#author("2023-08-25T20:06:25+09:00","","")
-星となったエアレンディル(Star of Eärendil)については[[エアレンディルの星]]を参照してください。
-ゴンドール5代目の王エアレンディル(Eärendil)については[[エアレンディル(ケメンドゥルの息子)]]を参照してください。
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* エアレンディル [#sd3dd652]
** 概要 [#qeb33dd9]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|人名|
|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Eärendil|
|~その他の呼び名|(未入力です。協力をお願いします)|
|~種族|(未入力です。協力をお願いします)|
|~性別|(未入力です。協力をお願いします)|
|~生没年|(未入力です。協力をお願いします)|
|~親|(未入力です。協力をお願いします)|
|~兄弟|(未入力です。協力をお願いします)|
|~配偶者|(未入力です。協力をお願いします)|
|~子|(未入力です。協力をお願いします)|
|~その他の呼び名|半エルフのエアレンディル(Eärendil Halfelven) &br; 航海者エアレンディル(Eärendil the Mariner) &br; &ruby(たた){称};うべきエアレンディル(Eärendil the Blessed) &br; 光の君エアレンディル(Bright Eärendil)|
|~種族|[[半エルフ]]([[エダイン]]と[[ノルドール]]、[[ヴァンヤール]]の血を引く)|
|~性別|男|
|~生没年|[[第一紀]]503~|
|~親|[[トゥオル]](父)、[[イドリル]](母)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|[[エルウィング]]|
|~子|[[エルロンド]]、[[エルロス]](息子)|

** 解説 [#u3f17d83]
** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]でわたつみを愛する者の意。『[[半エルフ]]』『称うべき』『輝かしき』『航海者』の名を持つ。
[[第一紀]]に[[ゴンドリン]]で、[[人間]]の[[トゥオル]]と[[エルフ]]の[[イドリル]]の息子として生まれる。そして[[ゴンドリン]]の没落を父と母と共に逃れて[[シリオン]]に達し、[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]の娘[[エルウィング]]と結婚して、[[エルロンド]]と[[エルロス]]の二人の息子の父となった。
その後も[[シリオン]]に留まったが、[[トゥオル]]と[[イドリル]]が西方へと航海して去ると、その後を追いたいという望みを強く抱くようになった。その結果二人の後を追い、更に[[至福の国]]に到達して[[ヴァラール]]に対し、[[中つ国]]の民に対する助力と憐れみを請うため、家族を残し三人の水夫([[ファラサール]]、[[エレルロント]]、[[アイランディア]])と共に[[ヴィンギロト]]で航海に出発する。その航海は一時は挫折し、彼らが[[中つ国]]に戻ろうとした時、[[シルマリル]]を持った[[エルウィング]]が[[ヴィンギロト]]に辿り着いた。そして彼らは[[シルマリル]]を掲げて西方に航海し、その力に守られて遂に至福の地に到達する。[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]は[[至福の国]]に上陸して、[[ヴァラール]]に[[中つ国]]の民のため哀れみと助力を請うた。
彼の願いは聞き入れられたが、彼が[[中つ国]]に戻ることは許されず、[[至福の国]]で[[エルフ]]として生きることを定められた。彼の船は[[シルマリル]]を取り付けて天空を航行し、[[中つ国]]の住民の希望の星とされた。我々の世界で『明けの[[明星]]』『宵の[[明星]]』として知られているのが[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]の星である。
[[怒りの戦い]]には[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]は、空から[[ヴィンギロト]]に乗って[[中つ国]]に来て、黒竜[[アンカラゴン]]を打ち倒している。
『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』本文中にて[[裂け谷]]で[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]が歌っていたのが彼の歌であり、[[ガラドリエル]]が[[フロド>フロド・バギンズ]]に与えた[[玻璃瓶]]は、[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]の星の光が込められている。
『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』本文中にて[[裂け谷]]で[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]が歌っていたのが彼の歌。
[[トゥオル]]と[[イドリル]]の息子。[[エルウィング]]と結婚し、[[エルロンド]]と[[エルロス]]の父となる。
[[上古]]の[[半エルフ]]の英雄、もっとも名高い航海者であり、[[中つ国]]から[[アマン]]への航海に成功して[[ヴァラール]]の憐れみを引き出した。その結果、彼の祖父にあたる[[フオル]]が予言したとおり、中つ国の[[自由の民]]の救世主となった。

