* ロスローリエン [#h2310ac0]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Lothlórien|
|~異訳|ロスロリエン、ロスロリアン|
|~その他の呼び名|ローリエン(Lórien)&br;ラウレナンデ(Laurenandë)&br;ラウレリンドレナン(Laurelindórenan)&br;ローリナンド(Lórinand)&br;グロルナン(Glornan)&br;ナン・ラウア(Nan Laur)&br;リンドーリナンド(Lindórinand)&br;黄金の森(Golden Wood)&br;ドゥイモルディネ(Dwimordene)|

** 解説 [#Explanation]

> 冷たい夜風が谷間から吹き上げてきて、かれらを出迎えました。かれらの前には広い灰色の影がぼんやりと広がっています。そしてそよ風にそよぐポプラのような葉ずれの音が果てしもなくサワサワと聞こえてきました。
「ロスロリアンだ!」と、[[レゴラス]]が叫びました。「ロスロリアン! とうとう黄金の森の軒先にまで来た。今が冬とは残念至極!」目の前には高い木々が夜空に亭々とそびえていました。さしのばされた大枝は道の上にアーチを作り、その下には思いがけず不意に姿を現した水の流れもありました。おぼろな月明かりで見ると木々の幹は灰色をしており、風に揺らぐ葉は朽葉色がかった金色を帯びていました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』六 ロスロリアン))

[[シンダール語]]で「夢の花」あるいは「花のローリエン」の意((『[[終わらざりし物語]]』「IV ガラドリエルとケレボルンの歴史」 '''かの女(ガラドリエル)はローリエンを避難所、平和と美の島、そして古き時代をしのぶ場所にしようと努力を払っていた。だが黄金の夢が、急速に灰色の目覚めを迎えつつあるのを知って、その時かの女は、悲嘆と不安に満たされたのである。[[木の鬚]]がローリエンを『夢の花』と訳したことに注目すべきだろう'''))。[[霧ふり山脈]]の東、[[おぼろ谷]]を下ったところから[[アンドゥイン(大河)>アンドゥイン]]の間のにある森林で、[[エルフ]]([[ガラズリム]])の国。最も大きなエルフ達の都市で、[[ケレボルン]]と[[ガラドリエル]]の住まいがあるのは[[カラス・ガラゾン]]。他に[[ケリン・アムロス]]、[[エグラディル]]、[[ナイス]]などの地名が出ており、西の堺の近くには[[ニムロデルの川>ニムロデル(地名)]]、ロスローリエンの東西を横切るように[[ケレブラント(銀筋川)>銀筋川]]がある。
ロスローリエンのエルフは木の上に住むという特異な習慣があり、主に[[マルローン]]の木の上に[[フレト]]を作ってそこで過ごしていた。そのため彼らは[[ガラズリム]]と呼ばれていた。

[[第三紀]]末、ロスローリエンの噂を知る[[ローハン]]や[[ゴンドール]]の[[人間]]達には、生身の人間が一度入ったら二度と生きて戻れない、恐るべき森のようにイメージされていた。[[闇の森]]のエルフの連絡も長らく途絶えていたようである。
[[第三紀]]末、ロスローリエンの噂を知る[[ローハン]]や[[ゴンドール]]の[[人間]]達には、生身の人間が一度入ったら二度と生きて戻れない、恐るべき森のようにイメージされていた。[[闇の森]]のエルフとの連絡も長らく途絶えていたようである。

*** 歴史 [#gbd60a11]

国となる前から、ここには多くの[[ナンドール・エルフ>ナンドール]]([[シルヴァン]])が住み着いていた。彼らは最初は[[シンダール]]の[[アムディーア]]によって、その後彼が[[最後の同盟]]の戦いで戦死すると、アムディーアの息子[[アムロス]]によって統治されていた。
[[第三紀]]1980年、[[モリア]]の[[ドワーフ]]が[[バルログ]]を呼び起こす(そのためローリエンのエルフは、ドワーフが危機をもたらしたと考えるようになった)。1981年になってモリアのドワーフが四散すると、モリアのバルログや[[オーク]]といった脅威を恐れて、多数のロスローリエンのシルヴァン・エルフが南に逃れ、[[アムロス]]も[[エゼルロンド]]の港から[[アマン]]へ去ろうとする(その途中でアムロスは行方不明になる。詳細は[[アムロス]]の項目を参照)。
その後ロスローリエンのエルフは、[[ケレボルン]]と[[ガラドリエル]]に統治されるようになる。かれらと共にいくらかの[[ノルドール]]も加わり、領主二人の威光とノルドールの技のため、ローリエンのエルフの技術力は[[闇の森]]などと比較しても、非常に優れたものとなった。

