指輪物語/旅の仲間/あらすじ


本項目では、『指輪物語 第一部 旅の仲間』のあらすじについて記述している。

旅の仲間 上

一 待ちに待った誕生祝い (A Long-expected Party)

(『ホビットの冒険』主人公の)ビルボ・バギンズは相変わらず袋小路屋敷で暮らしていたが、独身を通していた。だがお気に入りの親戚で、両親が既に他界していたフロド・バギンズを養子に取っていた。
 やがてビルボの111歳の誕生日と、フロドの33歳の誕生日が同じ日に訪れ、親戚や近所の住人のホビットたち、そして魔法使いガンダルフを含めた多数の人々を野原に呼んだ盛大な誕生パーティーが開かれる。だがその誕生パーティーの最中、最後のスピーチ中にビルボは突然姿を消してしまう。ビルボははなれ山への冒険の最中に手に入れた魔法の指輪を使い、姿を消したのだった。
 そのまま密かに袋小路屋敷へ戻ったビルボは、袋小路屋敷やその他の品をフロドに相続させると、そのまま旅に出ていった。その時ガンダルフの強い勧めで、例の魔法の指輪もフロドに残していった。だがビルボの行き先は、フロドにも知らせられてはいなかった。またガンダルフもフロドに別れを告げ、そのまま旅立っていった。

二 過去の影 (The Shadow of the Past)

フロド・バギンズ袋小路屋敷の主人としてそのまま生活を続け、やがて50歳を迎えようとしていた。一方、一般にホビットたちはほとんど気にしていなかったが、モルドール冥王の暗い噂が、旅のドワーフなどによって囁かれるようになっていた。
そんなある日、9年以上姿を現さなかったガンダルフが、唐突に久し振りにフロドの元を訪れた。そしてビルボの残していった魔法の指輪が、全てを統べる一つの指輪であることを明らかにする。ガンダルフはこの真実を突き止めるため、長い間旅をしていたのだった。
一つの指輪は冥王サウロンが自分の力を込めて作り出したものであり、サウロンはこの指輪を探し求めている。もしこの指輪がサウロンの手に渡れば、中つ国を支配してしまうほどの力を手に入れるだろう。そしてサウロンはゴクリを捕らえて尋問したことによって、指輪をホビット庄の「バギンズ」が手に入れたことを知ってしまった。そしてサウロンは現在、ホビット庄を捜していると思われる。
指輪を破壊するには、モルドール滅びの山にある滅びの罅裂に投げ込むしかない。フロドはホビット庄を救うため、とにかくこの地を離れようと、旅に出る決心をする。
ところがこれらの話を、フロドの庭師をしていたサムワイズ(サム)・ギャムジーが盗み聞きしていた。サムはガンダルフに見つかり、“罰”としてフロドと行動を共にするよう命じられ、サムは喜んでそれに従おうとする。

三 三人寄れば (Three is Company)

フロドは、ビルボのように突然消えて騒ぎになるのを避けるため、袋小路屋敷ロベリア・サックビル=バギンズに売り払って、ホビット庄の東境近くにあるくり窪に引っ越す計画を立てた。そこからガンダルフの勧めに従い、さらに東へと旅をして裂け谷に向かおうというのである。
そして旅立ちの日に決めたフロドとビルボの誕生日を目前にして、情報収集に行くと言って出かけたガンダルフがそのまま戻ってこなかった。やむなくフロドは、引っ越しを手伝って貰ったサムほか友人や親戚数人と共に小さな宴を開き、予定通り袋小路屋敷を出発してくり窪へと向かう。その途中、フロドを捜しているらしい、黒装束で黒馬に乗った黒の乗手を発見するが、黒の乗手は偶然ギルドールたちエルフの一団がやってくると姿を消した。
フロドたちはしばらくギルドールたちと行動を共にし、旅を続ける。

四 茸畑への近道 (A Short Cut to Mushrooms)

ギルドールらと別れたフロドたちホビットは、黒の乗手の監視を逃れるため街道を避けつつ東へ進み、マゴット爺さんの土地に立ち寄って、彼の家で歓迎を受ける。その時、黒の乗手も“バギンズ”を捜してマゴットの元にやって来ていたことを教えられた。
それから一行がバックルベリの渡し場へ向かおうとしたところ、何者かが“バギンズ”を探しに現れた。だがそれは、一足先に小馬を使って袋小路屋敷からくり窪の家に着いていた、メリアドク(メリー)・ブランディバックだった。彼が迎えに来ていたのである。

五 正体をあらわした陰謀 (A Conspiracy Unmasked)

