#author("2018-10-28T10:37:45+09:00","","")
-アラゴルン二世の先祖、アラゴルン一世(Aragorn I)については[[アラゴルン一世]]を参照してください。
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* アラゴルン&ruby(にせい){二世}; [#ifebb378]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Aragorn II|
|~[[その他の呼び名>アラゴルン二世#names]]|[[エステル]]、ソロンギル、[[馳夫]]、[[長すね彦>馳夫]]、翼のある足、[[ドゥナダン]]、イシルドゥアの世継、[[エレスサール]]、エンヴィンヤタール、テルコンタール、西方の王|
|~種族|[[人間]]([[ドゥーネダイン]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2931年3月1日~[[第四紀]]120年3月1日(享年210)((『[[指輪物語]] [[追補編]]』の年表では210歳となるが、「エリアドール、アルノール、そしてイシルドゥアの後継者たち」では190歳とされている))。族長2951年~3019年5月1日(68年間)。王位3019年5月1日~[[第四紀]]120年3月1日(121年10ヶ月)|
|~親|[[アラソルン二世]](父)、[[ギルライン]](母)、[[エルロンド]](養父)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|[[アルウェン]]([[第三紀]]3019年夏至)|
|~子|[[エルダリオン]](息子)、娘複数人|

** 解説 [#Explanation]

|>|>|~北方の[[野伏]]の族長|h
|CENTER:第15代&br;[[アラソルン二世]]&br;2930~2933|CENTER:第16代&br;''アラゴルン二世''&br;[[第三紀]]2951~3019|CENTER:'''王の帰還'''&br;[[再統一された王国]]の王に即位|

|~[[亡国の民の王国]]の王|>|~[[再統一された王国]]の王|h
|CENTER:第15代[[アルセダイン]]王&br;[[アルヴェドゥイ]]&br;1964~1974|CENTER:初代&br;''エレスサール''・テルコンタール&br;[[第三紀]]3019~[[第四紀]]120|CENTER:第2代&br;[[エルダリオン]]&br;120~|
|CENTER:第33代[[ゴンドール]]王&br;[[エアルヌア]]&br;2043~2050|~|~|

北方の[[野伏]]の16代目族長。[[イシルドゥア]]の世継であり、[[亡国の民の王国]]の[[上級王]][[エレンディル]]の世継。鍛え直された剣[[アンドゥリル]]の使い手。

アラゴルンは[[ガンダルフ]]の友として[[フロド・バギンズ]]を助け、[[指輪の仲間]]の一人として[[一つの指輪]]を破壊するための旅に同行する。[[パルス・ガレン]]で指輪の仲間が離散した後は、[[サルマン]]と戦う[[ローハン]]や、[[サウロン]]と戦う[[ゴンドール]]を救援して同地の戦いに馳せ参じる。[[指輪戦争]]の大詰めには[[指輪所持者]]の任務を援護するため[[モルドール]]への捨て身の陽動攻撃を主導した。

指輪所持者の任務が成功し、指輪王サウロンが没落すると、[[再統一された王国]]の''エレスサール王''として王の帰還を為し遂げ、婚約者であった[[アルウェン]]と結婚。西方世界の盟主として、悪の傷を受けた[[中つ国]]の再建に従事した。

*** エステルとしての生い立ち [#q2c55053]

[[第三紀]]2931年に生まれ、その後2933年に父親の[[アラソルン二世]]を亡くす。そのため母親の[[ギルライン]]と共に[[裂け谷]]に身を寄せ、[[エルロンド]]の養子として育てられた。アラゴルンは、敵の目から守るためその出生を秘密とされ、''[[エステル]]''([[シンダール語]]で「望み」の意)の名で呼ばれた。

アラゴルン二世は[[エレンディル]]の子孫の中でも、最もエレンディルその人に似ていると言われる。また、エレンディルの子[[イシルドゥア]]の長子[[エレンドゥア>エレンドゥア(イシルドゥアの息子)]]に生き写しであり、エレンドゥアを覚えているエルロンドたちは驚いたという。

やがて成人した2951年、アラゴルンはエルロンドより自らの出生の秘密を明かされ、折れた[[ナルシル]]と[[バラヒアの指輪]]を渡される。その直後[[アルウェン]]に出会ったアラゴルンは彼女を[[ティヌーヴィエル]]と呼んで、恋に落ちる。
だがエルロンドは彼の目からそのことを読み取り、アラゴルンが試練を経て、しかるべき時が来るまでは、何人とも婚約することを禁じた。

