* サムワイズ・ギャムジー [#s8361073]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Samwise Gamgee|
|~その他の呼び名|サム(Sam) &br; 庭師(Gardner)  &br; 剛毅の士サムワイズ(Samwise the Stouthearted)((映画『ロード・オブ・ザ・リング』においては、勇者サムワイズ(Samwise the Brave) ))|
|~種族|[[ホビット]]|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2980(([[ホビット庄暦]]1380年。『[[追補編]]』の家系図による。ただし[[第三紀]]の年表によると2983年生となっている。[[第四紀]]の年表で、'''一四七六年、任期の終わるときは、九十六歳'''という記述が正しいなら2980年生まれとなる。))~不明([[第四紀]]61年((ホビット庄暦1484年))に[[中つ国]]を去る)|
|~親|[[ハムファースト・ギャムジー]](父)、子善家のベル(母)|
|~兄弟|ハムソン・ギャムジー(兄)、ハルフレッド・ギャムジー(兄)、ディジー・ギャムジー(姉)、メイ・ギャムジー(姉)、マリゴールド・ギャムジー(妹)|
|~配偶者|[[ローズ・コトン]]([[第三紀]]3020年5月1日)|
|~子|[[エラノール]]、フロド、ローズ、メリー、ピピン、&ruby(ゴルディロックス){金捲毛};、ハムファースト、ディジー、プリムローズ、ビルボ、ルビー、ロビン、トルマン|

** 解説 [#Explanation]

[[指輪の仲間]]の一人の[[ホビット]]。愛称''サム''。[[袋小路屋敷]]の庭師であったため''庭師のサム''とも呼ばれる。
[[ハムファースト・ギャムジー]]と[[子善家のベル]]の息子。兄と姉にハムソン・ギャムジー、ハルフレッド・ギャムジー、ディジー・ギャムジー、メイ・ギャムジーが、妹にマリゴールド・ギャムジーがいる。
[[フロド>フロド・バギンズ]]より12歳の年少。[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]より2歳、[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]より10歳の年長。[[エラノール]]は彼の41歳の、トルマンは62歳の時の子供で、西に去ったときには104歳。

父の代から[[お山]]のバギンズ家に仕える庭師であり、主人にあたる[[フロド・バギンズ]]を「フロドの旦那」と呼んで深く敬愛している。また朴訥ながら鋭い感受性と理解力の持ち主でもある。
大旦那にあたる[[ビルボ・バギンズ]]からは読み書きを教わるとともに、[[エルフ]]や[[龍]]にまつわる伝承を聞いて育った。そのため特にエルフに対して大きな憧れを抱き、いつかエルフに出会ってその魔法を目にすることを望んでいた。
フロドの変化を察知した彼の親しい友人たちの一人でもあり、中でもサムはフロドの心情を誰よりも慮ってその旅に最後まで同行した従者となった。そこでわずかな間ながら彼も[[一つの指輪]]の重責を担い、[[指輪所持者]]となる。

>しかしサムの中で望みが消えた、あるいは消えたかに思われたちょうどその時、それは新たな力に転じました。サムの飾りけのないホビットの顔は、その心に決意が固まるにつれてきびしくなり、ほとんど怖いほど決然とした顔になりました。そしてかれは四肢に震えが走るのをおぼえ、まるで自分が絶望にも疲労にもはたまた終わることない不毛の旅路にも克服されない、石か鋼の生きものに変わっていくかのように感じました。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 下』「三 滅びの山」))

*** [[指輪戦争]]における役割 [#v45f3f1d]

[[一つの指輪]]を相続した[[フロド>フロド・バギンズ]]が密かに[[ホビット庄]]を旅立とうとしていることを知ると、[[メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン・トゥック]]、[[フレデガー・ボルジャー]]らとともに陰謀団を結成。サムは身近でフロドの動静を見張る役目を引き受け、[[大いなる年]]の4月に指輪にまつわる話を盗み聞いた。その場で[[ガンダルフ]]に見咎められたものの、サムが心底からフロドを心配していることを察したガンダルフはその旅に同行するよう命じ、サムは嬉々としてこの言いつけに従った。
[[裂け谷]]では[[エルロンドの会議]]を無断で立ち聞きし、[[エルロンド]]によって[[指輪の仲間]]に任命される。[[パルス・ガレン]]では仲間の誰もがフロドの心中を推察できなかった中、ただ一人その真意を見抜き、彼が単身[[モルドール]]へ向かおうとしていることに気づいて追いすがった。そのため指輪の仲間の離散後も、サムは従者として[[滅びの山]]までフロドに同行して彼を支えた。

