#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2023-07-12T20:28:31+09:00","","")
* サムワイズ・ギャムジー [#s8361073]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Samwise Gamgee|
|~その他の呼び名|サム(Sam)、庭師(Gardner) 、剛毅の士サムワイズ(Samwise the Stouthearted)((映画『ロード・オブ・ザ・リング』においては、勇者サムワイズ(Samwise the Brave) ))|
|~その他の呼び名|サム(Sam) &br; &ruby(ごうき){剛毅};の士サムワイズ(Samwise the stouthearted)((Stoutとは恰幅の良いという意味も掛けられておりデブ勇者という意味か。映画『ロード・オブ・ザ・リング』においては、勇者サムワイズ(Samwise the Brave) と変更されている)) &br; サムワイズ殿(Master Samwise) &br; 庭師サム(Sam Gardner)((正確には「[[庭師家]]のサム」の意味であろう)) &br; ベアハイル(Berhael)(([[栄誉礼の歌>Hobbits' Battle Song]]にある[[シンダリン]]での名。「うすのろ(half-wise)」の意味の'''Perhael'''が軟音化した形。))|
|~種族|[[ホビット]]|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2980(([[ホビット庄暦]]1380年))~不明([[第四紀]]61年((ホビット庄暦1484年))に[[中つ国]]を去る)|
|~親|[[ハムファースト・ギャムジー]](父)、子善家のベル(母)|
|~兄弟|ハムソン・ギャムジー(兄)、ハルフレッド・ギャムジー(兄)、ディジー・ギャムジー(姉)、メイ・ギャムジー(姉)、マリゴールド・ギャムジー(妹)|
|~生没年|[[庄暦>ホビット庄暦]]1380年([[第三紀]]2980年)((『[[追補編>指輪物語/追補編]]』の家系図による。[[第三紀]]の年表では2983年生となっているが、英語版では2980年生に訂正された。[[第四紀]]の年表で、'''一四七六年、任期の終わるときは、九十六歳'''という記述も、彼の生年が[[庄暦>ホビット庄暦]]1380年([[第三紀]]2980年)であることを示している。))~不明(([[ホビット庄暦]]1482年([[第四紀]]61年)に[[中つ国]]を去る))|
|~親|[[ハムファスト・ギャムジー]](父)、[[子善家のベル]](母)|
|~兄弟|[[ハムソン>ハムソン・ギャムジー]](兄)、[[ハルフレッド>ハルフレッド・ギャムジー]](兄)、[[デイジー>デイジー・ギャムジー]](姉)、[[メイ>メイ・ギャムジー]](姉)、[[マリゴールド>マリゴールド・ギャムジー]](妹)|
|~配偶者|[[ローズ・コトン]]([[第三紀]]3020年5月1日)|
|~子|[[エラノール]]、フロド、ローズ、メリー、ピピン、&ruby(ゴルディロックス){金捲毛};、ハムファースト、ディジー、プリムローズ、ビルボ、ルビー、ロビン、トルマン|
|~子|[[エラノール]]、[[フロド>庭師家のフロド]]、[[ローズ>ローズ(サムワイズの娘)]]、[[メリー>メリー(サムワイズの息子)]]、[[ピピン>ピピン(サムワイズの息子)]]、[[金捲毛]]、[[ハムファスト>ハムファスト(サムワイズの息子)]]、[[デイジー>デイジー(サムワイズの娘)]]、[[プリムローズ]]、[[ビルボ>ビルボ(サムワイズの息子)]]、[[ルービィ]]、[[ロビン]]、[[トルマン>トルマン(サムワイズの息子)]]|

** 解説 [#Explanation]

ギャムジー家の人間で、愛称サム。[[指輪の仲間]]の一人の[[ホビット]]。[[ハムファースト・ギャムジー]]と[[子善家のベル]]の息子。兄と姉にハムソン・ギャムジー、ハルフレッド・ギャムジー、ディジー・ギャムジー、メイ・ギャムジーが、妹にマリゴールド・ギャムジーがいる。
[[フロド>フロド・バギンズ]]より12歳の年少。[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]より2歳、[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]より10歳の年長。[[エラノール]]は彼の41歳の、トルマンは62歳の時の子供で、西に去ったときには104歳。
|>|>|~[[ホビット庄]]の[[庄長]]|h
|CENTER:[[小足家のウィル]]&br;?~1427&br;?~6|CENTER:''サムワイズ殿''(7期)&br;[[庄暦>ホビット庄暦]]1427~1476年(49年間)&br;[[第四紀]]6~55年|CENTER:不明|

