#author("2023-12-22T01:23:54+09:00","","")
* シンゴル [#j4657de7]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|人名|
|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Thingol|
|~その他の呼び名|エルウェ(Elwë)、エル(Elu)、シンダコルロ(Sindacollo)、シンゴルロ(Singollo)、灰色マント王(Greymantle)|
|~その他の呼び名|エルウェ(Elwë) &br; エル(Elu) &br; シンゴルロ(Singollo) &br; 灰色マント王(King Greymantle) &br; 隠れた王(Hidden King) &br; ベレリアンドの王(Lord of Beleriand)|
|~種族|[[エルフ]]([[シンダール]])|
|~性別|男|
|~生没年|~[[第一紀]]|
|~親||
|~生没年|[[二つの木の時代]]~†[[第一紀]](502)|
|~兄弟|[[オルウェ]](弟)、[[エルモ]](弟)|
|~配偶者|[[メリアン]]|
|~子|[[ルーシエン]](娘)、[[トゥーリン]](養子)|

** 解説 [#Explanation]

名は[[シンダール語]]で「灰色マント」の意。[[クウェンヤ]]ではシンダコルロまたはシンゴルロ(これも「灰色マント」の意)と呼ばれる。元来の名はクウェンヤでエルウェ(これをシンダール語にするとエル)。
[[オルウェ]]と([[終わらざりし物語]]によると)[[エルモ]]の兄。[[メリアン]]の夫で[[ルーシエン]]の父。[[ノルドール]]の王[[フィンウェ]]の友。
[[ドリアス]]の王であり、また[[ベレリアンド]]における全ての[[テレリ]]族の[[上級王]]でもあるとされていた。
[[シンダリン]]で「灰色マント(Grey-mantle)」の意。[[クウェンヤ]]形はシンゴルロ((シンダコルロ(Sindacollo)の形もある。))。元来の名はクウェンヤで''エルウェ''であり、このシンダリン形がエルである。よってクウェンヤでエルウェ・シンゴルロ、シンダリンでエル・シンゴル、すなわち「灰色マントのエルウェ」とも呼ばれる。
[[マイア>マイアール]]の[[メリアン]]の夫となり、[[ルーシエン]]の父となる。[[オルウェ]]と([[終わらざりし物語]]によると)[[エルモ]]の兄。

[[星々の時代]]から[[太陽の第一紀>第一紀]]まで存在した[[隠れ王国]][[ドリアス]]の王であり、また[[ベレリアンド]]における全ての[[テレリ]]族の[[上級王]]でもあるとされていた。彼の率いる民が[[シンダール]]である。
彼は[[大海]]の東に住む[[ウーマンヤール]]の王であったが、彼自身は[[アマン]]で[[二つの木]]の光を目にしたことのある[[光のエルフ>上のエルフ]]であった。
帯びる剣の名は[[アランルース]]。

>歓喜してかれのまわりに集う友人縁者たちは、驚嘆してかれを仰いだ。なぜなら、もともと美しくもあり気高くもあったとはいえ、今やかれは、[[マイアール]]の高貴な者の一人であるかのように見えたからである。髪は銀灰色、背丈は[[イルーヴァタールの子ら]]の中で最も高かった。そのかれの前には、並々ならぬ宿命が置かれていたのである。((『[[シルマリルの物語]]』「エルダマールとエルダリエの公子たちのこと」))

