* &ruby(しっせい){執政}; [#d312ee88]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[役職・組織・団体]]|
|~スペル|Steward|
|~異訳|執権|
|~その他の呼び名|アランドゥア(Arandur)&br;フーリン家(House of Húrin)|

** 解説 [#Explanation]

[[ゴンドール]]の王権の代行者である執政を指す。
王統の途絶えたゴンドールを約1000年にわたって'''王還りますまで'''統治した。かれらは[[王冠>ゴンドールの王冠]]も[[王笏>アンヌーミナスの王笏]]も戴かず、執権を示す白い杖だけを持ち、[[王旗>エレンディルの印]]の代わりに紋章のない白旗を掲げていた。
とはいえ、たとえ君主の称号は帯びなくとも、その誇りは長い治世の間に王家に劣らぬほど高いものとなっていった。

統治権を持つ最初の執政は[[マルディル]]であり、最後の執政は[[デネソール二世]]である。

>幾段もの階段のついた壇の奥には山高の兜の形をした大理石の天蓋の下に高い玉座が設けられていました。玉座の背後の壁面には花開く一本の木のかたちが刻まれ、宝石がはめこまれていました。しかし玉座に坐る人はいませんでした。壇の下の広くて奥行きのある一番低い踏段に、黒くて飾りのない石の椅子が一脚あって、そこに一人の老人が自分の膝を見つめながら坐っていました。手には金の握りのついた白い杖が握られていました。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 上』「一 ミナス・ティリス」 王の大広間に坐る執政[[デネソール二世]]の様子))

*** 歴史 [#p5d0918a]

>『もし王様が帰って来なかったら、執政が王様になるのに何百年あったらいいの?』そうかれはたずねた。『王権のもっと小さなよその国では二、三年かもしれぬ。』父はそう答えた。『ゴンドールでは千年でも充分とはいえぬ。』((『[[二つの塔]] 下』「五 西に開く窓」 [[ファラミア]]の回想する幼い頃の[[ボロミア]]と父デネソールとの会話。なお最後のセンテンスの原文は'''In Gondor ten thousand years would not suffice'''であり、正しくは「一万年でも充分とはいえぬ」とでも訳すべきであろう))

[[クウェンヤ]]では「王の僕」の意である''アランドゥア''と呼ばれ、元々は智慧深く信頼厚い王の友に与えられる役職だった。アランドゥアは戦争に出ることも国を離れることも禁じられていたため、通常は高齢の者があたった。この役職を最初に定めたのは[[タロスタール・ローメンダキル一世>ローメンダキル一世]]であるという。((『[[終わらざりし物語]]』「II キリオンとエオル、およびゴンドールとローハンの友情」))
後にゴンドールの実権を手にすることになる執政家の始祖は、[[ミナルディル]]王の執政を務めた[[フーリン>フーリン(エミン・アルネン)]]である。以後、代々のゴンドールの王は、フーリンの子孫から執政を選んだ。そのため執政家は''フーリンの家''とも呼ばれる。[[ペレンドゥア]]の時代以降は、執政本人から息子または最も近い近親者に伝えられる世襲職となった。

ゴンドール最後の王である[[エアルヌア]]は2050年に行方不明になる。ゴンドールでは有力な王位継承者がいなくなり、誰もが[[エルダカール>エルダカール(ヴァラカールの息子)]]戴冠時のような、王位を巡っての内乱を恐れていた。さらに[[北方王国]]最後の王[[アルヴェドゥイ]]も死んで北方王国も滅亡していたため、[[エレンディル]]の世襲は絶えたかに思われた。
そのため当時の執政[[マルディル]]は'''王還りますまで、王の御名において杖を持ちて統治す'''という宣誓を行い、王の代わりにゴンドールを統治する。以来マルディルの子孫が同じ宣誓を行い、ゴンドールは執政の統治する国となった。
執政は事実上すべての王権を代行し、「王還りますまで」は、時代が進むにつれてほとんど儀礼用語に過ぎなくなっていった。しかし、いずれ本当に王が戻ってくると信じている者もいたし、[[北方王国]]の[[王の世襲>野伏]]がなお生き続けていると噂する者もいた。そのような話には執政は態度を硬化させたが、執政家は玉座にはつかず、執政の白い杖のみを守り続けた。

統治権を持つ12代目の執政[[キリオン]]は、王権の代行者として独断で[[エオセオド]]に[[カレナルゾン]]を割譲し、[[エオル>エオル(レオドの息子)]]と[[エオルの誓い>ケレブラントの野の戦い#OathofEorl]]を結んだ。以後、ゴンドールは[[ローハン]]という強力な同盟者を得て、[[ロヒアリム]]によって度々危機を救われることになった。

[[指輪戦争]]時の執政[[デネソール二世]]は、実質的な統治権を持った最後の執政である。彼は王の帰還を拒み、執政職の白い杖を折って自害した。
デネソールの息子[[ファラミア]]は、[[エレスサール王>アラゴルン二世]]が戴冠するまでのわずかな間、最後の執政としての仕事を行った。その最大の仕事が、エレスサール王戴冠の儀の執り行いである。その時ファラミアは、あらためてゴンドールの執政に任じられ、父祖の地である[[エミン・アルネン]]に住まうようになった。

*** ゴンドールの実権を持った歴代の執政 [#u6c07482]

執政職は、[[エミン・アルネンのフーリン>フーリン(エミン・アルネン)]]にはじまる代々のフーリン家の者達に任じられてきた。
最初に実権を持った執政マルディルの前には、[[オンドヘア]]王に仕えた[[ペレンドゥア]]、その息子[[ヴォロンディル]]がいる。

||名前|在任|h
|初代|[[マルディル・ヴォロンウェ>マルディル]]|[[第三紀]]2050~2080|
|2代|[[エラダン]]|2080~2116|
|3代|[[ヘリオン]]|2116~2148|
|4代|[[ベレゴルン]]|2148~2204|
|5代|[[フーリン一世]]|2204~2244|
|6代|[[トゥーリン一世]]|2244~2278|
|7代|[[ハドル>ハドル(トゥーリン一世の息子)]]|2278~2395|
|8代|[[バラヒア>バラヒア(ハドルの息子)]]|2395~2412|
|9代|[[ディオル>ディオル(バラヒアの息子)]]|2412~2435|
|10代|[[デネソール一世]]|2435~2477|
|11代|[[ボロミア>ボロミア(デネソール一世の息子)]]|2477~2489|
|12代|[[キリオン]]|2489~2567|
|13代|[[ハルラス]]|2567~2605|
|14代|[[フーリン二世]]|2605~2628|
|15代|[[ベレクソール一世]]|2628~2655|
|16代|[[オロドレス>オロドレス(ベレクソール一世の息子)]]|2655~2685|
|17代|[[エクセリオン一世]]|2685~2698|
|18代|[[エガルモス]]|2698~2743|
|19代|[[ベレン>ベレン(エガルモスの息子)]]|2743~2763|
|20代|[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]|2763~2811|
|21代|[[ベレクソール二世]]|2811~2872|
|22代|[[ソロンディア]]|2872~2882|
|23代|[[トゥーリン二世]]|2882~2914|
|24代|[[トゥアゴン>トゥアゴン(トゥーリン二世の息子)]]|2914~2953|
|25代|[[エクセリオン二世]]|2953~2984|
|26代|[[デネソール二世]]|2984~3019|
|27代|[[ファラミア]]|3019|

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