父親である[[ハムファースト>ハムファースト・ギャムジー]]のことは「とっつぁん(Gaffer)」と呼んでいる。その父の代から[[お山]]の[[バギンズ家]]に働く庭師のため、フロドを「旦那(Master)」と呼んで敬愛する。また、[[ペレグリン>ペレグリン・トゥック]]や[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]と話すときも、基本的に「旦那」の敬称を使っている。[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]のことは「ビルボ大旦那(Old Mr. Bilbo)」と呼んでいる。
サムは、[[ビルボ・バギンズ]]から[[龍]]や[[エルフ]]などに関する色々な伝承を聞き、読み書きも教わる。サムは特にエルフに対して大きな憧れを抱き、エルフに出会うことがサムの旅の目的の一つになった。
サムは、フロドがビルボのように突然どこかに消えてしまわないかと心配して、フロドのことを見守っていた。やがて、[[一つの指輪]]を持って旅に出ることになったフロドに、ピピン、メリーと共について行くことになる。
[[指輪の仲間]]の一人の[[ホビット]]。愛称''サム''。
[[ハムファスト・ギャムジー]]と[[子善家のベル]]の息子。[[フロド・バギンズ]]より12歳の年少。[[メリアドク・ブランディバック]]より2歳、[[ペレグリン・トゥック]]より10歳の年長。長子[[エラノール]]は彼の41歳の、末子[[トルマン>トルマン(サムワイズの息子)]]は62歳の時の子供で、[[西方>アマン]]に去ったときには102歳。

*** [[指輪戦争]]における役割 [#v45f3f1d]
父[[ハムファスト>ハムファスト・ギャムジー]]の代から[[お山]]の[[バギンズ家]]に仕える庭師であり、主人にあたる[[フロド・バギンズ]]を「フロドの旦那」と呼んで深く敬愛している。
朴訥ながら鋭い感受性と理解力の持ち主。一方でフロドのことを第一に考えるあまり警戒心が強く、[[アラゴルン二世]]や[[ファラミル]]と初対面の時はなかなか彼らを信用しようとはせず、わけても[[ゴクリ]]に対しては始終懐疑の目を向け続けた。

フロドを見守っていたサムは、フロドが[[一つの指輪]]を持って[[ホビット庄]]を離れようとしていることを盗み聞くが、その直後[[ガンダルフ]]に見つかる。ガンダルフは、フロドを心配するサムに、フロドと共についていくよう命じると、サムは嬉々としてこの言いつけに従った。サムは最初の目的地である[[裂け谷]]、さらにはそのさらに先まで、フロドと行動を共にしフロドを守ろうとする。[[パルス・ガレン]]で[[指輪の仲間]]が離散し、フロドがひとりで[[モルドール]]へ向かおうとしたときも、サムはフロドの考えを読んでフロドに追いついた。
フロドの変化を察知した彼の[[親しい友人たち>陰謀者一味]]の一人でもあり、中でもサムワイズはフロドの心身を誰よりも慮ってその旅に最後まで同行した従者となった。そこでわずかな間ながら彼も[[一つの指輪]]の重荷を担い、[[指輪所持者]]となる。

サムは、フロドを守ることを第一に考えるあまり、[[馳夫]]([[アラゴルン二世]])や[[ファラミア]]と初対面の時は、彼らのことを非常に警戒していた。また、フロドが[[ゴクリ]]にモルドールまでの道案内をさせることに決めると、サムもフロドの意見に従ってはいたが、サムはゴクリに対して終始懐疑的できびしく接し、スメアゴルの人格とゴクリの人格を「こそつき」「くさいの」と内心で呼んでいた。[[トレヒ・ウンゴル]]でついにゴクリがフロド達を裏切ると、サムはゴクリに対し復讐を誓う。一方で、その時フロドを襲った[[シェロブ]]を、フロドが落とした[[つらぬき丸]]と[[ガラドリエルの玻璃瓶>玻璃瓶]]で撃退するという、かつての[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]に匹敵するような功績を挙げた。
>しかしサムの中で望みが消えた、あるいは消えたかに思われたちょうどその時、それは新たな力に転じました。サムの飾りけのないホビットの顔は、その心に決意が固まるにつれてきびしくなり、ほとんど怖いほど決然とした顔になりました。そしてかれは四肢に震えが走るのをおぼえ、まるで自分が絶望にも疲労にもはたまた終わることない不毛の旅路にも克服されない、石か鋼の生きものに変わっていくかのように感じました。((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「滅びの山」))