*** アマンの目撃とテレリの旅の先導、そして行方不明 [#gf96a678]

彼は[[エルフ]]たちを[[アマン]]に招くためにそれぞれの部族の代表として選ばれた三人の使節の一人であり、[[オロメ]]によってアマンに連れていかれ、この地の素晴らしさを目撃。[[クイヴィエーネン]]から西方への旅を行うように[[テレリ族>テレリ]]を説得する。エルウェは[[オルウェ]]と共にテレリの旅を率いたが、[[ナン・エルモス]]で[[メリアン]]に出会い、彼女に魅せられて消息を絶った。
彼は[[エルフ]]たちを[[アマン]]に招くために、[[ヴァラール]]によってそれぞれの部族の代表として選ばれた三人の使節の一人だった。エルウェは、[[イングウェ]]、[[フィンウェ]]と共に[[オロメ]]に連れられてアマンに到り、その地の素晴らしさと[[二つの木]]の光を目撃する。
[[クイヴィエーネン]]に戻った彼らは、ヴァラールの招致に応じて西方への移住を行うよう仲間達を説得し、[[大いなる旅]]でエルウェは弟の[[オルウェ]]と共に[[テレリ]]族を率いてアマンを目指した。

*** ドリアスの王 [#x975231c]
しかしエルウェは、しばしば友の[[フィンウェ]]に会うために民から離れることがあり、ある時その帰りに[[ナン・エルモス]]の森で[[メリアン]]と出会った。メリアンに魅せられたエルウェは彼女の手を取り、二人はそのまま森の木々が高く深く生い茂るまで立ちつくしていた。
そのためテレリの縁者達は彼の行方を捜し回ったものの見つけることができず、エルウェは仲間達から消息を絶った。

エルウェはメリアンの面影にアマンの光を見たため満足し、アマンへ渡ることを断念する。やがて[[メリアン]]と共に再びテレリの前に現れたエルウェは[[ドリアス]]を統治するようになり、この地の[[シンダール]]の王にして、[[ベレリアンド]]の全てのテレリ族の王となった。以後エルウェの名は[[シンダール語]]でシンゴルと呼ばれる。メリアンとの間には、一人娘の[[ルーシエン]]をもうけた。
*** ドリアスの灰色マント王 [#x975231c]

シンゴルは、[[中つ国]]に帰還した[[ノルドール]]に対しては、弟[[オルウェ]]の娘[[エアルウェン]]を母に持つ[[フィナルフィン]]の子供たち以外のドリアスへの立ち入りを許さず、[[アマン]]での[[同族殺害]]の事実を知ると[[クウェンヤ]]の使用を禁止した。
やがて魔法から醒めたエルウェと[[メリアン]]は[[ナン・エルモス]]を後にし、彼を探して[[アマン]]へ渡ることのできなかった[[テレリ]]の民と再会する。エルウェにもアマンへ焦がれる気持ちはあったものの、メリアンの面影にかの地の光を見ることができたためそれに満足し、西方へ渡ることを断念する。

シンゴルは当初[[人間]]を蔑視しており、[[ルーシエン]]に求婚した[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]に対し、頑なな姿勢を見せた。そこで、もしルーシエンを手に入れたければ、[[モルゴス]]のもとから[[シルマリル]]を持ってくるようにベレンに要求、暗に彼を葬ろうとした(このことが、シンゴルを[[マンドスの呪い]]に結びつけたとも言われる)。
ところがルーシエンがベレンを助けるためにドリアスを出奔し、彼女の力を借りてベレンは実際にモルゴスの元にまで行って(一時的にとはいえ)シルマリルを手にした。二人の偉業を知ったシンゴルは態度を軟化。ベレンとルーシエンの婚約を認めた。
彼は[[ベレリアンド]]の中央にエグラドール、後に[[ドリアス]]と呼ばれる王国を築き、[[大海]]の東に留まる全てのテレリ族の王と見なされるようになった。以後エルウェは[[シンダリン]]で「灰色マントのエルウェ」を意味する''エル・シンゴル''と呼ばれるようになる。
彼の民は後に[[シンダール]](灰色エルフ)と呼ばれ、シンゴルの威光とメリアンの智慧に照らされて[[ウーマンヤール]]の中で最も技と叡智に優れたエルフとなった。かれらは[[星々の時代]]の[[中つ国]]にあって平和を謳歌し、シンゴルの王権は海岸沿いの[[ファラス]]から[[青の山脈>エレド・ルイン]]にほど近い[[オッシリアンド]]にいたるまであまねく及んだ。そのため彼は''べレリアンドの王''を自称した。
この時代に、メリアンとの間に一人娘の[[ルーシエン]]をもうける。