*** ソロンギルの名での旅 [#i554a249]

そのため彼は諸国遍歴の旅に出る。
2956年には[[ガンダルフ]]と出会って友人となり、しばしば彼の旅に同行した。やがてアラゴルンは素性を隠し、各地で[[サウロン]]の手先と戦うようになる。[[エルロンドの会議]]での彼の発言によると、'''星々の光さえこことは異なる[[リューン]]や[[ハラド]]の遠い国々'''((原文は'''the far countries of Rhûn and Harad '''だが、『[[旅の仲間]]』の邦訳では'''Rhûn'''が[[リューンの湖]]と訳されている。『[[終わらざりし物語]]』の[[トールキン]]の註釈によると、星々の光が異なるとは[[ハラド]]にのみ当てはまり、アラゴルンが南半球まで遠く旅したことを示している。))にまで足を伸ばしたという。

2957年からは、[[ローハン]]の王[[センゲル]]([[セオデン]]の父)、また[[ゴンドール]]の[[執政]][[エクセリオン二世]]([[デネソール二世]]の父)に仕える。その時アラゴルンはマントに[[銀の星>ドゥーネダインの星]]を付けていたため、「星の鷲」の意である''ソロンギル''と呼ばれた。
ソロンギルは特に[[ゴンドール]]において功名を勝ち得た。わけても[[海賊]]の脅威を懸念した彼は、小艦隊を率いて[[ウンバール]]を奇襲。わずかな被害と引き換えに敵の船の大半を燃やし、自らも波止場の戦いで港の大将を倒す大戦果を挙げた。これにより後の世の[[ゴンドール]]南部沿岸地方の脅威は大幅に軽減された。
しかしソロンギルはこの勝利からゴンドールへ凱旋することはせず、そのままひとり姿を消した。当時のゴンドール国民はこれを重大な損失と見なし、彼の競争相手すなわちデネソールが主君(執政)となる前に自ら去ったのだと考える者もいたが、真実はそうではなかった(一方のデネソールはソロンギルの正体に勘付いており、自らの地位を脅かす者として警戒していたという)。

ゴンドールを去ったアラゴルンは[[エフェル・ドゥーアス]]へ向かったようである。

その後、休息を取るため[[裂け谷]]に向かおうとしていて、2980年に[[ロスローリエン]]の近くを通りかかったところ、[[ガラドリエル]]の導きでこの地に招き入れられる。そしてたまたま同じくロスローリエンにいたアルウェンに再会し、[[ケリン・アムロス]]で婚約の誓いを交わして、アルウェンに[[バラヒアの指輪]]を渡した。
だがその後[[エルロンド]]には、アルウェンの夫となるには、[[アルノール]]と[[ゴンドール]]を統べる王以上の人間にならなければならないと言い渡された。

>こうしてかれは遂に現存する人間の中でもっとも艱難辛苦に耐えうる者となり、人間の技と学問に長けた者となった。しかもかれは人間以上であった。かれはエルフの智恵を持ち合わせ、その目に光る眼光が燃える時目を伏せずに耐えられる者はほとんどいないくらいだった。かれの顔は課せられた運命ゆえにきびしく悲しげであったが、その心の奥底には常に望みが宿り、そこから時折岩から泉が湧き出るように喜ばしい笑いが沸いてくるのであった。((『[[追補編]]』「[[アラゴルンとアルウェンの物語]]」))

*** 野伏の馳夫 [#q034ead3]

3001年、[[ホビット庄]]周辺に敵の間者が集まっていることに気づいた[[ガンダルフ]]は、アラゴルンに助力を求め、[[一つの指輪]]の存在を確認したいと胸の内を打ち明ける。そこでアラゴルンは[[野伏]]によるホビット庄の守りを倍加するとともに、[[ゴクリ]]を捜索して指輪が発見された経緯を確認することを提案。2人は3009年より約8年間、断続的にゴクリの捜索を行った。
ガンダルフがゴクリ捜索を中断し、[[ゴンドール]]で[[イシルドゥア]]が残した記録を調べている間も、アラゴルンは単身捜索を続け、ついに3017年、[[死者の沼地]]でゴクリを捕らえることに成功する。ゴクリを[[森の王国]]の[[スランドゥイル]]の一党に引き渡した後は、庄境を守る任務に従事。

