* スランドゥイル [#cacdc4d9]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Thranduil|
|~異訳|スランデュイル|
|~その他の呼び名|エルフ王(Elvenking, Elven-lord) &br;森エルフの大王(Greatest King) &br; 森の王(woodland king)|
|~種族|[[エルフ]]([[シンダール]])|
|~性別|男|
|~生没年|不明|
|~親|[[オロフェア]](父)|
|~兄弟|不明|
|~配偶者|不明|
|~子|[[レゴラス]](息子)|

** 解説 [#Explanation]

[[闇の森]]に住む[[シルヴァン・エルフ]]の王。[[レゴラス]]の父。『[[ホビットの冒険]]』中では直接名前は出てこないが、同作に登場する、[[ドワーフ]]たちを牢に閉じこめた''エルフ王''とはこの人物である。
闇の森の[[エルフ]]の中でも自分専用の、頭にくるような強い[[ドルイニオン]]産葡萄酒を好み、金銀宝石に目がない。春夏は草花で、秋冬は紅葉と木の実で作った冠をかぶる。

『[[終わらざりし物語]]』によると彼自身は[[シンダール・エルフ>シンダール]]であり、スランドゥイルのうちたてた王国や砦の様式は[[ドリアス]]に由来するものであるという。ただしスランドゥイル自身がドリアスに住んだことがあるかどうかははっきりしない。父の名は[[オロフェア]]。

>自然石を刻み残した柱のたくさん立っている大広間に、エルフ王が、ほりものをほどこした木のいすにすわっていました。その頭には、木の実と赤い木の葉でできた冠がのっています。秋がもう来ていたのです(王は春になると、森の花々であんだ冠をかぶります)。手には、ほりものをしたカシの杖をもっています。((『[[ホビットの冒険]]』「9 牢から逃げだすたるのむれ」))

***『[[終わらざりし物語]]』におけるスランドゥイルについての記述 [#ra236a94]

彼の父[[オロフェア]]は[[アンドゥイン]]以東一帯の[[シルヴァン・エルフ]]の王として認められており、スランドゥイルは父と共に、当時は[[緑森大森林]]と呼ばれていた闇の森のエルフたちの大軍を率いて、[[最後の同盟]]の戦いにも参戦した。オロフェアが[[ダゴルラド]]で討ち死にした後もスランドゥイルは生き残り、元の3分の1にまで減少した軍勢と共に、緑森へと帰還している((これほど消耗したとはいえ、闇の森の軍は依然として強力であったため、後に[[あやめ野]]で[[イシルドゥア]]らを待ち伏せして壊滅させた[[オーク]]の伏兵部隊は彼らを攻撃するのは見送り、そのまま通過させている))。

スランドゥイルはこの戦いの時に目の当たりにした[[モルドール]]の恐怖を忘れることができず、その後も南の方角を望むたびに[[サウロン]]の再度の勃興を予感して慄いていたという。

***『[[ホビットの冒険]]』におけるスランドゥイル [#c81aa828]

>宴会の人々のつづく列のまっさきには[[ボンブール]]が夢の話でのべたのとそっくりのかっこうで、森の王が、黄金色の髪の上に木の葉の冠をかぶって、すわっていました。エルフたちは、手から手へと、ごちそうをもった鉢をわたし、焚火をこえていったり来たりしています。たてごとをかなでる者もあって、多くの者がそれにあわせて歌をうたっています。みなかがやくような髪に、花をさしていますし、緑の宝石や白く光る石を、えりもとやバンドにきらめかせています。顔にも歌にも、うきうきする楽しさがあふれています。歌声は高く、澄んできよらかです。((『ホビットの冒険』「8 ハエとクモ」 スランドゥイルとエルフたちが森で宴会をしている様子))

[[魔の川]]に落ちた[[ボンブール]]は、森の空地で[[エルフ]]たちを引き連れて狩りの宴会をしているスランドゥイルの姿を夢に見る。その後[[ドワーフ]]たちは現実にそれに遭遇し、食べ物を求めて(その度に幻のように消えうせてしまうにもかかわらず)三度も宴会の輪に乱入した。そのためエルフたちは怒り、スランドゥイルはドワーフたちを[[宮殿>闇の森#Halls]]に連行させて尋問することになる。
ドワーフたちは[[トーリン>トーリン二世]]を筆頭に、[[はなれ山]]の財宝の分け前を要求されることを恐れて旅の目的を明かそうとしなかった。ドワーフが何かを隠していると感づいたスランドゥイルは、彼らを別々の地下牢に閉じ込めた。その後ドワーフたちは[[ビルボ・バギンズ]]の手引きにより脱出したが、彼らが[[エスガロス]]に現れたと民のエルフから報告されたことで、スランドゥイルは彼らの目的に気づく。

スランドゥイルにはトーリンたちが[[スマウグ]]を倒せる手段を用意しているとは思えず、せいぜい[[押し込み強盗>忍びの者]]か何かを目論んでいるのだろうと見抜いていた。そのため情報を集めつつ事態を静観することを選び、[[バルド]]によって[[スマウグ]]が討たれたとの報せが広まると、てっきりトーリンたちも死んだものと思い込む。
そこで[[はなれ山]]の財宝を回収するため自ら軍勢を率いて出立したが、その矢先に[[エスガロス]]の民の窮状をうったえるバルドの使いに行きあい、同情したスランドゥイルは急遽軍勢を転じてかれらの救援を優先。その結果エスガロスの民は冬を越し町を復興させる目処を立てることができた。
それから、[[谷間の国]]再興の資金を求めるバルドと共にあらためて[[はなれ山]]で向かったが、そこで彼らにとっては予想外なことに、トーリンたちは生きており山の表門に障壁を築いて籠城の準備を進めていることが判明する。
トーリンは自分たちを閉じ込めた森エルフの軍勢の姿に態度を硬化させ、分け前の交渉を拒絶。そのためバルドとスランドゥイルは止むなく山の表門を包囲して、兵糧攻めにすることにより譲歩を引き出そうとする。