** コメント [#c38fd029]
そして彼は[[シルマリル]]の輝きを希望の印として永久に空に掲げるべく、天空を航行する[[明星>エアレンディルの星]]となった。

- 時々混同されるが、エレンディルは彼とは別人。エアレンディルはエレンディルの祖先に当たるが。 -- 都々目さとし
- 「エアレンディル」がシンダール語だということは、彼の出自から考えるとクウェンヤ語の名前もありそうな気がする。どんな名前だったのだろう? -- カイト
- どうにもこの人はヴァラールの助けを請うためというより、単に航海がしたかったために海に出たような気がする。そんな彼にはやはり航海者の呼び名がふさわしい。ガンダルフや指輪所持者が宿命付けられたように、彼もまた放浪に心惹かれていたのでしょう。そして、最後は星になって終わりのない航海へ……。 -- トミー
>世の果てから飛び去って、闇をぬけ、はるかな故国を再び見いだそうと切望して、一つ星のように燃えながら霧の上空をこえて、かれは来た。
日の出前の遠い焔となって、夜明けを待たぬ奇跡となって、北の国の川が薄暮色に流れるところへ。

しかしかれには強力な命運があった。
月の光がうすれるまで、丸い星を通すべく、死すべき人の住む此岸にはとどまれない。
使命を伝える者は、とこしえに、かれの輝く燈明であるいやはての西方国のフランミフェルをかかげて、休むことを許されないのだ。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』「数々の出会い」 [[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の作った[[エアレンディルの歌]]より。))

#comment
混同されることがあるが、[[エレンディル]]とは別人。

*** 前半生 [#HalfLife]

[[第一紀]]の[[ゴンドリン]]で、[[人間]]の[[トゥオル]]と[[エルフ]]の[[イドリル]]の息子として生まれる。
彼の耳と心には父トゥオルの場合と同じく、絶えず海が語りかけていたという。ゴンドリンが没落すると両親と共に脱出し、[[シリオンの港]]へと落ち延びたが、その途中で休息した[[ナン=タスレン]]の地で父トゥオルから、水の王[[ウルモ]]が[[ネヴラスト]]の岸辺に現われた時の歌を聴き、エアレンディルの心には海への憧れが目覚めた。

[[シリオンの港]]では先に落ち延びてきた[[ドリアス]]の遺民と共に住まった。そこでエアレンディルはドリアスの王だった[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]の娘[[エルウィング]]と結婚し、[[エルロンド]]と[[エルロス]]の二人の息子の父となった。
トゥオルとイドリルが西方へと航海して去った後はエアレンディルがシリオンの港の領主となり、[[ベレリアンド]]の各地から避難してきた[[エルフ]]と[[人間]]を共に治めた。

*** 西方への航海 [#Voyage]

>船は星空の下、月の下、北の岸べを遠くはなれて、この世の明るい境をこえ、魔の道にひき迷わされた。
かれは凍った山中に影のさすせまい氷雪をきしませて逃げ、暑い坑道、燃える荒野を逃れて、なお星なき海をさ迷った末に、たどりついたのは、虚空の夜だった。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』「数々の出会い」 [[エアレンディルの歌]]より。))

エアレンディルは[[シリオンの港]]に留まっていたが、西方へ去った父[[トゥオル]]と母[[イドリル]]の後を追いたいという望みを強く抱くようになった。さらに彼は[[アマン]]に到達して[[ヴァラール]]に憐れみを乞い、[[中つ国]]の[[自由の民]]の窮状を救いたいとの望みをも抱いていた。
そこでエアレンディルは船造り[[キールダン]]の助けを借りて[[ニンブレシル]]の[[樺]]の木から[[ヴィンギロト]]という船を作ると、三人の水夫([[ファラサル]]、[[エレッロント]]、[[アエランディル]])と共に西方への航海に出発する(その時に、イドリルが残した[[緑の石]]を身につけていたと言われる)。

だがその航海は[[ヴァリノール隠し>ヌルタレ・ヴァリノーレヴァ]]によって失敗し、彼らは失望して[[中つ国]]に戻ろうとする。しかしその時、[[シルマリル]]を持った[[エルウィング]]が白い鳥の姿となってヴィンギロトに辿り着いた。彼らはシルマリルを掲げ、改めて西方への航海を再開する。シルマリルの輝きに導かれた船は影と惑わしを突破して遂にアマンに到達した。

*** 嘆願と半エルフの運命 [#PleaFate]

>「よくぞ参られた、エアレンディル、船乗りの中にて最も世に聞こえし者よ、はからずも来れる待ち設けられし者よ、望みなきに来れる待望せられし者よ!」((『[[シルマリルの物語]]』「エアレンディルの航海と怒りの戦いのこと」 エアレンディルを出迎えた[[エオンウェ]]の言葉。))

エアレンディルはアマンに上陸したが、禁じられた不死の国を踏むことで神々の怒りを被ることを恐れ、水夫たちには自分の後に続かないよう命じた。だが[[エルウィング]]はこれを聞き入れずにエアレンディルの後に続いて岸辺に降り立ち、二人で運命を共にすることを選んだ。
エルウィングを岸辺に残し、一人でアマンの奥地へ進んだエアレンディルは、無人の[[ティリオン]]で伝令使[[エオンウェ]]の出迎えを受ける。[[ヴァラール]]の許に参上したエアレンディルは、[[中つ国]]の[[エルフ]]と[[人間]]の窮状を訴え、彼らのために憐れみと助力を垂れるよう願った。

