アイゼンガルド

概要

カテゴリー地名
スペルIsengard
異訳イセンガルド
その他の呼び名アングレンオスト(Angrenost)

解説

ローハン語で「鉄の砦」の意。シンダリンアングレンオストに由来する。
霧ふり山脈の南端ナン・クルニールの谷に位置する半天然の要塞で、その中心にオルサンクの塔がそびえていた。

やがて新月が上ってきました。そのかすかな光に照らされて、かれの前に黒々とした岩壁がぼうっと見えてきました。そこは大きな門のような暗いアーチがくりぬかれていました。フロドは体が持ち上げられたような気がしました。上を通り過ぎる時、かれは岩壁と見えたものが環状に連なった丘陵であることを知りました。その真ん中には平原があり、平原の真ん真ん中には、石の尖塔が立っていました。それは大きな塔のようでしたが、人の手によって造られたようには見えませんでした。*1

ローハンの西に位置しており、角笛城と並んでローハン谷を見下ろす戦略的要所であった。メセドラスより流れ出すアイゼン川がそばを通過しており、アイゼンの浅瀬を防衛・通行するのにも非常に有利な場所にあった。

元々はゴンドールの砦であったが、サルマンが租借して以来、彼の居城となっていた。
指輪戦争当時、この入り口にはサルマンの領有を示すと思しい白の手の石が掲げられていたと思われる。

構造

アイゼンガルドは、「アイゼンガルドの環」と、それに囲まれたすり鉢状の「円形広場」、その中心に建つ「オルサンクの塔」からなる。

アイゼンガルドの環(Ring of Isengard)
要塞の外周をなす、天然の岩壁を加工して作られた円形の城壁。入り口は南に一つしかなく、堅固なアーチ型の城門とトンネルを備えている。城壁はかなり厚く、内部に衛兵所や貯蔵庫をはじめとしたいくつもの部屋が穿たれており、この壁自体が大軍でなければ陥とし得ない砦であった。
円形広場
アイゼンガルドの環に囲まれたすり鉢状の広場。かつてはいくつもの池と果樹がある美しい庭園になっていた。しかしサルマンがアイゼンガルドの要塞化を推し進めた結果、緑は根こそぎにされて多くの立抗が穿たれてしまい、地下の洞窟群には工場や溶鉱炉などの多くの施設が設けられた。地下施設には機械仕掛けの装置がめぐらされており、蒸気や火を噴射し、オルサンクの内部から稼働できるようになっていた。
中央のオルサンクからは舗装された道が放射状に伸びており、道の両側には鎖でつながれた柱が並んでいた。
オルサンクの塔
円形広場の中央に、岩の小島のように聳えている。詳細は該当記事を参照。

歴史

元来アイゼンガルドはゴンドールの砦で、アグラロンドの砦(角笛城)と合わせてローハン谷を防衛するために築かれたものだった。
第三紀2510年、カレナルゾンロヒルリムに割譲されてローハンが建国されると、この地はゴンドールの領有地として残され、世襲の太守と守備隊が置かれた。ただしオルサンクの塔は閉ざされてその鍵は執政が保管していた。

だがゴンドールの衰微により連絡が疎遠になった結果、アイゼンガルドの環とその守備隊はほとんどが褐色国人ダンレンデイングに占領されるに到る。褐色国人に奪われたアイゼンガルドはローハンとゴンドールに敵対するようになり、両国はアイゼンの浅瀬を確保するために多大な労力を割くことを強いられた。この状態は2758年から59年にかけてのローハンと褐色国人との戦争で、褐色国人が降伏するまで続いた。

