* &ruby(しっせい){執政}; [#d312ee88]
** 概要 [#pc4d8c77]

|~カテゴリー|歴史・事件|
|~スペル|Steward|

** 解説 [#laf3a875]

[[ゴンドール]]の王権の代行者である執政を指す。
[[ミナルディル]]王の[[執政]]を務めた[[フーリン>フーリン(エミン・アルネン)]]が最初の執政であり、代々のゴンドールの王は、フーリンの子孫から執政を選んだ。[[ペレンドゥア]]の時代以来は、執政本人から息子または最も近い近親者に伝えられる世襲職となった。
ゴンドール最後の王である[[エアルヌア]]は2050年に行方不明になる。ゴンドールでは有力な王位継承者がいなくなり、誰もが[[エルダカール>エルダカール(ヴァラカールの息子)]]戴冠時のような内乱を恐れていた。さらに[[北方王国]]最後の王[[アルヴェドゥイ]]も死んで北方王国も滅亡していたため、[[イシルドゥア]]の世襲は絶えたかに思われた。
そのため当時の執政[[マルディル]]は'''「王還りますまで、王の御名において杖を持ちて統治す」'''という宣誓を行い、王の代わりにゴンドールを統治する。以後マルディルの子孫が同じ宣誓を行い、ゴンドールを統治した。[[ボロミア二世]]と[[ファラミア二世]]の父親である[[デネソール二世]]は、執政家の末裔である。

「王還りますまで」は、時代が進むとほとんど儀礼用語になってしまったが、いずれ本当に王が戻ってくると信じている者もいたし、[[北方王国]]の[[王の世襲>野伏]]がなお生き続けていると噂する者もいた。そのような話には執政は態度を硬化させたが、執政は王座にはつかず王冠も抱かず、ただ執政職を示す白い杖のみを身に帯びていた(この杖は、[[デネソール二世]]が自害するときに折っている)。また、王旗([[白の木]]と[[七つの星>パランティーア]]をあしらったもの。[[アラゴルン二世]]がゴンドールに入るときに掲げたもの)の代わりに、紋章無しの白旗である執政の旗を掲げた。

>ボロミア(少年時)「もし王様が帰ってこなかったら、[[執政]]が王様になるのに何百年あったらいいの?」
デネソール「王権のもっと小さなよその国では2、3年かも知れぬ。[[ゴンドール]]では千年でも充分とはいえぬ。」((『[[指輪物語]] [[二つの塔]]』 「西に開く窓」の、[[ファラミア>ファラミア二世]]のセリフから))

*** ゴンドールの実権を持った歴代の執政 [#u6c07482]

||名前|在位|h
|初代|[[マルディル・ヴォロンウェ>マルディル]]|[[第三紀]]2050~2080|
|2代|[[エラダン]]|2080~2116|
|3代|[[ヘリオン]]|2116~2148|
|4代|[[ベレゴルン]]|2148~2204|
|5代|[[フーリン一世]]|2204~2244|
|6代|[[トゥーリン一世]]|2244~2278|
|7代|[[ハドル>ハドル(トゥーリン一世の息子)]]|2278~2395|
|8代|[[バラヒア>バラヒア(ハドルの息子)]]|2395~2412|
|9代|[[ディオル>ディオル(バラヒアの息子)]]|2412~2435|
|10代|[[デネソール一世]]|2435~2477|
|11代|[[ボロミア一世]]|2477~2489|
|12代|[[キリオン]]|2489~2567|
|13代|[[ハルラス]]|2567~2605|
|14代|[[フーリン二世]]|2605~2628|
|15代|[[ベレクソール一世]]|2628~2655|
|16代|[[オロドレス>オロドレス(ベレクソール一世の息子)]]|2655~2685|
|17代|[[エクセリオン一世]]|2685~2698|
|18代|[[エガルモス]]|2698~2743|
|19代|[[ベレン>ベレン(エガルモスの息子)]]|2743~2763|
|20代|[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]|2763~2811|
|21代|[[ベレクソール二世]]|2811~2872|
|22代|[[ソロンディア]]|2872~2882|
|23代|[[トゥーリン二世]]|2882~2914|
|24代|[[トゥアゴン>トゥアゴン(トゥーリン二世の息子)]]|2914~2953|
|25代|[[エクセリオン二世]]|2953~2984|
|26代|[[デネソール二世]]|2984~3019|
|27代|[[ファラミア二世]]|3019|

** コメント [#j40efd80]

- 初読(中学生)の時、鎌倉幕府の執権に近い印象を持ったので、実権さえあれば別にそんなに「王」の名前にこだわらなくてもいいんじゃないか、とボロミアのことをちょっと馬鹿にしていた。
いま、英和辞典をひくと、stewardとは「執事」とのこと。また、「ステュワーデス」がその女性形であることを考えると、ボロミアの葛藤もより理解しやすく感じた。 -- カイト
- ↑元の意味は「豚小屋の管理人」という意味らしい。とはいえ、当時は「豚」=「財産」であり、転じて「財産管理人」=「執事」となった。つまり主人は、信頼が置けかつ実力ある使用人でなければ、その仕事を任せられない。ゴンドールという莫大な財産を任せられたマルディルとその子孫は、エアルヌアの期待を裏切らず誠実に勤め上げたといえる。 -- A3
- 英国のStuart家は、12世紀にスコットランドのStewardになったWalter Fitzalanの子孫。つまり、Stewardが変化して家の名前になったもの。14世紀にはスコットランドの王となり、現在の英国王家も、女系でこの王朝の血を引いている。デネソールの言う、「王権のもっと小さなよその国」とは、だから、英国のこと。 -- atsurao
- 少年時のボロミアの質問は彼だけのものではなかったはず。にもかかわらず、「代々の執政はひとりとして古の玉座に座ることはなかった。彼らは王冠も戴かず、王錫も持たなかった(追補編・西方諸国年代記より)」ということは彼らの忠誠がなしえた奇跡ですね。 --  &new{2007-11-06 (火) 01:51:15};
- 第一紀の英雄の名前と同名の人が多い。フーリン→トゥーリンとか、必ずしも良い名前とは言いがたいと思うが・・・断絶しそう。 --  &new{2008-08-22 (金) 02:46:08};
- 当時は段々暗くなっていく時代だから、力ある英雄にあやかりたかったんでしょう。 -- 「ど」の字 &new{2008-12-01 (月) 21:52:26};
- 1000年近くも玉座をのっとることがなかったのはすごい。執政たちの英明さには感服としかいいようがない。 -- ロイカ &new{2008-12-16 (火) 18:57:12};
- 権威と権力を分離した政体というのは、意外にタフだったりする。偶然の産物とは言え、途中からそれに気づいて、敢えて玉座を空にし続けたのかも。 --  &new{2008-12-25 (木) 12:05:55};

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