-ゲームについては[[Angband]]を参照してください。
----
* アングバンド [#bf052b81]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Angband|
|~その他の呼び名|鉄の牢獄(Iron Prison)、鉄の地獄(Iron Hell)|

** 解説 [#Explanation]

「鉄の牢獄・鉄の地獄」の意。[[上古]]に存在した[[冥王]][[モルゴス(メルコール)>モルゴス]]の地下大城塞。
[[エレド・エングリン]]の地下に築かれた果てしなく続く牢獄群であり、その城門は山脈の南側[[サンゴロドリム]]の塔の下にあった。地上には[[ドル・ダイデロス]]が広がっていた。
[[シルマリル]]を取り付けた[[鉄の王冠]]を戴いたモルゴスは、[[第一紀]]を通じてここを根拠地とし、[[ベレリアンド]]の制圧者として君臨した。

*** 歴史 [#History]

元来は[[星々の時代]]に[[メルコール]]が築いた、[[ヴァリノール]]からの攻撃に備えて[[ウトゥムノ]]を防衛するための砦で、[[サウロン]]によって支配されていた。だが[[力の戦い]]で[[ヴァラール]]の軍勢によって陥落する。しかしヴァラールはウトゥムノ攻城を急ぐあまり、アングバンドを徹底的に破壊することができなかった。サウロンや[[バルログ]]をはじめとした生き残った召使達は、主人のメルコールが[[マンドス>マンドス(地名)]]に投獄されている間、アングバンドの廃墟に隠れ潜んだ。

やがてメルコールは[[二つの木]]を枯死させ、[[シルマリル]]を奪い、[[モルゴス]]と呼ばれるようになって[[中つ国]]に逃亡してくる。モルゴスはアングバンドを再建・強化して[[サンゴロドリム]]の塔を三層に積み上げると、召使達を再び集結させて[[第一紀]]を通じてそこに立て篭もり、[[ベレリアンド]]に恐怖の影を落とした。
モルゴスを追ってきた[[ノルドール]]の公子たちは、400年にわたってアングバンドを包囲し、モルゴスの勢力を北方に封じ込めたものの、これを攻めることはできなかった。[[ダゴール・ブラゴルラハ]]でアングバンドの包囲は破られる。
アングバンドは[[エルフ]]と[[人間]]の武力によってはついに陥落することはなく、ただ[[ベレン]]と[[ルーシエン]]のみがその地下抗深くに入り込んでモルゴスの玉座にまで達し、その[[鉄の王冠]]からシルマリルの一つを取り戻して生還するという偉業を成し遂げた。これに勇気づけられた[[マイズロス]]は[[マイズロスの連合]]を提唱してモルゴス打倒を図ったが、[[ニアナイス・アルノイディアド]]で惨敗を喫する。
以後、誰一人としてアングバンドを攻略することはできず、ベレリアンドのエルフの諸王国は一つまた一つと滅ぼされていった。

だが、ベレンとルーシエンによって奪還された[[シルマリル]]の光に導かれ、[[ヴァリノール]]に到達した[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]の懇願によって、[[ヴァラール]]は再び軍勢を派遣して[[怒りの戦い]]となる。この時解き放たれたモルゴスの総兵力は[[アンファウグリス]]に収まりきらないほどであったというが、最後にはそれも滅ぼされてアングバンドは陥落し、今度こそ徹底的に破壊されて[[ベレリアンド]]と共に水没した。

*** 構造 [#structure]

>二人は、あらゆる危険を通り抜け、長い旅路の埃にまみれ、疲労の色も濃く、ついにアングバンドの城門前の荒涼たる谷間に来た。路傍には黒々とした深い裂け目が口をあけ、のたうつ蛇の形をしたものがにょろにょろと匍い出てきた。道の両側には断崖が城壁のように聳え、その上には腐肉を喰らう鳥たちが残忍な声で鳴いていた。二人の前には難攻不落の城門があった。それは、山の麓にあけられた大きな暗い&ruby(アーチ){拱門};で、その上には一千&ruby(フィート){呎};の絶壁がそそり立っていた。((『[[シルマリルの物語]]』「クウェンタ・シルマリルリオン第十九章 ベレンとルーシエンのこと」))

アングバンドの入口は[[鉄山脈]]の南側に位置しており、その上を[[サンゴロドリム]]の三つの峰が聳えていた。正門までは城壁と砦を巡らせた谷になっており、またそこかしこに秘密の出入口が設けられていた。門には、最大の[[巨狼]][[カルハロス]]が門番として控えていた。
その内部では一万の槌の音が鳴り響き、幾重にも交錯した通路および階段によって無数の溶鉱炉や牢獄群が結ばれた複雑な地下迷宮になっており、地の底にあるモルゴスの玉座まで延々と続いていた。

>地底の最も深いところに穿たれた広間は、恐怖がこれを支え、燃える火がこれを照らし出し、殺戮と拷問の武器が所狭しと並べられていた。((同上。))

この玉座の上からモルゴスは自らの王国を意のままに支配し、広大な地下世界でおびただしい数の[[オーク]]や[[トロル]]、[[グラウルング]]や[[アンカラゴン]]をはじめとした[[龍]]などからなる軍勢を作り上げていった。溶鉱炉から生み出される黒煙や毒煙、火焔流はしばしばサンゴロドリムの塔や鉄山脈から放出されて[[ベレリアンド]]に荒廃をもたらした。

** コメント [#Comments]

#pcomment_nospam(,,noname,,,,reply)