#author("2016-12-11T00:49:19+09:00","","")
* 単語及び固有名詞の発音と邦訳 [#m42ccdd1]
** 概要 [#i9e8fd97]

本頁では『[[追補編]]』の追補E・Fの内容を基に、他の書籍・文献での補足的な説明を加えて、[[ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]の作品中に登場する架空言語の単語・固有名詞の読みについて説明する。
説明の対象となる名詞はJ.R.R.トールキン及び[[クリストファー・トールキン]]により執筆・編集された『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』『[[シルマリルの物語]]』『[[終わらざりし物語]]』等の公式な邦訳が存在する作品に登場するものであり、[[Iron Crown Enterprises]]の『[[指輪物語ロールプレイング]]』やTurbineの『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』等の派生作品にのみ登場する名詞は対象外である。
架空言語の音の説明に国際音声記号(IPA)([[Wikipedia:国際音声記号]])を便宜上用いているが、これは説明から予想されるおおまかな音を表しているに過ぎない。

また作中の固有名詞の邦訳についても併記する。ここでの邦訳とは本サイトの方針に従い、『[[新版]] [[シルマリルの物語]]』で訳者の[[田中明子]]氏が用いたカタカナ表記のことである。同書ではカタカナ表記の法則が説明されており、本頁でもその法則を邦訳の基本とし、&color(green){''補足''};及び法則から外れた&color(red){例外};的な訳についても述べる。
このカタカナ表記は、『[[新版]] [[指輪物語]]』、『新版 [[シルマリルの物語]]』、『[[終わらざりし物語]]』で用いられているが、一部の固有名詞は『新版 指輪物語』から変更されており、その場合は変更前と後の訳を両方記す。((ただし[[アル=アドゥーナホール]](Ar-Adûnakhôr)のように『[[新版]] [[指輪物語]]』の邦訳に一貫性がない場合は、煩雑さを避けるために変更後の訳(この場合は『[[終わらざりし物語]]』での訳)のみを記す。))

:『新版 指輪物語』→『新版 シルマリルの物語』|ロスロリアン→[[ロスローリエン]](Lothlórien)
:『新版 指輪物語』→『終わらざりし物語』|[[エレスサール]]→エレッサール(Elessar)

また『新版 指輪物語』の『[[追補編]]』は1992年に出版された愛蔵版・普及版と、2003年に出版された文庫版では、一部の固有名詞の訳が変更されており、『追補編』にのみ登場する語は同様に変更前と後の訳を両方記す。
:『追補編』愛蔵版・普及版→文庫版|メトタレ→メッタレ(Mettarë)

いずれの場合も、矢印の右側が『新版 シルマリルの物語』での翻訳の法則に基づいた訳名である。

** 子音 [#jde3bcb6]

:B /b/|
::邦訳:バ(ba)、ビ(bi)、ブ(bu)、ベ(be)、ボ(bo)、ブ(b)|[[バナキル>ホビット]](banakil)、[[サルン・ゲビア]](Sarn Gebir)、[[ブンドゥシャスゥル>ファヌイゾル]](Bundushathûr)、[[ベルザガール>アル=ベルザガール]](Belzagar)、[[ボルグ]](Bolg)、[[ブレシル]](Brethil)

:C /k/|[[クウェンヤ]]と[[シンダール語]]の単語で、ラテン語と同様にkの音を表すのに用いられる。eとiの前でもsの音を表すことはない。よって[[Celeborn>ケレボルン]]はKelebornであって、Selebornではない。(Kの項も参照)
&color(green){''補足:''};[[エルフ語]]でありながらk表記の例もある。[[Melkor>モルゴス]], [[Tulkas>トゥルカス]], [[Kementári>ヤヴァンナ]], [[Ekkaia>エッカイア]],  [[Valaraukar>バルログ]], [[Urulóki >龍]]
::邦訳:カ(ca)、キ(ci)、ク(cu)、ケ(ce)、コ(co)、ク(c)|[[ケレボルン]](Celeborn)

:CH /x/|ウェールズ語のbach/bax/、ドイツ語のbach/bax/やbuch/buːx/、スコットランド語のloch/lɒx/における、chの音を表す。(HT・KH・HYの項も参照)
[[ゴンドール]]では語末とtの前を除けばhの音に弱まった。((roch(馬)+nd(国)のRochandが[[Rohan>ローハン]]に、roch(馬)+hîr(主君・主人)+rim(大勢・大群)のRochirrimが[[Rohirrim>ロヒアリム]]になるように))
『[[終わらざりし物語]]』ではウェールズ語([[Wikipedia:ウェールズ語]])の後舌の摩擦音(a back spirant as ch in Welsh)と説明されている。[[共通語]]にこの音がなかったので、ゴンドールの民は(シンダール語に習熟していない限り)この音を語中ではhに、語末ではkの音に置き換えた(正しいシンダール語ではしっかりとchで発音する)。一方、[[ロヒアリム]]の[[ローハン語]]にはこの音があったので、彼らは簡単に発音することができた。((『[[終わらざりし物語]]』「キリオンとエオル」註49))
&color(green){''補足1:''};作中では基本的に[[シンダール語]]に現れる表記だが、[[エダイン]]の人名や[[先ヌーメノール語]]の地名にもある。
&color(green){''補足2:''};χとも表記される。
::邦訳:ハ(cha)、ヒ(chi)、フゥイ(chui)、ヘ(che)、ホ(cho)|[[カルハロス]](Carcharoth)、[[エルヒール>ディオル(ベレンの息子)]](Eluchíl)、エフゥイア(Echuir)、[[フォロヘル]](Forochel)、 [[エホリアス]](Echoriath)
::語末にある場合の邦訳|かつての促音の表記を廃する。ブラゴルラッハ→[[ブラゴルラハ]](Bragollach)、[[ロスサールナッハ]]→ロッサルナハ(Lossarnach)、[[アイレナッハ]]→エイレナハ(Eilenach)
訳に関しては直前の音によって、ある程度の規則性がある。
:::'''a'''ch|[[カラヒ・アングレン>アイゼン口]](Carach Angren)、[[アナハ]](Anach)、[[キリス・ニンニアハ]](Cirith Ninniach)、[[ブリシアハ]](Brithiach)、[[アロッシアハ]](Arossiach)、[[マラハ>マラハ(ハドルの祖)]](Marach)、[[アムラハ]](Amlach)、[[バラハ]](Barach)、[[ラルナハ]](Larnach)、[[ボルラハ]](Borlach)
:::'''e'''ch|[[エレヒ]](Erech)、[[セレヒ]](Serech)、[[トレヒ・ウンゴル]](Torech Ungol)
:::'''o'''ch|[[アルロホ]](Arroch)
:::'''ai'''ch|[[イムラス・ゴンドライヒ>石車谷]](Imrath Gondraich)
:::'''l'''ch|[[オルファルヒ・エホール]](Orfalch Echor)
:::'''r'''ch|[[オルフ/イルフ>オーク]](orch, yrch)、サルハ・ニア・ヒーン・フーリン(Sarch nia Hîn Húrin)、[[ヘンデアハ]](Henderch)

:CH /tʃ/|[[共通語]]に頻出する子音で、英語のchurch/tʃɜːtʃ/のchの音。(TYの項も参照)
&color(green){''補足:''};作中にこの音を含む共通語の単語は登場しない。
::邦訳|訳例無し

:D /d/|
::邦訳:ダ(da)、ディ(di)、ドゥ(du)、デ(de)、ド(do)、ド(d)|[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]](Dior)、[[アナドゥーネー>ヌーメノール]](Anadûnê)、[[ドリアス]](Doriath)、[[ドルーエダイン]](Drúedain)

:DH /ð/|[[シンダール語]]の子音で、英語のthese clothes/ðiːz kləʊðz/での有声(軟音)のthの音を表す。dの音と関連する((木(tree)を意味する単語がクウェンヤではalda、シンダール語ではgaladhのように))が、n+rからくる場合((caran(赤い)+rass(角)>[[Caradhras(赤角)>カラズラス]]))もある。
&color(green){''補足1:''};[[ヴァラール語]]にも存在する子音。
&color(green){''補足2:''};ðとも表記される。
::邦訳:ザ(dha)、ジ(dhi)、ゼ(dhe)、ゾ(dho)、ズ(dh)|オルガラザド(Orgaladhad)、[[ペレジル>半エルフ]](Peredhil)、[[エゼルロンド]](Edhellond)、[[カレナルゾン]](Calenardhon)、[[ガラズリム]](Galadhrim)、[[リスガルズ]](Lisgardh)

