* &ruby(ふた){二};つの&ruby(き){木};の&ruby(じだい){時代}; [#eac33e3d]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|歴史|
|~スペル|Years of the Trees|
|~異訳|二本の木の時代|
|~その他の呼び名|星々の時代(Ages of the Stars)|

** 解説 [#Explanation]

[[灯火の時代]]の後、[[アマン]]に[[テルペリオン]]と[[ラウレリン]]という[[二つの木]]が誕生して[[アマン]]を照らしていた、約20[[ヴァラール紀]](約2万太陽年)の時代。
また、[[中つ国]]においては[[テルペリオン]]の雫から創られた星々の光の下、[[エルフ]]が誕生した時代でもあることから、星々の時代とも呼ばれる。

*** 二つの木、星々、エルフの誕生 [#e18b1abb]

[[メルコール]]によって[[イルルイン]]と[[オルマル]]が破壊された後、[[アマン]]に撤退した[[ヴァラール]]は、[[ペローリ]]の山々を作ってメルコールに対する防壁とする一方、[[ヴァリノール]]に自分たちの都[[ヴァルマール]]を作った。そして[[エゼルロハール]]で[[ヤヴァンナ]]が歌うと、銀の木[[テルペリオン]]と金の木[[ラウレリン]]という[[二つの木]]が育って光り輝きはじめた。

一方[[中つ国]]では、[[ウトゥムノ]]を居城とする[[メルコール]]が中つ国の北方から徐々に南へと暗黒、堕落、恐怖を振りまいていた。またアマンからの攻撃を阻止するため、中つ国の北西の海岸近くに[[アングバンド]]を築いて、自分の副官[[サウロン]]に統治させていた。

ヴァラールは、アルダに[[エルフ]]が誕生する時が近づいているのを、[[イルーヴァタール]]の示した構想により知っていた。[[ヴァルダ(エルベレス)>エルベレス]]は、エルフが中つ国の闇の中に生まれないようにと、空に[[星々>天文]]を作った。そしてヴァルダの仕事が終わると同時に、[[クイヴィエーネン]]のほとりにエルフが誕生した。

いち早くエルフが誕生したことを知ったメルコールは、エルフがヴァラールを恐れるように仕向けさせる一方で、一部のエルフを捕らえて[[オーク]]を作り出したという。一方で、[[オロメ]]はたまたま中つ国に狩りしに行っていたときに、エルフを発見した。オロメから他のヴァラールのもとにこの知らせがもたらされると、ヴァラールは中つ国のエルフを守るため、[[メルコール]]を撃破することを決意。中つ国の北西部で緒戦が行われてこの地域は大きく破壊され、地形が変わった。だがついにヴァラールはウトゥムノを攻略し、[[トゥルカス]]がメルコールを捕らえ、[[アンガイノール]]の鎖で縛り上げ、メルコールを捕虜としてヴァリノールに連れ去った。

*** エルダールのヴァリノールへの移動、シルマリルの誕生 [#c0757e85]

メルコールがヴァリノールに連行され、三紀の間[[マンドス>マンドス(地名)]]の牢獄に幽閉されることが決まると、ヴァラールはエルフの処遇を討議した。多くのヴァラールはかれらと親しく交わることを望み、評議の結果エルフを[[アマン]]へ招致することが決まった。だが[[ウルモ]]などはこれに反対したほか、[[マンドス]]は決定がなされるまで口を閉ざしていた。

オロメがヴァラールの先導者として遣わされ、エルフはアマンへの招致を受けたが、全てのエルフがこれに応じたわけでも、また旅に出た者の全てがアマンへ辿りついたわけでもなかった。招致に応じたエルフは[[エルダール]]と呼ばれ、[[アヴァリ「応ぜざるもの」>アヴァリ]]とは区別される。

オロメの先導の下、エルフは三つの集団に分かれて旅をした。第一の集団はもっとも数が少なく、速やかに進行した、[[イングウェ]]に率いられた[[ヴァンヤール]]であった。第二の集団は[[フィンウェ]]に率いられた[[ノルドール]]であった。第三の集団はもっとも数が多く、足も留まりがちな、[[エルウェ]]と[[オルウェ]]に率いられた[[テレリ]]であった。

エルダールは行く先々で目にする事物や土地に名前を付けつつ旅を続け、大海をウルモの曳く[[エレッセア]]の島を渡し船としてアマンへ到達した。アマンへ到達したエルフは[[二つの木]]の光を受け、[[カラクウェンディ「光のエルフ」>上のエルフ]]と呼ばれるようになり、ヴァラールの教えを受けたこともあり、中つ国に留まった[[モリクウェンディ「暗闇のエルフ」>モリクウェンディ]]を大きく凌ぐ能力を獲得した。
テレリは旅を中断して中つ国に留まった分派が多く、アマンへ到達した者達は[[ファルマリ]]と呼ばれる。中つ国に留まった者達は[[ナンドール]]や[[ファラスリム]]といった[[ウーマンヤール]]である。エルウェも中つ国に留まり、彼の一派は[[シンダール「灰色エルフ」>シンダール]]と呼ばれ、暗闇のエルフとは区別される。

アマンでは、イングウェ、フィンウェ、オルウェがそれぞれの氏族の[[上級王]]となり、ヴァラールの薫陶を受けてその才能と技能を開花させ、繁栄を迎えた。
フィンウェの息子[[フェアノール]]は、全エルダール史上で才能・技量ともに最も優れた者とされる。彼は二つの木の混じり合った光を不壊の器に封じ込め、世に類のない至宝[[シルマリル]]を作りだした。

