#author("2016-12-21T13:27:47+09:00","","")
#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2023-12-15T19:21:44+09:00","","")
* シルマリルの物語 [#fe783f56]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[関連物]]|
|~カテゴリー|[[書籍・資料等]]|
|~スペル|The Silmarillion|
|~異訳|[[シルマリルリオン]]|
|~異訳|[[シルマリッリオン]]|

** 解説 [#Explanation]

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『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』の前史となる本。[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]はこれを完成する前に他界。死後に息子の[[クリストファー>クリストファー・トールキン]]の編集を経て、1977年に出版された。
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『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』の前史となる本。

作中では、唯一なる神[[エル>イルーヴァタール]]による地球([[アルダ]])の創造、アルダの支配権を争う[[ヴァラール]]と[[メルコール]]の戦い、[[エルフ]]、[[人間]]、[[ドワーフ]]の誕生、エルフの[[中つ国]]から[[至福の国>アマン]]への移動、[[シルマリル]]を巡る[[ノルドール・エルフ>ノルドール]]の中つ国帰還と[[ベレリアンド]]での戦い、[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]と[[ルーシエン]]の物語、[[トゥーリン・トゥランバール>トゥーリン]]の闘い、[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]の航海までの[[第一紀]]の物語、[[ヌーメノール]]の繁栄と没落、[[指輪戦争]]に至るまでの話([[第二紀]]と[[第三紀]])、そして索引と[[エルフ語]]に関する資料が掲載されている。[[エルフ]]、[[ドワーフ]]、[[人間]]のことはあるが、[[ホビット]]のことにはほとんど触れられていない。
作中では、唯一なる神[[エル>イルーヴァタール]]による地球([[アルダ]])の創造、アルダの支配権を争う[[ヴァラール]]と[[メルコール>モルゴス]]の戦い、[[エルフ]]、[[人間]]、[[ドワーフ]]の誕生、エルフの[[中つ国]]から[[至福の国>アマン]]への移動([[大いなる旅]])、[[シルマリル]]を巡る[[ノルドール・エルフ>ノルドール]]の中つ国帰還と[[ベレリアンド]]での[[モルゴス]]との戦い([[宝玉戦争]])、[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]と[[ルーシエン]]の物語([[レイシアン]])、[[トゥーリン・トゥランバール>トゥーリン]]の闘い([[ナルン・イ・ヒーン・フーリン]])、[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]の航海までの[[第一紀]]の物語、[[ヌーメノール]]の繁栄と没落([[アカッラベース]])、[[指輪戦争]]に至るまでの経緯([[第二紀]]と[[第三紀]])、そして索引と[[エルフ語]]に関する資料が収録されている。[[エルフ]]、[[ドワーフ]]、[[人間]]のことはあるが、[[ホビット]]のことにはほとんど触れられていない。

『[[指輪物語]]』序章にある、'''([[西境の赤表紙本]]の写本のうち)[[フィンデギル]]の筆写した写本の一番重要な点は、この本にだけ、[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]が「[[エルフ語]]から翻訳したもの」のすべてがのせられていることである。その三巻は、一四〇三年から一四一八年の間に、ビルボが[[裂け谷]]であたれるだけの資料にあたり、聞ける限りのひとに聞いて書いた、博識達文の著作であった。'''とはこの本の事と考えられ、ビルボ・バギンズの編纂によって当世に伝えられたという形になっていると思われる(ただし先述の通りトールキンはこの本を完成させる前に死去したため、その構想は不完全な物となっている)。
『[[指輪物語]]』序章にある、'''([[西境の赤表紙本]]の写本のうち)[[フィンデギル]]の筆写した[[写本>セイン本#inGreatSmials]]の一番重要な点は、この本にだけ、[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]が「[[エルフ語]]から翻訳したもの」のすべてがのせられていることである。その三巻は、一四〇三年から一四一八年の間に、ビルボが[[裂け谷]]であたれるだけの資料にあたり、聞ける限りのひとに聞いて書いた、博識達文の著作であった。'''とはこの本の事と考えられ、ビルボ・バギンズの編纂と[[フロド・バギンズ]]の整理によって当世に伝えられたという形になっていると思われる(ただし後述にあるように[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]はこの本を完成させる前に死去したため、その構想はやや不完全な物となっている)。