しかし[[大いなる年]]の3018年、[[ナズグール]]が[[サルンの浅瀬]]を突破した時、アラゴルンはその場にいなかった。[[フロド・バギンズ]]が[[指輪>一つの指輪]]とともに[[裂け谷]]へ向かうことになったと報せを受けたアラゴルンは、[[東街道]]を監視しており、3018年9月29日、[[ブリー村]]でフロドたちに出会う。この時、フロドたちには[[バーリマン・バタバー]]より''[[馳夫]]''の名で紹介された。

>突然フロドは、壁に近い暗がりにすわっている、変わった様子の日焼けした男が、やはり熱心にホビットたちの話に聞き耳を立てているのに気がつきました。かれは背の高いふたつきの大ジョッキを前に置き、珍しい彫りものを施した柄の長いパイプをふかしていました。前に伸ばされた両脚には、かれによく似合うしなやかな皮の長いブーツを穿いていましたが、それはかなり穿き古したもので、その上泥がこびりついていました。旅に汚れた厚地の濃い緑のマントをぴったり身にまとい、これほど部屋が暖かいのに、顔が隠れるくらい目深に頭巾をかぶっていました。それでも、ホビットたちをじっと見守ってる時のかれの目の輝きを、フロドは見てとることができました。

>フロドが近づくと、かれは頭巾を後ろにずらしましたので、半白のもしゃもしゃ頭が現われました。血の気のないきびしい顔には、二つの鋭い灰色の目がありました。((『[[旅の仲間]] 上』「九 躍る小馬亭で」))

馳夫は[[ナズグール]]をかわし、フロドたちを[[裂け谷]]まで導くべく尽力。
途上[[風見が丘]]でフロドが[[魔王]]に[[モルグルの刃]]で刺されると、[[アセラス]]を用いて治療を試みる。しかしモルグルの傷は彼の手にすらあまるものであり、[[エルロンド]]の治療に委ねるべく裂け谷へ急いだ。[[グロールフィンデル]]の助力を得た後は、[[ブルイネンの浅瀬]]で他のホビット達とともに火を用いて[[ナズグール]]を奔流に追い落とすことに成功した。

*** アラソルンの息子アラゴルン [#m14e6c14]

>「おそれるな!」後ろで聞き慣れない声がいいました。フロドは振り向いて馳夫を見ました。しかしそれは馳夫であって馳夫ならぬ人でした。なぜなら風雨にいためつけられた野伏の姿はもはやそこにはなかったからです。艫にすわっているのは、アラソルンの息子アラゴルンでした。堂々と背筋を伸ばし、巧みに櫂を操りながら船を進めて行くかれは、頭巾を後ろにかなぐりすて、黒い髪を風になびかせ、双の目に光を宿していました。それは流謫の地から己が故国に帰ろうとする王者の姿でした。((『旅の仲間 下』「九 大河」))

[[エルロンドの会議]]で素性と望みを明らかにしたアラゴルンは、[[指輪の仲間]]の一員に選ばれ、[[指輪所持者]]の任務に従属することになる。折れたナルシルを鍛え直した[[アンドゥリル]]を身に帯びた彼は、[[ボロミア]]と共に[[ゴンドール]]に凱旋しその地の戦いに臨む予定であった。
[[指輪の仲間]]は12月25日に[[裂け谷]]を出発し、アラゴルンは[[ガンダルフ]]を補佐して共に一行を導いた。当初、アラゴルンは[[赤角山道]]で[[霧ふり山脈]]を越えることを提案したが、[[カラズラス]]の悪意に阻まれたため、不本意ながら[[モリア]]を潜り抜けるガンダルフの案に従った。しかし彼の悪い予感は的中し、ガンダルフはモリアで[[バルログ]]と戦って奈落に落ちてしまう。

