#author("2018-09-20T21:01:02+09:00","","")
#author("2022-10-26T21:25:37+09:00;2021-10-13T07:55:45+09:00","","")
* グラウルング [#x07cf5a0]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Glaurung|
|~その他の呼び名|龍の始祖、龍たちの祖(father of dragons)&br;黄金龍、金色龍(the Golden)&br;巨大なる長虫、大龍(Great Worm)&br;モルゴスの長虫(Worm of Morgoth)|
|~その他の呼び名|龍の始祖、龍の祖(father of dragons)&br;金色龍グラウルング(Glaurung the golden)&br;巨大なる長虫、大龍(Great Worm)&br;モルゴスの長虫(Worm of Morgoth)|
|~種族|[[龍]]|
|~性別|男|
|~生没年|~†[[第一紀]](499)|
|~生没年|?~†[[第一紀]](499)|
|~子|多数|

** 解説 [#Explanation]

[[モルゴス]]によって生み出され、[[第一紀]]に[[エルフ]]や[[人間]]に対して猛威を振るった[[龍]]で、''龍の始祖''と言われる。翼は持たず空は飛ばないが、口からは炎を吐き、邪言と邪眼による強力な呪縛の力を持っていた。外見は長大かつとぐろを巻くほどしなやかであり、全身が硬い黄金色の鱗に被われているが、下腹は粘着質な柔らかい蛇腹であり、宿命的な弱点となっていた。
[[モルゴス]]によって生み出され、[[第一紀]]に[[エルフ]]や[[人間]]に対して猛威を振るった[[龍]]で、''龍の祖''と言われる。
翼は持たず空は飛ばないが、口からは炎を吐き、邪言と邪眼による強力な呪縛の力を持っていた。外見は長大かつとぐろを巻くほどしなやかであり、全身が硬い黄金色の鱗に被われているが、下腹は柔らかい蛇腹であり、宿命的な弱点となっていた。

>竜とともに恐怖がやってきた。竜は進み始めたが、その針路は真上ではなくわずかに北にそれたので、下で見ている者たちには星々をさえぎる頭の巨大な影が見えた。大きく裂けた顎には、七つの炎の舌があった。その時、竜は前方に熱い息を噴き、たちまち峡谷は一面赤い光に包まれ、岩々の間に黒い影がひるがえった。木々は竜の前にひからびて燃えあがり、石は川に落下した。((『[[終わらざりし物語]]』「ナイン・イ・ヒーン・フーリン」))
>竜とともに恐怖がやってきた。竜は進み始めたが、その針路は真上ではなくわずかに北にそれたので、下で見ている者たちには星々をさえぎる頭の巨大な影が見えた。大きく割けた&ruby(あぎと){顎};には、七つの炎の舌があった。その時、竜は前方に熱い息を噴き、たちまち峡谷は一面赤い光に包まれ、岩々の間に黒い影がひるがえった。木々は竜の前にひからびて燃えあがり、石は川に落下した。((『[[終わらざりし物語]]』「[[ナルン・イ・ヒーン・フーリン]]」))

*** グラウルング最初の襲撃 [#fc60ac78]

[[アングバンドの包囲]]の[[第一紀]]260年に突如[[アングバンド]]より現れて[[アルド=ガレン]]を襲い、[[エルフ]]達を仰天させた。だがその時グラウルングはまだ成長しきっておらず、体をよろう鱗が完全ではなかったため、[[フィンゴン]]の率いる騎馬の弓兵によって矢を射掛けられ、傷ついたグラウルングは[[アングバンド]]に逃げ戻った。モルゴスはグラウルングがあまりにも早くにその存在を露わにしたことに機嫌を損じたという。
[[アングバンドの包囲]]の時代に突如[[アングバンド]]より現れて[[アルド=ガレン]]を襲い、[[エルフ]]達を仰天させた。
だがその時グラウルングはまだ成長しきっておらず、体をよろう鱗が完全ではなかったため、[[フィンゴン]]の率いる騎馬の弓兵によって矢を射掛けられ、傷ついたグラウルングは[[アングバンド]]に逃げ戻った。[[モルゴス]]はグラウルングがあまりにも早くにその存在を露わにしたことに機嫌を損じたという。
この時姿を現したグラウルングの脅威を模して[[テルハール]]が鍛えたのが、後に[[トゥーリン]]が身に帯びることになる[[龍の兜]]である。

