メリアン†
概要†
解説†
ヴァーナとエステに仕えたマイエ。
世界が創造される前はヤヴァンナに似た存在だったという。アマンではローリエンの庭に住み、イルモの庭に花咲く木々の世話をしていた。その周りでは常に小夜啼鳥が歌っていた。
上古の世に中つ国にやってきて、エルフのシンゴルと結ばれる。二人の間にはこの世で最も美しい者と呼ばれる娘ルーシエンが生まれた。これによってアイヌルの血がイルーヴァタールの子らの中に引き継がれることになった。
ローリエンの民の中でメリアンほど美しい者も、賢い者もなく、かの女ほど心をとろかす歌に長じた者もいなかった。二つの木の光が混じり合う時、ローリエンでメリアンが歌うと、ヴァラールは仕事を中断し、ヴァリノールの小鳥たちは賑やかな囀りをやめ、ヴァルマールの鐘は黙し、噴水の水は流れを止めたという。*1
ドリアスの守護者†
メリアンはもともとヴァラールの聖なる種族の出であり、偉大な力と智慧を具えたマイアであるのだが、ただエルウェ・シンゴルロへの愛ゆえに、イルーヴァタールの長子たるエルフの姿をとったのであり、その結婚によってアルダに生きる現し身の絆と束縛に自らも縛られることになったのである。かの女は、この仮の姿でシンゴルの子ルーシエン・ティヌーヴィエルを生み、その仮の姿でアルダの物質に及ぼす力を得た。そしてドリアスは、メリアンの魔法帯によって久しい間外部からの諸々の禍から守られてきたのである。*2
星々の時代に中つ国へやってきて、薄明の沈黙を自らの歌声と小夜啼鳥の歌声で満たしていたメリアンは、やがてエルウェ(シンゴル)とナン・エルモスの森で出会う。たちまち魔法にかけられた二人はそのまま手を取り合って見つめ合い、周囲の木々が高く深く生い茂るまで立ち尽くすことになった。
魔法から醒めて森を後にした二人は、エルウェの一党に迎えられ、ベレリアンドの中央に後にドリアスと呼ばれるようになるシンダール・エルフの王国を築いた。
メリアンはアルダの創造に参画してその進展を目にしたアイヌルの一員として、大いなる智慧と先見の明の持ち主であった。
彼女はいずれメルコール(モルゴス)が戻ってくることを予見したため、シンゴルはその備えとしてメネグロスの地下宮殿を建造した。実際にモルゴスがアングバンドに戻ってきて最初の戦いが起こると、メリアンはドリアスに魔法帯をめぐらして、王国に禍が入り込むことを防いだ。
メリアンの魔力はサウロンと拮抗するほどのものであり、またガラドリエルはドリアス滞在中にメリアンから教えを受けた。
だがベレンとルーシエンが恋仲になると、シンゴルはベレンを亡き者にするために、モルゴスの鉄の王冠からシルマリルの一つを奪い返してくるようにと要求する。これをメリアンは憂慮し、たとえベレンがその使命に失敗しましょうと、あるいは成就して戻りましょうと、殿のお為にはなりませぬ。殿は、殿の娘を、でなければ、殿御自身を滅びの運命に定めてしまわれたのです*3と予見した。
はたしてシルマリルを手に入れたシンゴルは、これをナウグラミールと組み合わせようとしてノグロドのドワーフと諍いを起こし、殺されてしまう。
メリアンを地上に結びつけていた唯一の絆であるシンゴルが死んだことで、彼女の心と力は中つ国から急速に離れていった。メリアンはベレンとルーシエンへの言伝をマブルングに託すと、中つ国から姿を消し、それとともにドリアスを守ってきた魔法帯も消失した。メリアンはローリエンの地に戻って哀しみに耽ったという。
Include/アイヌル†
コメント†
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