#author("2019-10-11T21:08:12+09:00","","")
* エレボール [#Title]
#contents

** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Erebor|
|~その他の呼び名|はなれ山(Lonely Mountain)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で''はなれ山''の意。[[ロヴァニオン]]の北東のはずれにある山。その名の通り北の[[灰色山脈]]や東の[[くろがね連山]]から、この山だけが20マイル以上は離れて孤立している。
[[早瀬川]]はこの山に発して南に流れ下り、[[たての湖]]に注いでいる。たての湖の町[[エスガロス]]との間には[[竜の荒らし場>スマウグの荒らし場]]が広がっている。西には[[闇の森]]の北端がある。

この山中にはかつて[[ドワーフ]]の''[[山の下の王国>#Kingdom]]''があり、麓には[[人間]]の''[[谷間の国]]''があった。

『[[ホビットの冒険]]』で、[[ビルボ・バギンズ]]が[[13人のドワーフ>トーリンとその仲間]]と共に遠征した地。

>そしてはるかかなたに、ひとひらのちぎれ雲をまとった黒い山のいただきが見えてきました。あの山が、ついに、おぼろにあらわれたのです! その山の北東にあたって、いちばん近くにならぶ山々も、そのあいだを結ぶ起伏の多い土地も、見えませんでした。山は一つだけきわだってそびえ、水平線のかたなに森をこえて、ながめられました。たしかに、はなれ山でした!((『[[ホビットの冒険]]』「心からの大かんげい」))

*** 地形 [#c9173231]

六つの尾根を持つ、星形をした孤立峰である。

南の尾根の先端には、古い見張り場の''[[からすが丘]]''があった。

山の下には[[ドワーフ]]の地下都市である[[山の下の王国>#Kingdom]]が広がっている。
南側の二つの尾根の根本にある岸壁に''表門''(Front Gate)が開いており、そこからは[[早瀬川]]が流れ出ていた。
山の西側の斜面には、ごく一部の者にしか知られていなかった''秘密の入口''(Side-door)がある。その隠し戸は普段はただの岩壁にしか見えず、一年の内で[[ドゥリンの日]]の決まった時間、[[ツグミ]]が岩を叩き、日没の赤い光が岩壁に差し入っている間にのみ鍵穴が出現するようになっていた。
秘密の入口はまっすぐ山中に向かって下り、''スラインの大広間''(Great Hall of Thráin)へと通じている。この大広間はエレボールで最も深い場所にあり、[[スロール]]王の治世では[[アーケン石]]が保管されていた。山の下の王国と[[谷間の国]]を滅ぼした[[スマウグ]]はこの大広間に財宝を積み上げてねぐらとした。
この他に、宴会や会議が催される''スロールの朝見の間''(Great Chamber of Thrór)が、表門の近くに位置していた。

他にも多くの部屋や施設があったと思われる。

*** 画像 [#ya28741c]

&ref(thelonelymountainbytolkien.jpg,,30%,トールキン作画によるはなれ山);

** 山の下の王国 (Kingdom under the Mountain) [#Kingdom]

[[エレボール(はなれ山)>#Title]]の山の下に築かれた、[[ドワーフ]]の王国にして地下都市。この国の王は''山の下の王''(King under the Mountain)と呼ばれる。
山の底根で発見された[[アーケン石]]を至宝とする。

[[モリア]]を追われた後の[[長鬚族]]の本拠であったが、[[龍]]の[[スマウグ]]に滅ぼされた。
『[[ホビットの冒険]]』において、[[トーリンとその仲間]]はこの王国を奪回すべく、はなれ山まで遠征した。

*** かつての山の下の王国 [#oe797cfb]

>…そのかみドワーフたちは強き呪文を唱え、その槌音は鐘のようになりわたった、万物ねむる地の底深く、山々の下に口をあけた大広間で。
 いにしえの王やエルフの殿のために、ドワーフたちが作り仕上げた、きらめく黄金の宝ものや、剣のつかにちりばめた宝石はおびただしかった。
 ドワーフたちは銀の首飾りに星の花々をつづり、冠の上に竜の火をかかげ、かがる鉄線には月光と日光をまぶした。…((『[[ホビットの冒険]]』「思いがけないお客たち」 [[ドワーフの歌>寒き霧まく山なみをこえ(詩歌)]]より))

