#author("2022-10-25T16:12:07+09:00;2022-01-15T09:14:05+09:00","","")
* ハラド [#j871e85f]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Harad|
|~その他の呼び名|南方国(Southron)、[[ハラドワイス]]|
|~その他の呼び名|[[ハラドワイス]](Haradwaith)、南方国(Sutherland)、太陽の国(Sunlands)((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』で[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]が[[スワート人]]がいる場所として言及する名。『[[Guide to the Names in The Lord of the Rings]]』によると、[[ゴンドール]]や[[中つ国]]北西部において、この名は[[共通語]]やその他言語でも、遠い南の国々を指す一般的な名前とされる。))|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で「南」の意。[[ゴンドール]]と[[モルドール]]の南にある地を指す。その中で比較的北側は[[近ハラド]]、さらに遠い南側は[[遠ハラド]]とも言う。この土地に住む[[人間]]は[[ハラドリム]]或いは[[ハラドワイス]]と呼ばれる(ハラドワイスは、ハラドの地を指す言葉として使われることもある)。
[[シンダリン]]で「南(south)」の意。[[ゴンドール]]や[[モルドール]]より南の地域を漠然と指し、その中で比較的北側は[[近ハラド]]、奥地は[[遠ハラド]]と呼ばれる。この地域に住む[[人間]]は[[ハラドリム]]と呼ばれる。

>「話によれば、その昔には[[ゴンドール]]と南のさいはての国、ハラドの王国との間には通商関係があったということだ。といっても友好関係は一度もなかったが。その当時は[[われらの&ruby(くにざかい){国境};>ハルネン]]は[[アンドゥイン]]の河口を越えて南のかなたにまで伸びていた。そしてかれらの国土の中でも一番わが国境に近い[[ウンバール]]はわれらの主権を認めていた。しかしそれからもう久しくなる。両国の間に往来があった頃から何代もの年月が経った。そして最近になって知ったのだ。[[われらの敵>サウロン]]がかれらの間に影響力を持ち&ruby(きた){来};り、かれらはかの者に乗り換えた、いやかの者のもとに帰参したということを――かれらは昔からいつでもかの者の意を甘受しておったからな――[[東に住む者>東夷]]もまた多くがそうであるように。」((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 下』 「四 香り草入り兎肉シチュー」 [[ハラドリム]]について語る[[ダムロド]]の言葉))
>「わしらそっちには行ったことない。だけど百[[リーグ]]もあるっていうよ。そのうち[[決して静かにならない大きな水>ベルファラス湾]]の見えるとこに出るっていうよ。 … それからその先にはまだまだ国があるっていうよ。だけどそこじゃ[[黄色い顔>太陽]]がとっても熱くて、雲がめったに出ない、そして[[人間]]はとっても荒々しくて黒い顔をしてるっていうよ。わしらその国は見たくないよ。」((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「黒門不通」[[ハラド街道]]の先にある国について語る[[ゴクリ]]の言葉))

「ハラド国」と訳される場合があるが、その詳しい国家形態は不明((『[[指輪物語]]』での「ハラドの王国」「ハラドの国民」の語は英語の原文では複数形で、『[[追補編]]』でも「ハラドの王たち」の語が登場するので、同時に複数の王国が存在している可能性もある))。ハラドはほぼ独立を維持している一方で、[[サウロン]]の影響により[[モルドール]]の属国と化していった。[[ゴンドール]]と通商関係があったこともあるが、その関係は友好的とは言えず、戦闘状態にあることが長かった。ハラドはゴンドールの[[ヒャルメンダキル一世]]によって一時征服されたこともあるが、ゴンドールの国力の衰退と共にその影響から離れ、[[ウンバール]]や南[[イシリアン]]などを巡ってゴンドールと争うようになる。ハラド人が[[ウンバール]]を支配するようになると、[[海賊]]としてゴンドールを悩ませた。詳細は[[ウンバール]]の項目を参照。
*** 地名 [#x0087108]