この本に採用されなかったトールキンの原稿や草稿などは、『[[終わらざりし物語]]』や『[[The History of Middle-earth]]』に収録されている。

*** 目次 [#t21d1294]

-[[アイヌリンダレ]] (AINULINDALË)
--[[アイヌア]]の音楽 (The Music of the Ainur)
--[[アイヌル]]の音楽 (The Music of the Ainur)
-[[ヴァラクウェンタ]] (VALAQUENTA)
--[[ヴァラール]]と[[マイアール]]のこと――[[エルダール]]の伝承による (Account of the Valar and Maiar according to the lore of the Eldar)
-[[クウェンタ・シルマリルリオン]]――シルマリルの物語 (QUENTA SILMARILLION The History of the Silmarils)
-[[クウェンタ・シルマリッリオン]]――シルマリルの物語 (QUENTA SILMARILLION The History of the Silmarils)
--第一章 世の始まりのこと (Of the Beginning of Days)
--第二章 [[アウレ]]と[[ヤヴァンナ]]のこと (Of Aulë and Yavanna)
--第三章 [[エルフ]]たちの到来と虜囚となった[[メルコール]]のこと (Of the Coming of the Elves and the Captivity of Melkor)
--第三章 [[エルフ]]たちの到来と虜囚となった[[メルコール>モルゴス]]のこと (Of the Coming of the Elves and the Captivity of Melkor)
--第四章 [[シンゴル]]と[[メリアン]]のこと (Of Thingol and Melian)
--第五章 [[エルダマール]]と[[エルダリエ]]の公子たちのこと (Of Eldamar and the Princes of the Eldalië)
--第六章 [[フェアノール]]と鎖から解き放たれたメルコールのこと (Of Fëanor and the Unchaining of Melkor)
--第七章 [[シルマリル]]と[[ノルドール]]不穏のこと (Of the Silmarils and the Unrest of the Noldor)
--第八章 [[ヴァリノール]]に暗闇の訪れたこと (Of the Darkening of Valinor)
--第九章 ノルドール族の逃亡のこと (Of the Flight of the Noldor)
--第十章 [[シンダール]]のこと (Of the Sindar)
--第十一章 [[太陽]]と[[月]]と[[ヴァリノール隠し>ヌアタレ・ヴァリノーレヴァ]]のこと (Of the Sun and Moon and the Hiding of Valinor)
--第十一章 [[太陽]]と[[月]]と[[ヴァリノール隠し>ヌルタレ・ヴァリノーレヴァ]]のこと (Of the Sun and Moon and the Hiding of Valinor)
--第十二章 [[人間]]のこと (Of Men)
--第十三章 ノルドール族の[[中つ国]]帰還のこと (Of the Return of the Noldor)
--第十四章 [[ベレリアンド]]とその国土のこと (Of Beleriand and Its Realms)
--第十五章 ベレリアンドのノルドール族のこと (Of the Noldor in Beleriand)
--第十六章 [[マイグリン]]のこと (Of Maeglin)
--第十六章 [[マエグリン]]のこと (Of Maeglin)
--第十七章 西方に人間の来住せること (Of the Coming of Men into the West)
--第十八章 ベレリアンドの滅亡と[[フィンゴルフィン]]の死のこと (Of the Ruin of Beleriand and the Fall of Fingolfin)
--第十九章 [[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]と[[ルーシエン]]のこと (Of Beren and Lúthien)
--第二十章 第五の合戦、[[ニアナイス・アルノイディアド]]のこと (Of the Fifth Battle: Nirnaeth Arnoediad)
--第十九章 [[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]と[[ルーシエン]]のこと (Of Beren and Lúthien)
--第二十章 第五の合戦、[[ニルナエス・アルノエディアド]]のこと (Of the Fifth Battle: Nirnaeth Arnoediad)
--第二十一章 [[トゥーリン・トゥランバール>トゥーリン]]のこと (Of Túrin Turambar)
--第二十二章 [[ドリアス]]の滅亡のこと (Of the Ruin of Doriath)
--第二十三章 [[トゥオル]]と[[ゴンドリン]]の陥落のこと (Of Tuor and the Fall of Gondolin)
--第二十四章 [[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]の航海と[[怒りの戦い]]のこと (Of the Voyage of Eärendil and the War of Wrath)
-[[アカルラベース]] (AKALLABÊTH)
-[[アカッラベース]] (AKALLABÊTH)
--[[ヌーメノール]]の没落 (The Downfall of Númenor)
-[[力の指輪]]と[[第三紀]]のこと (OF THE RINGS OF POWER AND THE THIRD AGE)
--力の指輪と第三紀のこと