:F /f/|fの音を表す。(PHの項も参照)
::邦訳:ファ(fa)、フィ(fi)、フイ(fui)、フェ(fe)、フォ(fo)、フ(f)|[[ファラミア]](Faramir)、[[フィナルフィン]](Finarfin)、[[タウア=ヌ=フイン>ドルソニオン]](Taur-nu-Fuin)、[[フイヌア]](Fuinur)、[[フェアノール]](Fëanor)、[[フォロスタール]](Forostar)、[[ウフサク]](Ufthak)

:-F /v/|語末にある場合、vの音を表す。
&color(green){''補足:''};『The Rivers and Beacons-hills of Gondor』によれば、[[シンダール語]]の語中にあって子音の前にあるfは、無声のfではなく有声のvの音である。そのため[[レフヌイ]](Lefnui)がLevnuiと綴られている。(('''It is spelt Lefnui on the Map; and that is preferable. For though in the Appendices f is said to have the sound of English f except when standing at the end of a word, voiceless f does not in fact occur medially before consonants (in uncompounded words or names) in Sindarin; while v is avoided before consonants in English) ''' 「地図ではLefnuiと綴られ、そちらの方が好ましい。[[追補編]]ではfは語末にある場合を除いて英語のfとされているが、[[シンダール語]](の非複合の語や名前)では、語中において子音の前に無声のfは存在しない。だが英語ではvは子音の前では避けられる。」))
::邦訳:ヴ(-f)|[[ニンダルヴ]](Nindalf)、[[フラドリヴ>木の皮肌]](Fladrif)
&color(green){''補足:''};[[オーク]]の[[ラグドゥフ]](Lagduf)も語末がfだが、vの音かは不明。

:G /ɡ/|英語のgive/ɡɪv/, get/ɡet/のgの音を表す。よって[[Gildor>ギルドール(フィンロド王家)]], [[Gilraen>ギルライン]], [[Osgilath>オスギリアス]]に含まれるgilは英語のgild/ɡɪld/のgilのように発音する。
[[Region>レギオン]]や[[Eregion>エレギオン]]を英語のregion/ɹiːdʒən/のように発音してはならない。また[[Ginglith>ギングリス]]の第一音節は英語のbegin/bɪɡɪn/の第二音節のように発音し、英語のgin/dʒɪn/のように発音してはならない。
::邦訳:ガ(ga)、ギ(gi)、グ(gu)、ゲ(ge)、ゴ(go)、グ(g)|[[ガビルガソル>ベレグオスト]](Gabilgathol)、[[ギミルザガール]](Gimilzagar)、[[グルドゥア>ドル・グルドゥア]](Guldur)、[[ゲリオン]](Gelion)、[[ゴルバグ]](Gorbag)

:GH /ɣ/|[[オーク語]]や[[暗黒語]]に現れる後舌の摩擦音(a back spirant)。Dに対するDHのように、Gに対するGHと説明されている。
&color(green){''補足1:''};『[[終わらざりし物語]]』によれば、[[ドルーエダイン]]の言葉にも存在する子音((『[[終わらざりし物語]]』「ドルーアダン」の註六))。また[[クズドゥル]]の[[Azaghâl>アザガール]]にもそれらしき表記がある。
&color(green){''補足2:''};[[ヴァラール語]]にも存在し、[[エルフ語]]ではかつて存在したが消えた子音である。そのため[[Anghabar>アングハバール]]のghはこの音ではない(別個の子音gとh)。
&color(green){''補足3:''};ʒとも表記される。
::邦訳:ガ(gha)、グ・フ(ghu)、ゴ (gho)、グ(gh)|[[ガーシュ]](ghâsh)、[[アザガール]](Azaghâl)、[[ガン=ブリ=ガン]]→ガーン=ブリ=ガーン(Ghân-buri-Ghân)、[[ドルグ/ドルフ>ドルーエダイン]](Drughu)、[[オゴル=ハイ]](Oghor-hai)、アグ(agh)
&color(green){''補足:''};[[アグハン]](Aghan)のghもこの音の可能性がある。

