ビルボ・バギンズ

概要

カテゴリー人名
スペルBilbo Baggins
その他の呼び名忍びの者(burglar)
エルフの友(elf-friend)
指輪所持者(Ring-bearer)
指輪発見者(Ring-finder)
たるにのるぞう(Barrel-rider)*1
運のよしお(Luckywearer)
指輪ひろっ太郎(Ringwinner)
ビルボ大旦那(Old Mr. Bilbo)
いかれバギンズ(Mad Baggins)
種族ホビット
性別
生没年ホビット庄暦1290年(第三紀2890年)9月22日~不明*2
バンゴ・バギンズ(父)、ベラドンナ・トゥック(母)
兄弟無し
配偶者無し
フロド・バギンズ(養子)

解説

ホビットの冒険』の主人公。一つの指輪を発見した指輪所持者
バンゴ・バギンズベラドンナ・トゥックの一人息子で、トゥック翁の孫にあたる。フロド・バギンズの伯父*3であり養父。

若い頃は未知の世界や冒険の物語に憧れてもいたが、壮年に入ってからはバギンズ家の者らしく安穏な暮らしをよしてしており、自ら冒険したがるタイプでは決してなかった。だがトゥックの血を引いているためか、ガンダルフ13人のドワーフたちの訪問を受けたことで眠っていた冒険心や詩心が目覚めたことで彼らと旅に出る。そして次第にはなれ山への遠征や五軍の合戦において重要な人物となり、エルフたちとも親しんでエルフの友と称された。

ホビット庄に帰郷後、ビルボは元は自分の日記だった書冊に『ホビットの冒険』の元となった冒険の記録を残し、エルロンドの客人として裂け谷に隠居してからは『シルマリルの物語』の元となった伝承集を編纂した。これらは養子のフロドとその後継者のサムワイズに引き継がれて『指輪物語』の元となった指輪戦争の記録等が増補され、西境の赤表紙本として後世に伝えられることになった。
また自作の詩*4や物語も多く書き残し、その一部は『トム・ボンバディルの冒険』に収録されている。

ホビットの冒険』のビルボ・バギンズ

ホビット庄ホビット村袋小路屋敷で平穏な独身生活を送っていたが、50歳を迎えた4月のある日、ガンダルフの計画でトーリン二世率いる13人のドワーフ忍びの者として雇われ、スマウグに奪われたはなれ山の財宝を奪回する遠征に加わることになる。
当初は彼らの思いがけない訪問に困惑し、自分が冒険に駆り出されている事態に狼狽したが、ドワーフ達が失った故郷への憧憬を歌うのを耳にして眠っていた冒険心を呼び覚まされ、ガンダルフの後押しもあって文字通り家を飛び出して冒険に加わる決心をした。

一行は道中遭遇したトロルの岩屋で財宝を発見、そこでビルボはエルフの短剣を入手する。また財宝の中にあった金貨の壺を埋めて隠しておいた。

さらに裂け谷に立ち寄った後、一行は霧ふり山脈本道を通過しようとしたところ、ゴブリン町に迷い込む。ここでビルボは仲間とはぐれ、ひとりゴブリン町の地の底へと迷い込む。その時、暗闇の洞窟の中に落ちていた指輪を“偶然”拾い上げた。さらにその先の地底湖でビルボはゴクリと遭遇。出口が解らずどうしようもなくなっていたビルボは、なぞなぞ遊びでゴクリと勝負し、ビルボが勝ったらゴクリが出口まで案内する、ゴクリが勝ったらビルボは食べられるという勝負を飲んだ。
この勝負で勝利したビルボだが、約束を反故にしてビルボを襲おうとしてきたゴクリから逃げ出す。この時、偶然指輪がビルボの指にはまると、ゴクリはビルボの存在に気が付かず彼を追い抜いていってしまった。こうしてビルボは、その指輪が体を透明にする魔法の指輪であることを知る。それからビルボは、洞窟の出口で待ち伏せしようとするゴクリの後を追いかけて、洞窟の出口を発見。その後、自分を襲おうとしているゴクリを殺すこともできたビルボだが、自分の姿は透明でしかも武器を持っているという一方的に優位な状況の上、洞窟の中で惨めに過ごしてきたゴクリの様子に憐れみを覚え、ゴクリを敢えて殺さずそのその上を跳び越えて出口へ向かい、ゴブリン町を脱出。それから、一足先に脱出していた仲間と無事に再会することができた。

