#author("2018-01-18T23:38:05+09:00","","")
#author("2018-03-04T06:08:10+09:00","","")
* スマウグ [#fe15f07b]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Smaug((『[[The Letters of J.R.R.Tolkien]]』のLetter 25(1938年)によると、Smaugの名はゲルマン語の動詞smugan(穴に入り込む)の過去形から取られた。'''The dragon bears as name – a pseudonym – the past tense of the primitive Germanic verb Smugan, to squeeze through a hole: a low philological jest.'''))((『[[The Peoples of Middle-earth]]』によると、Smaugと「翻訳」された原語は[[谷間の国]]の言葉のTrāguである。))|
|~スペル|Smaug((『[[The Letters of J.R.R.Tolkien]]』#Letter25によると、Smaugの名はゲルマン語の動詞smugan(穴に入り込む)の過去形から取られた。'''The dragon bears as name – a pseudonym – the past tense of the primitive Germanic verb Smugan, to squeeze through a hole: a low philological jest.'''))((『[[The Peoples of Middle-earth]]』によると、Smaugと「翻訳」された原語は[[谷間の国]]の言葉のTrāguである。))|
|~異訳|スモーグ|
|~その他の呼び名|黄金竜(the Golden) &br; 悪竜(the Dragon) &br; 山の下の王(King under the Mountain) &br; おそろしきものなるスマウグ(Smaug the Dreadful) &br; おそろしきかの竜(Worm of Dread)|
|~種族|[[龍]]|
|~性別|男|
|~生没年|~†[[第三紀]]2941年|

** 解説 [#Explanation]

[[第三紀]]最大の[[龍]]。
邪悪かつ、非常に高い知性を持っていて言葉を話すことができ、炎を吐くこともできる上、空を飛ぶことができる有翼の龍で、色は金色がかった赤色。鱗は非常に硬く、通常の攻撃は全く寄せ付けない。腹の側は龍族の宿命として柔らかかったが、自分でもその弱点を承知しており、沢山の金銀宝石をこびりつかせて固めることで鎧代わりにしていた。だがこの宝石の鎧には左胸に一箇所ほころびがあった。
邪悪かつ高い知性を持っていて言葉を話すことができ、炎を吐くこともできる上、空を飛ぶことができる有翼の龍で、色は金色がかった赤色。鱗は非常に硬く、通常の攻撃は全く寄せ付けない。腹の側は龍族の宿命として柔らかかったが、自分でもその弱点を承知しており、沢山の金銀宝石をこびりつかせて固めることで鎧代わりにしていた。だがこの宝石の鎧には左胸に一箇所ほころびがあった。
非常に傲慢かつ貪欲で、[[はなれ山]]の大量の宝の一つ一つをすべて完全に把握していたという。聴覚に優れ、眠っていても棲家に近づく者の足音を聞きつける。嗅覚にも優れ、[[ドワーフ]]・[[人間]]・[[エルフ]]などを匂いで嗅ぎ分けることができるが、出会ったことのない[[ホビット]]の匂いはわからなかった。

詳細な来歴は定かではないが、ドワーフ繁栄の噂を聞きつけて[[第三紀]]2770年に[[灰色山脈]]から[[エレボール(はなれ山)>エレボール]]に飛来し、[[山の下の王国]]と[[谷間の国]]を滅ぼした。そして両国の莫大な財宝のすべてを我が物とし、山の最も奥まった「スラインの大広間」に財宝を積み上げて寝床とし、エレボールに棲み着いた。このため山の周辺は[[スマウグの荒らし場]]と呼ばれる荒廃地と化す。
詳細な来歴は定かではないが、ドワーフ繁栄の噂を聞きつけて[[第三紀]]2770年に[[灰色山脈]]から[[エレボール(はなれ山)>エレボール]]に飛来し、[[山の下の王国]]と[[谷間の国]]を滅ぼした。そして両国の莫大な財宝のすべてを我が物とし、山の最も奥まった広間に積み上げて寝床とする。このため山の周辺は[[スマウグの荒らし場]]と呼ばれる荒廃地と化した。
2941年、[[トーリン二世]]と[[その仲間達>トーリンとその仲間]]は財宝と王国を奪回するため、[[ガンダルフ]]の助言と助力を得て[[ビルボ・バギンズ]]を仲間に加え、エレボールへの遠征を決行した。(『[[ホビットの冒険]]』)