[[長鬚族]]はもともと[[モリア]]を本拠としていたが、[[ミスリル]]を求めるあまり地下に眠っていた[[バルログ]]を解き放ってしまい、モリアを追われる。
[[第三紀]]1999年、[[スライン一世]]は[[エレボール]]にやってきてその山中に館を築き、[[アーケン石]]を発見した。彼が初代の''山の下の王''であった。
しかしスライン一世の息子[[トーリン一世]]は、2210年にさらに北の[[灰色山脈]]に移り、長鬚族の本拠はしばらくそちらに置かれた。だが灰色山脈には[[龍]]の脅威があり、2589年に当時の王[[ダイン一世]]らが[[冷血竜]]に殺されると、その息子[[スロール]]は2890年にエレボールに戻る。

山の下の王となった[[スロール]]のもとで、山の下の王国は歌に歌われる大きな繁栄を迎えた。
王国は分家にあたる[[くろがね連山]]の[[ドワーフ]]と交易を結ぶと、魔力ある美しい品物に加え、優れた武器甲冑の類も生産する。それによって[[早瀬川]]と[[赤水川]]の間に住む[[北国人]]の末裔は強大化した。そうした[[人間]]達はドワーフの繁栄に引き付けられて早瀬川を遡り、はなれ山の膝下に[[谷間の国]]が築かれた。さらにドワーフは[[からすが丘]]の[[大ガラス]]とも同盟を結び、遠方の報せを得ることができた。

ところが、この繁栄は再び[[灰色山脈]]の[[龍]]の耳に届き、当時の最大の龍であった[[スマウグ]]を招き寄せることになってしまう。
2770年、突如飛来したスマウグによって、山の下の王国と谷間の国は滅ぼされ、その財宝は根こそぎに奪い取られた。スマウグは山中の大広間に財宝を積み上げて寝床として巣食ったたため、生き残ったドワーフは国を捨て、多くが[[くろがね連山]]へ移住した。山の隠し戸から逃げ延びた[[スロール]]王とその息子[[スライン>スライン二世]]、孫の[[トーリン>トーリン二世]]は少数の一族郎党と共に放浪の旅に出た。
こうして長鬚族は再び故郷を追われた放浪者となった。

*** 王国奪回を目指しての遠征 [#b9847e23]

山の下の王国を追われた[[スロール]]と[[スライン二世]]の一党にはその後も非業がつきまとったが、やがて王となった[[トーリン・オーケンシールド(トーリン二世)>トーリン二世]]はなんとか[[青の山脈>エレド・ルイン]]に落ち着き、その地に築いた[[館>トーリンの館]]に放浪する[[長鬚族]]を集めた。だが彼は決して王国の奪回と[[スマウグ]]への復讐を忘れなかった。

[[第三紀]]2941年、トーリンは[[ブリー村]]で[[魔法使い]]の[[ガンダルフ]]に出会い、彼の助力を得て王国奪回のための計画を立てる。ガンダルフの助言を容れて、スマウグに対し戦を起こすという当初の計画を放棄したトーリンは、ガンダルフがスラインより受け取っていた、エレボールの秘密の入り口を示す[[地図>スロールの地図]]と鍵を受け取り、[[12人のドワーフの仲間>トーリンとその仲間]]と、“[[忍びの者]]”として[[ホビット]]の[[ビルボ・バギンズ]]を連れ、[[エレボール]]への遠征を行った(『[[ホビットの冒険]]』)。

その結果、エレボールから出て[[エスガロス]]を襲ったスマウグは、ビルボが見つけた弱点を突かれ、[[バルド]]によって討ち取られる。さらに[[五軍の合戦]]が起こってトーリンは命を落としたものの、山の下の王国の再建が成し遂げられた。[[くろがね連山]]からやってきた[[鉄の足ダイン>ダイン二世]]が、トーリンの跡を継いでダイン二世として即位した。

*** 再興された山の下の王国 [#u6d6529f]

>「[[フロド>フロド・バギンズ]]殿、あなたにぜひ一度谷間の国の水路を見ていただきたいです! それにあの山や池を! 多彩な石の舗装道路もごらんいただかなくちゃ! それに地面の下には数々の館があり、木に似せて彫ったアーチつきのトンネル通りが四通八達しておりますよ。山の中腹にはテラスが並び、塔がいくつもそそり立っていますぞ! それをごらんいただければ、われらが無為に日を過ごさなかったことがおわかりになりましょう。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「数々の出会い」 [[グローイン>グローイン(グローインの息子)]]の言葉))

再興された山の下の王国は、スマウグに襲撃される以前の繁栄を偲ばせるほどには勢力を回復させ、同じく復興された[[谷間の国]]などとの交易によって栄えた。武具鍛冶や宝飾などの技術では古い時代に及ばなかったが、建築・土木の技術ではそれを凌駕する域に達したという。

[[指輪戦争]]では、山の下の王国と[[谷間の国]]は[[モルドール]]に臣従することを拒み、[[サウロン]]の同盟軍である[[東夷]]の攻撃を受ける。
[[ダイン二世]]は討死して[[エレボール]]は包囲され、王国には多数のドワーフと[[谷間の国の人間]]が避難して籠城した。しかし[[一つの指輪]]が破壊され、南方でのモルドール敗北の知らせが届くと、ダイン二世の跡を継いだ息子の[[石の兜トーリン三世>トーリン三世]]はドワーフ軍を率い、谷間の国の人間とともに出撃し、動揺した包囲軍を打ち破って勝利を収めた([[谷間の国の合戦]])。

以後、山の下の王国と谷間の国は[[再統一された王国]]([[ゴンドール]]および[[アルノール]])と長き友好関係を結び、[[西方の王>アラゴルン二世]]の庇護下に置かれた。ドワーフたちは、[[ペレンノール野の合戦]]で破壊された[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の城門を[[ミスリル]]と鋼で再建したという。

*** 山の下の王国の財宝 [#nef4185c]

劇中では、はなれ山の財宝として、以下のものが言及されている。

- [[スラインのアーケン石>アーケン石]]
- [[ギリオンのエメラルド]]
- [[ミスリルの胴着]]
- 金のカップ([[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]が盗み出し、それに気づいた[[スマウグ]]を激怒させた)
- [[ブラードルシン]]の軍隊のための槍(穂先は三度鍛えられ、柄には黄金細工が嵌めこんであるという)
- むかし死んだ戦士たちの使った盾
- [[スロール]]の金の大さかずき(花鳥の浮彫が施され、鳥の眼や花弁には宝石が使われているという)
- 金銀のくさりかたびら
- 銀の糸をはった金の竪琴(魔法の力で美しい曲をかなでる)
- 黄金の小札鎧([[トーリン>トーリン二世]]が身につけたもの)
- 緋色の宝石をうった広幅のバンド(同上)
- 銀の柄をすげたまさかり(同上)
- 黄金の冠(永遠の友情の印として、ダイン二世から[[ワシの王]]へ贈られた)
- 銀と真珠の首飾り(ダイン二世からビルボに贈られた。ビルボはこれを[[エルフ王の岩屋]]に潜んでいたとき、盗み食いして食を繋いだ謝罪として、[[エルフ王>スランドゥイル]]に贈った)
- [[オルクリスト]](はなれ山から発掘されたものではないが、トーリンの死後、彼の墓所に安置された)

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#HobbitMovie]

『思いがけない冒険』では繁栄していた時代のエレボールの光景が映像で表現されている。その内部は幾重にも重なった階層を橋や階段、廊下で繋ぐ非常に広大で複雑な空間が広がっている。スロールの玉座の間は、巨大な吹き抜け構造になっており、その天辺に玉座がある。他にも職人が仕事をする工房や精錬所、鉱床、武器庫、居住スペース等が描かれている。
『竜に奪われた王国』でビルボとドワーフ達は、それらの施設を駆使して、スマウグと戦う事になる。

映画オリジナルの財宝として[[ラスガレンの白い宝石]]が登場する。

*** 画像 [#na153130]

&ref(vlcsnap-00034.jpg,,25%,『ホビット』におけるエレボールの門); &ref(vlcsnap-00028.jpg,,25%,『ホビット』におけるエレボールの玉座への道); &ref(vlcsnap-00033.jpg,,25%,『ホビット』におけるエレボール内部); &ref(vlcsnap-00025.jpg,,25%,『ホビット』におけるエレボール内部);

*** グッズ [#Goods]
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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

[[一つの指輪]]が破壊された後のエレボールと[[山の下の王国>#Kingdom]]を訪問することが可能。

&ref(ScreenShot00693.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレボールと山の下の王国の入り口); &ref(ScreenShot00646.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレボール西側の秘密の入り口跡); &ref(ScreenShot00926.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレボールの広間); &ref(ScreenShot00932.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレボールの広間); &ref(ScreenShot_2019-07-21_143735_0.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレボール内部); &ref(ScreenShot_2019-07-21_143825_0.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレボール内部);

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