そのためアラゴルンは代わって統率者の役を引き受け、一行を[[ロスローリエン]]に導く。同地を出立する時には、[[ガラドリエル]]より[[アンドゥリル]]の鞘と共に、[[アルウェン]]から託されていた[[緑の石]]を受け取った。
しかしガンダルフを失ったことで、アラゴルンは[[指輪所持者]]を助けて共に[[モルドール]]へ赴くべきか、宿願通り[[ゴンドール]]へ凱旋すべきか、判断を迷うようになり、[[指輪の仲間]]もまた取るべき道を選択できずにいた。[[パルス・ガレン]]で仲間は離散したが、そこでフロドの運命は自らの手から離れたことを悟り、自身は[[レゴラス]]、[[ギムリ]]と共に、[[オーク]]にさらわれた[[メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン・トゥック]]の救出に向かうことを決意した。

アラゴルンたちは4日で45[[リーグ]](約217km)を踏破するという驚くべき追跡を行い、その途中で[[エオメル]]に出会う。エオメルから[[ローハン]]の馬[[ハスフェル]]を借り、メリー、ピピンの追跡を続行し、[[ファンゴルン]]に入ったところで、白の魔法使いとなった[[ガンダルフ]]と再会した。
メリー、ピピンの無事を知らされたアラゴルンたちはガンダルフと共に、ローハンが[[サルマン]]の軍勢と戦うのを援助。こうして、ローハン軍が[[ゴンドール]]の救出に向かえるようにする([[角笛城の合戦]])。その過程でアラゴルンは、[[エオメル]]との友情を深めた。

*** 凱旋のドゥネダイン [#xa47a131]

[[オルサンク]]でのサルマンとの対峙後、アラゴルンは[[角笛城]]にて、[[オルサンク]]の[[パランティーア]]を使用し、[[サウロン]]に自分の姿と鍛え直された[[アンドゥリル]]を晒して挑戦。サウロンの目をフロドから逸らさせると同時に、パランティーアの力で[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]南方から[[モルドール]]の同盟軍が迫っていることを知る。
そこでアラゴルンはエオメルやローハンの軍勢とは別れ、[[レゴラス]]と[[ギムリ]]、そして[[裂け谷]]より派遣されて新たに合流した[[エルラダン]]、[[エルロヒア]]、それに[[ハルバラド]]をはじめとする北方の[[野伏]]たち[[灰色の一行]]とともに、自分のために届けられた乗馬[[ロヘリン]]にまたがって、[[死者の道]]を経由して[[エレド・ニムライス]]の地下を南へ渡り、[[エレヒ]]へと向かう。彼はエレヒにて、イシルドゥアの呪いによりこの地に縛られていた[[死者の軍勢]]を招集して、[[ペラルギア]]方面にいたサウロンの同盟軍を駆逐。[[海賊]]の船を奪うと、ゴンドール南方の[[辺境の諸侯国]]の軍勢を船に乗せて[[アンドゥイン]]をさかのぼり、[[アルウェンの旗印]]を掲げ、[[エレンディルミア]]を身につけて[[ペレンノール]]へと到達。[[モルドール]]とその同盟軍に包囲されていた[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]を救出した([[ペレンノール野の合戦]])。

またアラゴルンは[[療病院]]で、[[黒の息]]に冒された[[ファラミア]]、[[エオウィン]]、[[メリアドク・ブランディバック]]ほか多数の人々を、[[アセラス]]と癒やしの力で救う。この時アラゴルンは、「王の手は癒しの手」という伝承との符合とともに、身につけていた[[緑の石]]のため、ゴンドールの人々から「エルフの石の殿」即ち''[[エレスサール]]''と呼ばれるようになった。

その後アラゴルンは、[[ガンダルフ]]や[[エオメル]]らと共に、[[ゴンドール]]、[[ローハン]]の軍勢([[西軍]])を率いて3月18日に[[黒門]]前まで進軍を開始。自分たちを囮にして、フロドのモルドール侵入を容易にしようという作戦であった。彼らは3月25日、黒門前でモルドール軍の包囲に対し、[[燃えかすの山]]の上に陣取って迎え撃った。その戦いのさなかに、フロドが[[滅びの罅裂]]で[[一つの指輪]]を破壊することに成功。[[サウロン]]による統制を失うとともにその敗北を目の当たりにしたモルドール軍とその同盟軍は総崩れとなり、西軍は大勝利を収めた([[黒門の戦い]])。