*** 出版までの経緯 [#b55191ad]

[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は、『ホビットの冒険』執筆以前から断片的に本作に含まれる内容の著述を続けており、『ホビットの冒険』においてもごくわずかだが本作の内容について触れる記述がある(エルフとドワーフの確執、[[エルロンド]]についての記述、[[グラムドリング]]と[[オルクリスト]]の由来についてなど)。
『[[指輪物語]]』ではそれがより顕著になり、[[ベレン]]、[[トゥーリン]]、[[エアレンディル]]など多数の固有名詞が引用されることになったが、それらについての説明は『指輪物語』本編では記述されていない。
そのためトールキンは『[[シルマリルの物語]]』を『指輪物語』と同時に出版することを希望していたが、とても完成が間に合わないとして見送られ、その一部が[[追補編>指輪物語/追補編]]に収録されるのみとなった。

『指輪物語』の発売と大ヒットを受け、本書(に含まれる物語)を求める読者からの声が多数上がり、トールキンは『シルマリルの物語』の執筆を再開する。だがトールキンの遅筆、また完璧主義による改稿が重なったことなどにより完成は遅れ、トールキンは完成前の1973年に他界した。そこで本作引き継ぎの準備を受けていた息子の[[クリストファ>クリストファ・トールキン]]の編集を経て、1977年に出版された。

クリストファは、同一人物などについての複数の異なる設定案を取捨選択したり、書きかけのままで終わってしまった部分をやむなく放棄したりして、整理しひとつの物語に繋げる必要に迫られた。その結果この本に採用されなかったトールキンの原稿や草稿などは、『[[終わらざりし物語]]』や『[[The History of Middle-earth]]』などに収録されている。またこれらの本の記述をクリストファが纏めて再編集し、物語の一部分をピックアップして解説を加えた『[[The Children of Húrin]]』『[[ベレンとルーシエン]]』『[[The Fall of Gondolin]]』がある。

*** 日本語版について [#odf84ee3]

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『ホビットの冒険』『指輪物語』の翻訳を行った[[瀬田貞二]]が1979年に他界したため、[[指輪物語]]で瀬田を手伝った[[田中明子]]が翻訳を勤めた。
日本語版は、1981年から1982年にかけて上下巻にわけた版が出版された後、2003年に[[新版]]が出版された。[[旧版]]では上下別巻だったものが、新版では一冊に纏められた。また新版では原書のSecond Editionを底本にしており、冒頭にトールキンの手紙(『[[The Letters of J.R.R.Tolkien]]』Letter131)の文章が入っているほか、クリストファ・トールキンによる修正も入っている。また[[エルフ語]]の日本語表記も、より正しい発音に近いと思われる片仮名表記に改められた。

2020年12月に、英語版の最新版の内容を反映し、さらに固有名詞を中心に翻訳の大幅な変更が行われた、日本語版電子書籍の『指輪物語』『シルマリルの物語』が公開された(固有名詞の変更については[[電子書籍版/翻訳対比表]]を参照)。最初Apple Booksで公開、その後Kindleで公開されている。また書籍文庫版が上下巻分冊という形で、2023年11月に発売されることになった。