*** [[第三紀]]のハラド [#z2e27f84]
-[[ハロンドール]]([[ゴンドール]]と[[ハラドリム]]との領有権係争地)
--[[ポロス]]川
--[[ハルネン]]川(古のゴンドールとハラドの境界)

|~年|~事象|h
|RIGHT:933|第13代[[ゴンドール]]王[[エアルニル一世]]が[[ウンバール]]を陥落させ、[[ゴンドール]]の拠点とする。|
|RIGHT:1015|[[ウンバール]]を追放された諸侯に率いられた[[ハラド国人>ハラドリム]]がウンバールを攻撃し、第14代[[ゴンドール]]王[[キアヤンディル]]が戦死。ウンバール自体はゴンドール海軍により陥落せず。|
|RIGHT:1050|第15代[[ゴンドール]]王[[キアヤヘア>ヒャルメンダキル一世]]が[[ハルネン]]川を渡ってハラドを攻撃し屈服させ、ヒャルメンダキル(南の勝者)の名を得る。|
|>|[[ヒャルメンダキル一世]]の治世で[[ゴンドール]]の国威は絶頂に達し、南は[[ウンバール]]の半島と港を含む海岸沿いと[[ハルネン]]川までの地域を支配する。&br;ハラドの王たちはゴンドールに忠誠を誓い、息子たちを人質としてゴンドールの宮廷に送ることになる。|
|RIGHT:1448|簒奪者[[カスタミア]]の息子たちとその一党が船で[[ペラルギア]]から[[ウンバール]]へ去る。以降ウンバールは[[海賊]]の根拠地となる。|
|>|[[ウンバール]]を失ったことで[[ハロンドール]]は[[海賊]]との領有権係争地となり、[[ハラド国民>ハラドリム]]への支配が弱まる。|
|RIGHT:1540|第23代[[ゴンドール]]王[[アルダミア]]が[[ハラド人>ハラドリム]]と[[ウンバール]]の海賊との戦いで討ち死にする。|
|RIGHT:1551|第24代[[ゴンドール]]王[[ヴィンヤリオン>ヒャルメンダキル二世]]が[[ハラド国人>ハラドリム]]を撃退し、ヒャルメンダキル二世を名乗る。|
|RIGHT:1634|第25代[[ゴンドール]]王[[ミナルディル]]が[[ペラルギア]]を荒らした[[ウンバール]]の[[海賊]]によって殺害される。海賊を率いていたのは[[カスタミア]]の曾孫の[[アンガマイテ]]と[[サンガヒャンド]]。|
|RIGHT:1810|第28代[[ゴンドール]]王[[テルメフタール]]が[[ウンバール]]を奪取して[[カスタミア]]の子孫を滅ぼし、[[海賊]]を駆逐する。彼はウンバールダキルの称号を名乗る。|
|>|1851年に[[馬車族]]の侵攻が始まり、その後の混乱の中[[ウンバール]]が[[ハラド国人>ハラドリム]]の手に落ちる。|
|RIGHT:1944|[[ハンド]]人・[[近ハラド]]人が[[馬車族]]と同盟を結び[[ゴンドール]]へ攻め込む。南軍の指揮官[[エアルニル>エアルニル二世]]がハラド軍を南[[イシリアン]]で破る。|
|RIGHT:2758|[[ウンバール]]とハラドの三つの大艦隊が[[ゴンドール]]沿岸部に来寇し、[[アイゼン]]川の川口でも上陸する。&br;第19代執政[[ベレン]]の息子[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]はこの年の長い冬が終わる前にこれを撃退する。|
|RIGHT:2759|[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]が同時期に攻撃を受けていた[[ローハン]]に援軍を送る。|
|RIGHT:2885|[[サウロン]]の密使に扇動された[[ハラドリム]]が、占領していた[[ハロンドール]]から[[ポロス]]川を越えて[[イシリアン]]へと侵攻する。&br;第14代[[ローハン]]王[[フォルクウィネ]]はエオルの誓いに基づいて援軍を送り、第23代[[執政]][[トゥーリン二世]]は[[ポロスの渡し]]で勝利するが、ローハン王の息子[[ファストレド]]と[[フォルクレド]]が戦死する。|
|RIGHT:2980|第25代[[執政]][[エクセリオン二世]]に仕えていた[[ソロンギル>アラゴルン二世]]が小艦隊を率いて[[ウンバール]]を奇襲し、海賊船の大半に火を放ち、港の大将を波止場の合戦で倒す。|
-[[ハラド街道]]

*** [[指輪戦争]]でのハラド [#c7b23f22]
-[[ウンバール]]

指輪戦争においてハラド及び[[ウンバール]]の[[海賊]]は[[モルドール]]の同盟軍として参戦した。
-[[ハンド]]

|~年|~月|~日|~事象|h
|RIGHT:3018|RIGHT:6|RIGHT:20|[[ハラドリム]]、[[東夷]]を含む[[モルドール]]軍が[[オスギリアス]]を攻撃。[[ゴンドール]]軍の駐屯部隊が全滅する。|
|RIGHT:3019|RIGHT:3|RIGHT:5|[[ハラドリム]]の部隊が[[黒門]]を通過する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:7|[[イシリアン]]の街道で[[ファラミア]]率いる[[イシリアンの野伏]]と[[ムーマク]]を伴った[[ハラドリム]]の戦闘が発生する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:11|[[灰色の一行]]が[[リンヒア]]に着き、[[ラメドン]]領主[[アングボール]]と戦っていた[[ウンバール]]とハラドの敵を遁走させる。&br;[[ハラドリム]]の大部隊が[[ミナス・モルグル]]を発った部隊と合流し、[[オスギリアス]]へ進軍する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:13|退却中に[[ファラミア]]がハラドの矢で負傷する。&br;[[灰色の一行]]が[[ペラルギア]]で[[ウンバール]]の[[主力艦隊(黒の艦隊)>海賊]]を捕捉し、[[ハラドリム]]の敵を[[死者の軍勢]]で破る。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:14|[[ハラドリム]]を含む[[モルドール]]軍によって[[ミナス・ティリス]]が包囲される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:15|[[ペレンノール野の合戦]]。ペレンノール野に展開していた[[モルドール]]軍が壊滅し、戦場には多くの[[ムマキル]]の死骸が残される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:25|[[黒門の戦い]]。[[サウロン]]の消滅により[[モルドール]]軍が崩壊。&br;[[ハラドリム]]と[[東夷]]の一部は最後の抵抗を示すが大部分の者は東へ逃げるか投降する。|
|~|RIGHT:4|>|[[ハラドリム]]と[[東夷]]の残党による西軍への抵抗が続く。|
|~|RIGHT:5|RIGHT:1|[[エレスサール]]王が即位。その後王はハラドの国民と和を結ぶ。|
-[[近ハラド]]
-[[遠ハラド]]

