ドゥリンの歌

概要

カテゴリー詩・歌
スペルSong of Durin

解説

モリアの第二十一広間でギムリが歌った、不死のドゥリンとモリアの王国について語る歌。

指輪物語』での邦訳*1

この世は若く、山々は緑だった。
にはいまだ(かげ)りが見られず、
流れや石には名がつけられなかった。
そのころドゥリンは目ざめてひとり歩いた。
名のない山々谷々に名前をつけ、
誰も味わわない泉の水を飲んだ。
身をかがめて鏡の(うみ)をのぞき込み、
星の冠の現れれ出るのを見た。
水面(みなも)に映る自分の頭上を、
銀糸で飾る宝石のように。

この世は美しく、山々は高かった。
そのかみつ世ナルゴスロンドに、ゴンドリンに、
今は西の海をこえて去りし
強き王たちの滅びるまでは。
ドゥリンのころこの世は美しかった。

王は、彫り飾った玉座に(いま)した。
石の広間広間には数多い柱が立ち、
黄金の天井に銀の床、
扉には魔力あるルーン文字が書かれた。
の光、また星明かり、月明かり、
水晶を切りなしたランプにともり、
雲にくもらず、世の闇にかげらず
美しく明るく、たえず輝いていた。

槌は鉄床(かなどこ)をうち、
のみは刻み、文字を彫った。
刃は鍛えられ、(つか)は巻かれた。
抗夫は堀り、石工は建てた。
緑柱石(ベリル)に真珠、淡いオパールは綴られ、
金属は魚鱗に似た鎖かたびらに編まれた。
円盾に胴甲、戦斧に剣、
かがやく(やり)もあまた貯えられた。

そのかみドゥリンの民は倦むを知らず、
山の下には楽の音がめざめた。
竪琴ひきはひき、歌うたいは歌った。
出入りの門には喇叭(らっぱ)が鳴った。

この世は黒ずみ、山々は老いた。
炉の火はつめたい灰に化した。
竪琴は鳴らず、槌音は止んだ。
ドゥリンの広間には、暗黒が住まう。
カザド=ドゥムなるこのモリアの、
王の墓には影が横たう。
だが今もなお、沈んだ星は、
風のない暗い鏡の(うみ)に現われる。
ドゥリンがまた眠りからさめる日まで、
その冠は、深く水底に横たう。

英語原文

The world was young, the mountains green,
No stain yet on the Moon was seen,
No words were laid on stream or stone
When Durin woke and walked alone.
He named the nameless hills and dells;
He drank from yet untasted wells;
He stooped and looked in Mirrormere,
And saw a crown of stars appear,
As gems upon a silver thread,
Above the shadow of his head.

The world was fair, the mountains tall,
In Elder Days before the fall
Of mighty kings in Nargothrond
And Gondolin, who now beyond
The Western Seas have passed away:
The world was fair in Durin's Day.

A king he was on carven throne
In many-pillared halls of stone
With golden roof and silver floor,
And runes of power upon the door.
The light of sun and star and moon
In shining lamps of crystal hewn
Undimmed by cloud or shade of night
There shone for ever fair and bright.

There hammer on the anvil smote,
There chisel clove, and graver wrote;
There forged was blade, and bound was hilt;
The delver mined, the mason built.
There beryl, pearl, and opal pale,
And metal wrought like fishes' mail,
Buckler and corslet, axe and sword,
And shining spears were laid in hoard.

Unwearied then were Durin's folk;
Beneath the mountains music woke:
The harpers harped, the minstrels sang,
And at the gates the trumpets rang.

The world is grey, the mountains old,
The forge's fire is ashen-cold;
No harp is wrung, no hammer falls:
The darkness dwells in Durin's halls;
The shadow lies upon his tomb
In Moria, in Khazad-dûm.
But still the sunken stars appear
In dark and windless Mirrormere;
There lies his crown in water deep,
Till Durin wakes again from sleep.

コメント

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  • メロディー付けて歌った動画https://www.youtube.com/watch?v=8PSFN2r6bXY -- 2018-05-20 (日) 14:17:06
    • 投稿者は他にも中つ国関連の歌にメロディーを付けてupしている。どれも記事欄に直接貼りたい位良くできてる -- 2018-11-02 (金) 19:44:06
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*1 旅の仲間』「暗闇の旅」

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Last-modified: 2018-11-02 (金) 19:44:06 (13d)