>「ふくしゅうだと!」竜はうなり、両眼の光が、まっ赤ないなずまのように、床から天井まで広間じゅうをかっと照らしました。 &br; 「ふくしゅうとな。[[山の下の王>ドゥリンの一族]]は、死んだ。して、ふくしゅうをもくろむほどの勇気のあるその[[あとつぎ>トーリン二世]]は、どこにいるのか? [[谷間の町>谷間の国]]の領主[[ギリオン]]も死んだ。おれは、あの町の者どもを、ヒツジのむれにはいった[[オオカミ>狼]]のようにくらいつくした。おれに近づこうとする勇気のある、[[ギリオンの孫>バルド]]どもは、どこにいるのか? おれは、どこでもだれでも殺してやる。おれにはむかう者はない。そのかみの戦士たちさえ、うちたおしたのだ。きょうこのごろはあれほどの戦士たちはいまい。しかもあの時おれは、ひわひわとして、若かった。今おれは年おいて、強いのだ。おぼえておけ、おれは何よりも強いのだぞ、[[かげにひそむどろぼう>忍びの者]]め!」竜は、得意によいしれていました。 &br; 「おれのうろこは、十重のたて、また、歯はつるぎ、爪はやり、尾の一ふりは雷をおこし、つばさはあらしをよび、はく息は、すなわち死だ!」((『[[ホビットの冒険]]』「中にはいってたしかめる」))
>「ふくしゅうだと!」竜はうなり、両眼の光が、まっ赤ないなずまのように、床から天井まで広間じゅうをかっと照らしました。
「ふくしゅうとな。[[山の下の王>ドゥリンの一族]]は、死んだ。して、ふくしゅうをもくろむほどの勇気のあるその[[あとつぎ>トーリン二世]]は、どこにいるのか? [[谷間の町>谷間の国]]の領主[[ギリオン]]も死んだ。おれは、あの町の者どもを、ヒツジのむれにはいったオオカミのようにくらいつくした。おれに近づこうとする勇気のある、[[ギリオンの孫>バルド]]どもは、どこにいるのか? おれは、どこでもだれでも殺してやる。おれにはむかう者はない。そのかみの戦士たちさえ、うちたおしたのだ。きょうこのごろはあれほどの戦士たちはいまい。しかもあの時おれは、ひわひわとして、若かった。今おれは年おいて、強いのだ。おぼえておけ、おれは何よりも強いのだぞ、[[かげにひそむどろぼう>忍びの者]]め!」竜は、得意によいしれていました。
「おれのうろこは、十重のたて、また、歯はつるぎ、爪はやり、尾の一ふりは雷をおこし、つばさはあらしをよび、はく息は、すなわち死だ!」((『[[ホビットの冒険]]』「中にはいってたしかめる」))

*** 『ホビットの冒険』 [#b706b4cc]

[[ビルボ]]は[[魔法の指輪>一つの指輪]]の力で姿を隠し、財宝の中から金のカップを一つ盗み出すことに成功したが、一行の気配と嗅ぎ慣れない匂いによって目覚めたスマウグは即座にカップが無くなっていることに気づき激怒。山の周囲を旋回して荒れ狂うが、やがて夜が明けると静か大広間に戻り、半ば眠ったふりをして「どろぼう」が再びやってくるのを待ち受けた。
再びビルボが広間に降りてくると、スマウグはビルボに話しかけ、姿を現すよう誘いかけると共にドワーフへの不信を植えつけて彼を呪縛にかけようとする。しかし[[龍]]の手管を聞き知るビルボは謎めいた言い回しによって上手くスマウグの追及をかわし、逃げおおせることに成功した。この時ビルボはスマウグの胸の宝石の鎧に弱点となるほころびがあることを発見したが、スマウグもまたビルボとの問答から、彼らが[[エスガロス(湖の町)>エスガロス]]から来たに違いないとの確信を抱く。
ビルボがスマウグのねぐらから逃れると、音もなく外に出たスマウグは、はなれ山の隠し戸の入口付近を強襲して破壊。さらに報復を加えるべく、火柱を上げて湖の町を襲撃した。

