- ゲームについてはAngbandを参照してください。
アングバンド†
概要†
解説†
シンダリンで「鉄の牢獄(Iron Prison)」「鉄の地獄(Hell of Iron)」の意。上古に存在した冥王モルゴス(メルコール)の地下大城塞。
鉄山脈の地下に築かれた果てしなく続く牢獄群であり、その門はサンゴロドリムの塔の下にあった。地上にはドル・ダエデロスが広がっていた。
シルマリルを取り付けた鉄の冠を戴いたモルゴスは、第一紀を通じてここを根拠地とし、ベレリアンドの制圧者として君臨した。
構造†
二人は、あらゆる危険を通り抜け、長い旅路の埃にまみれ、疲労の色も濃く、ついにアングバンドの城門前の荒涼たる谷間に来た。路傍には黒々とした深い割け目が口をあけ、のたうつ蛇の形をしたものがにょろにょろと匍い出てきた。道の両側には断崖が城壁のように聳え、その上には腐肉を喰らう鳥たちが残忍な声で鳴いていた。二人の前には難攻不落の城門があった。それは、山の麓にあけられた大きな暗い
拱門 で、その上には一千呎 の絶壁がそそり立っていた。
…
地底の最も深いところに穿たれた広間は、恐怖がこれを支え、燃える火がこれを照らし出し、殺戮と拷問の武器が所狭しと並べられていた。*2
アングバンドの入口は鉄山脈の南側に位置しており、その上をサンゴロドリムの三つの峰が聳えていた。正門までは城壁と砦を巡らせた谷になっており、またそこかしこに秘密の出入口が設けられていた。門には、最強の巨狼カルハロスが門番として控えていた。
その内部では一万の槌の音が鳴り響き、幾重にも交錯した通路および階段によって無数の溶鉱炉や牢獄群が結ばれた複雑な地下迷宮になっており、地の底にあるモルゴスの玉座まで延々と続いていた。
玉座の上からモルゴスは自らの王国を意のままに支配し、広大な地下世界でおびただしい数のオークやトロル、グラウルングやアンカラゴンをはじめとした龍などからなる軍勢を作り上げていった。溶鉱炉から生み出される黒煙や毒煙、火焔流はしばしばサンゴロドリムや鉄山脈から放出されてベレリアンドに荒廃をもたらした。
歴史†
元々は星々の時代にウトゥムノの前哨基地とするべく、メルコールが鉄山脈の西側に築いた砦で、サウロンに指揮が任されていた。力の戦いではヴァラールの攻撃によって陥落したが、ヴァラールはウトゥムノ攻城を急ぐあまり、アングバンドを徹底的に破壊することができなかった。そのためサウロンやバルログをはじめとした生き残った召使達は、主人のメルコールがマンドスの砦に投獄されている間、アングバンドの廃墟に隠れ潜んだ。
やがて二つの木を枯死させてシルマリルを奪い、モルゴスと呼ばれるようになったメルコールが中つ国に逃亡してくる。モルゴスはアングバンドを再建・強化して、その門の上にサンゴロドリムの塔を積み上げると、召使達を再び集結させて第一紀を通じてそこに立て篭もり、ベレリアンドに恐怖の影を落とした。
モルゴスを追ってきたノルドールの公子たちは、400年にわたってアングバンドを包囲し、モルゴスの勢力を北方に封じ込めたものの、これを攻めることはできず、ダゴール・ブラゴッラハでアングバンドの包囲は破られた。
アングバンドはエルフと人間の武力によってはついに陥落することはなく、ただベレンとルーシエンのみがその地下抗深くに入り込んでモルゴスの玉座にまで達し、その鉄の王冠からシルマリルの一つを取り戻して生還するという功業を成し遂げた。これに勇気づけられたマエズロスはマエズロスの連合を提唱してモルゴス打倒を図ったが、ニルナエス・アルノエディアドで惨敗を喫した。
以後、誰一人としてアングバンドを攻略することはできず、ベレリアンドのエルフの諸王国は一つまた一つと滅ぼされていった。
だが、ベレンとルーシエンによって奪還されたシルマリルの光に導かれ、ヴァリノールに到達したエアレンディルの嘆願によって、ヴァラールは再び軍勢を中つ国へ派遣して怒りの戦いとなった。この時アングバンドから解き放たれたモルゴスの総兵力はアンファウグリスに収まりきらないほどであったというが、最後にはそれも滅ぼされてアングバンドは陥落し、今度こそ徹底的に破壊されてベレリアンドと共に水没した。
コメント†
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