サムは、フロドを守ることを第一に考えるあまり警戒心が強く、[[馳夫]]([[アラゴルン二世]])や[[ファラミア]]と初対面の時はなかなか彼らを信用しようとしなかった。
特に[[エミン・ムイル]]から道案内のため連れて行かれることになった[[ゴクリ]]に対しては始終懐疑的できびしく接し、ゴクリの中にある二つの人格を「こそつき」「くさいの」と内心呼んで決して警戒を怠らなかった。[[トレヒ・ウンゴル]]ではたしてゴクリは裏切ったが、それにはサムの警戒心も少なからず影響していた。

トレヒ・ウンゴルにてサムは、フロドを襲った[[シェロブ]]を、フロドが落とした[[つらぬき丸]]と[[ガラドリエルの玻璃瓶>玻璃瓶]]を駆使して撃退するという、かつての[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]に匹敵するような勲を挙げた。
その直後、シェロブの毒にやられてフロドは死んだとサムは思い込み、[[滅びの山]]へと向かう任務を続けるために[[一つの指輪]]をフロドの身体から引き取る。そのためごく短時間だが彼も[[指輪所持者]]となった。
しかし実際にはフロドは仮死状態に陥っていたに過ぎないことを[[オーク]]の会話から聞き知ると、フロドが連れ去られた[[キリス・ウンゴルの塔]]に潜入して彼を救出。一つの指輪もフロドの手に戻った。
その後もサムは、次第に力を増す一つの指輪によって消耗していくフロドを支え、[[滅びの罅裂]]に到達する。そして一つの指輪が破壊された後、フロドとサムは共に[[グワイヒア]]たちによって救出された。

負傷や疲労は[[アラゴルン二世]]によって癒やされ、[[コルマルレン]]にて栄誉礼を受ける。仲間たちと共に[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]での[[エレスサール王>エレスサール]]の戴冠式と結婚式にも参列。その後[[旅人たち]]と言われることになる他のホビットと共に、[[エドラス]]、[[裂け谷]]、[[ブリー村]]を経由して[[ホビット庄]]へと帰郷して[[水の辺村の合戦]]をむかえた。

*** 指輪戦争後 [#o2520262]

サムは[[フロド>フロド・バギンズ]]達と共に、サムは、[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の[[誕生祝いの木>誕生祝いの原]]が切り倒されるなど、[[シャーキー>サルマン]]の手先のごろつき達によって、ホビット庄の豊かな自然が破壊されたことに特に心を痛めたが、自分が[[ロスローリエン]]にて[[ガラドリエル]]より受け取っていた、[[マルローン]]の実生とガラドリエルの庭の土を使い、ホビット庄の自然を蘇らせる。また翌年([[第三紀3019年>大いなる年]])には[[ローズ・コトン]]と結婚し、フロドと共に[[袋小路屋敷]]で生活するようになった。その次の年(3020年)、最初の子である[[エラノール]]が生まれる。その年の9月、[[灰色港]]から[[西方>アマン]]へと船出するフロドたち指輪所持者一行を、サムはピピンやメリーと共に見送った。

フロドから袋小路屋敷や[[西境の赤表紙本]]を始めとした財産を受け継いだサムは、お山の[[庭師家]]の起こりとなり、エラノールの他にフロド、ローズ、メリー、ピピン、&ruby(ゴルディロックス){金捲毛};、ハムファースト、ディジー、プリムローズ、ビルボ、ルビー、ロビン、トルマンの父親となった。またホビット庄の[[庄長]]も七度勤めた。
サムワイズは、ローズ夫人が他界すると[[灰色港]]へ向けて旅立ち、フロドから受け継いだ[[西境の赤表紙本]]を長女のエラノールに与え、彼女に見送られて、最後の指輪所持者として[[西方>アマン]]に去ったという。