*** メルコールの釈放と、そこからもたらされたヴァリノールでの不和 [#le60f539]

フィンウェの妻[[ミーリエル>ミーリエル(フェアノールの母)]]は、フェアノールを生んだ際に精神を消耗し尽くし、肉体を[[ローリエン]]に横たえたまま、魂は[[マンドス>マンドスの館]]に去ってしまった。フィンウェは嘆き悲しみ、やがて後妻として[[インディス]]を娶り、彼女との間に[[フィンゴルフィン]]、[[フィナルフィン]]らをもうけた。フェアノールは父の再婚を喜ばず、父の後妻にも異母弟らにもほとんど愛情を抱かなかった。

このヴァリノールの春に、メルコールが三紀の刑期を終えて、マンドスから釈放される。メルコールは憎しみを隠して恭順と改心を示し、[[マンウェ]]はメルコールの悪は矯正されたものと考えた。
メルコールはヴァリノールの繁栄と、喜び栄えるエルダールを激しく憎み、とりわけフェアノールのシルマリルに垂涎の思いを抱いた。メルコールは本心を隠してノルドールに接近し、甘言と虚言でかれらがヴァラールに不満を抱くように、またフィンウェの息子たちが互いにいがみ合うように仕向けた。
その結果、ノルドールは薄闇に取り残されている広大で、未踏な[[中つ国]]へ憧憬を抱くようになり、ヴァラールがかれらを不当にアマンに閉じ込めているのだと次第に不平を漏らすようになった。
フェアノールとフィンゴルフィンは、互いに相手が自分を排斥しようとしていると疑い、密かに武具を蓄え始めた。

とうとう公衆の面前でフェアノールがフィンゴルフィンに剣を突き付ける事態におよんで、ヴァラールは調停に乗り出し、調査の末にメルコールの悪意が明らかとなった。メルコールはヴァラールの追跡を逃れて行方をくらませ、虚言に惑わされていたとはいえフェアノールは罪を問われて12年の間ヴァリノールから追放された。
追放されたフェアノールはアマンの北方に砦[[フォルメノス]]を築き、父と七人の息子たち、そしてシルマリルと共にそこに閉じこもった。

*** 二つの木の破壊とシルマリルの強奪、ノルドールの中つ国帰還 [#cc18df08]

逃れたメルコールは密かにアマンの南方の[[アヴァサール]]に赴くと、そこに巣食っていた大蜘蛛[[ウンゴリアント]]の助力を得る。ヴァラールの祝祭日に二人はヴァリノールを強襲し、二つの木を枯死させると、フォルメノスを襲撃してフィンウェを殺害し、シルマリルを奪って中つ国へと逃亡した。

マンウェの膝元ではフェアノールとフィンゴルフィンの形の上での和解がなされようとしていたが、その最中に二つの木が失われ、ヴァリノールに暗闇が訪れる。この時にフォルメノスの使者より、父フィンウェが殺害されたこととシルマリルが奪われたことを知ったフェアノールは、メルコールを[[モルゴス「黒き敵」>モルゴス]]と呼び、[[タニクウェティル]]より走り去る。

やがて[[ティリオン>ティリオン(地名)]]に再び現れたフェアノールは、全ノルドールを相手に演説を行い、ヴァラールを非難し、仇敵モルゴスへの復讐とシルマリル奪還のためあくまで中つ国へ帰還するよう説得した。フェアノールと彼の七人の息子たちはこの時、[[シルマリルを奪還することを誓った停止することのできない恐ろしい誓言を立てた>フェアノール#Oath]]。

フェアノールに率いられたノルドールには中つ国へ帰還する船を必要としたが、[[アルクウァロンデ]]のテレリはかれらに船と水夫を貸し与えることを拒否する。この時の諍いが[[同族殺害]]にまで発展し、ノルドールは[[アラマン]]において[[マンドスの呪い]]を受け、ヴァラールからの怒りと追放を受けることになる。
この時、フィナルフィンと彼の率いる一団は後悔し、進軍を取り止めてヴァリノールへ引き返し、ヴァラールの赦しを得た。だがフェアノールはあくまで進軍することを主張、フェアノールと和解した際、フェアノールに従うと誓言したために、フィンゴルフィンも進軍を止めなかった。またフィナルフィンの子供たちも、フィンゴルフィンの子供たちへの愛から彼らとともに進軍することを選んだ。

だが、進軍が遅れて不満分子が増えることを恐れたフェアノールは、フィンゴルフィンたちを裏切り、自分に忠実な者たち達だけ船で中つ国に渡ると、[[ロスガール]]で船を燃やし、フィンゴルフィン一堂を置き去りにする。
フィンゴルフィンの一堂は引き返すこともできず、苦難の末に[[ヘルカラクセ]]を横断することになる。
だが、進軍が遅れて不満分子が増えることを恐れたフェアノールは、フィンゴルフィンたちを裏切り、自分に忠実な者たち達だけ船で中つ国に渡ると、[[ロスガール]]で船を燃やし、フィンゴルフィン一同を置き去りにする。
フィンゴルフィンの一同は引き返すこともできず、苦難の末に[[ヘルカラクセ]]を横断することになる。

その時、ヴァリノールで準備されていた[[月]]がはじめて空に昇り、フィンゴルフィンの一堂は角笛を高らかに吹き鳴らすとともに、月を背後に背負い長い影を前に落として、中つ国への上陸を果たした。
そして月に続いて[[太陽]]がヴァリノールから飛び立った時、中つ国東方の[[ヒルドーリエン]]で[[人間]]が目覚め、[[太陽の第一紀]]の幕が上がった。

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