キールダン†
概要†
カテゴリー | 人名 |
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スペル | Círdan |
異訳 | キアダン、キーアダン |
その他の呼び名 | 船造りのキールダン(Círdan the Shipwright)*1 港の主、灰色港の領主(Lord of the Havens) |
種族 | エルフ(テレリ) |
性別 | 男 |
生没年 | 星々の時代~ |
解説†
名はシンダリンで「船造り(Shipwright)」の意。ファラスリムの長であり、灰色港の領主であるテレリ・エルフ。
中つ国を去るエルフのために船を造り続けているが、彼自身は一度も此岸を離れたことはなく、最後の船がアマンへ船出するまで、今なお留まり続けているとも言われる。
一行が門のところまで来ると、船造りのキールダンがかれらを出迎えました。かれはたいそう背が高く、その
顎鬚 は長く、銀髪で年老いていました。ただ、その目は星のように鋭い光を湛 えていました。かれは一行に目を向け、頭を下げて、いいました。「もうすっかり用意は整いました。」と。*2
エルフは一般に不老であるが、彼だけはこのように老人のような姿に描写されている。
第一紀以前のキールダン†
ファラスリムはアマンに憧憬を抱きつつも、中つ国と海、そしてオッセへの愛のために此岸に留まることを選んだエルフ達で、かれらはオッセから教えを受けて、中つ国で最初の船大工にして水夫となった。キールダンはその長であり、ベレリアンドの沿岸地方ファラスの領主となり、シンゴルに仕えた。
ニルナエス・アルノエディアドの合戦でベレリアンドがモルゴスの手に落ちると、港の彼の許には多くの者が避難してくる。キールダンの水軍は沿岸で上陸作戦を行い、モルゴスの軍勢に抵抗したが、最後にはファラスも陥落した。キールダンはギル=ガラドと共に生き残った者たちを連れてバラール島に逃れ、わずかにシリオンの河口に足がかりを残すのみとなった。
そのためキールダンはゴンドリンの王トゥルゴンの依頼を受け、7隻の船をヴァラールへ嘆願するためにアマンへ送り出したが、最後の1隻を除いて消息を聞かれることはなかった(最後の1隻に乗っていたヴォロンウェは生き残り、トゥオルをゴンドリンへと導くことになる)。
また、「ナルゴスロンドに危機が迫っており、城門の橋を落とすべし」というウルモの宣託を受けたキールダンは、ゲルミルとアルミナスを派遣してこれをナルゴスロンドの王オロドレスに伝えた(だが橋を築いたトゥーリンはこれを受け入れなかった)。
やがてベレリアンドに残っていた隠れ王国もすべて滅亡すると、バラール島とシリオンの港だけがエルフとエダインの最後の避難所として持ちこたえた。エアレンディルとエルウィングはシリオンの港で出会い、エルロンドとエルロスもその地で生まれた。エアレンディルに航海術を教え、ヴィンギロトの製作に力を貸したのはキールダンとその水夫たちであった。
第二紀のキールダン†
怒りの戦いによりベレリアンドが水没すると、唯一残ったリンドンの地に灰色港が築かれ、キールダンはギル=ガラド、エルロンドと共にこの地に住まった。
サウロンがエリアドールを席巻すると、リンドンはヌーメノールの援軍によってかろうじて持ちこたえる。その後サウロンによって暗黒時代がもたらされると、灰色港から多くのエルフが船でアマンへと去っていった(遁走の時代)。
最後の同盟の戦いでは、ギル=ガラドとエレンディルがサウロンと相打ちになり、イシルドゥルがサウロンの指から一つの指輪を奪う場面をエルロンドと共に目撃。エルロンドとキールダンは指輪をとったイシルドゥルに対し、それを滅びの山の火に投じるよう助言したが容れられなかった。
戦いが終わると灰色港に戻り、以後その地に留まった。
第三紀のキールダン†
キールダンはエルフの三つの指輪の一つ、火の指輪ナルヤの最初の守護者であった。
やがてイスタリがアマンから中つ国へ船でやってくると、それを目撃する。イスタリの正体とその使命については、長らくキールダンと彼がそのことを明かしたエルロンドとガラドリエルのみが知るところであった。この時、ガンダルフがイスタリの内もっとも気高い者と見抜き、彼にナルヤを譲り渡した。
また賢者の一人として、サウロンに対抗するために結成された白の会議の一員ともなった。
エリアドールがアングマールの脅威にさらされると、しばしば北方王国を援助してアングマールの伸長を阻んだ。だが遂にアングマールによって北方王国が滅びると、最後の王アルヴェドゥイの危急を救うためフォロヒェルに船を差し向けたが、魔王の寒気のために王も船も生還することはなかった。
一つの指輪が発見されたことによって開催されたエルロンドの会議には、自らの代理としてガルドールを派遣している。
指輪戦争が終わり、三つの指輪の守護者と指輪所持者が中つ国を去る時も、キールダンは灰色港で彼らを出迎え、アマンへ送り出した。
キールダンがいつ中つ国を去ったのかは知られていない。
「わたしのことなら、わたしの心は海とともにあり、最後の船が船出するまで、わたしはこの灰色の海辺に住まうのです。」*3
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
『ロード・オブ・ザ・リング』冒頭にて、三つの指輪を手にしたエルフの中にその姿が見られる。
『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』では灰色港のシーンに登場するが、セリフはない。船が去った後姿が消えているので、一緒に船に乗った可能性もある。
どちらのシーンでも、原作の描写とは異なり(恐らく人間と混同されるのを避けるため)鬚は見られない。
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定†
灰色港が実装されていないため、最後の同盟の戦いでの回想シーンに登場。
TCG『マジック:ザ・ギャザリング 指輪物語:中つ国の伝承』における設定†
2023年6月23日、TCG「マジック:ザ・ギャザリング(MTG)」にて「指輪物語:中つ国の伝承」が発売された。
キールダンはその中で「統率者デッキ:エルフの評議会(青緑)」に「船大工キールダン」として収録。
種族は「エルフ」と「貴族」。外見は原作通り銀の長髪で年老いたデザインとなっている。
コメント†
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