- [[書籍版 新版 シルマリルの物語:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456602377X/arda-22]]
- [[Kindle電子書籍版 新版 シルマリルの物語:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0B515HQC8/arda-22]]
- [[最新版 シルマリルの物語 上(文庫版):https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4566023966/arda-22]]
- [[最新版 シルマリルの物語 下(文庫版):https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4566023974/arda-22]]

*** 標題紙のテングワール [#h0effa81]

&ref(Silmarillion_title_tengwar1.jpg,,10%,『シルマリルの物語』標題上部);
&ref(Silmarillion_title_tengwar2.jpg,,10%,『シルマリルの物語』標題下部);

>the tales of the first aje when morgoth dwelt in middle earth
and the elves made wor upin him for the rekoverí of the silmarils,
to which are appended the downfall of numenor and the historí of the
rings of powr and the third aje in which these tales kome to their end
>The tales of [[First Age>第一紀]] when [[Morgoth>モルゴス]] dwelt in [[Middle-earth>中つ国]] and the [[elves>エルフ]] made [[war>宝玉戦争]] upon him for recovery of [[the Silmarils>シルマリル]], to which are appended the Downfall of [[Númenor>ヌーメノール]] and the history of [[the Rings of Power>力の指輪]] and [[the Third Age>第三紀]] in which these tales come to their end
>ð taləs v ð first ajə ƕen morgoþ dwelt in middlə earþ
nd ð elvəs madə wor upin him for ð rekoverī %%%v%%% silmarils
to ƕich arə appended ð downfall v numenor nd ð historī %%%v%%%
riŋs v powr nd ð þird ajə in ƕič ðesə taləs komə to ðeir end
>The tales of the [[First Age>第一紀]] when [[Morgoth>モルゴス]] dwelt in [[Middle-earth>中つ国]] and the [[elves>エルフ]] made [[war>宝玉戦争]] upon him for the recovery of the [[Silmarils>シルマリル]], to which are appended the Downfall of [[Númenor>ヌーメノール]] and the history of the [[Rings of Power>力の指輪]] and the [[Third Age>第三紀]] in which these tales come to their end

訳し方については、[[フェアノール文字>フェアノール文字#titlepage]]の項を参照。

*** 日本語版について [#odf84ee3]

『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』の翻訳を行った[[瀬田貞二]]が他界したため、[[指輪物語]]で瀬田を手伝った[[田中明子]]が翻訳を勤めた。
日本では、2003年に本書の[[新版]]が出版された。[[旧版]]では上下別巻だったものが、新版では一冊に纏められた。新版では原書のSecond Editionを底本にしており、冒頭にトールキンの手紙の文章が入っているほか、クリストファー・トールキンによる修正も入っている。また[[エルフ語]]の日本語表記も、より正しい発音に近いと思われる片仮名表記に改められた。

** 映像化について [#cc581cd9]

何度か映画化など、映像化の企画は上がっているが、権利を持つ[[クリストファー・トールキン]]が許可していないため、全て実現していない。
何度か映画化など、映像化の企画は上がっているが、権利を持っていた[[クリストファ・トールキン]]と、彼の死後に権利を引き継いだ[[Tolkien Estate]]が許可していないため、実現していない。Tolkien Estate公式サイトには「多くのファンが『シルマリッリオン(シルマリルの物語)』の映画を見たいと願っていることは理解できるが、トールキン・エステートは現在、そのような映画の計画はない。(While understanding the wish of many fans to see a film of The Silmarillion, the Tolkien Estate has no current plans for any such motion picture.)(([[Frequently Asked Questions and Links - The Tolkien Estate:https://www.tolkienestate.com/frequently-asked-questions-and-links/]]))」と表記されている。
『[[ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪]]』では一部に第一紀の描写があるが、あくまでこの作品は『[[指輪物語]]』の映像化権によって制作されており、作中の描写や固有名詞も『[[指輪物語 追補編>指輪物語/追補編]]』に記述があるものに留まっている。

** コメント [#Comment]

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