ロスローリエンのエルフは、[[指輪戦争]]時には[[指輪の仲間]]を一時匿い、別れに際しては[[マント>エルフのマント]]や弓矢、小舟や[[ヒスラインのロープ>ヒスライン]]といった贈り物を授けた。
また指輪の仲間が出発したあと、ロスローリエンは[[アンドゥイン]]を越えてきた[[ドル・グルドゥア]]の軍勢に攻撃された。だが、ロスローリエンの地に残るエルフの力((ガラドリエルの持つ[[ネンヤ]]によるところも大きい。))が非常に強かったため、彼らはこの攻撃を凌ぎきる。その後[[一つの指輪]]が破壊されると、ケレボルンに指揮されたロスローリエンの軍勢はアンドゥインを渡河してドル・グルドゥアを攻撃し、その力を打ち破った。[[闇の森]]南部は''東ローリエン(East Lórien)''と名付けられ、ケレボルンの領土となった。

だが[[第四紀]]に入り、ガラドリエルが[[西方>アマン]]へと去り、[[ケレボルン]]も己が領土に倦んで[[裂け谷]]へと去ると、ロスローリエンには僅かなエルフしか残らなかったようである。

*** 守られた地 [#ya64e6dd]

>[[銀筋川]]の向こう側の堤を踏んだ時から、[[かれ>フロド・バギンズ]]はふしぎな感じに襲われていました。そしてその感じは[[ナイス]]の中へ歩いて行くにつれて、いよいよ深まって行きました。すなわちそれは、時間という橋を渡り、上古の世の一隅に足を踏み入れて、もはやすでに存在しない世界を今歩いているような気持ちなのでした。[[裂け谷]]にも古い時代の記憶が残っています。しかしロリアンでは古きものが現の世界に今なお生き続けているのです。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]] 下』「六 ロスロリアン」))

ロスローリエンは、[[ガラドリエル]]が持つ[[三つの指輪]]の一つ[[ネンヤ]]の力によって守られており、悪による汚れや時による衰えの影響を免れた特別な土地となっていた。[[第三紀]]、[[アンドゥイン]]を挟んで対岸にある[[ドル・グルドゥア]]の勢力が増しても、ロスローリエンのエルフ達はその力に抵抗していた。

この地に足を踏み入れることは定命の者([[人間]]や[[ホビット]]、[[ドワーフ]])にとっては[[エルフ]]の生きる時間の中に入るようなことであるため、外界における普通の感覚では時が数えられなくなる。そればかりでなく、エルフの世界に定命の者が触れるのはしばしば危険なことであった。[[ファラミア]]は'''限りある命の人間にとって、この太陽の照らす世界の外に歩み出ることはいたく危険なことだからだ。古の代でもそこから変わらぬまま出てきた者はほとんどおらぬ、といわれている'''と推察している((『[[二つの塔]] 下』「五 西に開く窓」))。

しかし[[一つの指輪]]が破壊されるとネンヤの力も次第に消失していき、この地に保たれていたエルフの記憶も色褪せていくことになった。

*** 地名について [#de87b388]

ロスローリエンは[[アマン]]の[[ローリエン]]に由来する名だが、(中つ国では)単にそのままローリエンといってもロスローリエンのことを指す。
([[木の鬚]]によると)かつてはロスローリエンは「歌う黄金の谷間」を意味するラウレリンドレナンと呼ばれていたが、それが短縮されロスローリエンと呼ばれるようになったという。[[クウェンヤ]]ではラウレナンデ、[[ナンドール]]にはローリナンドと呼ばれ、[[シンダール語]]ではグロルナンあるいはナン・ラウアと呼ばれることもあった。これらはいずれも[[ガラドリエル]]自身と、彼女がもたらした[[マルローン樹>マルローン]]をはじめとする森の変化に因むものである。
ガラドリエルがこの地に来る以前は、「[[歌い手達>テレリ]]の国」の意であるリンドーリナンドと呼ばれていたらしい。
[[ロヒアリム]]には、「まぼろしの谷」の意であるドゥイモルディネ、あるいは黄金の森と呼ばれていた。

*** 画像 [#bb5205fe]

&ref(カラス・ガラゾン/ScreenShot00052.jpg,,20%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるカラス・ガラゾン); &ref(ケリン・アムロス/ScreenShot00049.jpg,,20%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるケリン・アムロス);

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