だがサムは、シェロブの毒を受けて仮死状態になったフロドが死んだと思い込むと、フロドから一つの指輪を取って、つらぬき丸と玻璃瓶を預かり、[[滅びの罅裂]]への旅を続行しようとする(そのためごく短期間だが[[指輪所持者]]となった)。だが、倒れていたフロドが[[オーク]]に発見されて連れ去られたとき、一つの指輪で姿を消していたサムは、滅びの罅裂よりもフロドを優先してオークたちの後を追う。やがてオークたちの会話の内容から、フロドが生きていることを知った。その後[[キリス・ウンゴルの塔]]に幽閉されたフロドを救出し、一つの指輪をフロドに返却した。
その後もサムは、次第に一つの指輪の狂気に犯されていくフロドを終始助け続ける。一つの指輪が破壊されたあとは、サムはフロドと共に[[グワイヒア]]たちによって救出された。負傷や疲労は[[アラゴルン二世]]によって癒やされ、[[コルマルレン]]にて栄誉礼を受ける。
後に[[ホビット庄]]の[[庄長]]を7期務めるなど地元の名士となり、[[お山]]の[[庭師家]]の祖となった。

*** 指輪戦争後 [#o2520262]
*** 生い立ち [#b1a53059]

サムはフロド達と共に、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]での[[エレスサール王>エレスサール]]の戴冠式と結婚式に参列。その後[[エドラス]]、[[裂け谷]]、[[ブリー村]]を経由して[[ホビット庄]]へと帰郷する。サムは、[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の[[誕生祝いの木>誕生祝いの原]]が切り倒されるなど、[[シャーキー>サルマン]]の手先のごろつき達によって、ホビット庄の豊かな自然が破壊されたことに特に心を痛めたが、自分が[[ロスローリエン]]にて[[ガラドリエル]]より受け取っていた、[[マルローン]]の実生とガラドリエルの庭の土を使い、ホビット庄の自然を蘇らせる。また翌年([[第三紀3019年>大いなる年]])には[[ローズ・コトン]]と結婚し、フロドと共に[[袋小路屋敷]]で生活するようになった。その次の年(3020年)、最初の子であるエラノールが生まれる。その年の9月、サムはピピン、メリーと共に、[[灰色港]]から[[西方>アマン]]へと船出する、フロドたち指輪所持者一行を見送った。
[[袋枝路]]三番地に住むギャムジー家の第五子(末息子)として生まれる。
父の[[ハムファスト>ハムファスト・ギャムジー]]は[[袋小路屋敷]]の[[バギンズ家]]に仕える庭師であり、サムワイズは幼少期から頻繁に屋敷に出入りしていた。大旦那にあたる[[ビルボ・バギンズ]]からは読み書きを教わるとともに、[[エルフ]]や[[龍]]にまつわる伝承を聞いて育つ。そのため[[ホビット]]にしては珍しい、昔話を信じる若者に育った。わけてもエルフに大きな憧れを抱き、いつかエルフに出会ってその魔法を目にすることを望んでいた。

フロドから袋小路屋敷や[[西境の赤表紙本]]を始めとした財産を受け継いだサムは、お山の[[庭師家]]の起こりとなり、エラノールの他にフロド、ローズ、メリー、ピピン、&ruby(ゴルディロックス){金捲毛};、ハムファースト、ディジー、プリムローズ、ビルボ、ルビー、ロビン、トルマンの父親となった。またホビット庄の[[庄長]]も七度勤めた。
サムワイズは、ローズ夫人が他界すると[[灰色港]]へ向けて旅立ち、フロドから受け継いだ[[西境の赤表紙本]]を長女のエラノールに与え、彼女に見送られて、最後の指輪所持者として[[西方>アマン]]に去ったという。
やがて年老いた父の仕事を引き継いで袋小路屋敷の庭師となり、旦那にあたる[[フロド・バギンズ]]の親しい友人の一人となった。

