死者(ししゃ)軍勢(ぐんぜい)

概要

カテゴリー種族
スペルDead (Men)
異訳死者(たち)、死せる人間たち
その他の呼び名誓言(せいごん)破りし者ら(Oathbreakers)
亡霊軍、亡霊たちの軍勢(大軍)、幽霊部隊(Shadow Host)
灰色の軍勢、灰色の大軍(Grey Host)
眠れぬ死者たち(Sleepless Dead)
馬鍬砦の死者たち(Dead Men of Dunharrow)
幻の人間たち(Shadow-men)
山々の人間(Men of the Mountains)
種族人間の亡霊

解説

死者の道に巣食う亡霊の軍勢。
指輪戦争ではエレヒにてアラゴルン二世によって召集され、ペラルギア方面にいたモルドールの同盟軍を駆逐し、ペレンノール野の合戦の勝利に大きな役目を果たした。

「死者たちがついて来る。」レゴラスがいいました。「わたしには人間たちの影が見える。それからちぎれ雲のような色うすい旗が、そして霧の立ちこめる冬の夜の木立ちのような槍が。死者たちがついて来る。」*1

誓言破りし者ら

生前の彼らは、白の山脈付近に住む山々の人間と呼ばれる未開の民族であった(『追補編』によると褐色人と近縁の民であったという)。
第二紀暗黒時代に彼らはサウロンを崇拝していたが、サウロンがヌーメノールへ捕虜として連れ去られ、さらにその後イシルドゥアによってゴンドールが建国されると、山々の王はエレヒでイシルドゥアに忠誠を誓う。
ところがモルドールに戻ったサウロンと戦うため、イシルドゥアが山々の人間を召集すると、彼らはかつて崇拝していたサウロンと戦うことを拒否。これにイシルドゥアは怒り、彼らの王に向かい、

『汝は最後の王たるべし。して西方が汝の黒き主人より強きことの判明せし時は、われこの呪いを汝と汝の民とにかけん。汝らの誓言の果たされんまで、永遠(とわ)の眠りにつくことなからんと。そのゆえは、この戦いの年月数えがたく続きて、終局以前に今一度呼び出さるべきためぞ。』*2

と呪いをかけた。
山々の人間はイシルドゥアの怒りの前に逃げ出したが、サウロンに与することもせず、山中に隠れ住んで忘れられた民となった。しかし彼らはを得ることができず、亡霊となってこの世に留まることを強いられ続けた。

誓言の成就

「しかしアラゴルンはここで立ち止まると、大音声で呼ばわった。『いざや来たれ! 黒の石にかけ、われはなんじらを召し出すぞ!』すると突然それまで一番後ろで動きかねていた幽霊部隊が灰色の潮のように押し寄せて、その前にあるものは何もかも一掃してしまった。わたしはかすかな鬨の声を聞いた。かすかに角笛の吹き鳴らされる音も無数の遠い声のざわめきも聞いた。あたかも遠い昔の暗黒時代の今は忘れられた合戦のこだまのようだった。薄青い剣が抜かれた。だがその刃が昔と変わらず敵に切りつけようとしたかどうか、それはわたしにはわからない。なぜなら死者たちはもはや恐怖以外のどんな武器も必要としなかったのだから。何者もかれらに抵抗しようとはしなかったから。」*3

指輪戦争のおり、ゴンドール沿岸に迫る脅威を早急に除く必要に駆られたアラゴルン二世は、エルロンドの助言時は来たれり。火急の際は、死者の道を忘るなかれ。*4を受け、灰色の一行を率いて死者の道に入る。すると死者たちは誓言を果たすため自らエレヒの丘の周りに集結し、丘でアラゴルンがアルウェンの旗印を掲げ見せてイシルドゥアの世継であることを示すと、死者たちは彼の意向に従った。

アラゴルンに率いられた死者の軍勢は灰色の一行と共にペラルギアまで遠征し、同地を襲撃していた海賊に著しい恐怖を与えることで、彼らを潰走させた。誓言を果たした死者たちは、その場でアラゴルンによって呪いから解放され、この世を去った。

「『今ぞイシルドゥアの世継の言葉を聞け! なんじらの誓言は成就せられたり。戻りて二度とかの谷間の地を騒がすことなかれ! 行きて永遠の眠りにつくべし!』とね。
「するとすぐに死者たちの王が亡霊たちの前にくっきりと姿を現わし、持っている槍を折って捨てた。それからかれは低く一礼して去っていった。するとたちまち灰色の大軍は一人残らず突風に追い払われた靄のように撤退して消え失せた。わたしはまるで夢から覚めたような気がしたものだ。」*5

こうして海賊の艦隊を捕獲した灰色の一行は、ミナス・ティリス救援のため船でアンドゥインを遡ってペレンノール野の合戦に駆けつけることができた。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

死者の王は、ポール・ノレル(Paul Norell)が演じている(吹き替えは納谷六朗)。

死者の軍勢は原作とは異なり死者の道で召集される。アラゴルンは鍛え直されたアンドゥリルを用いることで、自分が死者たちに命じる権利のあるイシルドゥアの世継であることを示し、敵対的だった死者を調伏する展開となっている。
さらに死者の軍勢は海賊船に乗ってペレンノールにまでやってきて、ミナス・ティリスを攻撃していたモルドール軍を直接攻撃して壊滅させた(原作ではかれらは無力ではかないものだよ。というレゴラスの台詞にもあるように、甚だしい恐怖を与える他は物質的な力を持たない存在として描写されているが、映画では直接オークムマキルなどを攻撃して打ち倒す存在となっている)。

エクステンデッド・エディションでは死者の道を出た直後、海賊を襲って船を奪うシーンもある。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』における死者の軍勢

グッズ

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

一部の死者たちはサウロンを信奉し続けており、アラゴルンの召集を拒んで留まった。彼らはDrugâtという指導者に付き従い、ゴンドールの住民を脅かしている。
また、アラゴルンとDrugâtのどちらの側に付くか、死者の一人となって選択するセッションプレイがある

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレヒでの死者の軍勢の召集 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における灰色の一行と死者の軍勢 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における灰色の一行と死者の軍勢

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • フェアノールの誓言といい、うかつに約束を誓うと大変なめにあう世界。イシルドゥア本人に死者をつなぎとめる力があったとは思えないが、彼の言葉に山の人々は恐怖で夜も眠れなくなったこと間違いなし。特にエルフやエダイン・ヌーメノール王家の血を引く者が関わる誓言が恐ろしい。 -- 2018-10-27 (土) 10:41:57
  • 未開の民族という設定なのに、ゴンドールの正規兵なみにいい装備してんだよな -- 2019-08-17 (土) 15:39:49
    • イシルドゥア「おう、これ着て戦えや」(最高級の装備どっさり) 山々の人間「で、でもやっぱり冥王怖いし…」 そらイシルドゥアも激おこですわ -- 2019-08-19 (月) 00:56:25
  • 協力しないだけで呪いをかけるイシルドゥア酷くね?てかそんな力あったんだ シャドウオブウォーのナズグル化してた幽鬼イシルドゥアの力でここら辺に起因するのか -- 2020-06-21 (日) 13:58:03
    • サウロンを撃破する前はただの呪いの意思を込めた罵詈雑言だった。だが、イシルドゥアが指輪を手にした途端それは恐るべき呪言となって彼らに降りかかった、みたいな想像だったわ。さすがにヌメノールの高貴な出とはいっても、単独で外法は使えないと勝手に思ってた。 -- 2020-06-21 (日) 23:08:45
      • 指輪手にしてた時の力と考える方が自然ですよね あるいわ呪いが掛かる誓約でもしてたのか -- 2020-06-21 (日) 23:57:53
      • 〜の力とか〜の魔法とかシステムで説明できるものじゃなくて、古い世界って誓いとか呪いとかなぞなぞとか、心を込めた時の言葉自体を重要視してたものだよ。 -- 2020-10-08 (木) 20:48:43
      • 重要視されていたのと、一人のただの男の吐き捨てた呪いが数千数万の死者を数千年にわたり縛るのとは全く違うと思うが...。どう考えても指輪が作用したと考える方が自然。 -- 2020-10-08 (木) 21:04:49
      • ↑その「自然」というのは現代的・卑近な価値観に基づいた「自然」であって、上の方も言うように言霊を重視する伝承世界・トールキンの中つ国において誓言を破った者が報いを受けるのはそれだけで「自然」なことであって、必ずしも指輪の力を持ち出す必要はない。 -- 2020-10-08 (木) 21:20:07
      • (要約)うるさいうるさい!俺の高説に逆らうな!「自然」!言霊!  流石は言霊、よく伝わる。 -- 2020-10-08 (木) 22:28:04
      • 反論できないからってそんな攻撃的にならんでも・・・ -- 2020-10-08 (木) 22:39:18
      • ケルト神話のゲッシュとか、平将門の怨念とか、ギリシャ神話の不和のリンゴとか、そういうやつのちょっと極端な感じだと思ってた -- 2020-10-09 (金) 03:56:27
    • サウロンが死人占い師と呼ばれているのと対比になっているものと思われます。イシルドゥアはまさしく彼らの運命を占った。子孫のアラゴルンがその呪いを解きサウロンから中つ国をも解き放ったと。 -- 2020-07-17 (金) 15:35:44
  • レゴラスは王様の顔面に矢ぶち込んでたけども、仮に効果あったらどうするつもりだったんだろう -- 2021-01-22 (金) 23:58:10
  • 永遠の眠りという表現に違和感がある。イシルドゥアもアラゴルンも、死者の魂がどうなるか知っているはずですよね。永遠の眠りとはエルの御許での話なのか。でも世界の外のことは知らないよね。 -- 2021-01-23 (土) 05:12:07
  • 一ドゥーネダインの呪いでこんなことになるなら第一紀のエダインや上のエルフはもっと色々な呪いが使えたんかな、それをしてもあの情勢は覆せなかったろうが -- 2021-01-23 (土) 13:06:38
    • 契約違反でマンドスの怒りを買ってしまった結果ではないかと。 -- 2021-01-23 (土) 15:25:48
  • そういえば人間もマンドスの館に立ち寄るからな。「約束を果たさん者は来るな!!!💢」とでもおもわれているのだろうか。 -- 2021-05-16 (日) 11:18:32
    • マンドスは関係ないのでは(そもそもマンドスの館に行くことを呪いにより歪められている状態というか)。
      契約不履行がマンドスの怒りを買ったことが原因なら、アラゴルンの許しは必要なくモルドール軍をペラルギアから一掃した時点で黙って消えるでしょうし。 -- 2021-05-16 (日) 11:49:08
      • ありがとうございます! -- 2021-05-16 (日) 13:53:45