ヴァラールはエアレンディルの嘆願を聞き入れたが、彼が再び[[中つ国]]に戻ることは許されなかった。また[[半エルフ]]である彼と妻の[[エルウィング]]、そして二人の息子である[[エルロンド]]と[[エルロス]]兄弟は、[[エルフ]]と[[人間]]いずれの種族に属するかの選択を迫られた。エアレンディルは本心では父方の人間に属することに心引かれていたが、選択をエルウィングに委ね、エルフの運命を選んだ彼女に従った。

*** エアレンディルの星 [#HopeStar]

>船中には、汚れのない明るい炎が溢れるほどに充ちみちてゆらいでいた。航海者エアレンディルが舳先に坐り、全身をエルフの宝石屑で輝かせ、額にはシルマリルを結びつけていた。この船で、かれは遠く旅をした。((『[[シルマリルの物語]]』「エアレンディルの航海と怒りの戦いのこと」))

エアレンディルにはさらに強力な宿命が下され、[[シルマリル]]の光を掲げて天空を永久に航行することが運命づけられた。[[ヴィンギロト]]は[[ヴァラール]]の手に取り上げられて美しく驚嘆すべきものに作り変えられ、エアレンディルはそれに乗って空の彼方、はるか虚空へまでも航海することになった。
[[ヴァリノール]]から飛び立ったエアレンディルが星となって輝くのを認めた[[中つ国]]の[[自由の民]]は、これをよき印と受け取り、もはや絶望することがなかった。この星はヴィンギロトが虚空に向かうときと虚空から帰ってくるとき、つまり明け方と宵の時間に空に見ることができる。我々の世界で「明けの明星」「宵の明星」として知られているのが、この[[エアレンディルの星]]である。

[[怒りの戦い]]では、[[冥王]][[モルゴス]]が翼を持つ[[龍]]たちを出撃させた時、これを迎え撃つために天空の大鳥たちを引き連れてヴィンギロトに乗って空から参戦。夜を徹して空中で闘った末、エアレンディルは日の出前に黒竜[[アンカラゴン]]を打ち倒した。

*** その後 [#v65d1ca4]

[[エルロス]]に率いられた[[エダイン]]の生き残りは、エアレンディルの星に導かれて[[大海]]を航海し、[[ヌーメノール]]の島にたどり着いた。

『[[指輪物語]]』において、[[裂け谷]]で[[ビルボ・バギンズ]]が作って歌っていたのが[[エアレンディルの歌]]である。また[[ガラドリエル]]が[[フロド・バギンズ]]に与えた[[玻璃瓶]]には、[[エアレンディルの星]]の光が込められている。

** 名前について [#f3af0447]

以下の名前及びその説明は『[[The Peoples of Middle-earth>The History of Middle-earth/The Peoples of Middle-earth]]』「The Shibboleth of Fëanor」による。

:エアレンディル(Eärendil)|[[クウェンヤ]]で「わたつみを愛する者(Lover of the Sea)」の意味。父[[トゥオル]]が与えた[[父名>エッシ]]。人間であるトゥオルがこの予言的な名を付けたのは、彼の前に顕現した[[ウルモ]]が[[ゴンドリン]]で生まれる息子が航海者として名声を得ることを予言したからだという。
:Ardamírë(アルダミーレ)|Ardamir(アルダミル)とも表記される。クウェンヤで"Jewel of the World"([[世界>アルダ]]の宝玉)の意味。母[[イドリル]]が与えた[[母名>エッシ]]。彼の持つ運命を予言した名。

** 備考 [#Notes]

エアレンディルの名とその物語は、8~9世紀頃の詩人キュネウルフ(Cynewulf)による[[古英語]]詩『キリスト(Crist)』の一節に由来する。

>Eala Earendel engla Beorhtast &br; ofer middangeard monnum sended
>おお、エアレンデル、天使らの中にありて光輝きわまりなきもの &br; 人の世に送られて、中つ国の空にかかる((訳文は『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』による))

大学在学中にこの詩を目にして強いインスピレーションを受けた[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は、その後1914年頃に「エアレンデルの航海(The Voyage of Éarendel)」と題される詩を書いた。
この詩が、トールキンの[[中つ国]]([[アルダ]])にまつわる神話体系の最初のものとなった。

ハッブル宇宙望遠鏡による観測で2022年に確認された、地球から129億光年先にあり、ビッグバンから9億年後に生まれたと考えられる(観測時点で最古にして最遠の)恒星が、トールキンの物語にちなみ、エアレンディルの語源である古英語Earendelから取られた“エアレンデル”のニックネームで呼ばれている(([[史上最も遠い星を観測、129億光年先、桁違いの「エアレンデル」 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/040100150/]]))(([[WikipediaEN:WHL0137-LS]]))。

** コメント [#Comment]

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