*** ギャムジーという姓について [#o0c59214]
*** 旅の仲間 [#s8f795f8]

サムワイズは[[西方語]]のバンジール(Banazîr)(薄馬鹿、単純の意)の訳語で、ギャムジーはホビット語のGalbashiあるいはGalpsiの訳語である。姓はもともとは一族の住んでいた村の名前(ギャムウィッチ Gamwich)からとったらしい。[[ホビット村]]には、サムワイズの父、ハムファーストが、緑手家のホルマン(彼の父の母方の従兄弟にあたる)がバギンズ家の庭師をしており、その縁から庭師の助手として移住してきたと思われる。
[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の失踪後、[[フロド]]もまた姿を消すのではないかとの懸念が友人たちの間で広まると、[[メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン・トゥック]]、[[フレデガー・ボルジャー]]らとともに[[陰謀団>陰謀者一味]]を結成。サムは身近でフロドの動静を見張る役目を引き受けた。
[[第三紀]]3018年([[大いなる年]])の4月、来訪した[[ガンダルフ]]によってフロドの相続した指輪が[[冥王]][[サウロン]]の「[[一つの指輪]]」であることが明らかになり、フロドが[[ホビット庄]]から旅立つ決意を固めると、その一部始終を盗み聞く。盗み聞きはその場でガンダルフに見咎められたが、サムワイズが心底からフロドの身を案じていることを察したガンダルフはその旅に同行するよう命じ、彼は嬉々としてこの言いつけに従った。

[[裂け谷]]では[[エルロンドの会議]]を無断で立ち聞きし、[[エルロンド]]によって[[九人の徒歩の者>指輪の仲間]]の一人に任命される。
旅においてはフロドの身の回りの世話をするとともに、鍋と塩を持参して料理係を努めた。

[[ロスローリエン]]では[[ガラドリエル]]によって念願だった[[エルフ]]の「[[魔法>ガラドリエルの鏡]]」を目にする機会を与えられるも、故郷のホビット庄に厄難が迫っている予兆はサムワイズを苦悩させた。ロスローリエンを去る時には、ガラドリエルより彼女の庭の土が入った[[小箱]]を[[贈り物>ガラドリエルの贈り物]]として与えられる。サムワイズはこの小箱を胸元奥深くにしまい、旅の間も大切に持ち続けた。

[[パルス・ガレン]]では仲間の誰もがフロドの心中を推察できなかった中、ただ一人その真意を見抜き、彼が単身[[モルドール]]へ向かおうとしていることに気づいて追いすがった。そのため[[指輪の仲間]]の離散後も、サムワイズは従者として最後までフロドに同行して彼を支えることになった。

*** フロドの従者 [#u11f5b6b]

>「行き着いてみせるとも、この骨のほかは何もかも置いていくとしても。」と、サムはいいました。「そしてフロドの旦那は、おらが背負って行く。たとえこの背中が折れ、心臓が破れたとしてもよ。」((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「滅びの山」))

[[フロド]]とサムワイズは仲間と別れて間もなく、[[エミュン・ムイル]]で二人の後を追跡していた[[ゴクリ]]を捕獲する。フロドは慈悲心を示してゴクリを助命し、[[モルドール]]への道案内として同行を許したが、サムワイズはそんなフロドを尊敬する一方でゴクリのことはあくまで信用せず、ゴクリの中にある二つの人格を「こそつき」「くさいの」と呼んで決して警戒を怠らなかった。
このためサムワイズは、旅の果てにゴクリが改悛しかけたその一瞬、彼に心ない言葉を浴びせてしまい、それと知らずゴクリが善に立ち帰る機会を永遠に失わせてしまう。

[[トレヒ・ウンゴル]]においてゴクリは裏切り、[[シーロブ]]に襲われた[[フロド]]が毒針で噛まれてしまうと、サムワイズはフロドが落とした[[玻璃瓶]]と[[つらぬき丸]]を駆使してシーロブを撃退。これはかつての[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]に匹敵するような勲であった。
冷たく横たわるフロドを見て主人は死んだものと信じたサムワイズは、任務を続けるために[[一つの指輪]]をフロドの身体から引き取り、短期間ながらも[[指輪所持者]]となる。
だがフロドは仮死状態に陥っていただけであり、そのことが[[オーク]]の言葉から判明すると、サムワイズは単身[[キリス・ウンゴルの塔]]に入り込んでフロドを救い出した。しかし指輪の魔力はすでにサムワイズに作用し始めており、それ以上に強くフロドを囚らえていた。サムワイズは指輪をフロドに返却する段になってそれを痛感する。