:H /h/|他の子音を伴わず単独で用いられれば、英語のhouse/haʊs/やbehold/bɪhəʊld/でのhの音を表す。
&color(green){''補足:''};いわゆる声門摩擦音のこと。
::邦訳:ハ(ha)、ヒ(hi)、フ(hu)、ヘ(he)、ホ(ho)、フ(h)|

:HT /xt/及び/çt/|[[クウェンヤ]]における子音HとTの組み合わせ(combination)。ドイツ語のachtやechtのような音。(HYの項も参照)
&color(green){''補足:''};ach-lautとich-lautのこと。すなわちaht, oht, uhtの場合は/xt/に、eht, ihtの場合は/çt/に近い音。
::邦訳|直前の母音によって、ある程度の規則性がある。
:::'''a'''ht|[[マハタン]](Mahtan)
:::'''e'''ht|テフタ(tehta)、[[カリメフタール]](Calimehtar)、[[テルメフタール]](Telumehtar)、[[ネアネヘタ>ディーアナイス]](Nernehta)
:::'''o'''ht|オフタール→[[オホタール]](Ohtar)、[[ミノホタール]](Minohtar)

:I- /j/|[[シンダール語]]のみ、語頭にきて母音が後に続く場合は、英語のyou/juː/やyore/jɔː/のyと同じ子音音を表す。(子音Yの項も参照)
::邦訳:ヤ(Ia)、ヤウ(Iau)、ヨ(Io)|[[ヤント・ヤウア]](Iant Iaur)、[[ヤールワイン>トム・ボンバディル]](Iarwain)、[[ヨーレス]](Ioreth)

:K /k/|[[エルフ語]]以外の言語で、kの音を表す。
&color(green){''補足:''};[[西方語]]の表記でも[[クウェンヤ]]の[[Tarcil>タルキル]]に対する[[tarkil>タルク]]のようにkが用いられるようだが、[[Kalimac>メリアドク・ブランディバック]]と[[balc>バルホス族]]のようにcが使われている場合もある。使い分けにどういった意味があるかは不明。
::邦訳:カ(ka)、キ(ki)、ク(ku)、ク(k)|[[カルニングル>裂け谷]](Karningul)、[[キビル=ナーラ]](Kibil-nâla)、[[サルクーン>ガンダルフ]](Tharkûn)、[[ウルク]](Uruk)

:KH /x/|[[アドゥーナイク]]と[[オーク語]]で、CHと同じ音を表す。
&color(green){''補足:''};アドゥーナイクやオーク語ではないと思われるが、[[Khamûl>ハムール]]と[[Khand>ハンド]]のkhもこの音と思われる。
::邦訳:ハ(kha)、ホ(kho)、ハ(kh)|[[ギミルハード]](Gimilkhâd)、[[アル=アドゥーナホール]](Ar-Adûnakhôr)、[[グリシュナッハ]](Grishnákh)

:KH /kʰ/|[[クズドゥル]]のみ、英語のbackhand/bækhænd/のようなhを伴った有気音(aspirate)のkを表す。(THの項も参照)
::邦訳:カ(kha)、キ(khi)、ク(khu)、ケ(khe)|カザド→[[カザード>ドワーフ]](Khazâd)、[[キーム]](Khîm)、[[クズドゥル]](Khuzdul)、[[ケレド=ザラム]](Kheled-zâram)

:L /l/|英語のlet/let/のlのような、語頭のlと大体同じ音。ただしeまたはiと子音の間にある場合と、eまたはiの後にあって語末にある場合は、ある程度「硬口蓋化」(palatalized)された。そのため英語のbell/bɛl/とfill/fɪl/を[[エルダール]]はbeol, fiolと表記すると思われる。
&color(green){''補足:''};語頭のlとは、いわゆる「明るいL」(clear l)のことで、bellとfillのlは軟口蓋化(velarized)した「暗いL」(dark l)のこと。英国人が「暗いL」で発音するLを、エルフたちはやや硬口蓋化した「明るいL」で発音するということ。
::邦訳:ラ(la)、リ(li)、ル(lu)、レ(le)、ロ(la)、ル(l)|