*** エレスサール王 [#g1c30188]

勝利を収めた[[西軍]]は[[コルマルレン]]の野に野営し、アラゴルンは[[グワイヒア]]らによって救出されたフロドと[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]を癒やす。それからミナス・ティリスへ凱旋し、[[イシルドゥア]]の世継である正当なゴンドールの王位後継者として、[[エアルヌア]]が[[ラス・ディネン]]に置いていった[[ゴンドールの王冠]]を戴き、''[[エレスサール]]王''として5月1日に戴冠した。

>さてアラゴルンが身を起こすと、かれを見ていた者は皆まじまじと目を瞠って、沈黙しました。なぜなら、かれは今はじめてその姿をかれらに現わしたように思えたからです。古の大海の王たちのように丈高く、かれはその近くにいるすべての者にぬきんでて立っていました。年は老齢と見えながら、壮年の盛り、額には知恵が宿り、手には力と癒しの霊力がこもり、その全身を光が包んでいました。((『[[王の帰還]] 下』「五 執政と王」))

同年の夏至の日にはエレスサール王は、[[裂け谷]]からミナス・ティリスにやって来た[[アルウェン]]を迎え、婚礼を遂げた。人間の諸侯のみならず、裂け谷と[[ロスローリエン]]の諸侯も参列する中、彼は[[エルロンド]]より[[アンヌーミナスの王笏]]を受け取り、統一された[[北方王国]]と[[南方王国]]の王として戴冠し、''西方の王''とも呼ばれるようになる。

エレスサール王は、なおも東方・南方にてサウロンの同盟軍の残党と戦わなければならなかったが、その下で西方諸国はかつてない繁栄と平和を得ることができた。[[ホビット庄]]は統一された王国の範疇であったが、そこをホビットの自由地とし、人間の立ち入りを禁じた。彼自身もそれを守り、[[サムワイズ・ギャムジー]]をはじめとした友人達と会うため、王と王妃らは[[ブランディワイン橋]]のたもとまで行幸したが、庄内に立ち入ることはなかった。その代わり友人達は、再建された[[アンヌーミナス]]の館へ招かれた。

エレスサール王は、[[エレンディル]]以来のもっとも偉大な王として、120年の間[[ゴンドール]]と[[アルノール]]の[[再統一された王国>亡国の民の王国]]を統治する。またアルウェンとの間には、[[エルダリオン]]をはじめとする子を残した。
だが[[第四紀]]120年、自らの死期を悟ったエレスサール王は、エルダリオンや娘たち、そして[[アルウェン]]に別れを告げると、[[ラス・ディネン]]に自分のために用意された棺台に身を横たえ、[[ドゥーネダイン]]に残された「自らが望むときに生を返上する」という恩寵を受け、崩御した。エレスサール王の棺台の傍らには、先にゴンドールで死去し、ラス・ディネンに葬られていた[[メリアドク・ブランディバック]]と[[ペレグリン・トゥック]]の棺台が並び置かれたという。

>するとその顔には大いなる美が顕われたので、後にここにやってきた者たちはすべて驚嘆してかれを眺めたのである。なぜならかれらはかれの青年期の優雅さと、壮年期の勇猛心と、老年期の叡智と威厳がことごとく一つにまじり合っているのを目のあたりに見たからである。そして長くかれはそこに横たわっていたが、それはこの世が破壊される以前の翳ることのない栄光の中にある人間の王たちの輝くような威容を偲ばせる姿であった。((『追補編』「アラゴルンとアルウェンの物語」))