もはやサムワイズは指輪の重荷を負うことはできなかったが、それを一身に受けるフロドを支えることで、二人は[[滅びの山]]への過酷な旅を成し遂げる。
短期間ながら指輪所持者となったことで、サムワイズはゴクリの苦しみをおぼろげながら察することができるようになっており、[[火の室>サンマス・ナウル]]を前にして襲いかかってきたゴクリをサムは殺さず、その命を助ける。はたして[[滅びの罅裂]]においてフロドは指輪の魔力に屈し、そのフロドから指輪を奪い取ったゴクリがはずみで罅裂に落ちたことで、指輪所持者の任務は達成された。

滅びの山の噴火に巻き込まれる中、サムワイズはあくまで希望を失うまいと努め、正気に戻ったフロドを連れてできるだけ遠くに逃れる。そのため二人は噴煙で気を失ったところを、[[ガンダルフ]]の乗る[[グワイヒィル]]ら[[大鷲]]に発見されて救われた。
[[コルマッレンの野]]の栄誉礼において、炎の中で夢見た通りに「九本指のフロドと滅びの指輪の物語」が吟遊詩人によって吟じられたことは、サムワイズを大いに感動させた。

サムワイズら四人の[[旅人たち]]は[[ホビット庄]]へ帰り着いたが、そこはかつて[[ガラドリエルの鏡]]でサムワイズが幻視したように、[[シャーキー>サルマン#Sharkey]]とその配下の[[ごろつき]]によって荒廃させられていた。[[水の辺村の合戦]]でシャーキーとごろつきは庄から一掃されたが、故郷の豊かな自然が破壊されたことはサムワイズを大いに悲しませる。
サムワイズは多くの庄民の助けを借りてホビット庄の自然を取り戻すために奔走し、庄内各地で植樹作業を主導。その際、[[ガラドリエル]]から与えられた[[小箱]]に入っていた土が大いに役立てられることになった。小箱の土とサムワイズ達の尽力によってホビット庄の自然は速やかに回復し、[[第三紀]]3020年は「[[大いなる豊饒の年]]」と呼ばれる豊年となった。

サムワイズは幼馴染の[[ローズ・コトン]]と結婚し、フロドの勧めで[[袋小路屋敷]]で暮らすようになり、初子となる[[エラノール]]を儲ける。
だが主人のフロドがしばしば病んで臥せることは、サムワイズの気がかりだった。やがてフロドはサムワイズを連れて旅立ち、[[末つ森]]で[[ビルボ・バギンズ]]と[[エルフ]]たちに出会う。フロドはほとんど完成した[[赤表紙本]]をサムに託し、袋小路屋敷をはじめとした財産と[[中つ国]]で得るはずだった幸せの全てをサムワイズに譲ると、[[灰色港]]から船で[[西方>アマン]]に去っていった。
この時ばかりはサムワイズもフロドについていくことはできず、フロドから「欠けることのない一つのものとして」幸せな歳月を送るよう言い残され、[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン>ペレグリン・トゥック]]と共にその船出を見送る。やがてサムワイズは家族の待つ袋小路屋敷にひとり帰り着いた。

>かれはほーっと一つ深い息をつきました。「さあ、戻ってきただよ。」と、かれはいいました。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]]』「灰色港」))

*** 庄長サムワイズ [#zfa6a7c7]

その後サムワイズは[[庄長]]に七度選出された。
彼は[[お山]]の[[庭師家]]の起こりとなり、[[エラノール]]の他に[[フロド>庭師家のフロド]]、[[フロド>庭師家のフロド]]、[[ローズ>ローズ(サムワイズの娘)]]、[[メリー>メリー(サムワイズの息子)]]、[[ピピン>ピピン(サムワイズの息子)]]、[[金捲毛]]、[[ハムファスト>ハムファスト(サムワイズの息子)]]、[[デイジー>デイジー(サムワイズの娘)]]、[[プリムローズ]]、[[ビルボ>ビルボ(サムワイズの息子)]]、[[ルービィ]]、[[ロビン]]、[[トルマン>トルマン(サムワイズの息子)]]ら十三人の子供の父親となった。これは[[トゥック翁]]の子沢山記録を上回るものであった。
[[エレッサール王>アラゴルン二世]]との親交も保ち続け、庄長として[[北王国の顧問官]]の一員に任じられると共に、王が[[ブランディワイン橋]]に御幸した際には[[ドゥーネダインの星]]を与えられた。

