-ベレリアンドのナンドール・エルフの統率者デネソール(Denethor)については、[[デネソール(レンウェの息子)]]を参照してください。
-ゴンドールの統治権を持つ10代目の執政デネソール一世(Denethor I)については、[[デネソール一世]]を参照してください。
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* デネソール二世 [#v29fa33a]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Denethor II|
|~その他の呼び名||
|~種族|[[人間]]([[ドゥーネダイン]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2930~†3019(享年89)。執杖2984~3019(35年間)|
|~親|[[エクセリオン二世]](父)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|[[フィンドゥイラス>フィンドゥイラス(アドラヒルの娘)]]|
|~子|[[ボロミア]](息子)、[[ファラミア]](息子)|

** 解説 [#Explanation]
|>|>|~[[ゴンドール]]の[[統治権を持つ執政>執政#u6c07482]]|h
|CENTER:第25代&br;[[エクセリオン二世]]&br;2953~2984|CENTER:第26代&br;''デネソール二世''&br;[[第三紀]]2984~3019|CENTER:第27代&br;[[ファラミア]]&br;3019|
|~|~|CENTER:'''王の帰還'''|
[[ゴンドール]]王国26代目の[[執政]]にして実権を持つ最後の[[執政]]。[[ボロミア]]と[[ファラミア]]の父。妻は[[ドル・アムロス]]の[[アドラヒル>アドラヒル(アンゲリマールの息子)]]大公の娘である[[フィンドゥイラス>フィンドゥイラス(アドラヒルの娘)]]。
25代目の執政[[エクセリオン二世]]の息子として生まれる。父の死後執政職を受け継ぎ、次第に暗くなっていく時代で王が不在のゴンドールを統治した。

非常に自尊心が高く、他者にも自身にも厳しい性格だった。老練かつ賢明であり、ゴンドールの伝承に通じ、賢王の風格を備えていた。
彼なりに妻のフィンドゥイラスを深く愛していたが、彼女が早逝した後は以前にもまして寡黙で気難しくなったという。二人の息子のうち、自分に似ていない兄のボロミアを特に寵愛していた。弟のファラミアには冷たく接することが多かったが、心の奥底ではファラミアのことも愛していた。
またその自尊心ゆえ、[[ゴンドール]]に現れた王位継承者である[[アラゴルン>アラゴルン二世]]と、その援護者である[[ガンダルフ]]を警戒していた。

>壇の下の広くて奥行きのある一番低い踏段に、黒くて飾りのない石の椅子が一脚あって、そこに一人の老人が自分の膝を見つめながら坐っていました。手には金の飾りのついた白い杖が握られていました。……&br;その時老人は顔を上げました。ピピンは堂々たる骨形と象牙のような皮膚の彫りの深い顔貌を見ました。暗色の深くくぼんだ目と目の間には湾曲した長い鼻がありました。かれはボロミアよりむしろアラゴルンを思い出させました。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 上』「一 ミナス・ティリス」))

*** 長子時代から執政時代 [#e53128f0]

父の[[エクセリオン>エクセリオン二世]]は賢明な執政であり、[[モルドール]]の再興に対して[[ゴンドール]]の助けになる者なら誰であれ重用した。中でも[[ソロンギル]]と呼ばれた北からやってきた武将は陸海で活躍し、特に[[ウンバール]]の[[海賊]]達に大打撃を与えるなど、ゴンドールの大将として大いに勲を挙げていた。
父の存命中からデネソールは老練さと賢明さを備えていたのみならず、剛勇にも優れた武人であったが、父からも周囲からも常にソロンギルに次ぐ者と見なされていた。
ソロンギルの正体は[[イシルドゥア]]の世継である北方[[野伏]]の族長[[アラゴルン二世]]であったが、デネソールは当時からその正体に気付いており、自身の立場を脅かす者として大いに警戒していたという。

ソロンギルがゴンドールを去った四年後にエクセリオンが死ぬと、デネソールは執政位を継承してゴンドールの実質的な統治者となった。
デネソールはアラゴルンと親しい[[ガンダルフ]]にも警戒心を抱き、彼の代になるとガンダルフはゴンドールではほとんど歓迎されなくなっていった。ガンダルフが[[一つの指輪]]に関する記述を求めてゴンドールを訪れた際にも、デネソールは冷淡に応じている。
だが息子の[[ファラミア]]はガンダルフを敬愛し彼に師事したため、デネソールからの不興を買った。