      • ↑いえいえ、ただの感想ですから。
        ただ一氏族の人類同士の盟約の誓いを違えたからといって、マンドスが彼ら全員を死すべき定め(イルーヴァタールの恩寵でも意志でもあるわけで)から突き放すような事はするかな?と思うので。
        だったら第一紀のウルドール達なんかもっとスゲー罰を食らうべきなのに何もないですからね。
        それにある意味イシルドゥアは呪いを吐いた後に一つの指輪を手にしていわば「ヴァラール達が嘉しない方向」に行ってしまっています。
        その堕落したイシルドゥアの呪いをマンドスがそのまま受けるとは思えないんですよね。
        むしろ彼らの悲劇は(たとえ自業自得の面があるとはいえ)イシルドゥアの思惑すら越えて、ヌメノールの血と一つの指輪の力が合わさり発動した負の現象のように思えます。 -- 2021-05-16 (日) 16:24:17
      • 結局呪いがなぜ発動したのか断言はされていないのだから解釈は人それぞれだよね。
        まあ俺もマンドスが判断して彼らに死を許さなかったとしたら片手落ちや依怙贔屓もいいところだと思うが。 -- 2021-05-17 (月) 07:50:26
  • 呪いが発動してそいつらが死者のまま中つ国に留まり続けるのもそいつらの運命に組み込まれてたからかなぁって思った。
    最終的にはマンドスの館に人間も立ち寄るわけだしその前の過程は死者のままでも別に良いよみたいな。
    3000年かそこら死者のままでも真に死ねなくてもエルやヴァラには誤差みたいなもんかなって。ちょっと哀しくなる考察だけれども -- 2021-05-17 (月) 08:44:56
    • 絶対的な答えがないだけじゃなくて考察しがいのある話題だよね。死者の軍勢への呪いの正体って。 -- 2021-05-17 (月) 12:37:31
      • 結構おもしろいよねこういうこと言っちゃ良くないのかもだけど。
        死すべき運命のものが死すべき運命のものに昇天できない呪いかけるってかなり残酷な所業なんだと思う。
        約束事がいかに大事かも痛感した。 -- 2021-05-17 (月) 13:25:39
      • 「こら!約束を守らないとずっと死者のままになりますよ!」 -- 2021-05-22 (土) 11:36:33
  • 呪いの正体
    ①ヌメノールの血によるものだよ派
    ②イシルドゥアが単純にすごいよ派
    ③一つの指輪で悪口が呪いになっちゃったよ派
    ④マンドスが怒ってイシルドゥアに賛じたよ派
    ⑤彼らの裏切りも呪いも定めだよ派
    ⑥もともと言霊には力があるんだよ派
    ⑦彼らが自分でその役割を選んだよ派 -- 2021-05-17 (月) 18:59:41
    • もともと彼らはイシルドゥアに忠誠を“誓った”わけで、この世界では“誓い”というもの重要性、絶対性が非常に高いことがあちこちで示されている。
      それを破り、加えてイシルドゥアに呪われたから、ここに上げられたもののひとつだけでは語りきれないと思う -- 2021-05-22 (土) 16:21:22
  • しかし呪いの正体も気になるが、個人的にこいつらで一番気になるのは
    「何でみんな一斉に突然死したわけでもないのに全員が武装してるんだ」
    「死んでも幽霊になって眠りにつけない事を、まだ生きてるうちに仲間の死からそれを知った奴等の絶望半端ないよな」
    「老衰で死んだ(ややこしい)奴等はその年齢のまま召集されたのか」
    ってあたりかなぁ。
    武装してた理由は埋葬時にそうする風習が元々あったとか、呪いを解くために未来に賭けて武装して葬るようになった、とかかしら。 -- 2021-05-17 (月) 21:46:28
    • 死者が未来に賭ける発想ってのはおもしろいな!それかアラゴルンが侵入した時に着替えたのかもww
      おっ!敵がきたな!いっちょやるかみたいな -- 2021-05-18 (火) 09:18:49
    • 実際どうなんだろうねー仮に死後であろうと着替える事が出来たとしても、死者用の着替えは用意していなきゃまずいしね。
      最初らへんの死者たちは文字通り死に装束だったりしたのかしら。
      恐怖が彼らの武器なんだからそれでも役割は果たせるかw -- 2021-05-18 (火) 13:07:17
    • 「貧しくてナイフ一本しか副葬してもらえなかったのに、息子は武具一式完全装備だった件」 -- 2021-07-17 (土) 16:28:25
    • べつに死んだときの姿のままで幽霊にならなきゃいけない道理はないので、たんに軍役に召集されたので軍装で現れたということなのでは -- 2021-07-17 (土) 18:26:41
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