バックルベリの渡し場を使ってブランディワイン川を渡ったフロドたちは、黒の乗手を巻いて、無事くり窪の新居に到達した。くり窪の家には、フロド以外にサムペレグリン(ピピン)・トゥックメリーフレデガー・ボルジャー(でぶちゃん)がいたが、皆はフロドが旅に出ようとしていることや、指輪のことを知っていた。そしてフロドの旅にはサムだけではなく、ピピンとメリーもついてくることになった。でぶちゃんだけはくり窪の家に残り、フロドがこの家に残っているようカモフラージュする役を引き受けることになった。
そしてフロドたちは黒の乗手を避けるため、街道を使わず古森を抜けて東へ向かうことにする。

六 古森 (The Old Forest)

4人のホビットフロドサムピピンメリー古森に入っていくが、鬱蒼とした木々に行く手を阻まれ、道に迷ってしまう。しかも皆は眠気に襲われたところ、メリーとピピンが柳じじいの根に囚われてしまった。皆は、そこに通りかかったトム・ボンバディルに助けられる。そのまま一行は、ボンバディルの家に招待される。

七 トム・ボンバディルの家で (In the House of Tom Bombadil)

ボンバディルの家に着くと、そこにはゴールドベリという女性もいた。そのままフロドたちは歓待を受け、雨が降ったこともあって2日間宿泊させてもらう。ボンバディルは歴史の話など、さまざまなことをフロドたちに語って聞かせる。

八 霧の塚山丘陵 (Fog on the Barrow-Downs)

ボンバディルの家を出発したフロドたちは、塚山丘陵を抜けて街道に出ようとする。だが塚人に捕らえられ、古墳のひとつに閉じ込められてしまった。4人のホビットの中で唯一意識があったフロドは剣を振り、またボンバディルに教えて貰った歌を歌う。するとボンバディルが現れ、再びホビットたちは彼に救われた。
ボンバディルは、ホビット達に塚山から出土された塚山出土の剣を与え、さらに街道まで案内してくれた。それからブリー村躍る小馬亭に行くよう勧めてから、去って行った。

九 躍る小馬亭で (At the Sign of The Prancing Pony)

フロドたちはブリー村の旅籠屋躍る小馬亭に到着した。フロドは“バギンズ”の名を出すのを避けるため、事前にガンダルフと決めてあった“山の下”の偽名を使って宿に入った。そして酒場で、馳夫という奇妙な人間の男に出会う。
フロドが馳夫と話をしているとき、ピピンホビット庄の話題を持ち出して客達の間で持ち上げられて気をよくしていた。このままでは、ビルボの別れの宴ビルボが姿を消した時の話まで始め、“バギンズ”の名前を出してしまうかもしれない。
そこでフロドが皆の気をそらすため、テーブルの上に乗って歌を歌い始めた。当初その試みは成功したかのように見えたが、誤ってフロドがテーブルから転げ落ちてしまったとき、“偶然”フロドの指に指輪がはまり、一瞬フロドの姿が透明になって、大騒ぎになってしまった。

十 馳夫 (Strider)

フロドに話があるという馳夫は、宿のフロド達の部屋にやって来た。そして黒の乗手や、ブリー村にいるスパイを警戒するように言い、自分ならフロド達を裂け谷に案内することができるという。
そんな話をしているときに、宿の主人であるバーリマン・バタバーがやってきて、ガンダルフが“山の下”という偽名を使うことになっているホビットにあてて書いた手紙を持ってきた。実はこの手紙は、ガンダルフが姿を消す直前にフロドに宛てて書いたものだが、バタバーが出すのを忘れてしまっていたのである。その手紙には、悪い知らせが入ったため計画を早めて旅立つこと、馳夫は信頼できる人物であること、馳夫の本名はアラゴルンであることなどが書いてあった。フロドは馳夫ことアラゴルンを信用し、翌朝彼と出発することにする。

十一 闇夜の短剣 (A Knife in the Dark)

躍る小馬亭黒の乗手に襲撃され、フロドたちの小馬が全て逃げ去るなどというトラブルがあったものの、ホビット達は馳夫のお陰で全員無事だった。朝になるとホビット達は馳夫と共に出発する。馳夫は街道を進んでから途中で道を逸れ、ぶよ水の沢地を抜けて、風見が丘の方へと進んでいった。馳夫達は風見が丘の頂上でガンダルフがいたらしい痕跡を見つけ、さらに下の街道に黒の乗手>がいるのを発見する。
皆は風見が丘の頂上を降り、野営地へと向かう。そこを5人の黒の乗手に襲撃され、フロドが黒の乗手のナイフに刺されてしまう。