その後シンゴルは、ベレンの片手ごと食らったシルマリルに体内を焼かれて暴れ回る[[カルハロス]]を狩るため、ベレンと[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]、[[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]らと共に出発。その時シンゴルはカルハロスに襲われたが、ベレンがシンゴルを助け、身代わりになって死んだ。
ルーシエンはベレンを追って生身の命を捨てて[[アマン]]へ去り、[[ヴァラール]]に嘆願して彼女もまた常命の存在となるのと引きかえに、ベレンと共に[[中つ国]]に帰還した。ベレンとルーシエンは、一度シンゴルに再会すると[[トル・ガレン]]へと去り、その後シンゴルに再び会うことはなかった。
この繁栄の時代にシンダールは[[ドワーフ]]とはじめて出会い、シンゴルは彼らの巧みな細工の技を重用し、ドリアスと青の山脈にある[[ノグロド]]と[[ベレグオスト]]の間には親密な交易関係が築かれた。
そしてメリアンからやがて来たる苦難の時代を予言されたシンゴルは、それに対する備えとしてドワーフの力を借りて壮麗な地下王宮[[メネグロス]]を建造し、ドリアスの王都とする。

以後シンゴルは人間に好意的になった。[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]に敬意を表して、フーリンの息子[[トゥーリン]]を己が養子にしたほどである。トゥーリンが、[[サイロス]]殺害の嫌疑で裁かれるのを拒んでドリアスを去り行方知れずになった時には、シンゴルは大いに悲しんだ。
やがてメリアンの予言通り、[[二つの木]]を害して[[アマン]]から逃亡してきた[[モルゴス]]が[[中つ国]]に帰還し、平和な時代が終わる。モルゴスは北方で[[アングバンド]]を再建すると、再び中つ国を支配するため暗闇と[[オーク]]の軍勢を送り出してドリアスを攻撃した([[ベレリアンド最初の合戦]])。
国土を分断されたシンゴルはメリアンの力によってドリアスを[[魔法帯]]で囲み、モルゴスの攻撃を阻む。とはいえ、シンゴルはベレリアンドを恣に蹂躙するモルゴスの軍勢を退ける力は持たなかった。

シンゴルは、カルハロスの腹から取り出されたシルマリルを保管していた。またシンゴルのもとに、フーリンが[[ナルゴスロンド]]から[[ナウグラミーア]]を持ってきた。するとシンゴルはこの二つの宝を、一つの品にすることを考えつく。彼は[[青の山脈]]にある[[ノグロド]]の[[ドワーフ]]を[[メネグロス]]に呼び、この仕事を請け負わせた。
ところがシルマリルとナウグラミーアの素晴らしさを妬んだドワーフは、一つに合わさったシルマリルとナウグラミーアの所有権を主張する。するとシンゴルはドワーフたちに挑発で応えたため、メネグロスの地下の作業場でドワーフに殺された。
*** ノルドールとの確執 [#gf54c7f7]

ドリアスの王位は、ベレンとルーシエンの子である[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]が継いだ。
やがて[[モルゴス]]を追ってきた流謫の[[ノルドール]]が[[中つ国]]に帰還して[[太陽の第一紀>第一紀]]が始まると、ノルドールの武勇によって[[オーク]]の軍勢は駆逐され、[[モルゴス]]は北方に封じ込められた。
シンゴルはかれらに[[ヒスルム]]や[[ドルソニオン]]および[[東ベレリアンド]]の無人の地に定住する許しを与えたが、多くの公子達が自らの領土に侵入してきたことを必ずしも快く思わず、またモルゴスの脅威が完全に去ったわけでもないため、[[魔法帯]]を取り除くことをしなかった。ノルドールの公子達の目にはシンゴルのこの態度は傲慢で冷淡なものと映り、少なからぬ反感を買う。
ノルドールの[[上級王]][[フィンゴルフィン]]が催した[[メレス・アデルサド]]にも、シンゴルは[[ダエロン]]と[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]のみを名代として送るという冷淡な対応を取った。