*** 多数の名前の意味 [#names]

:アラゴルン (Aragorn)|意味は正確には不明。北方の[[野伏]]の族長としての名。 &br; '''「わたしはアラソルンの子、アラゴルンだ。そしてわたしは、命にかけてあなた方を助けることができる。助けて差し上げよう。」'''((『旅の仲間 上』「十 馳夫」 [[フロド]]達に素性を明かした時の言葉))
:[[エステル]] (Estel)|[[シンダール語]]で「望み(Hope)」の意。[[サウロン]]の手先から正体を隠すためにつけられた幼名。いまわの際、[[アルウェン]]にもこの名で呼ばれた。 &br; '''わたしはドゥネダインに望みを与えた。わたしはわたし自身のためには望みを取って置かなかった。'''((『追補編』「アラゴルンとアルウェンの物語」 母[[ギルライン]]の[[リンノド]]))
:ソロンギル (Thorongil)|シンダール語で「星の鷲(Eagle of the Star)」の意。[[ローハン]]及び[[ゴンドール]]に仕えていたときの名。眼光鋭く、またマントに[[銀の星>ドゥーネダインの星]]をつけていたため。 &br; '''しかしかれの本当の名が何というのか、生国がどこであるのか、だれ一人知る者はなかった。'''((『追補編』「ゴンドール、またアナリオンの後継者たち」))
:[[馳夫]] (Strider)|[[ブリー郷]]での通り名。詳細は[[馳夫の項目>馳夫]]を参照。 &br; '''「わたしは馳夫であり、ドゥナダンでもある。そしてゴンドールと北の国の両方に属しているのだ。」'''((『二つの塔』「九 漂着物」))
:長すね彦 (Longshanks)|[[しだ家のビル]]が呼んだ名。[[馳夫の項目>馳夫]]を参照。 &br; '''「もっともおれはほかにももっといろいろそれほどけっこうでない名前も聞いてるがね。」'''((『旅の仲間』「十一 闇夜の短剣」))
:翼のある足 (Wingfoot)|[[ローハン]]で出会った[[エオメル]]から呼ばれた名。4日で45[[リーグ]](約217km)を踏破したことを讃えられたもの。 &br; '''「馳夫とはあまりにも貧弱な名。」と、かれはいいました。「翼のある足と申し上げたい。」'''((『[[二つの塔]] 上』「二 ローハンの騎士たち」))
:[[ドゥナダン]] (Dúnadan)|シンダール語で「西方の[[アダン>エダイン]]」の意。[[ドゥーネダイン]]の単数形。[[裂け谷]]での呼び名。 &br; '''「音に聞こえしドゥナダンだよ。」と、ビルボはいいました。「この人はここではよくそう呼ばれてるのだ。だが、せめてドゥン・アダンぐらいのエルフ語は、お前も知ってると思ったけどねえ。」'''((『旅の仲間 下』「一 数々の出会い」))
:イシルドゥアの世継 (Heir of Isildur)|[[イシルドゥア]]の後嗣のことで、『[[指輪物語]]』の物語中では主にアラゴルン二世を指す。アラゴルンは[[ヴァランディル>ヴァランディル(イシルドゥアの息子)]]から数えて39代目の世継であった。イシルドゥアは[[上級王]][[エレンディル]]の世継なので、アラゴルンは同時にエレンディルの世継でもあった。
:[[エレスサール]] (Elessar)|[[クウェンヤ]]で「エルフの石(Elfstone)」の意。王として呼ばれることになると予言された名。彼が[[緑の石]]を身につけていたため、実際に[[ゴンドール]]の人々からこの名で呼ばれるようになる。 &br; '''「この時にあたり、そなたはそなたのために予言された名、すなわちエレンディル王家のエルフの石、エレスサールを名乗られるがよい!」'''((『旅の仲間 下』「八 さらば、ロリアン」 [[緑の石]]を手渡す時の[[ガラドリエル]]の言葉))
:エンヴィンヤタール (Envinyatar)|クウェンヤで「中興王(Renewer)」の意。自ら王として名乗った名。 &br; '''「そのとおり、古代の高貴な言葉でいえば、わたしの名は、エレスサールすなわちエルフの石であり、またエンヴィンヤタールすなわち中興王といいます。」'''((『王の帰還 上』「八 療病院」 [[ピピン>ペレグリン・トゥック]]が馳夫と呼ぶのを聞いた[[イムラヒル]]の反応を受けてのアラゴルンの言葉))
:テルコンタール (Telcontar)|クウェンヤで「馳夫」の意。アラゴルンを祖とする[[再統一された王国]]の王家の名。 &br; '''「しかしもし我が家系が創立されたなら、その王家の名称は馳夫としよう。これも古代語でいえば、響きはそう悪くはない。」'''((同上))
:西方の王、西の国の王、西方地域の王、西方世界の王(King of the West)|[[再統一された王国]]の王としての呼び名。その版図が[[中つ国]]西方に広がっていたため。

*** 画像 [#x9aacf1f]

&ref(AlanLee-37-EowynAndAragorn.jpg,,25%,アラン・リー作画によるアラゴルンとエオウィン); &ref(haseobyterashima.jpg,,30%,寺島龍一作画による馳夫(アラゴルン));