ビルボは荒れ地の国に足を踏み入れてからは、一行のお荷物から一転して要になり、指輪の力の助けもあって、仲間の危機を何度も救う活躍を見せた。
闇の森では、襲ってきた蜘蛛を撃退しドワーフたちを助け出した。この時、エルフの短剣につらぬき丸の名を付ける。さらにドワーフたちがエルフ王の岩屋で牢に囚われると、指輪の力で透明になって岩屋に潜入。やがて牢の鍵を手に入れてドワーフたちを助け出し、彼らを樽に潜ませて森の川を利用して、全員で湖の町までたどり着くことに成功した。
はなれ山ではドワーフたちの求めで、しぶしぶながら単身スマウグの眠る大広間に潜入し、金のカップを一つ盗み出す。さらに二度目に潜入した時には、呪縛にかけようとするスマウグの追求を機転でかわし、その左胸にあいた宝石の鎧のほころびを見つけ出した。このビルボの発見は、傍で話を聞いていたツグミを通じて湖の町のバルドに伝わり、スマウグの滅びにつながった。

ビルボの働きに大いに感謝したトーリンは、彼にミスリルの胴着を贈る。だがそれに先立って宝の山からアーケン石を見つけ出していたビルボはその美しさに魅せられ、冒険の報酬として、秘密で自分のものにしていた。
やがて湖の町のバルドと、森の王国エルフ王が、無人であると思っていたはなれ山の財宝を回収にやって来る。だがトーリンが生きていることを知ったバルド達は、スマウグを倒した報酬として、はなれ山の財宝の12分の1をトーリンに要求する。しかしトーリンはそれを拒否し、ダインの軍勢を呼び、一戦交えてでもすべての財宝を守るつもりであることがわかると、諍いに嫌気がさしたビルボは、バルドとエルフ王にダインの軍勢が接近していることを伝え、またアーケン石をバルド達に引き渡して、交渉の材料に使うよう勧めた。この行動をビルボが白状したことでトーリンは激怒し、ビルボは仲間から追放された。
その後の五軍の合戦では、ビルボは指輪で透明になって戦いを避けていたが、エルフ王の陣営がからすが丘に追い詰められると、彼を守って戦う決心を固める。だが落石を兜に受けて気絶してしまい、目覚めた時にはすでに合戦は終結していた。一方戦いでトーリンは合戦で重傷を負っており、枕元に呼ばれたビルボは彼と和解し、その死を看取る。

ビルボは自分の取り分であった「はなれ山の財宝の14分の1」をバルドに譲ったが、彼の厚意で、小馬に積めるだけのわずかな量の金と銀を受け取り、帰郷の旅につく。
エルフ王との別れ際には、王の岩屋で隠れ潜んでいた時に盗み食いをしたことへの謝罪として、ダインから贈られていた銀と真珠の首飾りを王に贈り、彼からエルフの友と称された。

ビルボはガンダルフビヨルンと共に帰郷の旅を続け、ユールを過ぎて春になるまでビヨルンの屋敷に滞在する。それからビヨルンと別れ、ビルボとガンダルフは裂け谷に立ち寄る(そこでビルボは、白の会議死人占い師と戦って闇の森から追い出したという話を聞いた)。
裂け谷で休息してから、ビルボとガンダルフは旅を再開。その途中、隠しておいたトロルの黄金を山分けにする。

最後にホビット庄へ帰郷したビルボだが、1年も行方不明であったため死んだと思われており、袋小路屋敷は親戚のオソロベリアの手に渡り、家財がうじ・うじ・もぐり商会によって競売にかけられているところであった。屋敷は無事取り戻せたものの、すでに売れてしまった家財道具を買い戻すのに、手に入れた財宝をほとんど使ってしまう羽目になる。

この奇妙な失踪と帰還、および一般のホビットにとっては得体の知れないよそ者であるエルフドワーフたちと親しい付き合いを続けたこと等によって、ビルボはすっかりバギンズ家としての評判を失い「変人」として知られるようになってしまった。しかし残った財宝を惜しみなく贈り物として使ったため、年若い親戚や名もなく貧しいホビットたちからは、ビルボは非常に慕われた。
こうしてビルボの手元にはミスリルの胴着つらぬき丸、旅の間着ていた古びたマント、そして魔法の指輪といったわずかな品々しか残らなかったが、冒険を通じて広い世界を知り、また詩心に目覚めたことで大いに報われた。ビルボは自分の冒険をに書き、また中つ国の歴史やエルフ語などについて興味を持ち、それらの知識を蓄え始めるようになる。