デネソールとファラミアは[[西方の血>ドゥーネダイン]]が強く発現しており、遠くを視ることも、人の心を読み取ることもできた。
特にデネソールは遠方の物事を詳細に見知ったために人々から驚嘆されたが、後にわかったようにそれは[[パランティーア]]の使用によるためでもあった。
広がりゆく[[モルドール]]の影の脅威と、自尊心の高さから、デネソールはそれまでの執政があえて試みなかった[[白の塔のパランティーア>パランティーア#l67a1598]]を使用し、[[イシルの石>パランティーア#saed3d66]]を持つ[[サウロン]]と戦って、遠方の事柄から情報を集めていった。
だがパランティーアの使用とサウロンとの戦いは、頑強な精神の持ち主であるデネソールをも消耗させ、彼は[[ドゥーネダイン]]にしては異例なほど早くに老け込んでいった。また、サウロンはデネソールを支配することはできなかったものの、映し出す映像を操作することで実際以上にモルドールの戦力を強大に見せ、デネソールを次第に絶望に追いやっていった。
妻の[[フィンドゥイラス>フィンドゥイラス(アドラヒルの娘)]]が早逝したのも、一つには心優しい彼女がそれに気付き、心を痛めたためであったという。彼なりに妻を愛していたデネソールはフィンドゥイラスの死後、ますます頑迷になっていった。

*** [[指輪戦争]] [#td744899]

[[3018年>大いなる年#year3018]]、[[サウロン]]はデネソールの守備を試すことを目的の一つに分遣隊を送り出して[[イシリアン]]と[[オスギリアス]]を攻撃し、[[大河]]の東岸を奪った。敵はゴンドールにとっては大兵力であったが、[[ボロミア]]と[[ファラミア]]は橋を落とすことで辛くも西岸を守り切った。
その後、ファラミアが繰り返し夢のお告げを受ける。デネソールは彼の夢に出てくる言葉の内、[[イムラドリス]]が[[裂け谷]]を指す古称であることを教えた。ファラミアは夢の謎解きのため裂け谷を捜して旅立とうとしたが、旅の危険からボロミアが代わって志願し、デネソールは反対したもののボロミアの決意を変えることはできなかった。
だが裂け谷において[[指輪の仲間]]に加わったボロミアは、[[パルス・ガレン]]で戦死する。彼が死の間際に吹き鳴らした[[角笛>ゴンドールの角笛]]は、はるか遠くのゴンドール領内にまで届いたと言われており、その後二つに割れた角笛が大河の岸辺で発見され、デネソールの許まで届けられた。

やがて、[[モルドール]]による[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]への全面攻撃が近いことを察したデネソールは、[[ミンドルルイン]]から始まる[[エレド・ニムライス]]の狼煙台に点火し、また[[ヒアゴン]]に[[赤い矢]]を持たせて[[セオデン]]の元に派遣して、[[ロヒアリム]]の救援を求めた。また[[ドル・アムロス]]など南部のゴンドール領国からも援軍を呼び寄せ、ミナス・ティリスからは非戦闘員を疎開させて、防衛の準備を進めていた。
[[ガンダルフ]]に連れられた[[ペレグリン・トゥック]]がミナス・ティリスへやってきたとき、既に都は戦時体制に入っており、一般の住民は避難を終え、食事も籠城に備えて簡素なものになっていた。デネソール自身も常に服の下に鎖帷子を着こんで剣を帯び、武装して生活していた。
ペレグリンよりボロミアの死の状況を聞いたデネソールは、息子を失った悲しみをも手段として使い、ペレグリンの心から[[一つの指輪]]や[[アラゴルン]]のことを読み取った。
だがペレグリンはデネソールの軽蔑に対し、ボロミアへの恩から彼に奉公することを申し出る気高さを見せ、頑なになっていたデネソールを心を感動させる。その結果、ペレグリンを[[城塞の近衛兵>城塞の近衛部隊]]として嘉納し、そばに置くようになった((デネソールは、ガンダルフが自分に対するスパイとしてペレグリンを送り込んだと後に発言しているが、最初からそう疑っていたのか、ファラミアの重傷とパランティーアがもたらした狂気故にそう考えるようになったかははっきりしない))。

>「かくもお偉い人間のお殿様からすれば、さだめし、一介のホビット、北の方なるホビット庄から参った一人の小さい者などのお役に立つことはほとんどないと思し召されましょう。しかし受けたご恩のお返しに、非力とはいえ殿にわが身命のご奉公をさしあげましょう。」[[灰色のマント>エルフのマント]]を脇にかきのけ、自分の[[小さな剣>塚山出土の剣]]を引き出して、ピピンはデネソールの足許に置きました。&br; 冬の夕暮れの冷えびえとした太陽の残照にも似たあるかなきかの微笑が老人の面を通り過ぎました。((『王の帰還』「一 ミナス・ティリス」))