シンゴルは当初からノルドール帰還の理由について疑念を抱いていた。やがて[[シルマリル]]を巡る事件と[[アルクウァロンデ]]での[[同族殺害]]の真実を知るにいたり、アマンの同族に対して加えられたこの仕打ちに激怒。ノルドールの言葉である[[クウェンヤ]]の使用を一切禁止する命令を[[シンダール]]に発する。これが後の時代の[[中つ国]]においてクウェンヤが古雅語としてしか用いられなくなる原因となった。

しかし、同族殺害に直接の責任のない[[フィナルフィン]]の子らに対しては、かれらが[[テレリ]]の[[エアルウェン]]を母(祖母)に持ちシンゴル自身と縁続きであることもあり、当初から同情的であった。
ノルドールの通過を拒む魔法帯もかれらに対してだけは開かれることとなり、[[フィンロド]]はシンゴルの影響を受けて[[ナルゴスロンド]]を築き、また[[ガラドリエル]]は長くドリアスに滞在して[[メリアン]]の教えを受けると共に、シンゴルの縁者である[[ケレボルン]]と結婚した。

シンゴルはメリアンの助言を容れて、シルマリルを巡るノルドール族の戦いには極力不干渉の立場を取り、[[マエズロスの連合]]にも参加しなかった。
ドリアスは魔法帯の守りによって戦禍を免れ、度重なる合戦においてもドリアスから兵が出されることはほとんど、あるいは全くなかった。

*** ルーシエンへの愛、ベレンに対する難題と和解 [#ab011c44]

すべての[[イルーヴァタールの子ら]]の中で最も美しいとされる一人娘の[[ルーシエン]]を、シンゴルは何にもまして大切に思っていた。
シンゴルは当初[[人間]]を蔑視しており、そのため[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]が運命に守られて[[魔法帯]]を突破し、ルーシエンと恋に落ちると、シンゴルは大いに悲憤する。だがベレンを殺さないとルーシエンに誓言を立ててしまったため、「ルーシエンと結婚したくば[[モルゴス]]の[[鉄の王冠]]から[[シルマリル]]の一つを手に入れてくるように」とベレンに要求、暗に彼を葬り去ろうとした。
このことが、シンゴルと[[ドリアス]]を[[マンドスの呪い]]に結びつけてしまうことになった。それを予見した[[メリアン]]は'''たとえベレンがその使命に失敗しましょうと、あるいは成就して戻りましょうと、殿のお為にはなりませぬ。殿は、殿の娘を、でなければ、殿御自身を滅びの運命に定めてしまわれたのです'''と言っている((『[[シルマリルの物語]]』「ベレンとルーシエンのこと」))。

ベレンが旅立ったあと、ルーシエンがベレンを助けるためにドリアスを出奔しようとしていたことを[[ダエロン]]の密告によって知ると、シンゴルは[[橅]]の大樹[[ヒーリルオルン]]の上に家を建てさせてそこにルーシエンを軟禁したが、ルーシエンは眠りのまじないを使って脱出し、そのまま行方知れずとなる。
やがてルーシエンを[[ナルゴスロンド]]に捕らえた[[ケレゴルム]]が、彼女を妻にするつもりであるという使いをよこした時には、シンゴルは激怒して一戦交えてでもルーシエンを取り戻そうとした。しかしそうなる前に、ルーシエンはまたも消息不明となる。