指輪物語』のビルボ・バギンズ

ビルボはその後も一人で袋小路屋敷に暮らし、独身を通していたが、自分が99歳の時に、78歳年下で21歳だった甥のフロド・バギンズを養子として引き取った。ビルボはフロドがお気に入りだっただけではなく、フロドの両親が早くに事故で死んでいたこと、ビルボとフロドの誕生日が同じで「一緒に誕生祝いをするのに都合が良い」ことなどが理由である。
自分の111歳の誕生日の祝宴の夜、ビルボは袋小路屋敷や一つの指輪フロドに託すと、ホビット庄から文字通り姿を消し、後の旅路でビルボと再会したフロドたち以外のホビットには、ビルボの姿は二度と見られなかった。だが、姿を消した際の(真相はビルボ本人の他は、火花の魔法で目くらましの手伝いをしたガンダルフしか知らない)派手な演出は後々までホビット庄中で語り草となり、やがてこの事件は、ホビットの子供たちが炉辺でせがむお話の一つとなり、いかれバギンズといえば、爆発音と閃光とともに消え去り、黄金と宝石の袋をいくつもたずさえてふたたび現われる、子供たちにとっては、人気ある伝説上の人物として、実際の事件が忘れ去られた後までも、いつまでも生き続けました。という。
以後ビルボはエルロンドの客人として裂け谷で隠遁生活を送り(その間に、一度はなれ山を再訪している)、『シルマリルの物語』の元となった伝承集を編纂した。またアラゴルン二世と親しくなり、彼のために歌も作っている。

指輪戦争時もビルボは裂け谷で平穏に暮らしており、黒の乗手から避難するために裂け谷にやって来たフロドと再会する。エルロンドの会議で、一つの指輪モルドール滅びの罅裂まで持っていって破壊するということが決定されると、指輪を見つけた責任者として、ビルボは指輪破壊の任務に立候補する。だがガンダルフに、ビルボの役目はすでに終わったことを諭されると、ビルボ自身も老いや指輪の影響により、自分の力が弱っていることを悟っていたため、素直に引き下がった。
その後、フロドが指輪所持者としての使命を帯びてモルドールへ旅立つことになると、餞別にミスリルの胴着つらぬき丸を与えた。だがフロドが使命を達成して一つの指輪が破壊されると、指輪の力で遠ざけられていた老いが、一気にビルボにふりかかってきて老け込んでしまう。そのため、ビルボと親しかったアラゴルンがアルウェンと婚礼の儀を上げるため、アルウェンやエルロンドらがゴンドールへ向かうことになっても、ビルボは裂け谷に留まった。
ビルボは、帰りの旅の途中で再び裂け谷へ立ち寄ったフロドに西境の赤表紙本を渡し、伝承集の編纂の仕上げと指輪戦争についての記録をまとめる仕事を託した。
第三紀最後の年に、ビルボは131歳となって、トゥック翁を超えるホビットの最長寿記録保持者となった。その年に、指輪所持者として至福の国へと去った。

略歴

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アラン・リー作画によるビルボ・バギンズ(一つの指輪破壊後)

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

俳優イアン・ホルム
日本語吹き替え山野史人

ホビット庄を去って裂け谷に隠遁している期間は、原作より大幅に短くされている。その間にはなれ山へ旅したエピソードも登場しない。
一つの指輪を拾ったときの若いビルボは、イアン・ホルム自身が若いメイクを施して演じている。

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『ロード・オブ・ザ・リング』におけるビルボ・バギンズ(一つの指輪を拾ったときの回想)『ロード・オブ・ザ・リング』におけるビルボ・バギンズ『ロード・オブ・ザ・リング』におけるビルボ・バギンズ(一つの指輪破壊後)

映画『ホビット』における設定

俳優マーティン・フリーマン(青年期)/イアン・ホルム(晩年)
日本語吹き替え森川智之(青年期)/山野史人(晩年)

冒険の序盤、『思いがけない冒険』では、トロルバートビルウイリアム)につかまったり、霧ふり山脈本道巨人の戦いに巻き込まれたときに転落しそうになるなど、トーリンの一行の足手まといになっている様が強調されている。本人も一行の荷物になっていることを自覚し、ゴブリン町に迷い込む直前、一行から別れてひとりで帰ろうとしている。
その直後、ビルボはドワーフたちもろともゴブリン町に転落したため、仲間からの離脱はうやむやになる。だが直前にボフールとかわした会話での、故郷を失ったドワーフの話から、彼らを助けたいと思うようになり、トーリンアゾグに襲われたときは、剣(つらぬき丸)を手にして無謀とも言える助太刀に向かった。このことで、ビルボを軽視していたトーリンの謝罪と信頼を勝ち得る。

『決戦のゆくえ』の五軍の合戦では戦いの中、エレボールの北側からグンダバドからの敵の増援が迫っていることを知らせるため、ガンダルフに危険だと止められたにもかかわらず、からすが丘にいるトーリンたちのもとへ伝令に向かう。しかし、フィーリが殺されたことがきっかけでトーリン、ドワーリンと共に攻め込み、つらぬき丸や投石でオークと戦うが、ボルグの攻撃により気絶してしまう。目を覚ました後、トーリンの最期を見届けることになる。

原作に比べ、偶然拾った「魔法の指輪」に執着を示すシーンが増えている*5
原作では、ドワーフたちの目の前で指輪を使う場面もあり、魔法の指輪についてドワーフに説明している。一方映画では、ビルボは指輪のことは終始秘密にしていた。だがガンダルフには、彼が魔法の指輪を拾ったことに気づかれていた。ガンダルフとの別れ際「魔法の指輪は軽々しく使うものではない」と忠告された時「もう落とした」と噓をついている。

老年のビルボは『ロード・オブ・ザ・リング』に引き続きイアン・ホルムが演じているが、高齢でニュージーランドへの移動が困難なため、出演シーンはロンドンで撮影され、合成された。だが袋小路屋敷前で、ガンダルフを出迎えに行くフロドを見送るビルボの遠景のシーンは、マーティン・フリーマンが老ビルボのメイクを施して演じている。

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『ホビット』におけるビルボ・バギンズ(老年)『ロード・オブ・ザ・リング』におけるビルボ・バギンズ『ロード・オブ・ザ・リング』におけるビルボ・バギンズ(帰郷時)

グッズ

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ビルボ・バギンズとリンディア(指輪戦争時)

コメント

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  • 人間の感覚でも、90過ぎても50歳くらいにしか見えない爺さんがいればそりゃ誰だっておかしいと思うよな… -- 2017-01-22 (日) 19:15:28
  • 思うけど個人的な戦闘力は高いよな。 特に百発百中の正確さを誇る印字打ち。 映画でも襲いかかるオークをそれで返り討ちにしていたし。 -- 2017-02-02 (木) 13:09:26
  • ホビット庄での彼についての伝説がやがて人間たちにも広がっていき、聖ニコラウスの伝説と統合されてサンタクロースの原型になったのではないかと思った -- 2017-02-17 (金) 11:20:02
  • アーケン石を取ったのはまずかったな… -- 2017-06-06 (火) 00:27:47
  • ゴクリが突然襲ってきた時点ではまだゴクリの言ういとしいしとが指輪の事だとは気づいてなかった筈。いつの時点で気づいたんですか? -- 2017-08-13 (日) 03:54:49
  • 唯一指輪を放棄できた人。前作主人公は伊達じゃないぜ。 -- 2017-10-16 (月) 00:10:24
  • 原作ではアーケン石を取る際自分の欲で取り隠していた感じだったけど映画ではトーリンの為に取って隠していた この改変は良かったな -- 2017-10-20 (金) 06:54:54
  • 指輪ひろっ太郎… -- 2017-10-22 (日) 11:31:45
  • 映画王の帰還ラストのよぼよぼビルボが新たな冒険に胸躍らせるのほんと良い... -- 2018-03-14 (水) 04:21:10
  • 「自分が薄っぺらくなっていく」と言っていたけど、その期間に執筆活動や語学勉強に勤しんでいたって考えると、指輪の悪影響を受けずに長命を最大限に活かしてると言える。この人本当に凄いわ。 -- 2018-07-31 (火) 11:48:38
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*1 岩波書店版の訳。原書房版では「樽乗り」、映画ホビットでは「樽にのる者」となっている
*2 ホビット庄暦1421年(第三紀3021年)9月29日、131歳で中つ国を去る
*3 正確にはフロドの母の従兄弟で、フロドの父の再従兄弟
*4 指輪物語』作中ではアラゴルン二世のために作った詩や「最後の憩」館で披露したエアレンディルの歌などがある
*5 これは原作執筆時、原作者のトールキンが『指輪物語』の構想や一つの指輪の設定を考えていなかったためもある

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Last-modified: 2018-07-31 (火) 11:48:38 (107d)