パイプ草†
概要†
カテゴリー | 植物 |
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スペル | pipe-weed, weed |
その他の呼び名 | ガレナス(galenas)、かぐわし草(sweet galenas)、西の人の草(westmansweed)、小さい人の葉(Halflings' leaf)、煙草(tobacco)*1 |
解説†
ニコチアナの一種と思われる草。シンダリンではガレナスと呼ばれる。ゴンドールではかぐわし草、西の人の草などとも呼ばれていたという。
ホビットには乾燥させたこの植物の葉をパイプに詰めて燃やし、その煙を吸う習慣がある。そのため小さい人の葉とも呼ばれる。この喫煙の習慣はホビットを通じて中つ国北方を旅する人間やドワーフ、魔法使いにも広まっていった。
ホビットはパイプ草を吸うことを芸と称しており、しばしば吐き出した煙の輪を使った輪遊びをした。
歴史†
「一例をあげればじゃ、」と、セーオデンがいいました。「かれらが口から煙を吐き出すとは、予も聞いておらなんだぞ。」
「それは驚くにあたりませぬ。」と、メリーが答えました。「何故と申せば、これはわれらとしましてもほんの数世代前から嗜んでまいりました芸でございます故。初めて本当のパイプ草をその栽培園で育てましたのは、南四が一の庄の長窪村の住人、角笛吹きトボルドにございます。わたくしどもの数え方でいいますと一〇七〇年頃のことでございました。トビィじいがどうしてこの植物を手に入れたかと申しますと……」*2
元々はヌーメノールから中つ国に渡ってきた植物と思われ、ゴンドールなどアンドゥインの谷間の下流域に多く自生していた。ゴンドール人はこの草を燃やして吸うことはせず、かぐわし草と呼んで、その花の香りを楽しんでいた。これら南方に自生している草の方が北方で栽培されているものよりも大きく、また香りも良いという。
その草が次第にゴンドールから緑道を北上していったものと思われる。北方ではパイプ草は野生では育たず、風の当たらない暖かい場所でしか繁茂しない。
メリアドク・ブランディバックの著作『ホビット庄本草考』によると、パイプ草の煙を吸うことはホビットの発明と断言できる唯一の技芸であり、最初に始めたのはブリー郷のホビットであるという。そしてこの喫煙の習慣は、大本を辿れば躍る小馬亭に行きつくといい、ここから旅の途中でブリー村を経由する人間の放浪者や野伏、ドワーフといった北方の民に広まっていったとされる(ただし第三紀末の時点で、ローハンやゴンドールにまでは広がっていない。またエルフには喫煙を行う様子はない)。
ホビット庄暦1070年(第三紀2670年)頃、南四が一の庄長窪村の角笛吹きトボルドがおそらくブリー郷でこの草を入手し、ホビット庄で初めて純正のパイプ草の栽培を始めた。その後、南四が一の庄は長窪葉、トビイ爺印、南星印といった最上品のパイプ草の産地となった。ブリー郷でも南丘辺印のようなパイプ草が栽培されていたが、質は南四が一の庄産のものには及ばなかったという。
魔法使いガンダルフもパイプ草を愛飲していた。
白の会議でそのことを知ったサルマンははじめこれを嘲笑していたが、やがて自分でもパイプ草を試して愛用するようになり、草を入手するため密かに南四が一の庄の農園と取引するようになる(サルマンは自尊心のために、自分もパイプ草を使っていることを秘密にしていた)。指輪戦争でメリーとピピンがアイゼンガルドの廃墟の中から長窪印のパイプ草を発見したのはそのためである。
これがきっかけとなってサルマンはパイプ草農園を持つ袴帯家やサックビル=バギンズ家などに影響力を及ぼすようになり、かれらはアイゼンガルドに物資を密輸出していた一方、そこからごろつきや機械などをホビット庄に持ち込み、水の辺村の合戦を招くことになった。
トールキンとパイプ†
『ホビットの冒険』『指輪物語』作中には何度もパイプによる喫煙の描写が登場するが、これは作者のジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン自身が大のパイプ党であった影響が大きく現れている。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』および『ホビット』における設定†
かなり柄の長い独特なパイプがデザインされ、劇中で何度も使用されている。
禁煙推進団体から「子供も見る映画に、喫煙シーンがあるのは教育上好ましくない」という抗議があったとピーター・ジャクソンらが語っているが、原作の描写や雰囲気を尊重し、劇中では多数のパイプを使うシーンが盛り込まれた。
コメント†
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