:LH- /l̥/|[[シンダール語]]で無声のlの音を表す。普通は語頭のsl-から派生した音のため、語頭にある。
::邦訳:ラ(Lha)、ル(Lhu)|[[アモン・ラウ]](Amon Lhaw)、リューン→[[ルーン]](Lhûn)

:HL- /l̥/又は/l/|[[クウェンヤ]]の語頭で、無声のlの音を表す。ただし無声のlの発音は古典的であり、[[第三紀]]には通常のlで発音された。
::邦訳|訳例無し

:P /p/|
::邦訳:パ(pa)、ピ(pi)、ペ(pe)、ポ(po)|[[パランティーア]](Palantír)、[[ピンナス・ゲリン]](Pinnath Gelin)、[[ペレンノール]](Pelennor)、[[テレポルノ>ケレボルン]](Teleporno)

:PH /f/|fと同じ音を表す。以下の場合に用いる。
一、語末にfの音がくる場合
二、pの音と関連がある、またはpから来るfの音を表す場合
三、[[アドゥーナイク]]や[[共通語]]のfの音を表す場合
四、長子音の項を参照
&color(green){''補足:''};[[Turuphanto>ヒリロンデ]]にもphが含まれるが、この語の正確な言語は不明。
::邦訳:Fと同じ|一、[[ニーン=イン=エイルフ]](Nîn-in-Eilph)
二、[[エアニル イ フェリアンナス>ペレグリン・トゥック]](Ernil i Pheriannath)((シンダール語でpが鼻音変異(nasal mutation)でfの音になる例))
三、[[アル=ファラゾーン]](Ar-Pharazôn)、[[フルナルギアン>モリア]](Phurunargian)

:QU /kw/|[[クウェンヤ]]にみられるcwの組み合わせ(a combination)を表す。同じ[[エルフ語]]でも[[シンダール語]]にはない。
::邦訳:クウァ(qua)、クゥイ(qui)、クウェ(que)|queの訳は「クゥエ」から「クウェ」に改められた。((よってquiも「クウィ」になると思われる。))
[[アルクウァロンデ]](Alqualondë)、エンクゥイエ(enquië)、クゥエンヤ→[[クウェンヤ]](Quenya)

:R /r/|どの場所でも顫動音のr(a trilled r)を表す。英語のpart/pɑːt/のように音が失われるということはない。
[[オーク]]と一部の[[ドワーフ]]は後舌や口蓋垂のr(a back or uvular r)((/ʀ/のような音か。))を用いた。これは[[エルダール]]の耳には甚だ不快な音だった。
::邦訳:ラ(ra)、リ(ri)、ル(ru)、レ(re)、ロ(ro)、ル(r)|
母音のER, IR, URの項も参照。

:RH- /r̥/|[[シンダール語]]で無声のrを表す。普通は語頭のsr-から派生した音のため、語頭にある。
::邦訳:リ(Rhi)、ル(Rhu)、ロ(Rho)|リウ→リーウ(Rhîw)、[[ルダウア]](Rhudaur)、[[タラス・ルーネン>サルゲリオン]](Talath Rhúnen)、[[ロヴァニオン]](Rhovanion)、[[ロスゴベル]](Rhosgobel)
&color(green){''補足:''};語頭にある子音なので、[[ディーアハイル]](Dírhael)、[[ディーアハヴェル]](Dírhavel)、[[グリアフイン]](Glirhuin)、[[ガウアホス>巨狼]](Gaurhoth)のrhはこれには当たらない(別個の子音rとh)。
&color(red){例外:};Rhûnは[[ルーン]](Lhûn)とは異なり、「[[リューン]]」の訳のまま。ただし上記のようにルーネン(Rhúnen)の訳もある。

:HR- /r̥/又は/r/|[[クウェンヤ]]の語頭にある無声のrを表す。
::邦訳|(フ)リヴェ→(フ)リーヴェ(Hrívë)