スランドゥイルは財宝のために戦を起こすことは望んでおらず、トーリンを助けにやってきた[[ダイン二世]]の軍勢にバルドが先制攻撃をしかけようとした時には、'''黄金をめぐって戦いをはじめるのは、できるだけひかえたい。 …… 仲なおりにもちこめる道が何かあろうではないか。いざとなれば、不幸にして一気にせめるとしても、数において敵ではない。'''((同上「17 雲がふきちる時」))と彼を留めている。
しかし結局、ダイン軍が包囲を強行突破しようとしたことでなし崩し的に戦闘に突入。さらにそこに[[ゴブリン]]と[[アクマイヌ>ワーグ]]の軍勢が到達したことで事態は急変し、バルド、スランドゥイル、ダインの三者は一時休戦して共同戦線を張り、[[五軍の合戦]]へと展開していった。
合戦ではスランドゥイルの軍勢は[[からすが丘]]に布陣し、トーリンの一行から追放された[[ビルボ・バギンズ]]も彼と行動を共にしていた。

合戦の終結後、再興された[[谷間の国]]の王になった[[バルド]]からは友好の証として[[ギリオンのエメラルド]]を贈られている。
また[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]からは、彼がドワーフたちを助けるためスランドゥイルの[[宮殿>闇の森#Halls]]に潜んでいたときに盗み食いを働いていたことを告白され、その償いとして真珠の首飾りを贈られている。これに対し、スランドゥイルはビルボを[[エルフの友]]と呼んで敬意を表した。

***『[[指輪物語]]』におけるスランドゥイル [#vb185c64]

闇の森のエルフは[[ガンダルフ]]に協力し、[[アラゴルン二世]]が捕らえた[[ゴクリ]]の身柄を預かっていた。しかし[[大いなる年]]の6月20日、[[サウロン]]が命じた[[オーク]]の攻撃によってゴクリを逃がしてしまい、その申し開きを兼ねて息子の[[レゴラス]]を[[裂け谷]]へ派遣した。

[[指輪戦争]]ではサウロンの軍勢と闇の森の樹下の合戦を戦い、森は火災によってひどく破壊されたものの、最後には勝利を収めた。
[[エルフ]]の新年の当日(([[第三紀]]3019年4月6日))に、スランドゥイルは[[ケレボルン]]と闇の森の真ん中で会見を行い、二人は闇の森をエリン・ラスガレンすなわち「緑葉の森」と命名し直し、スランドゥイルが[[闇の森山脈]]より北部を、ケレボルンが南東の狭隘部([[東入地]])より南部を東ローリエンとして領有することを決めた。森の中央部は[[ビヨルン一党]]を始めとした[[ロヴァニオン]]北西部の[[人間]]たちの領土となった。

スランドゥイルとその民の森エルフたちは、[[第四紀]]に入ってからもエリン・ラスガレンで落ち着いて暮らしていたようである。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|[[リー・ペイス]]|
|~日本語吹き替え|[[森田順平]]|

馬の代わりに、大きな角のある鹿に乗り、戦う時は長刀の二刀流も使いこなす。永遠に続く命に倦み疲れていることを伺わせる、厭世的な発言が多い。映画設定における定命の種族との価値観の違いや溝を体現した人物。
[[スマウグ]]襲来前の[[エレボール]]を訪れ、[[スロール]]に謁見していた。だがスマウグが襲ってきたとき、スマウグによって森エルフ達が害される事を危惧し、闇の森の軍勢をスマウグと戦わせずに[[エレボール]]の[[ドワーフ]]を見捨てた。これが[[トーリン二世]]の、[[エルフ]]に対する不信の大きな理由となり、後々まで大きな禍根を残す。
また、過去に龍と戦ったことのある旨の発言をしているが、いつ、どんな龍と戦ったかは不明。

原作とは異なり、(かつてスロールと会ったときなどに、トーリンとも顔を合わせているためもあり)[[トーリン二世]]の旅の目的に直ちに気がついている。[[シンダール]]である息子[[レゴラス]]の后に[[シルヴァン]]の[[タウリエル]]はふさわしくないと考え血統を気にする、エレボールのドワーフの財宝のなかにあった、本来自分たち一族伝来の品と主張する[[ラスガレンの白い宝石]]を欲する、自国領の安全のことだけを考えるなど、[[シンゴル]]を連想させるキャラクター付けが行われている(([[ナウグラミーア]]や、[[ルーシエン]]と[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]の関係などとの類似性が指摘されている))。

同族の損害だけを恐れる極端な孤立主義者として描かれているが、その理由はかつて[[グンダバド]]における[[アングマール]]との戦いで、妻を失ったことが原因であることが示唆されている。
また、[[闇の森]]に戻らず旅に出ることにした[[レゴラス]]に対し、北方の[[ドゥーネダイン]]の族長である[[ストライダー>馳夫]]と呼ばれる者を探すように助言している((その会話によると、スランドゥイルは[[アラソルン二世]]や[[アラゴルン二世]]と面識があったらしい))。

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