#author("2016-11-22T20:34:52+09:00","","")
* ドルーエダイン [#v5030f5d]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Drúedain|
|~その他の呼び名|&ruby(やじん){野人};(([[旧版]]では「現地の人」))(Wild Men) &br; ウォーゼ(Wose) &br; [[プーケル人]](Púkel-men) &br; ドルグ、ドルフ(Drughu) &br; ドルーグ(Drûg) &br; ドルーの民(Drû-folk) &br; ドルーアス(Drúath) &br; ルーアタニ(Rúatani) &br; ローグ(róg) &br; オゴル=ハイ(Oghor-hai)|

** 解説 [#Explanation]

>その前の地面には、奇妙な恰好にうずくまった男が一人坐っていました。古さびた石のようにごつごつしており、乏しい顎鬚はこぶのような無骨な顎に乾いた苔のように散らばっていました。脚は短く、腕は太く、体も厚みがあってずんぐりしていました。身にまとっているものといえば、僅かに腰蓑を着けているだけでした。 … [[あの古い彫像>プーケル人]]の一つがここに生を得て生き返ったのか、それとも、遠い昔の今は忘れられた技工たちによって用いられたモデルたちの血を限りない年月の間正しく伝えてきたその直系の子孫であるかもしれません。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 上』「五 ローハン軍の長征」 [[メリー>メリアドク・ブランディバック]]の目撃した[[ガン=ブリ=ガン]]の姿))

[[共通語]]で''野人''と呼ばれる[[人間]]の種族の、[[シンダール語]]での名。ドルーエダインは複数形で、単数形は''ドルーアダン''(Drúadan)((『[[指輪物語]]』での訳は「ドルアダン」))。[[ローハン語]]では''ウォーゼ''と呼ばれる。[[第一紀]]の[[ハレスの族]]からは''ドルーグ''と呼ばれ、[[オーク]]からは''オゴル=ハイ''と呼ばれた。

[[人間]]の一氏族だが、人口が少なく、歴史の表舞台に出てくることは少ない。詳細は『[[終わらざりし物語]]』で語られている。
気むずかしく素朴な民族だが、いくつかの特異な特徴で知られており、特に''[[見張り石]]''という魔法の彫像を作る力があった。[[第一紀]]には[[ハレスの族]]と行動を共にして[[エダイン]]の一員と見なされており、[[第二紀]]には[[ヌーメノール]]に渡って[[ドゥーネダイン]]と共に住んだこともあった。[[中つ国]]では[[白の山脈]]の周辺に定住していたが、次第に数を減じ、[[第三紀]]には[[ドルーアダンの森]]や[[ドルーワイス・ヤウア]]のあたりにわずかな末裔が隠れ住むのみとなっていた。

[[馬鍬砦]]の石像''[[プーケル人]]''はかれらが作ったものだと考えられる。
[[ロヒアリム]]はかれら野人を[[人間]]とは見なさず、狩りの対象として追い回したことがあったため、両者の関係は良くなかった。だが野人はロヒアリム以上に[[オーク]]を憎んでおり、[[暗黒時代]]の再来を恐れてもいたため、[[指輪戦争]]では野人の酋長[[ガン=ブリ=ガン]]が[[セオデン]]に助力を申し出る。野人の警戒と道案内のおかげで[[ロヒアリム]]は[[石車谷]]を通って安全かつ迅速に[[ミナス=ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]に到達することができ、[[ペレンノール野の合戦]]に勝利をもたらすことができた。

[[サウロン]]が滅ぼされた後、[[エレスサール王>アラゴルン二世]]によってドルーアダンの森はドルーエダインのものとされ、他の人間には不可侵の地域とされた。

*** 名前 [#i3f53d0c]

:ドルグ、ドルフ(Drughu)|ドルーエダイン自身の言語での名。
:ドルーグ(Drûg)|ドルーエダインと行動を共にしていた[[ハレスの族]]がドルーエダインの言葉を用いて呼んだ名。
:ドルー(Drû)|ドルグ(Drughu)の名が[[ベレリアンド]]の[[シンダール語]]に取り入れられて変化し、シンダール語の単語となったもの。ドルーは単数形で、複数形は''ドルーイン''(Drúin)。集合名詞(種族名)は''ドルーアス''(Drúath)。また、''ドルーの民''(Drû-folk)という表現もある。((ドルーエダインの名称ができて以降、ドルー(Drû)の語は「ドルーの民の家族」(a family of the Drû-folk)の意味のドルーノス(Drúnos)や、「ドルーの民の荒れ地」(the wilderness of the Drû-folk)の意味の[[ドルーワイス>ドルーワイス・ヤウア]](Drúwaith)のような複合語の要素としてのみ用いられた。))
:ドルーエダイン(Drúedain)|彼らが[[オーク]]と敵対関係にあることを知った[[エルダール]]が、ドルー(Drû)に[[エダイン]](Edain)の語を称号として加えた名。単数形は''ドルーアダン''(Drúadan)。
:ルーアタニ(Rúatani)|ドルグ(Drughu)の語が[[クウェンヤ]]に取り入れられて変化した形のルー(Rú)に、[[アタニ>エダイン]](atani)の語を加えた名。単数形は''ルーアタン''(Rúatan)。ルーはシンダール語のドルーに相当し、ルーアタニはドルーエダインに相当する。
:&ruby(やじん){野人};(Wild Men)|[[共通語]]での呼び名。
:ウォーゼ(Wose)|[[ロヒアリム]]の呼び名。[[古英語]]で「森の野人」の意味のウドゥ=ワーサ(wudu-wása)のワーサ(wása)を現代化した形。
:ローグ(róg)|ウォーゼに「翻訳」される前の[[ローハン語]]の原語。ローグは単数形で、複数形は''ローギン''(rógin)。
:[[プーケル人]](Púkel-men)|[[馬鍬谷]]にある石象の[[ロヒアリム]]の呼び名。種族としてのドルーエダインのことも指す。
:オゴル=ハイ(Oghor-hai)|[[第一紀]]の[[オーク]]が用いた名。