:S /s/|英語のso/səʊ/やgeese/ɡiːs/のような無声音。当時の[[クウェンヤ]]や[[シンダール語]]に有声のz音はない。
&color(green){''補足:''};クウェンヤの場合、th/θ/から音が変化したsも示す。
::邦訳:サ(sa)、シ(si)、ス(su)、セ(se)、ソ(so)、ス(s)|[[シルマリル]](Silmaril)、[[セルニ]](Serni)、[[スナガ]](Snaga)

:SH /ʃ/|[[共通語]]、[[クズドゥル]]、[[オーク語]]で用いられる、英語のshに似た音。(TYの項も参照)
&color(green){''補足1:''};[[暗黒語]]にもみられる。[[アドゥーナイク]]の[[Agathurush>グワスロ]]にもそれらしき表記がある。
&color(green){''補足2:''};šとも表記される。
::邦訳:シャ(sha)、シ(shi)、シュ(sh)|[[シャルブフンド>アモン・ルーズ]](Sharbhund)、[[シャグラト]](Shagrat)、ブルズム=イシ(burzm-ishi)、アシュ(ash)、[[アガスルシュ>グワスロ]](Agathurush)

:T /t/|
::邦訳:タ(ta)、ティ(ti)、トゥ(tu)、テ(te)、ト(to)、ト(t)|

:TH /θ/|[[クズドゥル]]以外の言語において、英語のthin cloth/θɪn klɒθ/における無声のthの音を表す。
[[クウェンヤ]]の話し言葉ではsの音になり、作中でもsで表記される。((例えば[[月]](Moon)を意味するシンダール語がIthilに対し、クウェンヤはIsil。同じく灰色(grey)がthindに対し、sindë。ただしクウェンヤにおいて、[[フェアノール文字]]でのth由来のsの表記は、発音はsでも元々thの音を表した9番を用いる。))
&color(green){''補足1:''};þとも表記される。
&color(green){''補足2:''};[[Avathar>アヴァサール]]のthはこの音であり、この語はthの音が残る古い[[クウェンヤ]]か、[[ヴァラール語]]であるという。
::邦訳:サ(tha)、シ(thi)、ス(thu)、セ(the)、ソ(tho)、ス(th)|[[サルバド]](Tharbad)、[[ロシンジル>ヴィンギロト]](Rothinzil)、[[スリン>トゥーリン]](Thurin)、[[アセラス]](athelas)、 [[ソロンドール]](Thorondor)、[[インジルベース]](Inzilbêth)、[[スランドゥイル]](Thranduil)、スラカトゥルーク(thrakatulûk)

:TH /tʰ/|[[クズドゥル]]のみ、英語のouthouse/aʊthaʊs/のようなhを伴った有気音(aspirate)のtを表す。(KHの項も参照)
::邦訳:サ(tha)、ス(thu)、ソ(tho)|[[サルクーン>ガンダルフ]](Tharkûn)、[[ブンドゥシャスゥル>ファヌイゾル]](Bundushathûr)、[[ガビルガソル>ベレグオスト]](Gabilgathol)

:TY|[[クウェンヤ]]の子音で、英語のtune/tjuːn/のtに似た音(a sound)。kの音、またはt+yから来る音。[[共通語]]には英語のchの音/tʃ/が多用されたため、共通語話者はTYの発音をこの音で代用した。
::邦訳:ティエ(tye)|[[ティエルペリオン>テルペリオン]](Tyelperion)、ティエルペテーマ(tyelpetéma)、ティエルレア(tyeller)

:V /v/|英語のvの音。語末にvの音がある時は、fで表記する。(-Fの項目を参照)
::邦訳:ヴァ(va)、ヴィ(vi)、ヴェ(ve)、ヴォ(vo)、ヴ(v)|[[ヴァラール]](Valar)、[[ヴァリアグ]](Variag)、[[ナルヴィ]](Narvi)、[[アルヴェドゥイ]](Arvedui)、[[ヴォロンウェ]](Voronwë)、[[ネヴラスト]](Nevrast)

:W /w/|英語のwの音。作中ではラテン語に似せた綴りが用いられているが、[[エルフ語]]でvとwは別の音なので、Wも用いられる。((ただし[[クウェンヤ]]でwを表す[[フェアノール文字]]24番の名が「vilya(古くはwilya)」と説明されているように、クウェンヤの語頭のwは[[第三紀]]にはvの音に変化したと思われる。))
また語末のauがawと表記される場合がある。(二重母音AUの項を参照)
::邦訳:ワ(wa)、ウィ(wi)、ウェ(we)、ウ(w)|[[ウィルワリン]](Wilwarin)、[[アルウェン]](Arwen)、リーウ(Rhîw)、[[ティーウ>テングワール]](Tîw)
&color(red){例外:};[[ドルイニオン]](Dorwinion)、[[ハウズ・イン・グワァヌア]](Haudh in Gwanûr)

:HW /ʍ/|英国北部の方言のwhiteにあるような、無声のwの音。
&color(green){''補足:''};[[Eledhwen>モルウェン(バラグンドの娘)]]はeledh+gwennであり、語中のhwはこの音ではない(別個の子音dhとw)。
::邦訳|訳例なし。『[[追補編]]』でも[[フェアノール文字]]12番hwestaと34番hwesta sindarinwaの名は音写されていない。

:X /ks/|[[クウェンヤ]]にみられる子音の組み合わせks([[エルフ語]]の表記ならcs)を表す。
::邦訳:クサ(xa)、クセ(xe)|[[マーハナクサール>審判の輪]](Máhanaxar)、[[アクサントゥア]](Axantur)、[[ヘルカラクセ]](Helcaraxë)

:Y /j/|英語のyou/juː/における子音yの音を表す。(子音Iの項も参照)
&color(green){''補足:''};[[シンダール語]]でYは母音/y/を表す。
::邦訳:ヤ(ya)、イエ・イェ(ye)、ヨ(yo)|[[ヤヴァンナ]](Yavanna)、イエスタレ/イェスタレ(yestarë)、イエン→イエーン(yén)、[[ヨーザーヤン>ヌーメノール]](Yôzâyan)

:HY- /j̊/|[[クウェンヤ]]において、英語のhew/hjuː/やhuge/hjuːdʒ/で聞かれる音に似た音(a sound)を表す。クウェンヤでのeht, ihtのhと同じ音。(HTの項を参照)
HYとYの関係はHWとWの関係と同じと説明されている 。すなわちHYは無声のYである。
語頭のsy-及びkhy-からきており、どちらも[[シンダール語]]ではhとなる。((「南」を意味するクウェンヤのHyarmenと、シンダール語の[[Harad>ハラド]]のように))
[[共通語]]には英語のshの音/ʃ/が多用されたため、共通語話者はHYの発音をこの音で代用した。
&color(green){''補足:''};無声硬口蓋接近音/j̊/は無声硬口蓋摩擦音/ç/に近い音。
::邦訳:ヒャ(hya)|[[ヒャルメンダキル>ヒャルメンダキル一世]](Hyarmendacil)、[[サンガヒャンド]](Sangahyando)

:Z /z/|英語のzの音。[[第三紀]]の[[クウェンヤ]]や[[シンダール語]]にzの音はない(古くは存在した)。
::邦訳:ザ(za)、ジ(zi)、ズ(zu)、ゼ(ze)、ゾ(zo)、ズ(z)|[[スーザ>ホビット庄]](Sûza)、[[ジラク=ジギル>ケレブディル]](Zirak-zigil)、[[アル=ジムラソーン]](Ar-Zimrathôn)、ブルズム=イシ(burzum-ishi)、[[エゼルロハール]](Ezellohar)((zの音がある、[[アマン]]の[[ヴァンヤール]]族のクウェンヤの名。元は[[ヴァラール語]]のEzellōχār。[[中つ国]]の[[ノルドール]]族のクウェンヤではコロルライレ(Corollairë)と訳される。))、[[アゾグ]](Azog)、ナズグル→[[ナズグール]](Nazgûl)