*** 略歴 [#tc87b799]

- 2980年 生誕
- 3001年 21歳。[[ビルボの別れの宴]]
- [[3018年 大いなる年>大いなる年#year3018]]、[[指輪戦争]] 38歳。9月、[[フロド>フロド・バギンズ]]と共に[[ホビット村]]を旅立つ。10月、[[裂け谷]]で[[指輪の仲間]]に加わる
- [[3019年 大いなる年>大いなる年#year3019]] 39歳。2月、[[パルス・ガレン]]で一行の離散、フロドと共に[[モルドール]]へ。3月13日から14日にかけて、負傷したフロドに代わり一時[[指輪所持者]]となる。25日、任務達成。11月、[[ホビット庄]]へ帰還、[[水の辺村の合戦]]。[[指輪戦争]]終結
- 3020年 大いなる豊穣の年 40歳。4月、[[ガラドリエル]]から贈られた[[マルローン]]樹が開花。5月、[[ローズ>ローズ・コトン]]と結婚、[[袋小路屋敷]]へ
- 3021年 41歳。3月25日、第一子[[エラノール]]生まれる。9月29日、[[灰色港]]にてフロドら指輪所持者達を見送る。10月6日、袋小路に帰る
- 4年 42歳。第三子ローズ生まれる
- 6年 44歳。初の[[庄長]]選出。第四子メリー生まれる
- 8年 46歳。第五子ピピン生まれる
- 10年 48歳。第六子&ruby(ゴルディロックス){金捲毛};生まれる
- 11年 49歳。第七子ハムファスト生まれる
- 12年 50歳。第八子デイジー生まれる
- 13年 51歳。二度目の庄長選出
- 14年 52歳。第九子プリムローズ生まれる
- 15年 53歳。[[エレスサール王>アラゴルン二世]]の[[ブランディワイン橋]]行幸、「[[ドゥーネダインの星]]」を与えられる。第十子ビルボ生まれる
- 17年 55歳。第十一子ルービィ生まれる
- 19年 57歳。第十二子ロビン生まれる
- 20年 58歳。三度目の庄長選出
- 21年 59歳。ローズ・エラノールと共に[[ゴンドール]]滞在。末子トルマン生まれる
- 27年 65歳。四度目の庄長選出
- 34年 72歳。五度目の庄長選出。サムワイズの願いにより孫の[[ファストレド]]が[[西境]]区長に
- 41年 79歳。六度目の庄長選出
- 48年 86歳。最後の庄長選出
- 61年 106歳。夏至、妻ローズ死去。9月22日、エラノールに見送られて[[塔山丘陵]]から灰色港へ向けて去り、最後の[[指輪所持者]]として海を渡ったと伝えられる

*** 画像 [#yd95565a]

&ref(frodoandsambyterashima.jpg,,30%,寺島龍一作画による香草入り兎シチューを作るサムと眠るフロド);

*** 姓名について [#o0c59214]
サムワイズ・ギャムジー(Samwise Gamgee)という名は、[[西方語]]のバナジール・ガルプシ(Banazîr Galpsi)の英訳である。Banazîrは「うすのろ、お人よし」の意味で、本来は綽名だったものが、日常では使用されなくなり、名前として残ったものである。対応する意味の[[古英語]]samwísを現代英語化したものが(Samwise)であり、Banazîrの短縮形BanにはSamの語が充てられている。
姓のGalpsiはGalbasiを短くしたもので、このGalbasiはもともとは一族の住んでいた村の名Galabasが由来である。そこでGalabasに相当する訳語、Gamwich(発音はGammidge)がGalbasiに充てられ、Gammidgeが崩れたGammidgyを更に縮めたGamgeeがGalpsiに充てられている。
-ギャムイッチ村のハムファスト / Hamfast of Gamwich
-ワイズマン・ギャムイッチ / Wiseman Gamwich
-ホブ・ギャミッジ(ギャミジィじいさん、縄作り) / Hob Gammidge the Roper (Old Gammidgy)
-ホブソン(ギャムジー、縄作り) / Hobson (Roper Gamgee)

[[ホビット村]]には、サムワイズの父、ハムファーストが、緑手家のホルマン(彼の父の母方の従兄弟にあたる)がバギンズ家の庭師をしており、その縁から庭師の助手として移住してきたと思われる。

*** 備考 [#v9fe8924]

『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』によるとサムのモデルは、第一次世界大戦で通信将校として従軍した[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]に付いていた、従卒の兵士達ということである。

>「わが『サム・ギャムジー』は、実はイギリス兵の、一九一四年の戦争で知った兵たちや従卒たちの、おもかげを伝えたものである。彼らは私よりずっと立派だと、今でも私は思っている」

また、本名が「サム・ギャムジー」の人物から手紙を貰ったため、命名の由来について書いた手紙とサイン本を贈ったというエピソードも書かれている。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ショーン・アスティン]]|
|~日本語吹き替え|[[谷田真吾]]|

ホビット庄の掃蕩のエピソードがカットされているため、[[マルローン]]のエピソードは登場せず、ロスローリエンにてガラドリエルから受け取ったのは[[ヒスライン]]のロープと[[エルフのマント]]のみになっている。
フロドから[[袋小路屋敷]]を受け継いだエピソードも表面上は描かれておらず、エンディングで帰宅してエラノールやローズに出迎えられるのは、[[袋枝路]]の家となっている。

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