[[第四紀]]61年の夏至に妻の[[ローズ>ローズ・コトン]]が他界すると、長女の[[エラノール]]に[[西境の赤表紙本]]を与え、最後の[[指輪所持者]]として[[灰色港]]から[[西方>アマン]]へ去ったという。

*** 略歴 [#tc87b799]

- 2980年 生誕。
- 3001年 21歳。[[ビルボの別れの宴]]。
- [[3018年 大いなる年>大いなる年#year3018]]、[[指輪戦争]] 38歳。9月23日、[[フロド>フロド・バギンズ]]と共に[[ホビット村]]を旅立つ。12月25日、[[指輪の仲間]]の一員として[[裂け谷]]を発つ。
- [[3019年 大いなる年>大いなる年#year3019]] 39歳。2月26日、[[パルス・ガレン]]で一行の離散、フロドと共に[[モルドール]]へ。3月13日から14日にかけて、負傷したフロドに代わり一時[[指輪所持者]]となる。25日、任務達成。10月30日、[[ホビット庄]]へ帰還。11月3日、[[水の辺村の合戦]]。[[指輪戦争]]終結。
- 3020年 [[大いなる豊饒の年]] 40歳。4月6日、[[ガラドリエル]]から贈られた[[マッロルン]]樹が開花。5月1日、[[ローズ>ローズ・コトン]]と結婚、[[袋小路屋敷]]へ。
- 3021年 [[第三紀最後の年]] 41歳。3月25日、第一子[[エラノール]]生まれる。9月29日、[[灰色港]]にてフロドらを見送る。10月6日、袋小路に帰る。
- 2年 43歳。第二子[[フロド>庭師家のフロド]]生まれる。
- 4年 45歳。第三子[[ローズ>ローズ(サムワイズの娘)]]生まれる。
- 6年 47歳。初の[[庄長]]選出。第四子[[メリー>メリー(サムワイズの息子)]]生まれる。
- 8年 49歳。第五子[[ピピン>ピピン(サムワイズの息子)]]生まれる。
- 10年 51歳。第六子[[金捲毛]]生まれる。
- 11年 52歳。第七子[[ハムファスト>ハムファスト(サムワイズの息子)]]生まれる。
- 12年 53歳。第八子[[デイジー>デイジー(サムワイズの娘)]]生まれる。
- 13年 54歳。[[エレッサール王>アラゴルン二世]]により[[北王国の顧問官]]に任ぜられる。二度目の庄長選出。
- 14年 55歳。第九子[[プリムローズ]]生まれる
- 15年 56歳。エレッサール王の[[ブランディワイン橋]]行幸、「[[ドゥーネダインの星]]」を与えられる。第十子[[ビルボ>ビルボ(サムワイズの息子)]]生まれる。
- 17年 58歳。第十一子[[ルービィ]]生まれる。
- 19年 60歳。第十二子[[ロビン]]生まれる。
- 20年 61歳。三度目の庄長選出。
- 21年 62歳。妻[[ローズ>ローズ・コトン]]、娘[[エラノール]]と共に[[ゴンドール]]に一年滞在。末子[[トルマン>トルマン(サムワイズの息子)]]生まれる。
- 27年 68歳。四度目の庄長選出。
- 34年 75歳。五度目の庄長選出。サムワイズの願いにより、[[緑樫のファストレド]]が[[西境の区長]]となる。
- 41年 82歳。六度目の庄長選出。
- 48年 89歳。最後の庄長選出。
- 55年 96歳。庄長を辞任。
- 61年 102歳。夏至、妻[[ローズ>ローズ・コトン]]死去。9月22日、[[袋小路屋敷]]を発つ。その後[[エラノール]]に見送られて[[塔山丘陵]]から[[灰色港]]へ向けて去り、最後の[[指輪所持者]]として海を渡ったと伝えられる。

*** 画像 [#yd95565a]

&ref(frodoandsambyterashima.jpg,,30%,寺島龍一作画による香草入り兎シチューを作るサムと眠るフロド);