***長子音 [#f8834aa8]
tt, ll, ss, nnのように同じ子音が二つに並んでいる場合は、「長い、二重の子音」(long, ‘double’ consonants)を表す。よって[[Yavanna>ヤヴァンナ]]は英語のunnamed/ʌnneɪmd/やpenknife/pennaɪf/のように長く発音し、unaimed/ʌneɪmd/やpenny/pɛni/のように短く発音しない。
&color(green){''補足:''};『The Rivers and Beacon-hills of Gondor』では、『[[指輪物語]]』に登場する[[シンダール語]]の語中のllはウェールズ語と同じく無声のlを表すとされている。(('''In the transcription of Elvish Sindarin in The Lord of the Rings "ll" is used in the manner of modern Welsh for the medial voiceless l; as in [[mallorn>マルローン]] < malhorn < malþorn < malt ‘gold’ and orn ‘tree’ ''' 「[[指輪物語]]での[[エルフ]]の[[シンダール語]]の音写では、llは現代ウェールズ語と同様に語中にある無声のlに用いられている。」))これは『[[追補編]]』での説明と相反する。

邦訳での表記は以下の通り

:DD /dd/|促音。[[ブロッダ]](Brodda)

:KK(CC) /kk/|促音。[[エッカイア]](Ekkaia)

:LL /ll/|流音なので、ル+ラ行。[[アカルラベース]](Akallabêth)、[[コルマルレン]](Cormallen)、[[シルマリルリオン]](Silmarillion)、[[ヘルルイン]](Helluin)、[[メルロン]](mellon)

:MM /mm/|ン+マ行。[[エレンマキル]](Elemmakil)、[[タル=テレムマイテ]]→タル=テレンマイテ(Tar-Telemmaitë)、[[ランマス・エホール]](Rammas Echor)、[[サンマス・ナウア]](Sammath Naur)、[[エレンミーレ>エレンミーレ(天文)]](Elemmírë)、[[ランモス]](Lammoth)、[[ミン=リンモン]](Min-Rimmon)&br;&color(red){例外:};[[レムミラス]](Remmirath)、 [[カリムマキル]](Calimmacil)

:NN /nn/|ン+ナ行。[[ヤヴァンナ]](Yavanna)、[[ヘンネス・アンヌーン]](Henneth Annûn)、[[レベンニン]](Lebennin)、[[モランノン>黒門]](Morannon)
後ろに母音を伴わない場合はンと表記。[[ゴンヒアリム>ドワーフ]](Gonnhirrim)、[[ロスラン]](Lothlann)、[[アン=センナス]](ann-thennath)

:RR /rr/|流音なので、ル+ラ行。[[パラルラン]](Palarran)、[[アナルリーマ]](Anarríma)、[[オルロスタール]](Orrostar)
ただし、前に母音E, I, Uがある場合はア+ラ行で表記(ER, IR, URの項を参照)。[[エレアリーナ>タニクウェティル]](Elerrína)、[[ヌーメアラーマール]](Númerrámar)、[[ロヒアリム]](Rohirrim)、[[ゴンヒアリム>ドワーフ]](Gonnhirrim)

:SS /ss/|促音。[[ネッサ]](Nessa)、[[オッセ]](Ossë)、エレスセア→[[エレッセア>トル・エレッセア]](Eressëa)、[[ロスサールナッハ]]→ロッサルナハ(Lossarnach)、[[エレスサール]]→エレッサール(Elessar)、クゥエスセテーマ→クウェッセテーマ(quessetéma)
『[[指輪物語]]』のみに登場する語の一部にはス+サ行の表記が残る。[[ロスソス]](Lossoth)、[[ラスセミスタ]](Lassemista)、[[アラススイル]](Arassuil)
後ろに母音を伴わない場合はスと表記。タラス=ネス(Taras-ness)

:TT /tt/|促音。[[ミッタルマール]](Mittalmar)、メトタレ→メッタレ(Mettarë)、[[アル=アバッターリク>タル=アルダミン]](Ar-Abattârik)

:PH /ff/|[[シンダール語]]の語中にあるphは、稀にppから派生した長いffを表している場合がある(語中のphが全てffの音というわけではない)。追補Eで明言されている例はephelのみ。[[エフェル・ドゥーアス]](Ephel Dúath)、[[エフェル・ブランディア]](Ephel Brandir)


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