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ヴィゴ・モーテンセン]]|
|~日本語吹き替え|[[大塚芳忠]]|

キャスティングは当初[[スチュアート・タウンゼンド]]として発表されていたが、撮影開始直後に[[ヴィゴ・モーテンセン]]に変更された(詳細は[[スチュアート・タウンゼンド]]の項目を参照)。

最初は、自分の血に流れる力に若干の迷いがあるキャラクターとして描かれているが(かつて、指輪の誘惑に負けた[[イシルドゥア]]の血も引いているためなど)、[[ゴンドール]]を救って欲しいと頼んで事切れた[[ボロミア]]の言葉や、[[馬鍬砦]]まで[[アンドゥリル]]を持ってきた[[エルロンド]]の言葉などにより、覚悟と決意を新たにする形になっている。
[[アモン・ヘン]]では、ひとりで旅立とうとする直前の[[フロド・バギンズ]]に直接会い、[[一つの指輪]]の誘惑に勝てるのかフロドに尋ねられ、さらに指輪の誘惑の声も聞くが、その誘惑を振り切って直接フロドを送り出した。

彼は折れた[[ナルシル]]を持ち歩いておらず、[[指輪の仲間]]として裂け谷を出発したときも[[アンドゥリル]]は持っていない。アンドゥリルは、彼が[[馬鍬砦]]にいるときに[[エルロンド]]が届けにやってくる。
また(原作では[[アルウェン]]に与えているはずの)[[バラヒアの指輪]]を、終始自分が身に付けている。
一方で[[緑の石]]([[エレスサール]])は身に帯びておらず、代わりにアルウェンから贈られた白い宝石を首にかける。

モーテンセンが「[[野伏]]は弓を持っていないと狩りが出来なくて飢え死にしてしまう」と指摘したため、原作では触れられていなかった弓矢も携行しており、[[モリア]]の戦闘で使っている。[[ロスローリエン]]ではアンドゥリルの鞘の代わりに、[[ケレボルン]]より[[エルフ]]の短剣を受け取っており(受け取るシーンは[[エクステンデッド・エディション]]にのみ収録)、[[ラーツ]]との戦いや、[[黒門の戦い]]で使っている。また[[ボロミア]]を葬る時、彼が使っていた手甲を形見として身につける。
乗馬の[[ロヘリン]]は登場せず、代わりに[[ブレゴ>ブレゴ(馬)]]のエピソードが追加されている。

*** 画像 [#s855d180]

&ref(vlcsnap-00018.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるアラゴルン二世);&ref(vlcsnap-00016.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるアラゴルン二世);&ref(vlcsnap-00085.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるアラゴルン二世);&ref(vlcsnap-00028.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるアラゴルン二世);

*** グッズ [#Goods]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

最初は「馳夫」として[[躍る小馬亭]]におり、フロドが[[ブリー村]]に辿り着くための援護をするよう依頼するクエストを与えてくる。
その後アラゴルンは[[裂け谷]]に移動。こちらで、[[アングマール]]に向かった野伏の消息を探る任務や、[[ナルシル]]を鍛え直すための部品を捜す任務を与えてくる。
さらにその後、[[ロスローリエン]]の[[カラス・ガラゾン]]に移動したアラゴルンに会うことができる。ロスローリエンでは、アラゴルンと[[ケリン・アムロス]]や[[アルウェン]]とのエピソードについて触れたクエストがある。
その後は[[エドラス]]、[[角笛城]]で再会、[[角笛城の合戦]]を共に戦うことになる。それから冒険者はアラゴルンの後を追って[[死者の道]]を抜け、[[ペラルギア]]で合流、ペラルギアの奪回に協力する。そして[[ペレンノール野の合戦]]では、[[ハルロンド>ハルロンド(ゴンドール)]]より上陸するアラゴルンの手助けをすることができる。

&ref(ScreenShot00004.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるアラゴルン(裂け谷で鍛え直されたアンドゥリルに名を付けた場面));&ref(死者の軍勢/ScreenShot00569.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるアラゴルン(ペラルギア奪取後、死者の軍勢を解放する場面));&ref(ScreenShot00564.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるアラゴルン(ペレンノール野の合戦直後));

** コメント [#Comment]

#pcomment(,,noname,,,,reply)