*** 姓名について [#o0c59214]

サムワイズ・ギャムジー(Samwise Gamgee)という名は、[[西方語]]の''Banazîr Galbasi(Galpsi)''の英訳である。
Banazîrは「うすのろ(halfwise)」、「お人よし(simple)」の意味で、本来は綽名だったものが日常では使用されなくなり、名前として残ったものである。
対応する意味の古い英語samwísを現代化したものが''サムワイズ''(Samwise)であり、Banazîrの短縮形Banには''サム''(Sam)の語があてられている。

姓のGalbasi(より短くした形はGalpsi)はもともと一族の住んでいた村の名Galabasが由来である。
そこでGalabasには対応する意味の訳語[[ギャムイッチ(Gamwich)>ギャムイッチ村]](発音はGammidge)があてられ、Gamwichを崩したGammidgyを更に縮めた''ギャムジー''(Gamgee)の語がGalbasi(Galpsi)にあてられている。

-サムワイズ・ギャムジーの父方の系統に見る姓名の変遷
--[[ギャムイッチ村のハムファスト]] / Hamfast of Gamwich
--[[ワイズマン・ギャムイッチ]] / Wiseman Gamwich
--[[縄作りホブ・ギャミッジ(ギャミジィじいさん)>ホブ・ギャミッジ]] / Hob Gammidge the Roper (Old Gammidgy)
--[[ホブソン(縄作りギャムジー)>ホブソン]] / Hobson (Roper Gamgee)
--[[ハムファスト(ハム・ギャムジー)とっつぁん>ハムファスト・ギャムジー]] / Hamfast (Ham Gamgee) the Gaffer
--サムワイズ・ギャムジー(サム) / Samwise Gamgee (Sam)

サムワイズの父[[ハムファスト>ハムファスト・ギャムジー]]は、[[袋小路屋敷]]の庭師だった[[緑手家のホルマン]](ハムファストの父の母方の従弟)の見習いとなり、その縁から[[ホビット村]]に移住してきたと思われる。

*** 備考 [#v9fe8924]

『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』によるとサムのモデルは、第一次世界大戦で通信将校として従軍した[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]に付いていた、従卒の兵士達ということである。
『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』によるとサムのモデルは、第一次世界大戦で通信将校として従軍した[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]が知り合った、一般の兵士達ということである。

>「わが『サム・ギャムジー』は、実はイギリス兵の、一九一四年の戦争で知った兵たちや従卒たちの、おもかげを伝えたものである。彼らは私よりずっと立派だと、今でも私は思っている」

映画『[[トールキン 旅のはじまり]]』ではこの話にちなみ、第一次大戦におけるソンムの戦いでトールキンに付き従っていた従卒(劇中ではひとりの兵士)が「サム」と呼ばれている(フルネームはサム・ホッジズ(Sam Hodges))。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ショーン・アスティン]]|
|~日本語吹き替え|[[谷田真吾]]|

ホビット庄の掃蕩のエピソードがカットされているため、[[マッロルン]]のエピソードは登場せず、[[ロスローリエン]]で受け取った[[贈り物>ガラドリエルの贈り物]]は[[ヒスライン]]のロープと[[エルフのマント]]のみになっている。
[[フロド>フロド・バギンズ]]から[[袋小路屋敷]]を受け継いだエピソードも表面上は描かれておらず、エンディングで帰宅して[[エラノール]]や[[ローズ>ローズ・コトン]]に出迎えられるのは、[[袋枝路]]の家となっている。

*** 画像 [#k99577b2]

&ref(vlcsnap-00003.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム); &ref(vlcsnap-00052.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム); &ref(vlcsnap-00083.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム); &ref(vlcsnap-00092.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム);

*** グッズ [#o5e38cb9]

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|~俳優|[[ショーン・アスティン]]|
|~日本語吹き替え|[[谷田真吾]]|
** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

ホビット庄の掃蕩のエピソードがカットされているため、[[マルローン]]のエピソードは登場せず、ロスローリエンにてガラドリエルから受け取ったのは[[ヒスライン]]のロープと[[エルフのマント]]のみになっている。
フロドから[[袋小路屋敷]]を受け継いだエピソードも表面上は描かれておらず、エンディングで帰宅してエラノールやローズに出迎えられるのは、[[袋枝路]]の家と思われる。
&ref(ScreenShot00652.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における裂け谷でのサムワイズ・ギャムジー); &ref(フロド・バギンズ/ScreenShot00689.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとサム(キリス・ウンゴルにて));

#include(Include/指輪の仲間,notitle)

** コメント [#Comment]

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