*** ハラドの歴史 [#qf363536]

ハラドにいつから[[人間]]が住み着いていたのかは明らかではないが、[[第二紀]]にはすでに原住民がおり、[[ヌーメノール]]と[[サウロン]]との係争地となる。

第二紀600年にはじめて[[中つ国]]の沿岸に現れた[[ヌーメノール]]の船団が、第二紀を通じて最も頻繁に航海したのがハラドの西岸であった。
当初、ヌーメノール人は友好的な訪問者であり、ハラドの民をはじめとする中つ国の土着の[[人間]]はかれらを落日の彼方から贈物を携えて現れる神として崇めた。だがヌーメノールに影が育つにつれ、かれらはハラドの西岸を中心として無数の植民地を築き、やがて過酷な略奪者として君臨するようになる。
1800年頃からヌーメノールは恒久的な居留地を築き始め、その最大のものである[[ウンバール]]は2280年には大要塞と化した。

一方、1701年に[[エリアドール]]を駆逐された[[サウロン]]は[[モルドール]]に拠り、[[中つ国]]の[[東>リューン]]と南に勢力を伸ばした。
サウロンは[[人間]]の王侯に[[九つの指輪]]を分配してかれらを支配し、中つ国の人間の上に神として君臨するようになる。やがてサウロンの勢力はハラド西岸のヌーメノールの植民地にまで達し、両者は中つ国の覇権を巡って衝突するようになった。
そこで第二紀3261年、ヌーメノールの黄金王[[アル=ファラゾーン]]は大艦隊を[[ウンバール]]に上陸させて、投降したサウロンを翌年ヌーメノールへ連行した。

しかしその後、サウロンの影響を受けて邪悪に染まった[[ヌーメノール人]]はなお一層過酷な圧制者となり、ハラドの植民地から富を収奪する一方、人身御供をはじめとした忌まわしい邪教を中つ国に広めた。
第二紀3319年に[[ヌーメノール]]は海中に没したが、没落を免れた邪悪なヌーメノール人は南方の植民地で生き残り、[[黒きヌーメノーレアン]]として知られるようになる。かれらの内[[ヘルモール]]と[[フイヌル]]は[[ハラドリム]]の中で権力を握った。

そのため[[第三紀]]になってもハラドは[[サウロン]]の影響が強く、[[ゴンドール]]に敵対的であり続けた。
[[ウンバール]]はそうした敵対勢力の拠点となった。そこで830年から1050年にかけてゴンドールの[[船艦王]]たちは海軍力を築いてウンバールを奪取し、[[ヒャルメンダキル一世]]は南征して大勝し、ハラドの王たちにゴンドールの主権を認めさせた。これはゴンドールの最盛期を通じて続いた。
しかし[[同族の争い]]によってゴンドールが海軍力を喪失し、ウンバールが叛徒の手に落ちると、ハラドは再びゴンドールに敵対するようになる。ウンバールを拠点とした[[海賊]]はしばしばゴンドールの沿岸地方を悩ました。

やがて[[サウロン]]が[[モルドール]]に戻ると、ハラドの国々は公然とその属国として動いた。
[[指輪戦争]]では多くの軍勢がモルドールの召集に応え、ゴンドールへの攻撃に参加した。

[[第四紀]]になると、ハラドと西方諸国の間で講和が成立したようである。

**『[[Iron Crown Enterprises]]』による設定 [#v9194fc4]

ハラドを舞台にしたキャンペーンが展開する九冊のサプリメントが出版されている。

--『Court of Ardor in Southern Middle-earth』
--『Far Harad The Scorched Land』
--『Forest of Tears』
--『Greater Harad』
--『Hazards of the Harad Wood』
--『Shadow in the South』
--『Umbar Haven of the Corsairs』
--『Warlords of the Desert』
--『Pirates of Pelargir』

** コメント [#Comment]

#pcomment_nospam(,,noname,,,,reply)
#pcomment(,,,,,,reply)