その硬い鱗と宝石の鎧のため、湖の町の人々が放つ矢はスマウグに全く傷を与えることができず、スマウグは思うがままに上空を飛び回っては火炎を浴びせかけて町を焼き払った。だが、ビルボが鎧の左胸に弱点があることを話しているのを傍で聞いていた[[ツグミ]]が、それを弓の名手[[バルド]]に伝える。そのため最後にバルドが放った[[黒い矢]]の一射によってスマウグは仕留められた。

スマウグの落下と断末魔のあがきによって湖の町は完全に破壊された。死体は町があった[[たての湖]]の浅い水域に朽ちるままに放置され、天気が穏やかな時には巨大な骨が水面から見えた。スマウグの鎧であった宝石はその水底に眠っていると思われるが、龍への恐れから取りに行く者はいなかった。
スマウグの落下と断末魔のあがきによって湖の町は完全に破壊された。

*** スマウグの死後 [#x13a7cbe]

スマウグの死によって[[はなれ山]]に残された財宝を巡り、[[トーリン>トーリン二世]]ら[[ドワーフ]]と、[[湖の町の人間>湖の人]]・[[森の王国]]の[[エルフ]]が対立することになる。そこに[[オーク]]([[ゴブリン]])と[[ワーグ]]が加わったことで[[五軍の合戦]]が引き起こされた。
その後「''竜の黄金病''」にとりつかれた[[湖の町の統領]]は、町の復興に充てられるはずだったはなれ山の黄金を持ち逃げし、仲間に見捨てられて荒野でのたれ死にしたという。再建された[[谷間の国]]の王となった[[バルド]]の援助で湖の町も再建されたが、スマウグの死体を恐れて、以前あった場所よりも北に移った。

その後「''竜の黄金病''」にとりつかれた[[湖の町の統領]]は、町の復興に充てられるはずだったはなれ山の黄金を持ち逃げし、仲間に見捨てられて荒野でのたれ死にしたという。再建された[[谷間の国]]の王となった[[バルド]]の援助で[[湖の町>エスガロス]]も再建されたが、スマウグの死体を恐れて、以前あった場所よりも北に移った。かつて町があった浅い水域では、天気が穏やかな日にはスマウグの巨大な骨が横たわっているのが水面から見えたという。その鎧であった宝石は共に水底に眠っていたが、龍への恐れから取りに行く者はいなかった。

『[[指輪物語]]』[[追補編]]および『[[終わらざりし物語]]』の記述によると、[[指輪戦争]]の前にスマウグが倒されたのは幸運であり、もしそうでなかったら[[サウロン]]に利用されたスマウグが[[エリアドール]]を席巻し、[[裂け谷]]をも襲撃していたかもしれないと[[ガンダルフ]]は語っている。

>「じゃが事態はずっと別の方向に進み、はるかに悪化したかもしれぬところじゃった。お前さんたちが、[[ペレンノール野の大合戦>ペレンノール野の合戦]]のことを考える時は、[[谷間の国]]の戦いと[[ドゥリン一族]]の武勇を忘れるんじゃないぞ。ひょっとしたらあり得た事態を考えてもみるがいい。[[エリアドール]]を[[竜]]の火と野蛮な剣が荒れ狂い、[[裂け谷]]には夜が訪れる。[[ゴンドール]]に[[妃>アルウェン]]はおわさぬことになったかもしれぬ。わしらにしてもこの地における勝利からただ廃墟と灰の中に戻ることを望むしかなかったかもしれぬ。じゃが、これはさけられた。それももともとはといえば、ある春の初めの夕べ、[[ブリー村]]でわしが[[トーリン・オーケンシールド>トーリン二世]]に出会ったからじゃ。[[中つ国]]でいうめぐり会いというやつじゃのう。」((『[[指輪物語]] [[追補編]]』 [[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]における[[ガンダルフ]]の言葉))