十二 浅瀬への逃走 (Flight to the Ford)

黒の乗手は反撃を受けて一次去ったが、フロドモルグルの刃の傷を受けて苦しんでいた。彼はアセラスを使った馳夫の応急手当を受けたが、助けるためには一刻も早く裂け谷で治療を受けるしかない。一行は何日もかけて道を進むうち、やがて街道を進んでいたグロルフィンデルと合流する。フロドはグロルフィンデルの馬アスファロスに乗せてもらい、一行は先を急ぐが、ついに9人揃った黒の乗手に追いつかれてしまう。フロドはアスファロスに乗って逃げるが、ブルイネンの浅瀬で追いつかれてしまう。その時ブルイネンが突然水位と水流を上げて黒の乗手達に襲いかかり、彼らを流し去った。だがフロドも意識を失ってしまう。

旅の仲間 下

一 数々の出会い (Many Meetings)

フロド裂け谷「最後の憩」館に運び込まれ、エルロンドの治療を受けて意識を取り戻した。サムたちも皆無事だった。フロドは裂け谷でガンダルフと再会、またエレボールに遠征したドワーフのひとりグローインや、ホビット庄を去って裂け谷に落ち着いていたビルボ、エルロンドの娘アルウェンらと出会う。

二 エルロンドの会議 (The Council of Elrond)

エルロンドの会議が開催され、ここ最近中つ国各地で起きている問題のことが話し合われた。特に最大の問題は、フロドの指輪が一つの指輪そのもので間違いないかということ、これをどうすべきかということであった。会議では、サウロンを出し抜くためには、一つの指輪をモルドール滅びの山へと持っていき、滅びの罅裂に投じて破壊するしかないという結論が出される。そしてその旅にフロドが立候補し、サムもついていくことになった。

三 指輪、南へいく (The Ring Goes South)

一つの指輪破壊の旅に赴く指輪の仲間は、9人の黒の乗手に対するべく9人と定められた。そしてそのメンバーには、フロドサムのほか、ピピンメリーホビットが、またエルフの代表として闇の森エルフ王スランドゥイルの息子レゴラスが、ドワーフの代表としてグローインの息子ギムリが、人間の代表として馳夫ことアラゴルンと、裂け谷に助言を求めに来ていたボロミルが参加。またガンダルフも参加することになった。
出発前にアラゴルンは折れたる剣を鍛え直し、アンドゥーリルと名付ける。またフロドはビルボより、つらぬき丸ミスリルの胴着を受け取った。
事前に裂け谷から放たれていた斥候の情報を元に、裂け谷より出発した指輪の仲間は霧ふり山脈の西側を南下。それから赤角口を通って山脈を東に抜けようとするが、吹雪に阻まれ、引き返せざるを得なくなる。

四 暗闇の旅 (A Journey in the Dark)

指輪の仲間一行はワーグに襲われたこともあり、モリアを通過して東へ抜けることを決定。モリアの壁まで辿りつく。そこで、シランノンがせき止められて作られていた池から現れた触手に襲われるも、一行はモリアの中へと逃げ込み、暗闇の中へと進んでいく。やがて一行はマザルブルの間で、エレボールに遠征したドワーフのひとりであったバリンの墓を発見する。

五 カザド=ドゥームの橋 (The Bridge of Khazad-dûm)

指輪の仲間一行はマザルブルの間を調べるうちにマザルブルの書を発見、モリアに入植を試みたバリン一党の運命を知る。そこをオークに襲撃されるが、一次撃退に成功。一行はマザルブルの間から東へと進んでいく。だが一行の後を追ってオークやトロル、さらにはバルログが現れた。一行はドゥリンの橋を進み、殿となったガンダルフはバルログと対峙。ガンダルフは橋を落としてバルログを奈落へ落とすが、自分自身もバルログの鞭に捕まり、暗闇へと落ちていった。
残った一行はアラゴルンの指示の元、モリアの東口から脱出する。

六 ロスローリエン (Lothlórien)

指輪の仲間一行はロスローリエンの森の境に到着し、ボロミルは不安がるものの、ニムロデルの川を渡る。そこで一行はハルディルというエルフに案内され、敵の目を避けるためフレトの上で夜を過ごす。ロスローリエンのエルフはドワーフギムリを警戒するものの、一行はケリン・アムロスへと案内された。

七 ガラドリエルの鏡 (The Mirror of Galadriel)