*** ダゴール・ブラゴルラハとニアナイス・アルノイディアドでの来襲 [#a81dc757]
*** ダゴール・ブラゴッラハとニルナエス・アルノエディアドでの来襲 [#a81dc757]

完全に成長しきったグラウルングは、455年の[[ダゴール・ブラゴルラハ]]で再び現れ、モルゴスの放った火焔流の先頭を切って出撃し、その後に[[バルログ]]達や[[オーク]]の大軍が続いた。
グラウルングはオークの軍勢と共に[[ロスラン]]から[[マグロールの山間]]を突破し、[[小ゲリオン]]と[[大ゲリオン]]に挟まれた[[マグロール]]の領地を破壊しつくした。
完全に成長しきったグラウルングは[[ダゴール・ブラゴッラハ]]で再び現れ、モルゴスの放った火の川の先頭を切って出撃し、その後に[[バルログ]]達や[[オーク]]の大軍が続いた。
グラウルングはその猛威によって[[ロスラン]]から[[マグロールの山間]]を突破し、[[小ゲリオン]]と[[大ゲリオン]]に挟まれた[[マグロール]]の領地を破壊しつくした。

472年の[[ニアナイス・アルノイディアド]]では[[マイズロス]]と[[フィンゴン]]の軍勢の間に突入して多大な被害を与えたが、[[ベレグオスト]]の[[ドワーフ]]に取り囲まれて戦斧で攻撃された上、ベレグオストの王[[アザガール]]の今際の短剣を弱点である腹に受け、傷付いて逃げ帰った。
[[ニルナエス・アルノエディアド]]では多数の眷属と共に出撃、[[マエズロス]]と[[フィンゴン]]の軍勢の間に突入して多大な被害を与えたが、[[ベレグオスト]]の[[ドワーフ]]に取り囲まれて斧で攻撃された上、ベレグオストの王[[アザグハール]]の今際の短剣を弱点である腹に受け、傷付いて逃げ帰った。

*** ナルゴスロンド襲撃とトゥーリンとの因縁の戦い [#q64e0ad9]
*** ナルゴスロンド寇掠とトゥーリンとの因縁の戦い [#q64e0ad9]

>そして不意にかれは口を利いた。かれの中の悪霊が物を言ったのである。「これはこれは、フーリンの息子よ、よう来たな!」((『[[シルマリルの物語]]』「トゥーリン・トゥランバールのこと」))

グラウルングは495年の[[ナルゴスロンド]]への攻撃で再び現れる。[[オーク]]の軍勢とともに進軍してきたグラウルングは[[エイセル・イヴリン]]を汚し、[[タラス・ディアネン]]を焼き、[[トゥムハラド]]の合戦でナルゴスロンドのエルフ達を敗走させた。ナルゴスロンドの寇掠では[[フィンドゥイラス>フィンドゥイラス(オロドレスの娘)]]を救出するために駆けつけた[[トゥーリン]]を邪眼の力で金縛りにし、フィンドゥイラスら女達が捕虜として連れ去られていくのを目前で見せ付けた上で、彼の母[[モルウェン>モルウェン(バラグンドの娘)]]と妹[[ニエノール]]が危険だと思い込ませる呪縛をかけた。そのためトゥーリンは、母と妹を助けようと[[ドル=ローミン]]に向かってしまい、フィンドゥイラスは[[テイグリンの渡り瀬]]で[[オーク]]に殺されてしまった。
グラウルングは[[ナルゴスロンド]]への攻撃で再び現れる。
[[オーク]]の軍勢と共に進軍してきたグラウルングは[[エイセル・イヴリン]]を汚し、[[タラス・ディルネン]]を焼き、[[トゥムハラド]]の合戦でナルゴスロンドのエルフ達を敗走させた。ナルゴスロンドの寇掠では[[フィンドゥイラス>フィンドゥイラス(オロドレスの娘)]]を救出するために駆けつけた[[トゥーリン]]を邪眼の力で金縛りにし、フィンドゥイラスら女達が捕虜として連れ去られていくのを目前で見せつけた上で、彼の母[[モルウェン>モルウェン(バラグンドの娘)]]と妹[[ニエノール]]が危険だと思い込ませる呪縛をかけた。そのためトゥーリンは、母と妹を助けようと[[ドル=ローミン]]に向かってしまい、フィンドゥイラスは[[テイグリンの渡り瀬]]でオークに殺されてしまった。
その後グラウルングはオーク達を追い払うと、[[ナログ]]川に架かる橋を落とし、財宝を最低の値打ちの品物に至るまで全て集め、ナルゴスロンドの一番奥の広間に積み上げて寝床とし、そこに棲みついた。

グラウルングはナルゴスロンドを滅ぼした後、[[オーク]]達を追い払うと、[[ナログ]]川に架かる橋を落とし、財宝を最低の値打ちの品物に至るまで全て集め、ナルゴスロンドの一番奥の広間に積み上げて寝床とし、そこに棲み付いた。
ナルゴスロンド滅亡の報せを聞き、トゥーリンを捜しに来たモルウェンとニエノール、彼女らを護衛してきた[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]ら[[ドリアス]]の一行がナルゴスロンドにやって来ると、グラウルングはそれを察知してナログ川に身を横たえて毒の水蒸気を発生させ、ドリアスの護衛達を追い払う。さらに蒸気から逃れたニエノールを[[アモン・エシル]]の山頂で待ち受けると、再び邪眼を用いて彼女に心の闇と忘却の呪いを掛けた。このためニエノールは完全に記憶を失い、ついには互いにそれと知らず実兄であるトゥーリンの妻となってしまう。

