セーオデン†
概要†
カテゴリー | 人名 |
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スペル | Théoden*1 |
異訳 | セオデン |
その他の呼び名 | セーオデン・エドニュー(Théoden Ednew) 馬乗り人の長老(Father of Horse-men)*2 |
種族 | 人間(ロヒルリム) |
性別 | 男 |
生没年 | 第三紀2948~†3019年3月15日(享年71) |
親 | センゲル(父)、モルウェン(母) |
兄弟 | セーオドウィン(妹)含め姉妹4名 |
配偶者 | エルフヒルド |
子 | セーオドレド(息子)、エーオメル(養子)、エーオウィン(養女) |
解説†
ローハン(マーク)17代目の王。センゲルとモルウェンの唯一の息子。セーオドウィンの兄であり、他に姉が一人と妹が二人いる。エルフヒルドを妻としセーオドレドの父となる。
若年の頃より戦を好む勇猛な武人かつ優れた騎手であった。老境に差し掛かった頃より自らの相談役蛇の舌グリーマの奸計を受けて衰退していたが、ガンダルフによって癒やされて奮起し、指輪戦争を戦ったことから、ローハンの伝承では「更生せる(the Renewed)」を意味するエドニューと呼ばれる。
帯びる剣の名はヘルグリム、乗馬の名は雪の鬣。
白い髪は長く豊かで、幾条にも太く編まれて、額の上にはめられた薄い金の王冠の下から垂れていました。額の真ん中にはたった一つ白いダイヤモンドが光っています。顎鬚が雪のように膝にかかっていました。しかしその目はいまだに炯々たる光を失わず、客人たちを見すえる際にきらりと光りました。*3
ローハンの老王†
母モルウェンの故国であるゴンドールで生まれ、2953年に父センゲルがローハンの王位を継承するまでその地に暮らした。
妹婿のエーオムンドがオークに殺され、最愛の妹セーオドウィンも病を得て亡くなると、その遺児であるエーオメルとエーオウィンを養子として引き取りエドラスで育てた。
(『終わらざりし物語』によると)66歳の時より病を得て、以降ひどく健康が衰えていくようになる。これはローハンの奪取を狙ったサルマンに買収されて裏切り者となった王の相談役蛇の舌グリーマの術策によるものであった。グリーマが注ぎ込む毒の言葉によって自分が年老いて耄碌したのだと思い込んだセーオデンは次第に政務が執れない状態になり、グリーマが王の名の下に王国の実権を握るようになった。
グリーマはアイゼンガルドの脅威を過小評価するよう誘導し、ローハンが行動を起こすことを妨げた。そのためアイゼンの浅瀬の合戦で、セーオデンの一人息子であるセーオドレドは討死してしまう。さらに甥のエーオメルがイーストフォルドに侵入したウルク=ハイの一団を討伐するために自らの一存でエーオレドを出動させると、グリーマは反逆行為だとして彼を告発し、その讒言を容れたセーオデンはエーオメルを投獄してしまう。姪のエーオウィンはそんなセーオデンを看護し、衰弱して不面目な様態に陥っていく王を間近で見続けることになった。
エドニュー†
「ここはそう暗くはない。」とセーオデンがいいました。
「その通り、」と、ガンダルフがいいました。「それに一部の者から思いこまされておいでの程、老齢が殿の肩に重くのしかかっているわけでもないのです。その突かい棒をお捨てなされ!」
王の手から黒い杖が音を立てて敷石の上に落ちました。王は長い間屈み込んで退屈な仕事をしてためにすっかり体がこわばってしまった人のように、ゆっくりと体を伸ばしました。今や王は背を真っ直にして立ち、その背丈は高く堂々と、雲の切れ始めた空をじっと見る目は青く澄んでいました。*4
第三紀3019年の大いなる年、ガンダルフ、アラゴルン二世、レゴラス、ギムリの一行がエドラスにやってくると、セーオデンは彼らを冷淡に迎え、グリーマと共にガンダルフを「疫病神」と呼んで非難した。しかしガンダルフはグリーマの毒言からセーオデンを解き放つことで、彼を癒やす。屈めていた背を伸ばし、心労の皺が取り去られたセーオデンはかつての活発さを取り戻した。
統治に復帰したセーオデンは、ガンダルフの忠告を容れてグリーマを殺さず追放し、またエーオメルを自らの右腕にして王位後継者に指名する。
そしてサルマンの脅威を除くべく、自ら軍を率いてウェストフォルドに出陣した。道中チェオルからアイゼンの浅瀬が突破され、エルケンブランドが敗走したとの報せを受けたセーオデンは、ヘルム峡谷の角笛城に籠城。アイゼンガルドの軍勢は膨大であったが、セーオデンは夜明けを合図に高らかに角笛を吹き鳴らさせると出撃し、敵をヘルムの堤防まで押し戻すことに成功する。そこでガンダルフが呼び集めたエルケンブランドの軍勢と、谷を埋め尽くすフオルンの大群が加わり、三方から挟み撃ちにされたアイゼンガルドの軍勢は殲滅され、角笛城の合戦はローハンの勝利に終わった。
合戦で勝利を収めると、セーオデンはガンダルフに連れられてアイゼンガルドまで出向き、サルマンの声の魔力を用いた和平の勧誘をきっぱりと拒絶。
この時、ロヒルリムの間で「ホルビュトラン」として伝承されているホビットのメリアドク・ブランディバックとペレグリン・トゥックをはじめて目にした。特に彼らの喫煙の習慣に興味を抱き、メリアドクとそれについて話を交わすことを約束する。だがそれは結局果たされなかった。
長征と死†
疑念から出、暗黒から出て行き、日の上るまで、 王は日を浴びて歌いながら、剣を抜いて馬を駆った。
王は望みの火をふたたび点し、望みを抱きつつ果てた。
死を越え、恐れを越え、滅びを越えて 人の世の生死を抜けて、永久の栄えに上っていった。*5
勝利も束の間、ローハンにナズグールが飛来したことで、セーオデンはエドラス凱旋を取り止めて国民が避難するやしろ谷へ向かうことを決める。その途上で立ち寄った角笛城で、メリアドク・ブランディバックを自らの小姓に取り立て、小馬のステュッバを与えた。
やしろ岡には既にガンダルフの忠告によってローハン全軍が集結していた。さらにその夜、ミナス・ティリスから赤い矢を携えた使者ヒルゴンがやってきて、ゴンドールが危急の時にあり援軍を要請する烽火が上げられたことが知られる。そのためセーオデンは召集した1万を超す全軍から、国の防衛のために残しておかなければならない人員を除いた約6000名の騎兵を率いて直ちにミナス・ティリスへの長征を開始した。
この時、エーオウィンに留守を任せ、またメリアドクは迅速な行軍に耐えられないとして、それぞれエドラスに残していくことを決めた。しかしそれはエーオウィンとメリアドクにとっては不服なことであった。
ローハンの軍勢は、途中ドルーアダンの森でドルーエダインの酋長ガーン=ブリ=ガーンの協力を得て、敵の待ち伏せを回避し石車谷を通ってミナス・ティリスへ達する。
ランマス・エホールの破れ目からペレンノール野に入り、ひっそりと展開したローハンの騎士たちだが、モルドールの大軍に蹂躙される野と都の惨状を目にしてセーオデンは一時怖気づいたかに見えた。だが、にわかに暗雲を運び去る風と光が感じられ、それとともにグロンドによって大門が破壊された轟音が響き渡ると、セーオデンは心を決めて全軍に攻撃の号令をかけると、曙光を告げる鶏の声と共に大角笛を吹き鳴らし、先陣を切って戦場に乗り込んでいった。その姿は、かつての力の戦いにおけるヴァラールの偉大な狩人オロメを彷彿とさせるものであったという。
ロヒルリムは戦いの歓びに歌を歌いながらペレンノール野の北半分近くを席巻。さらにハラドリムの主力の騎兵が接近すると、セーオデンは多勢に無勢ながら敵陣を打ち破って敵の指揮官を討ち取り、さらに敵の旗印を旗手もろとも一刀両断にして勝利を収めた。
だがこの勝利の瞬間に、到来した魔王が投げかける恐怖の影のためにロヒルリムは浮足立ち、脇腹に黒い矢を受けて倒れた乗馬雪の鬣の下敷きとなったセーオデンは致死の重傷を負った。
とどめを刺さんと迫る魔王を斃したのは、命令に背いて密かに戦場まで付き従ってきたエーオウィンとメリアドクであった。今際のセーオデンは、看取るメリアドクに別れを告げると、駆けつけたエーオメルに王位を譲り、すぐそばにエーオウィンが倒れていることを知らないまま彼女の心情を気遣い、身罷った。
死後†
指輪戦争の終結後、セーオデンの棺はしばらくラス・ディーネンに安置されていたが、戦後処理のため一時帰国していたエーオメルと騎士たちが迎えに来て、葬列とともにローハンへ凱旋した(この時メリアドクは、小姓としてセーオデンの武器を持ち、セーオデンの棺を運ぶ馬車に同乗した)。そしてセーオデンの棺はエドラスにある、歴代の王が眠る塚原に塚を築いて葬られ、グレーオウィネが作ったセーオデンの歌が歌われた。
セーオデンと共にローハンの第二家系は終わり、王位を継いだエーオメル・エーアディグと共に新たな時代が始まった。
略歴†
- 第三紀2948年 生誕。母モルウェンの生国ゴンドールで生まれ育つ。
- 2953年 5歳。父センゲルの王位継承と共にローハンへ戻る。
- 2963年 15歳。末妹セーオドウィン生まれる。
- 2978年 30歳。息子セーオドレド生まれる。妻のエルフヒルド亡くなる。
- 2980年 32歳。父の死により王位を継ぐ。
- 2991年 43歳。甥エーオメル生まれる
- 2995年 47歳。姪エーオウィン生まれる
- 3000年 52歳。モルドールの影伸びる。
- 3002年 54歳。妹婿エーオムンド死ぬ。ほどなくセーオドウィンも死に、エーオメルとエーオウィンを養子に引き取る。
- 3014年 66歳。病を得て、衰弱が始まる。
- 3018年 70歳。大いなる年。9月20日、ガンダルフの訪問を受けて飛蔭を貸し与える。
- 3019年 71歳。大いなる年。2月25日、アイゼンの浅瀬の最初の合戦で息子セーオドレドが討死する。3月2日、ガンダルフにより癒やされる。3月3日、角笛城の合戦。3月9日、やしろ岡で赤い矢を受け取る。3月10日、ローハンの長征。3月15日、ペレンノール野の合戦、討死する。
画像†
関連項目†
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
字幕及び吹替での名前は『指輪物語』書籍新版に従いセオデン。
原作のセーオデンは71歳の白髪・白鬚の老武人だが、映画では(演じたバーナード・ヒルの年齢もあってか)かなり若い外見になっている。
おおよそ原作の軌跡に準じた活躍を見せるが、メリーとの掛け合いはかなり短縮されている。ハラドリムの指揮官(黒い蛇)との対決もなく、激突するのは騎兵ではなくムーマキルの隊列となっている。また突撃前のセリフの一部は、原作でのエーオメルのセリフ(エーオメル覚悟の歌など)を流用しており、その関係で逆にエーオメルのセリフが少なくなっている。
雪の鬣は、恐るべき獣に直接襲われ噛みつかれて振り回され、放り投げられてセーオデンはその下敷きとなった。
いまわの際に、メリーやエーオメルではなくエーオウィンに会っている。
画像†
グッズ†
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