そのため白の賢者サルマンが、要塞の補修と租借を申し出た時、両国はこれを大いに歓迎した。第三紀2759年、サルマンはゴンドールの執政ベレンからオルサンクの鍵を受け取り、この地に居を構える。
当初サルマンはゴンドールとローハンの同盟者として働き、彼がアイゼンガルドに定住したことで両国はアイゼン川を警備する負担を大幅に軽減することができた。
だがサルマンは次第に堕落していき、2953年にはアイゼンガルドの領有を宣言してそこに閉じこもるようになる。環の内側では要塞化が推し進められ、秘密裏にオークウルク=ハイ等からなる独自の軍勢が築き上げられていった。

指輪戦争においてサルマンが公然と自由の民に敵対したことで、アイゼンガルドも戦略上の大きな脅威となる。アイゼンガルドの監視があるために、指輪の仲間ローハン谷を通過するルートを選択することができなかった。さらにローハンが存亡の危機に瀕したことで、ゴンドールは同盟者を失うところであった。
3019年(大いなる年)2月25日にローハンへの侵略行動を開始したサルマンは、この地から大軍を出撃させてアイゼンの浅瀬を抑えることでローハンの国土を分断(アイゼンの浅瀬の合戦)、さらに国土を蹂躙するべくヘルム峡谷を攻撃した(角笛城の合戦)。
だがそのために防備が手薄になっていたところを、ファンゴルンの森から出撃してきたエントフオルンに攻撃される。いかに堅固なアイゼンガルドの環といえどもエントの力の前には無力であり、城壁は粉砕され、要塞施設は徹底的に破壊された。オルサンクの塔だけは非常に堅牢であったため破壊されなかったが、エントはアイゼン川の水を引き込んで円形広場を水没させることで、要塞を無力化し、サルマンを塔に閉じ込める。
かくしてアイゼンガルドは陥落した。

そのままこの地はエントによって管理がなされ、指輪戦争後にはオルサンクの木の国(Treegarth of Orthanc)に生まれ変わる。
アイゼンガルドの環は取り払われて、広場には木々が植えられて緑の谷間となった。ただしオルサンク自体は再び西方の王の管理下に戻った。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

おおむね原作の描写を踏襲しているが、広場地下の洞窟施設にスポットが当てられており、城壁部も堅固な砦であるという描写はオミットされている。
原作でエントは新たに水路を穿ってきてアイゼンの水を広場に引き込んだが、映画では元々あった塞がれていた水路の堰を壊して水没させたことになっている。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるアイゼンガルドとオルサンク 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサルマンが工業化を進めたアイゼンガルドの地上 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサルマンが工業化を進めたアイゼンガルドの地下

グッズ

#amazon(B00800SFUY) #amazon(B00BN11ZOA)

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるアイゼンガルドとオルサンク 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるアイゼンガルドとオルサンク*2

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • サルマンが堕落して呼び寄せたオークたちの軍勢を率いる前、アイゼンガルドを領有でなく租借していた頃はどうやってこの領域を保持していたのか。まさか一人で森や庭園の管理や警備をしていたわけでもなかろうし、人間の傭兵でも雇い入れていたんだろうか。 -- 2020-08-06 (木) 14:53:10
    • アイゼンガルドの城壁内でヤギを飼って、1)草刈 2)搾った乳をローハンに輸出 3)ヒージャーをローハンに輸出 4)乳搾りなどの労働力はローハンから供給 とかどうでしょう。(乞うご批判) -- 2020-08-06 (木) 21:43:30
    • そこらへんは魔法の力で...。でも実際サルマンは人間しか信頼してなかったとピピンも言ってるし、ある程度の労働力は雇っていたのかもね。土地を貸したり保護する代わりに奉仕を求める初期封建制みたいなイメージ。 -- 2020-08-06 (木) 22:01:51
    • 人間には抗えない魔法の声の持ち主なら辺りの褐色人や藁頭を適当に言いくるめてこき使うくらい朝飯前でしょう。仮に一方的な収奪でないなら、天気すら操れるレベルの魔法+火薬や金属加工等の進んだ工学知識の提供でかなり良い条件の取引が可能にnaるのでは? -- 2020-08-06 (木) 23:05:47
    • オンラインゲームの設定では、グリマ以外にも召使がいたよう。オルサンクの頂上に幽閉されたガンダルフにご飯差し入れしたりしてる。 -- lotroスキー 2020-08-07 (金) 00:46:18
    • サルマンがカラクリ師で技巧系の下級神であることをお忘れか?ドローンだよ -- 2020-08-07 (金) 05:36:16
      • ゆめがないなあ、ヒドラ(風の谷のナウシカ)だよ。 -- あるマニ族のアヴァリ 2022-07-25 (月) 18:36:55
    • 昔はあんなに怪しげな土地ではなく荘園の体をなしていたのではないかと。なので農業や商業を経営して従業員を雇っていたのでは?昔のサルマンは知性も高く様々な面で情報力もあり、人を魅了できたため経営者としての資質は十分だったのかも知れない。立地条件や生産力については昔の姿が分からないためなんとも。長窪印のパイプ草を所有していたのが何とも印象的に感じる。 -- 2022-07-25 (月) 19:11:37
    • メリーとピピンが城塞内でパイプ草や食料を発見した際、「サルマンはオークを信用するほど馬鹿じゃない。要塞内では人間の手下を重用して、良いものも食べさせてやっていた」と記述されているように、サルマンの手勢の中心は人間でした。おそらく周辺の褐色人の国などから雇い入れたものと思われます。後にホビット庄にやってきてごろつきとなったような連中でしょうね。 -- 2022-07-25 (月) 22:33:10
      • この意見に賛成。いかに褐色人の反ローハン思想が強く、かつ扇動者がサルマンとはいえ、褐色人を対ローハンで蜂起させるにはそれなりに影響力や信頼関係がないとできないだろうし。対ローハン戦争を行う前からサルマンと褐色人や地元の人間たちとはつながりがあったと考えるのが自然。 -- 2022-08-06 (土) 16:07:00
  • 原作の旅の仲間で、ガンダルフがアイゼンガルドに来る場面で、サルマンの家来が出てくるけど、誰だろう? -- ブレガラド 2023-03-11 (土) 18:13:16
    • そりゃアイゼンガルドにはサルマンの手下の人間が大勢住んでいたんですから(後のごろつき達含む)その中の比較的品の良い誰かでしょうよ -- 2023-03-11 (土) 18:35:33
  • 品の良い? -- 2023-03-16 (木) 16:56:47
    • 品が良い(慇懃無礼なグリマみたいのだとしても)奴に対応させないとガンダルフをオルサンクの中に呼び込めませんからね。
      流石のガンダルフもごろつきやウルク=ハイに対応させられたら、認めたくなかったサルマンの堕落を確信するしかないでしょう。 -- 2023-03-16 (木) 18:37:02
  • アイゼンガルドってカルデラなんですか? -- 2023-04-18 (火) 18:02:39
    • そもそも火山でないよ。谷間の砦。 -- 2023-07-13 (木) 22:37:34
  • 攻め方次第では割りかし陥し易い地形だと思う。
    オルサンクを度外視すれば、だけど。 -- 2023-04-18 (火) 18:16:26
  • なんか、モルドールに対するアイゼンガルドってまんまサウロンに対するサルマンって感じのスケールよね。 -- 2023-04-18 (火) 21:44:27
お名前:

人種差別をあおるもの、公序良俗に反するもの、項目とは関係ないコメント、他コメント者への個人攻撃及び価値観の押しつけや、相手を言い負かすことが目的の非建設的な議論、現実世界の政治および近代・現代史、特定国家、団体、民族などに結びつけ批判、揶揄するようなコメントなどは削除の対象となります。その他コメントについて。

添付ファイル: fileIsengard2.jpg 1051件 [詳細] fileIsengard1.jpg 1011件 [詳細] fileScreenShot00439.jpg 3036件 [詳細] fileCHOoMCEUIAAHqBF.jpg large.jpg 2939件 [詳細]
Last-modified: