* バルログ [#hf6e5c0d]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Balrog|
|~その他の呼び名|ヴァララウコ(Valarauko)((複数形ヴァララウカール(Valaraukar) )) &br;ドゥリンの禍(Durin's Bane)(([[モリア]]の領主の[[ドゥリン六世]]を殺し、モリアの[[ドワーフ]]を滅ぼした元となったため)) &br;モルゴスのバルログ(Balrog of Morgoth) &br;ウドゥンの焔(flame of Udûn)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で「力強き悪鬼」の意。[[クウェンヤ]]ではヴァララウコ。[[メルコール(モルゴス)>モルゴス]]に仕えた[[マイア]]の精霊達のことで、単体の固有名詞ではない。

>……そしてメルコールは、[[ウトゥムノ]]にあって、悪霊共をまわりに集めていた。かれの勢威赫々たる時に真っ先にかれに追随し、その堕落の時にあっては最もかれに似るに至った精霊たちである。かれらの心は火でできているが、まとうものは暗黒であり、恐怖がかれらの露払いをした。そしてかれらは、炎の鞭を持っていた。中つ国では後に、かれらはバルログという名で呼ばれた。((『[[シルマリルの物語]]』「クウェンタ・シルマリルリオン第三章 エルフたちの到来と虜囚になったメルコールのこと」))

*** [[第一紀]]のバルログ [#g343d265]

[[ゴスモグ>ゴスモグ(バルログ)]]を首領としたバルログはモルゴスの最も強力な召使であり、数々の戦いにおいて猛威を発揮した。
[[ランモス]]で[[ウンゴリアント]]の糸に絡め取られたメルコールを救出し、ウンゴリアントを追い払ったのもバルログであった。

[[ダゴール=ヌイン=ギリアス]]においては[[フェアノール]]を殺害した。[[ダゴール・ブラゴルラハ]]および[[ニアナイス・アルノイディアド]]においては、[[龍]]と共にモルゴス軍の主力部隊の先鋒をなし、常に[[エルフ]]の守りを打ち破っている。また、ニアナイスでは[[フィンゴン]]らを殺している。[[ゴンドリン]]の没落でも大きな役割を果たしたが、[[エクセリオン]]や[[グロールフィンデル]]と相打ちになる者もあった。
だが[[怒りの戦い]]で、ほとんどのバルログは滅びた。

*** ドゥリンの禍 [#DurinsBane]

バルログの生き残りの1体は、[[霧ふり山脈]]の奥深くに遁れて眠っていた。
[[第三紀]]1980年、余りにも[[モリア]]を深く掘り進めていた[[ドワーフ]]によって、このバルログが解き放たれてしまう。その際モリアの王[[ドゥリン六世]]は殺された為、このバルログは''ドゥリンの禍''と呼ばれるようになった。ドゥリンの禍は、翌年1981にはドゥリン六世の息子[[ナイン一世]]をも殺し、生き残ったドワーフ達もモリアから逃れる。
以後、ドゥリンの禍はモリアの深層に潜み続け、やってきた[[オーク]]や[[トロル]]を恐怖によって支配した。

3019年に[[指輪の仲間]]がモリアを通過しようとした際には、ドゥリンの禍は深層から姿を現し、[[ガンダルフ]]と対峙した。[[ドゥリンの橋]]で対峙した際には共に奈落へと落ちたが、そのまま両者は地の底から[[無限階段]]を通って[[ドゥリンの塔]]、[[ケレブディル]]の頂に至るまで戦い続け、とうとう白昼の青空の下、ガンダルフに山腹から投げ落とされて滅ぼされた。

>「 …… 下界の霧という霧を見下ろす、目も眩む高所じゃった。そこには太陽が容赦なく照りつけたが、下界はすっかり雲に閉ざされておった。…… だれ一人見る者はいなかった。でなければ、後世末長く『山頂の闘い』は数々の歌に歌われるところじゃろうがの。」ガンダルフは不意にカラカラと笑いました。「よしたとえ見た者があっても、何と歌に歌うじゃろうか? かなたから見上げた者は山頂を嵐が吹きすさんでいると思った。かれらは雷鳴を聞いた。稲妻がはるかケレブディルの頂を襲ったと思うと跳ね返って、いくつもの火焔の舌となってくだけたと見た。これだけいえば十分ではないかな? …… 」((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 下』「五 白の乗手」 ドゥリンの禍との決戦を語るガンダルフ。))

*** 外見 [#y2ce695a]

>そしてその後ろから何かがやって来ました。それがなんであるかは見えませんが、大きな影のようでその真ん中に黒い姿がありました。[[人間]]の形をしたもののようですが、人間よりずっと大きかったのです。力と暴威がその者の中に存在し、またその者の露払いをしているように思われました。
その者は火のきわまでやって来ました。火はまるで雲がかぶさってきたかのように、光がうすれました。ついでその者は一跳びで割れめを越えました。焔は迎えるようにごうごうと燃えたけり、それにからみつきました。黒い煙が渦を巻いて立ち上がりました。たなびく鬣に火がついて、その者の背後に赤々と燃え上がりました。その者の右手には切先鋭い火の舌のような刃が握られ、左手にはたくさんの革紐のついた鞭が握られていました。

>ガンダルフに面と向かって、敵はふたたび立ち止まりました。そしてその周りを包む黒い影が二つの巨大な翼のようにさし伸ばされました。それは鞭を振り上げました。たくさんの革紐がヒュー、ヒューとうなり、ピシッ、ピシッっと鳴りました。その鼻腔からは炎が吹き出されました。

>バルログはそれには答えませんでした。その中の火は消えるかのように思われましたが、それを取り巻く影はいよいよ色濃くなりました。それはゆっくりと足を踏み出して橋にさしかかりました。そして不意に体をまっすぐに伸ばして雲つくほどの高さになり、その翼を壁から壁に届くほど広げました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』「五 カザド=ドゥムの橋」 現れたドゥリンの禍の描写。))

バルログは一般に火の鞭を持っていた。バルログの王[[ゴスモグ>ゴスモグ(バルログ)]]は黒い鉞を用いており、モリアのバルログは上述のように右手には火の剣を、左手にはたくさんの革紐のついた鞭を持っているとある。
モリアのバルログは鬣を持ち、しばしば炎を身に纏いまた吐き出すこともできたようだが、一方でガンダルフとの戦いで水に落ちて火が消えた際には軟体質(thing of slime)に変化するなど、ある程度可変的な肉体を持っていたらしい描写もある。

モリアのバルログは上記の引用にある通り、「巨大な翼のよう」な「黒い影」を、あるいはそのまま「翼」を備えている。厳密にはこの「翼」が前者(バルログ自身を取り巻いている暗い影か雲のようなものの比喩)なのか、後者(実際にバルログの肉体に付属しているもの)なのかについては意見が分かれている。付言するなら、バルログという者達は飛行できるのか、というのはファンの間でしばしば議論されてきた疑問である。
飛行については、[[ウンゴリアント]]に襲われた[[メルコール]]を助けに駆けつけた際、バルログ達は'''火を吐く嵐の如く'''[[アングバンド]]から[[ランモス]]までの距離を短時間で通過しており、これを飛行能力の証左と見る向きもある。一方で、明確に落下したという記述([[グロールフィンデル]]と相打ちになって崖下へ転落する、ガンダルフに橋を砕かれて奈落へ転落する、[[ケレブディル]]山頂から投げ落とされる)も多く、飛行できるのであれば何故そうしなかったのかという問題もある。

翼があるとするかどうかは描く画家によってもまちまちである。一例として[[ジョン・ハウ]]は一貫して翼があるものとして描いており、彼のデザインに準拠した映画版『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』でも翼がある姿で登場した。

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** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

モリアの奥底に落ちて炎を失い、スライム状になったバルログも描かれる予定でデザイン案も存在するが、尺と予算の問題によりカットされた。
[[ジラクジギル]]での[[ガンダルフ]]との決着は原作の記述とは異なり、暗雲と雨天の中となっている。

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#Lotro]

[[アングマール]]の奥地に、[[サウアラック]]という名のバルログが登場する。

[[ジラグジギル(ケレブディル)>ケレブディル]]では、ガンダルフによって倒された「ドゥリンの禍」の死骸が確認できる。
またドワーフの物語の回想として、「ドゥリンの禍」がモリアで解放される場面などが描かれている。

** コメント [#Comment]

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