指輪の仲間一行はロスローリエンカラス・ガラゾンに案内され、ケレボルンおよびガラドリエルと面会する。一行は直接口にされていないのに、ガラドリエルに見つめられたとき、己の望みが叶うのならどうするかという問いかけを与えられたかのような気がした。
ともかく一行はロスローリエンでしばらく休養を取ることになった。そんなある日、フロドサムが散歩しているとガラドリエルに出会い、彼女に招かれてガラドリエルの鏡を見る。サムはホビット庄の光景を見たいと願って鏡を覗き込むと、そこには荒れゆくホビット庄の光景が映し出された。一方フロドは何も願わずに鏡を覗き込んだところ、さまざまな光景が鏡に浮かぶ。そしてサウロンが自分と一つの指輪を捜しているが、まだ見つけてはいないことを知った。さらにガラドリエルが、三つの指輪のうちネンヤを所持していること、一つの指輪を手にしたいという望みを持っていることを知った。
そこでフロドはガラドリエルに一つの指輪を差し出そうとするが、ガラドリエルはその誘惑を振り払う。

八 さらば、ローリエン (Farewell to Lórien)

指輪の仲間ロスローリエンを出発することにする。南下するにあたり、このまま大河アンドゥイン東岸のモルドールへの道を行くべきか、一時アンドゥイン西岸のミナス・ティリスに寄るべきか迷っていたアラゴルンだが、ケレボルンより船を貰って、さしあたりアンドゥインをそのまま南下することができるようになった。
また一行は、アラゴルンは緑の石アンドゥーリルの鞘を、フロド玻璃瓶を、また全員にエルフのマントをといったように、ガラドリエルから贈り物を受け取り、小船で出発する。

九 大河 (The Great River)

指輪の仲間大河アンドゥインを南へと下っていった。その間にフロドらは、ゴクリが自分たちの後をつけているのに気がつく。ゴクリはモルドールから逃亡した後アラゴルンによって捕らえられ闇の森エルフに引き渡されていたが、そこからも逃亡し、姿を消していたのだ。
やがて一行の小船アルゴナスを通過し、ラウロスの大瀑布の手前、ネン・ヒソエルまでやって来た。ここでついに一行は、西へ向かうか、東へ向かうかの最終判断を迫られることになった。

十 一行の離散 (The Breaking of the Fellowship)

指輪の仲間アンドゥイン西岸のアモン・ヘンの麓に上陸。ここで一行は、東のモルドールへの道を行くべきか、西のミナス・ティリスに向かうべきか、それぞれ別れて別の道を進むべきかの決断を迫られる。アラゴルンはその決断をフロドに委ね、フロドはひとりで考えるため皆の元を離れて歩き出した。
だがその後をボロミルが追ってきた。彼はミナス・ティリスへ向かうべきだとフロドを説得し、さらに一つの指輪はモルドールを倒す武器になると、エルロンドの会議で棄却されたはずの意見を持ち出してきた。その上血迷ったボロミルは、力尽くでフロドから指輪を奪おうと襲いかかる。だがその瞬間フロドは指輪を指にはめて透明になると、ボロミルから逃れた。
指輪の誘惑の魔力が仲間にまで及んでいることを悟ったフロドは、皆を危険から遠ざけるためにも、ひとりでモルドールへと向かう決心をする。
残されたアラゴルンたち仲間が話し合っていると、ボロミルが戻ってきた。ボロミルはフロドを説得しようとしたが、姿を消したと説明。慌てた皆は、フロドを探しに飛び出した。だがサムは、フロドがひとりでモルドールへ向かう決心をしたことを見抜いた。そして東へ向かうには、小船と荷物が必要になるはずだと考えて引き返す。そしてまさに、船で東へ行こうとしているフロドを発見。こうしてサムただひとりが、モルドールへ向かうフロドについて行くことになった。

物語は二つの塔に続く。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • ビルボ・バギンズ! -- 2023-10-29 (日) 11:45:28
  • わしをケチな泥棒扱いするでない。指輪を奪う気などない。お前を助けたいのじゃ。 -- 2023-10-30 (月) 16:21:08
  • すみませんでした。でも、とても妙な気分になったのです。だけど、もうこれに煩わされずに済むのなら、いくらか気が安まるでしょう。 -- 2023-10-30 (月) 17:59:19
お名前:

人種差別をあおるもの、公序良俗に反するもの、項目とは関係ないコメント、他コメント者への個人攻撃及び価値観の押しつけや、相手を言い負かすことが目的の非建設的な議論、現実世界の政治および近代・現代史、特定国家、団体、民族などに結びつけ批判、揶揄するようなコメントなどは削除の対象となります。その他コメントについて。
Last-modified: