* エルフ [#d04515a2]
** 概要 [#ye54db27]

|~カテゴリー|種族|
|~スペル|Elf(複数形Elves)((英語辞書ではElfの複数形はElfsのことが多いが、トールキンはElvesのほうが文法的に正しいとして、こちらを使った))|
|~その他の呼び名|[[イルーヴァタール]]の長子、クウェンディ(Quendi)、美しい民、最初に生まれた者たち(The Firstborn)|

** 解説 [#r0932bb4]

[[中つ国]]に始めて誕生した、言葉を話す者(そのため彼らは自らのことを「声を出して話す者」の意である「クウェンディ」と呼んだ)。[[人間]]からは美しい民などと呼ばれる。
[[トールキン]]は、[[エルダール]]を訳すのに英語のElfという言葉を使ったという。elfは、小妖精などを表す言葉として使われていたが、トールキンによると、(『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』出版前の)エルフという言葉は「事実より矮小化されてしまった」ということになっている。

** 特徴 [#u5566de7]

:外見|~[[人間]]に似ているが男も女も非常に美しく、人間よりはやや細身。身長は人間と同じかやや高い。肌は白で、髪の色は氏族によるが金、銀、黒など。[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]が直接作品中で「エルフの耳は尖っている」という事に触れたことはないが、彼が残した資料から、彼がそう想定していたらしい事が伺える(それほど長いわけではない)。
:能力|~病気にかかることもなければ、老いることも寿命もない。暑さや寒さなどに対する耐性も高く、困難な状況でもよく耐える。&br;エルフは武器などによって殺されるか、生に倦み疲れて逝かない限り死ぬことはない。その「死」の意味も[[人間]]とは異なり、魂は[[マンドスの館]]で世界の終わりを待つことになる。明るい性格のエルフは多いが、年月と共に、叡智と哀しみが積み重なって行く。&br;最初のエルフは[[月>月(天文)]]も[[太陽]]もない、星々のみが世界を照らす時代に生まれたため、星明かり程度の光さえあれば遠方を見通す事ができる。またその視力も人間より遙かに鋭い。睡眠の意味も人間とは異なり、瞑想によって休息をとることができる。&br;身のこなしも非常にしなやかで、雪の上に足跡をつけずに歩いたり、草の茂る森林を音も立てずに進んだりすることができる。
:文明・文化|~[[人間]]より長い歴史を持り、エルフ自身の技量の高さもあり、文化や技術は[[人間]]を遙かに凌駕する。特に[[至福の国>アマン]]に渡ったエルフ([[上のエルフ]])は[[ヴァラール]]に教えを受けたため、その能力はずば抜けている。耳も聡いため、歌や音楽の技量も非常に高く、言葉も美しい。
:住居|~開けた土地や森林に都市を造るが、放浪の生活を送るエルフも存在する。戦乱の時代による必要性によって、洞窟や要塞を住居とする事もあった。
:歴史|~最初のエルフは[[第一紀]]以前、星々の時代に[[クイヴィエーネン]]の湖の近くに誕生した。すると[[ヴァラール]]は彼らを、危険の多い[[中つ国]]から西方の[[至福の国>アマン]]へと移住させる事を考えた。ヴァラールに促され、多くのエルフが西方へと移動する。だが、西方への移動に参加した者達のすべてが至福の国へと渡ったわけではない。また、至福の国へと渡ったエルフのうち、[[ノルドール]]の多数は中つ国へと帰還した。&br;[[ヌーメノール]]が滅ぼされ、至福の国が世界の圏外に移された後も、エルフには[[まっすぐの道]]を通って西方へと去る恩寵が残されていた。そのため中つ国に倦んだ多くのエルフが船出して、西方に永遠に去って行き、次第に中つ国のエルフは減っていった。
:氏族|~[[クイヴィエーネン]]からの西方の旅でどのように行動したかによって分類される。[[クイヴィエーネン]]からの西方への旅を拒んだ者は[[アヴァリ]]と呼ばれ、西方への旅を行った者は[[エルダール]]と呼ばれる。エルダールの中で第一陣は[[ヴァンヤール]]、第二陣は[[ノルドール]]、第三陣は[[テレリ]]。[[テレリ]]は更に分けられ、[[大海]]を越えず[[ベレリアンド]]に残った者は[[シンダール]]。それ以前に[[霧ふり山脈]]を越えなかった者は[[ナンドール]]と呼ぶ。[[ナンドール]]のうち、後になって霧ふり山脈を越えて[[オッシリアンド]]に住んだ者は[[ライクウェンディ]]([[緑のエルフ]])、霧ふり山脈の東に残った者は[[シルヴァン]]となる。&br;エルダールのうち、至福の国に渡らなかった者(シンダール、ナンドール)を指して[[ウーマンヤール]]という。全てのエルフは[[カラクウェンディ]]([[上のエルフ]]或いは光のエルフ)と[[モリクウェンディ]]([[暗闇のエルフ]])に分けられる。
|>|>|>|>|>|>|>|~クウェンディ(エルフ族)の分類|
|>|>|>|>|>|>|''[[エルダール]]''&br;[[クイヴィエーネン]]から、[[アマン]]に向け旅立ったエルフ。|&color(,lightblue){''[[アヴァリ]]''};&br;クイヴィエーネンからアマンへの旅を拒んだエルフ。|
|&color(,lightgreen){''[[ヴァンヤール]]''};&br;[[イングウェ]]に率いられたエルダールの第一陣。全員がアマンに渡った。|&color(,lightgreen){''[[ノルドール]]''};&br;[[フィンウェ]]に率いられたエルダールの第二陣。全員がアマンに渡ったが、後に多くが[[フェアノール]]に同調して中つ国への帰還を果たした。|>|>|>|>|''[[テレリ]]''&br;[[エルウェ・シンゴル>シンゴル]]とその弟の[[オルウェ]]によって率いられたエルダールの第三陣。|~|
|~|~|&color(,lightgreen){''[[ファルマリ]]''};&br;[[オルウェ]]に率いられ、アマンへ渡ったテレリ。|>|>|>|&color(,lightblue){''[[ウーマンヤール]]''};&br;アマンに行かなかったエルダール。|~|
|~|~|~|&color(,lightblue){''[[ファラスリム]]''};&br;[[キーアダン]]を領主とするテレリ。[[オッセ]]に説得されて中つ国に残った。|&color(,lightblue){''[[シンダール]]''};&br;シンゴルを王として、[[ベレリアンド]]に留まった灰色エルフ。|>|&color(,lightblue){''[[ナンドール]]''};&br;[[霧ふり山脈]]の東で、[[テレリ]]の一行から離れたもの。|~|
|~|~|~|~|~|&color(,lightblue){''[[ライクウェンディ]]''};&br;ナンドールのうち、後に[[デネソール>デネソール(レンウェの息子)]]に指揮されて西に移動、[[オッシリアンド]]に住むようになった緑のエルフ。|&color(,lightblue){''[[シルヴァン・エルフ>シルヴァン]]''};&br;霧ふり山脈の東に住んだエルフ。|~|
&color(,lightgreen){この文字色};は[[カラクウェンディ]]即ち「光のエルフ」「上のエルフ」で、[[二本の木]]がある時に、アマンに来た者たちである。
&color(,lightblue){この文字色};は[[モリクウェンディ]]即ち「[[暗闇のエルフ]]」で、アマンで二本の木の光を見なかった者たちである。ただしシンダールはその名の通り灰色エルフの意味で、暗闇のエルフとは分けて考えられることもある。詳細は[[シンダールの項目>シンダール]]を参照。
:言語|~元々は一つの言語であったが、エルフ族の分裂が続くうちにいくつかに別れた。カラクウェンディの言語は[[クウェンヤ]]。モリクウェンディのうち、霧ふり山脈の西に住むものは[[シンダール語]]を使う。中つ国に帰還したノルドールはシンダール語を使うようになったが、儀礼などの時にまれにクウェンヤを使った。&br;霧ふり山脈の東に住むエルフの言葉は[[シルヴァン語]]。だがシルヴァン語の単語は原作中には出てこない。
:偏見|~[[オーク]]を強く憎んでおり、[[冥王]]とその勢力を憎んでいる。[[シンダール]]は[[ドリアス]]滅亡の歴史的経緯から[[ドワーフ]]と確執がある。だが[[ノルドール]]は、工人、職人としての共通点からか、ドワーフと比較的親しい。どのエルフも、海に対する強い憧れを持つ。

** コメント [#k8c54b7d]

- 欧州大陸の言い伝えにある小妖精のエルフ族とは異なり、トールキンの世界のエルフ族は小人族ではなく、我々人類と同じ、もしくはそれ以上の身丈がある。おそらく語源を小妖精からではなく、北欧エッダ神話の「アレフ」から取ったものと思われる。
- 北欧に見るアールヴ(alf)は豊饒を司る小神的存在で、ヴァン神族に近い。ヴァン神族とは北欧ゲルマンの神であったアース神族と争った神々である。後和睦し、このの際フレイという神が人質としてアース神に加わったのだが、アールヴ達はこのフレイに治められてアールヴヘイムという国に住んでいる。ヴァン神族は北欧の世界観の外に属していて、神話では世界構造ががっちり組まれているのだが彼らの国とされるヴァナヘイムの場所は語られていない。これよりははっきりしているものの、同様にアールヴヘイムも世界の外にあるとされる。世界を覆う天蓋よりも高い所に。ここは世界が滅びた後にも存続するのだ(フレイはアース神として滅ぶが)。
アールヴは「太陽よりも美しく、心優しい」とされており、陰気なこびと(ドヴェルグ)等がデック(=ダーク)アールヴ、スヴァルト(=ブラック、独語でシュヴァルツ)アールヴ等と呼ばれることがあるのを受けて、リョース(=ライト)アールヴとも呼ばれる。
そんな天上に住むアールヴだが、ヨーロッパ民間ではキリスト教の普及に伴い地上に投げ落とされ、森などに住む小さな妖精達になってしまったようである。かくて小妖精「エルフ」のイメージはできあがった。 -- 言代主
- 個人的には、トールキンは恐らくケルト神話のダーナ神族をイメージしていたのだろうと思う。 
- 「elf」って西方語でいいのでしょうか。「『el』はエルフ語で『星』の意味もあるが『エルフ』の意味もある」っていうのを読んで、ずっと疑問におもっているんですけど。
- ↑正確には、「エルフという言葉は、エルダールに相当する西方語を英語に当てはめたもの」でしょう。 
- 殺害と鬱以外に死なないエルフも食事をしているけどこの人たちには飢死はないのだろうか? -- 砲身
- 中つ国常駐で最年長のエルフって誰なんでしょうか?
キーアダンかな? -- ギャムリング
- 指輪物語を読破した後で、水木しげるの妖怪大百科・世界編のイラストを見ると心に深手を負います。 -- たー
- 何歳で成人するのだろうか?幼児期も長かったりするのだろうか?大体この種族、年取らずに長生きするわりには老成しないですよね。偏見強いし、結構短期だし、思慮が無さすぎのような気が・・・ -- ボリーの用心棒
- HoMEによると一応成年と同じ心身になるのは50歳前後のようです。転生であった場合、前世の記憶を完全に取り戻すのもそのあたりになります。これらや「能力」の項目にもあるように人間の成長・老成とは全く異なっており、エルダールはどちらかというと成長するより、古い神話の個性の強い神々のように「特徴である性質を変えないまま、維持し続ける」存在だったのかもしれません。ただし、キーアダンがあまりの年月に外見までも老け込み、ガラドリエルが中つ国の覇者をめざす野心家から次第に落ち着いていったことなど、充分な年月と経験によっては成長や老成もあるようです。
- 王族じゃない一般庶民のエルフの生活が気になる…土木や農作業で汗だく泥まみれになったりするんだよね(笑 --  &new{2007-07-20 (金) 01:42:55};
- ナルシルを鍛えなおす鍛冶屋さんは汗ひとつかいてなかったような… --  &new{2007-09-16 (日) 02:49:01};
- ↑それもエルフの特質なんでしょうね。カラズラスではレゴラスはまったく寒そうな様子を見せていませんでしたし、モリアの東側の出口でも熱そうな感じじゃなかったし。 -- エグゼクター &new{2007-09-16 (日) 12:45:33};
- ↑暑さも寒さも感じないところが人間離れしていてよかったのかも。あと目を閉じずに眠るところ。 -- 05 &new{2007-10-15 (月) 01:10:32};
- ノルドあたりは王族でも普通に建築したり採掘したり鍛冶仕事してるあたり人間とは違う文化っぽくて良い。 --  &new{2007-11-25 (日) 12:07:36};
- エルフの謎は、第一にまず寿命がなく、病死しないというが、飢えで餓死することはないのかということ。エルロンドの館の会食やレンバスという食べ物の存在を考えると、エルフも食事が必要でそれがなければ死亡してしまうように思えるが、実際どうなのか。第二に、繁殖について。エルフが人間なみに繁殖するとすれば、たちまち地上はエルフだらけになってしまうが、逆にエルロンドのように何千年もかけて子供を三人しか作らないようではあっという間に人口がなくなってしまうようにも思える。その辺り、どうなのか。 -- 冥王 &new{2008-04-21 (月) 23:42:15};
- エルフってトイレするのかな・・・? --  &new{2008-09-04 (木) 12:06:06};
- ↑・・・するんじゃないかな? -- ホビット &new{2008-10-12 (日) 19:56:28};
- レンバス食べたり、酒を飲んだりするんだから出すものは出さないとメタボに… --  &new{2008-10-12 (日) 20:02:25};

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