*** 画像 [#ifb84847]

&ref(Conversation with Smaug by Tolkien.jpg,,25%,トールキン作画「スマウグと話す」); &ref(Death of Smaug by Tolkien.jpg,,30%,トールキンのスケッチ「スマウグの死」); &ref(smaugbyterashima.jpg,,30%,寺島龍一作画によるスマウグ);

*** グッズ [#Goods]

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** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#yfe0afe4]

第一紀に[[怒りの戦い]]を生き延びた竜で、スマウグとは同族の姉妹にあたるウトゥムコドゥール(Utumkodur)という雌竜が登場する。この竜はスマウグと同等の大きさと力で、第二紀の初めに東方に向かい、そこに住む人間に崇拝されたという。詳細は[[ウォマウ]]、[[ウォマワス・ドラス]]を参照。
[[アンカラゴン]]の直接の子供たち内の一匹で、第一紀の[[怒りの戦い]]を生き延びて[[灰色山脈]]に逃れたとされる。また、スロクマウ(Throkmaw)、ルインガルス(Ruingurth)、ウトゥムコドゥール(Utumkodur)といった兄弟たちが登場する。

姉に当たるウトゥムコドゥール(Utumkodur)はスマウグと大きさも力もスマウグと同等で、第二紀の初めに東方に向かい、そこに住む人間に崇拝されたという。詳細は[[ウォマウ]]、[[ウォマワス・ドラス]]を参照。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|[[ベネディクト・カンバーバッチ]](モーションキャプチャ及び声)|
|~日本語吹き替え|[[大友龍三郎]]|

カンバーバッチは声を担当しただけでなく、モーションキャプチャで表情を取り込み、CGで描かれるスマウグの表情の参考にされているほか、「CG制作者にインスピレーションを与えたい」と、全身でスマウグを表現しつつ収録が行われた。
全長については詳しく言及されていないため諸説あるが、少なく見積もっても60m以上、最大で140m程だと言われている(前者はエレボールの金貨一枚の直径から、後者はメイキング映像で比較対象として並んで映されていた旅客機の全長から推定)。これは原作の推定全長20m前後を遥かに上回る大きさである。

劇場公開時の『思いがけない冒険』では、原作の描写や[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]の絵と同じ、四本足でさらに翼があるデザインの予定だったが、二作目となる『竜に奪われた王国』では前足と翼が一体化したデザインに変更されており、『思いがけない冒険』でスマウグの前足が一瞬描かれたシーンも、DVD/BD版では翼に修正されている。
原作では、宝石で固め損ねたとされている弱点の左胸は、本来あるべき鱗が[[谷間の国]]を襲った際に、[[ギリオン]]の[[黒い矢]]を受けて一枚だけ剝がれたという設定になっている。

『竜に奪われた王国』で[[トーリンたち>トーリンとその仲間]]は、[[エレボール]]内の溶鉱炉などを使ってスマウグと戦うが倒すことはできず、スマウグは[[エスガロス]]の人々を巻き込んで殺すために飛び立っていった。

『決戦のゆくえ』では、はがれていた鱗を[[バルド]]に見つけられ([[ビルボ]]が見つけた弱点を[[ツグミ]]によって知らされる描写はなく、ギリオンの矢が鱗をはぎ取ったことが人々に伝承されていた形となった)、黒い矢によって仕留められる。だが、その後のトーリンの財宝に対する執着・言動に、スマウグの呪いのような影響が現れていることが強く示されており、トーリンの声の一部が、スマウグの声と合成されている場面もある。

*** 画像 [#t91bd33e]

&ref(0748.jpg,,25%,『ホビット』におけるスマウグ);&ref(vlcsnap-00015.jpg,,25%,『ホビット』におけるスマウグ);&ref(vlcsnap-00019.jpg,,25%,『ホビット』におけるスマウグ);

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