その後誰も予想しなかったことに、ベレンとルーシエンが探索を成功させ、本当に[[アングバンド]]のモルゴスの玉座まで辿り着いてシルマリルの一つを一時的にだが手にしてドリアスに戻ってくる。ベレンが、[[カルハロス]]によって食いちぎられ、シルマリルごと失った自分の片手を差し出してカムロスト(空手)を名乗ると、シンゴルは態度を軟化させ、二人の話を聞くうちにベレンの偉大さを認めるようになる。そしてついに、自分の玉座の前で二人の婚約を認めた。
しかし二人の帰還に先立ち、シルマリルを呑み込んで猛り狂ったカルハロスが領内に侵入し、恐ろしい災禍をもたらしていた。シンゴルは、ベレンと[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]、[[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]らと[[フアン]]を連れて狼狩りを決行する。この時ベレンがカルハロスの攻撃からシンゴルを庇い、致命傷を受ける。ベレンは今際の際に取り戻されたシルマリルをシンゴルに差し出し、ここに彼の誓言の成就された。さらにルーシエンは生身の命を捨て、死んだベレンの後を追って[[マンドスの館]]へ去る。

この時、'''死すべき命の人間に白髪の老年がある如く、シンゴルにも冬が訪れた'''という。
しかし、ルーシエンは[[ヴァラール]]に嘆願して彼女もまた[[常命>死すべき運命]]の存在となるのと引きかえに、ベレンと共に[[中つ国]]に生還する。ベレンとルーシエンは、一度シンゴルに再会すると[[トル・ガレン]]へ去り、その後再びシンゴルに会うことはなかった。

以後シンゴルは人間に対して好意的となり、[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]の息子[[トゥーリン]]がドリアスを訪れた際には、[[ニルナエス・アルノエディアド]]などで奮戦したフーリンに敬意を表してトゥーリンを養子に迎え、周囲を驚かせた。トゥーリンが、[[サエロス]]殺害の嫌疑で裁かれるのを拒んでドリアスを去り行方知れずになった時には、シンゴルは大いに悲しんだ。

*** シルマリルとナウグラミールを巡る悲劇 [#a546e6ea]

シンゴルは、ベレンとルーシエンが取り戻した[[シルマリル]]を手元に置いていたが、やがてこれに心を奪われるようになる。
[[トゥーリン]]の死後、[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]が[[ナルゴスロンド]]の廃墟から[[ナウグラミール]]を持ち出してきてシンゴルの許にもたらすと、シンゴルはシルマリルをナウグラミールに嵌めこんで一つの宝とすることを思いつく。彼は[[メネグロス]]に滞在していた[[ノグロド]]の[[ドワーフ]]の一団にこの仕事を請け負わせた。
ところが、シルマリルとナウグラミールの素晴らしさに心を奪われたドワーフは、口実を設けてこの宝物の権利を主張する。それを察して怒りに駆られたシンゴルは用心を忘れて彼らの只中で侮辱的な言葉を返し、報酬の支払いを拒否。そのため、シンゴルはメネグロスの地下の作業場でドワーフ達に殺された。

>こうして、ドリアスの王エルウェ・シンゴルロは、メネグロスの地下深きところで死んだのである。イルーヴァタールの子らの中で、かれだけがアイヌルの一人と結ばれていた。そして、中つ国に置き去られたエルフの中でただ一人、ヴァリノールの二つの木の光をその目で見たことのあるかれは、今、死にゆく目でシルマリルを見つめたのである。((『[[シルマリルの物語]]』「ドリアスの滅亡のこと」))

シンゴルの死を嘆き悲しんだ[[メリアン]]は[[アマン]]へ去り、[[ドリアス]]の[[魔法帯]]は消失する。このためにドリアスはノグロドのドワーフの報復に対し無防備となり、荒廃し財宝は奪い取られた。[[トル・ガレン]]の[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]は息子の[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]と[[緑のエルフ]]を連れてドワーフ達を攻撃し、シルマリルとナウグラミールを取り返した。
この一件は、その後の長きにわたって[[ドワーフ]]と[[シンダール]]の間に遺恨を残し、両種族の不仲の原因となった。

ドリアスの王位は[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]が継いで王国の再建を図ったものの、再びシルマリルを巡って[[フェアノールの息子たち]]の襲撃を受け、ドリアスは完全に滅亡した。

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