナン]]、[[オッシリアンド]]、[[ネルドレス]]、[[ドルソニオン]]の地を歩いていたという。
[[第三紀]]末の[[ガラドリエル]]との別れの時には、彼女から'''[[中つ国]]でお会いすることはありますまい。あるいは[[波の下に横たわる地>ベレリアンド]]がふたたび持ち上げられるまでは。その時は[[タサリナン]]の柳生うる草地で、春になればお目にかかるかもしれませぬ'''と予言された。

'''まるでとても低い木管楽器の音のような低い太い'''ブンブン声で話す。エントの例にもれず温厚かつ極めて慎重な性格をしており、熟慮した上でなければ大きな行動に出ようとはしないが、いざ行動に出れば素早く疲れを知らない。

>「もう少しで[[この森>ファンゴルン]]が好きになるところだったとな! そりゃけっこう! なみなみならぬご厚意よ。」不思議な声がいいました。「こっちを向いて、顔を見せてくれぬか。わしはもう少しでお前さん方のことを嫌いになりかけておった。だがお互いに早まるまい。こっちをお向き!」
… 二人が見たのはまこと世にも珍しい顔でした。その顔の持ち主は、[[トロル]]といってもいいような、大きな人間のような姿をした者でした。背の高さは少なくとも十四フィートはありましょう。頭部は長頭で、頸はないも同然の猪首で、非常にたくましい体つきでした。体にまとうものは、緑がかった黒ずんだ木の皮の類か、この者の地肌なのか、どっちとも判じかねました。ともかく両の腕は胴からさほど離れていないところでは、皺も寄らず、滑らかな茶色の皮膚で被われていました。大きな足には指が七本ずつありました。長い顔の下半分は引きずるような灰色の顎鬚で覆われていて、そのもじゃもじゃ鬚は根本はほとんど小枝のよう、先端は細くなって苔のようでした。しかしその時、[[ホビット]]たちは、目のほかにはほとんど注意をはらっていませんでした。((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 上』「四 木の鬚」))

*** [[指輪戦争]]における木の鬚 [#bfb465dc]

>「まるでその目の後ろにはとてつもなく大きな井戸があってね、そこには大昔からの記憶と悠長で不動の考えがいっぱいつまってるって、感じなんだ。だけどその表面には現在がきらめいている。ちょうど大きな木の外側の葉っぱに日の光がきらきらと当たるように、深い深い湖の漣立つ面に日の光がきらめくようにね。 … 」((同上 [[ピピン]]の語る木の鬚の瞳の印象))

木の鬚は、[[オーク]]から逃げ出して偶然[[ファンゴルン]]の森に迷い込んだ[[ペレグリン・トゥック]]と[[メリアドク・ブランディバック]]を保護し、彼らの友人となる。
見慣れぬ[[ホビット]]に興味を抱いた木の鬚は、二人を自らの[[エント小屋]]に招いて話を聞くうちに、隣人であった[[サルマン]]が悪に転じたことを確信する(なおこの時[[エント水]]を振る舞われた二人は、ホビット史上最大の長身に生長した)。
これ以上の森への損害を食い止めるため、木の鬚は[[エントの寄合]]を招集してサルマンの軍勢と戦うことを決議。奮起したエントと[[フオルン]]の大群を率いて[[アイゼンガルド]]へ進撃した。
同時に木の鬚は、[[ガンダルフ]]の求めに応え、[[角笛城の合戦]]に援軍としてフオルンの群を差し向けている。

エントはアイゼンガルドの要塞を破壊したが、[[オルサンク]]の塔を傷つけることはできず、そこに逃げ込んだサルマンを捕らえることができなかった。戦いにおいて木の鬚は激昂したエント達がサルマンの罠にかかったり逆上したりして無用な傷を負わないよう、彼らを鎮めることに務めた。
木の鬚とエント達は[[アイゼン]]川を決壊させて水をアイゼンガルドに引き入れ、要塞を水没させてサルマンをオルサンクに閉じ込める。そして、[[ガンダルフ]]や[[セオデン]]らによる談判が終わった後、サルマンの監視を引き受けた。
しかし[[サウロン]]が滅びると、生き物を幽閉しておくことを好まない木の鬚はサルマンに籠絡されて、サルマンがアイゼンガルドを脱出するのを許してしまう。その時木の鬚は、彼からオルサンクの鍵を取り上げ、後に[[エレスサール王>アラゴルン二世]]の一行がアイゼンガルドまでやってきた際には王の手に返却した。

木の鬚に率いられたエント達はアイゼンガルドの環を取り払って美しい庭園を復活させ、さらにエレスサール王から[[ナン・クルニーア]]一帯を与えられる。さらに望むならと、[[霧ふり山脈]]の西まで勢力を広げ、[[エリアドール]]を自由に往来する許しを与えられる。だが木の鬚にとって気がかりなのは、[[第四紀]]になって世界が変化しエントもこのまま消えていく運命であることだった。
メリーとピピンに別れを告げた木の鬚は、もし[[ホビット庄]]で[[エント女]]について何か聞くことがあれば、自分に便りをよこしてくれるよう二人に頼み、森のなかへ歩み去っていった。

*** その他 [#ud3921bd]

『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』によると、低く響くような、木の鬚の話し声やつぶやき声は、[[トールキン]]の友人だった[[C・S・ルイス>クライヴ・ステイプルス・ルイス]]がモデルという。

日本ではしばしば「木の''髭''」と書かれることもあるが、原語の'''beard'''は'''顎鬚'''を指す言葉であるため、日本語表記は「木の''鬚''」とするのが正しい。煩雑さを避けるためか、ひらがなで「木のひげ」とされることもある。

*** 画像 [#vc1f0a28]

&ref(Treebeard.jpg,,25%,アラン・リー作画による木の鬚);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ジョン・リス=デイヴィス]](声のみ)|
|~日本語吹き替え|[[石田太郎]]|

当初、[[サルマン]]との戦いを回避しようとした。だが[[ピピン]]に誘導されて破壊された[[ファンゴルン]]の森を目の当たりにしたことで激昂・翻心し、[[エント]]達を呼び出して[[アイゼンガルド]]を急襲した。
『[[二つの塔>ロード・オブ・ザ・リング#TheTwoTowers]]』の[[エクステンデッド・エディション]]では、原作の[[柳じじい]]に襲われる件がファンゴルンの森での出来事として描かれており、そこに生えていた柳じじいに襲われた[[メリー]]と[[ピピン]]を、原作における[[トム・ボンバディル]]の歌を木の鬚が歌って救出している。

なお[[旅の仲間]]の冒頭部における[[ガラドリエル]]のナレーションの一部は、原作において木の鬚が彼女に語った'''世の中は変わりつつありますからなあ。わしは水の中にそれを感じますのじゃ。土の中にそれを感じますのじゃ。空気の中に感じますのじゃ。'''(For the world is changing: I feel it in the water, I feel it in the earth, and I smell it in the air.)((『[[王の帰還]] 下』「六 数々の別れ」))という台詞から取られている。

*** 画像 [#h3480bd6]

&ref(vlcsnap-00034.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における木の鬚);

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

&ref(ScreenShot01039.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における木の鬚らエント); 

** コメント [#Comment]

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