デネソールはボロミアの死を惜しみ、ファラミアになお冷淡に接したが、心の奥底ではファラミアにも愛情を持っていた。
サウロンが西方への全面攻撃を開始すると、[[ミナス・モルグル]]から出撃した大軍によって[[イシリアン]]が敵の手に落ち、大河の通行権が危機に陥る。デネソールは[[オスギリアス]]西岸と[[カイア・アンドロス]]、[[ランマス・エホール]]防衛のため、指揮官としてファラミアを送り込む。だがモルドールの軍勢によって防衛が突破されると、デネソールはファラミアたちの撤退を援護するため、[[イムラヒル]]が指揮する騎兵を中心とした部隊を派遣したものの、ファラミアは負傷して毒と[[黒の息]]に冒され、高熱で意識不明のままミナス・ティリスに帰還することとなった。

瀕死の息子を目にしたデネソールは気力を失い、昏睡状態のファラミアと共に[[白の塔]]に引きこもり、ミナス・ティリス防衛の指揮も放棄する(そのため、ガンダルフとイムラヒルが指揮を執ることになった)。さらに、白の塔に隠されていた[[パランティーア]]を使用し、サウロンに操作されたモルドールの大軍を目撃して絶望、狂気に陥っていく。
[[ペレンノール野の合戦]]が始まっても、デネソールは白の塔に引きこもったままだったが、やがてペレグリンに自分の侍僕を呼ぶよう最後の命令を下してから任を解き、白の塔から出る。デネソールは、[[ラス・ディネン]]に薪を積み上げるよう呼び出した侍僕に命じ、意識のないファラミアとともに焼身自殺を図る。[[ペレグリン・トゥック]]によって事態を知らされた[[ベレゴンド>ベレゴンド(バラノールの息子)]]は、この行為を止めようとして、デネソールの従僕2名を斬ってしまう。やがてピピンの知らせを受けたガンダルフが駆けつけると、デネソールは「北の国のその[[野伏]]とやら」「統治権と王位の尊厳をとっくに失ったおんぼろ家系の[[最後の末裔>アラゴルン二世]]」に、ゴンドールの統治権を渡すことを拒否する発言をする。だがガンダルフは、まだ死んでいないファラミアからその選択権を奪ってはならないというと、デネソールは息子を奪われることを拒み、自ら短剣でファラミアを殺そうとした。しかしこれもベレゴンドに阻まれると、従僕から松明を奪って薪を燃やし、執政職を示す杖を折って火の中に投げ入れ、自らも炎の中に飛び込んで死んだ。

この時デネソールが持ち続けていた[[アノールのパランティーア>パランティーア#l67a1598]]はその後、非常に強い意志の持ち主によらなければ、火の中で焼けて萎びていく老人の手しか映らなくなったという。

ゴンドールの執政職は回復したファラミアが継ぎ、彼の下で王の帰還がなされたため、デネソールは実質的な[[ゴンドール]]統治の実権を持った最後の執政となった。

*** 画像 [#a32b682d]

&ref(Denethor.jpg,,25%,アラン・リー作画によるデネソール、ガンダルフ、ピピン); &ref(ScreenShot00786.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における裂け谷でのボロミア);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ジョン・ノブル]]|
|~日本語吹き替え|[[勝部演之]]|

原作では、ファラミアが負傷するまでは冷静かつ合理的に軍の指揮を行い、ローハンへの援軍要請などを行っている。だが映画では、ローハンへの援軍要請のための烽火点火を行わなず、[[赤い矢]]もローハンに送っていない(狼煙は、[[ガンダルフ]]に指示された[[ペレグリン・トゥック]]が点火した。赤い矢は登場しない)。一方で、ファラミアに無謀なオスギリアス奪回を命じるなど、最初から非常に高い自尊心、ガンダルフへの猜疑心などが示されている。
デネソールがパランティーアを使っていたという設定は登場しない。彼はミナス・ティリスに迫り来るモルドールの軍勢を肉眼で見て、それで絶望する。またベレゴンドも登場しない。
ファラミアを巻き込んで焼身自殺を図る点は同じだが、死亡の状況はやや異なり、[[飛蔭]]に蹴られて火が燃え移ったまま都の第七層まで疾駆し、大岩の先端から投身する形になっている。

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