ナルゴスロンド滅亡の報せを聞き、トゥーリンを捜しに来たモルウェンとニエノールと、彼女らを護衛してきた[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]ら[[ドリアス]]の一行がやって来ると、グラウルングはそれを察知して[[ナログ]]に身を横たえて毒の水蒸気を発生させ、ドリアスの護衛達を追い払う。さらに蒸気から逃れたニエノールを[[アモン・エシア]]の山頂で待ち受けると、再び邪眼を用いて彼女に心の闇と忘却の呪いを掛けた。このためニエノールは完全に記憶を失い、ついには互いにそれと知らず実兄であるトゥーリンの妻となってしまう。
やがて3年後、[[ブレシル]]襲撃に送り出されたオーク達が、その地に腰を落ち着けていた[[トゥーリン]]に撃退されたのを知ったグラウルングは、さらに悪意の謀を巡らせる。ナルゴスロンドから出てきたグラウルングは[[テイグリン]]川の西岸近くに横たわり、ブレシルの人間たちに非常な恐怖を与えた。だが[[カベド=エン=アラス]]を越えようとした時、その崖下に潜んでいたトゥーリンに[[グルサング]]で弱点の腹を刺され致命傷を負う。グラウルングの傷口から吹き出た毒の血はトゥーリンの手を焼き、邪眼はトゥーリンを気絶させた。
その直後、身重の[[ニーニエル(ニエノール)>ニエノール]]がトゥーリンを捜しにやって来ると、グラウルングは最後の悪意をもって彼女が[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]の娘ニエノールであり、夫であるトゥーリンは彼女の実兄であることを告げて死んだ。

やがて3年後、[[ブレシル]]襲撃に送り出されたオーク達が、その地に腰を落ち着けていたトゥーリンに撃退されたのを知ったグラウルングは、さらに悪意の謀を巡らせる。ナルゴスロンドから出てきたグラウルングは[[テイグリン]]の西岸近くに横たわり、ブレシルの民に非常な恐怖を与えた。だが[[カベド=エン=アラス]]を越えようとした時、その崖下に潜んでいた[[トゥーリン]]に[[グアサング]]で腹を刺され致命傷を負う。グラウルングの傷口から吹き出た毒の血はトゥーリンの手を焼き、邪眼はトゥーリンを気絶させた。
その直後、身重の[[ニーニエル(ニエノール)>ニエノール]]がトゥーリンを捜しにやって来ると、グラウルングは今際に最後の悪意をもって彼女が[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]の娘ニエノールであり、夫であるトゥーリンは彼女の実兄であることを告げて死んだ。
>「これはこれはニエノール、フーリンの娘御。終わる前にまた出会うたな。喜んでもらおう、そなた、ついに兄者を見つけられたぞ。さあ、兄者のことを教えてやろう。暗闇の刺殺者、敵に対しては欺瞞者、友に対しては信義なき者、身内には禍、これがフーリンの息子トゥーリンじゃ! だが、かれの犯した最悪なる行為は、そなたがわが身の裡に感じようぞ」((『[[シルマリルの物語]]』「トゥーリン・トゥランバールのこと」 断末魔のグラウルングの言葉。))

>「これはこれはニエノール、フーリンの娘御。終わる前にまた出会うたな。喜んでもらおう、そなた、ついに兄者を見つけられたぞ。さあ、兄者のことを教えてやろう。暗闇の刺殺者、敵に対しては欺瞞者、友に対しては信義なき者、身内には禍、これがフーリンの息子トゥーリンじゃ! だが、かれの犯した最悪なる行為は、そなたがわが身の裡に感じようぞ」((断末魔のグラウルングの言葉。))
忘却の呪いが解けて記憶が甦ったニエノールは絶望に囚われ、[[カベド=エン=アラス]]の崖から[[テイグリン]]川の流れに身を投げた。その後に[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]から事の真相を知ったトゥーリンも[[グルサング]]の刃に身を投げて自害した。
グラウルングの死骸はマブルングら[[ドリアス]]の[[エルフ]]と[[ブレシル]]の人間たちによって灰になるまで焼かれ、骨は塵になるまで砕かれた。

グラウルングが死んだことで忘却の呪いが解け、記憶が甦ったニエノールは絶望に囚われ、[[カベド=エン=アラス]]の崖から[[テイグリン]]の流れに身を投げて自殺した。その後に[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]から事の真相を知ったトゥーリンも[[グアサング]]の切っ先に身を投げて自害した。
グラウルングの死骸はマブルングら[[ドリアス]]の[[エルフ]]と[[ブレシル]]の[[人間]]によって灰になるまで焼かれ、骨は塵になるまで砕かれた。

*** 画像 [#z0b3eef5]

&ref(glorundbytolkien.jpg,,30%,トールキン作画のナルゴスロンドから出てくるグロールンド(グラウルング));

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