** 特徴 [#de2c40a6]

:外見|~身長は低くがっしりしている。顔は横に広く、大きく窪んだ目と濃い眉があり、目は瞳があまりにも黒いために瞳孔が識別しがたいほどであった。頭にはまばらに毛が生えているだけで、眉から下には毛が生えないが、僅かな者には顎の中央に小さな黒い房状の髭が生えており、この特徴は誇りとされた。
普段は表情に乏しく、感情を表に出すことは余り無いが、他の種族なら歌うような時に変わった声でよく笑い、その笑い声には耳にした者を一緒に笑い出させてしまう不思議な魅力があった。
:能力|~優れた狩猟者。暗闇でも見通せる視力や、特に極めて優れた嗅覚を持ち、狩りや追跡などの能力では他のどの種族にも勝っていたという。
護衛としても名高く、その注意力、威嚇の力の強さは、侵入者がかれらの見えざる警戒を感じ取って恐れ退くほどだった。彫像のように何日もじっと座っていることができ、威嚇の力もそうした時に発揮された。さらにこうした能力を[[見張り石]]に映し込むことができた。
奇妙な予知能力を持っていたともいい、[[ヌーメノールの没落>アカルラベース]]を2000年も前から感じ取っていたといわれる。
一般の人間より短命。
:文明・文化|~高い文明は持たず、文字も使わないが、木や石を掘る優れた細工者で、[[見張り石]]という魔法の彫像を作った。オークに対しては毒矢で戦ったが、彼らの掟ではオーク以外の生命を毒で傷つけることは禁じられていたという。あらゆる生き物について、[[エルフ]]に教えられたわけでもないのにエルフと同じぐらい詳細に把握していた。生活はつましく、質素な食事と水しか摂ろうとしなかった。
:住居|~森林地帯に、原始的な生活を営む。身体が頑強なため、基本的には家屋を必要としないが、定住する場合は大きな木の幹の周りに簡素な天幕や小屋を建てて満足していた。またそれとは別に、秘密の貯蔵庫や避難所として山中の洞窟を使うが、そちらは他の種族にはたとえ親しい者であろうと招かれなかった。
:歴史|~[[ゴンドール]]の歴史家が信じるところによれば、[[アンドゥイン]]を渡った最初の[[人間]]こそドルーエダインであった。かれらは[[近ハラド>ハラド]]を通って[[イシリアン]]を北上し、他の人間がやってくるずっと前に[[白の山脈]]の谷間や山裾の森林に住みつき、[[モルゴス]]の力に何の関心も示さず、東からの人間の侵入を嫌っていたという。
[[ベレリアンド]]では(経緯は定かではないが)[[ハレス(ハラディン)の族>ハレスの族]]と非常に親しく、共に暮らしていた。ハレスの族は彼らのことを、ドルーアダン自身の言葉でドルーグと呼んでいた。[[第一紀]]の頃からドルーグの数は非常に少なかったが、彼らはハレスの族の同盟者として[[オーク]]と戦い、[[エダイン]]の一員と見なされた。
一説によると彼らの一部は[[ヌーメノール]]の建国と共にかの地に渡ったが、ヌーメノールの没落の前に(警告を感じたのか)皆その地を去った。
[[第二紀]]の[[中つ国]]では、[[暗黒時代]]の到来とともに[[褐色人]]といった[[サウロン]]を崇拝する民族や、沿岸地方にやってきた[[ヌーメノール人]]に圧迫され、[[アンドラスト]]岬の荒れ地([[ドルーワイス・ヤウア]])や[[アノリアン]]の東端([[ドルーアダンの森]])に生き延びた。
[[第三紀]]の終わりには数は著しく減少し、アノリアンに残っている者のみがドルーエダインの生き残りとして知られていた。[[第三紀]]の[[ガン=ブリ=ガン]]らは彼らの子孫である。
:言語|~彼等自身の言語はあるが、彼らなりのやり方で他の人間と同じ言葉を話した。しかしそれも彼らに固有の単語を多くとどめていた。第三紀には[[西方語]]を話す者もいた。
文字は持たず、象形文字のような記号を使うのみである。
:偏見|~[[オーク]]の不倶戴天の敵で、互いに強く憎み合っている。迫害されることが多かったため、他の[[人間]]のこともほとんど信用しない。中にはドルーエダインをオークの親類と見なす者もいたが、[[エルダール]]は「かれらの笑いとオークの笑いは、[[アマン]]の光と[[アングバンド]]の闇ほども違う」と言って反論したという。
[[ロヒアリム]]はかれらを[[人間]]の一種族とは認めず、スポーツの対象として狩り立てていたことがあるため、両者の間には確執がある。

>「しかし、あんたがたこの暗闇のあとも生きたら、森の野人かまわないでくれ。獣のように追うこと、もうしないでくれ。 … 」((『王の帰還』「五 ローハン軍の長征」 ガン=ブリ=ガンの言葉))

*** 登場するドルーエダイン [#bc05c66c]

-[[ガン=ブリ=ガン]]
-[[アグハン]]
-[[サドル]](一説によればドルーエダイン)

** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#ICE]

ドルーエダインの使用する言語はプーカエル語(Pûkael)とされている。

** 『[[The Lord of the Rings Strategy Battle Game]]』 [#s5398fc4]

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** コメント [#Comment]

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