* 黒門の戦い [#k37d47a6]

#contents

** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|歴史・事件|
|~スペル|Battle at the Black Gate|
|~その他の呼び名||
|~異訳|黒門前の戦い (Battle before the Black Gate)|
|~その他の呼び名|黒門前の戦い (Battle before the Black Gate)|
|~異訳||

** 解説 [#Explanation]

[[第三紀]][[3019年>大いなる年]]3月25日に行われた、[[指輪戦争]]の事実上の決戦となった戦い。
[[ゴンドール]]や[[ローハン]]の軍勢からなる西軍(army of the West)が、[[指輪所持者]]の任務を[[サウロン]]から隠すため[[黒門]]に陽動攻撃を仕掛け、[[モルドール]]の軍勢がこれを迎撃した。サウロンは黒門を開いて、モルドールの軍勢をはじめ[[ハラドリム]]や[[東夷]]などの属国からなる大軍を解き放ち、[[燃えかすの山]]に西軍を包囲。絶対的多数の[[モルドール]]軍を前に、西軍は絶望的な状況となる。だが合戦の最中に指輪所持者が[[一つの指輪]]を破壊したことでサウロンの力は消滅、サウロンの意志に動かされていたモルドール軍も狼狽して総崩れとなり、西軍は逆転して勝利を収めた。

*** 参戦国、勢力 [#kd7637a9]

:西軍|[[ゴンドール]]、[[ローハン]]、[[北方野伏>野伏]] &br; [[大鷲]]

:モルドールとその属国|[[オーク]]、[[トロル]]、[[東夷]]、[[ハラドリム]] &br; [[ナズグール]]

** 戦況 [#meb4fa6b]

***開戦に至るまで [#yd9414d3]

>わしらは[[指輪>一つの指輪]]は持っておらぬ。叡智の極みか、大愚の果てか、それは消滅させられるべく遠くへ送られた。わしらを消滅させることを恐れてな。これがなければ、力で[[かの者>サウロン]]を敗ることはできぬ。じゃがわしらはいかなる犠牲を払ってもかの目をかれの真の危険から引き離しておかなければならぬ。わしらは武力で勝利はかちとれぬが、武力によって[[指輪所持者]]に唯一の可能性を与えることはできる。たとえそれがおぼつかないものであってもな。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 上』「九 最終戦略会議」 [[ガンダルフ]]の言葉))

[[角笛城の合戦]]と[[アイゼンガルド]]の陥落によって、[[パルス・ガレン]]で捕らえられた[[ホビット]]([[メリー]]と[[ピピン]])は救出され、さらに[[オルサンク]]の[[パランティーア]]が[[アラゴルン二世]]の手に渡る。アラゴルンは[[指輪所持者]]から[[サウロン]]の目を逸らすためパランティーアを用いて彼に挑戦、[[鍛え直された折れたる剣>アンドゥリル]]を示して自らの素性を明らかにした。
これに怒り焦ったサウロンは[[ペレンノール野の合戦]]を起こしたが、予定を早まった攻撃であったためにモルドール軍は[[ゴンドール]]と[[ローハン]]の軍勢によってかろうじて撃退された。

'''かれ(サウロン)から[[宝>一つの指輪]]を[[奪った剣が鍛え直された>アンドゥリル]]。偶然の風向きの変化はわが方に幸いした。[[かれの最初の攻撃は思い設けぬ敗北に終わり>ペレンノール野の合戦]]、[[総大将>魔王]]が滅びてしもうた……'''((同上))というこの一連の事態に、サウロンは[[一つの指輪]]が[[ゴンドール]]に拠る大将たちの手に落ちたとの疑いを強くする。
他者が一つの指輪に込められた力を完全に使いこなすには習熟期間が必要であり、さらに指輪を手にする者は一人であるため、必ずその所有権を巡って権力闘争が起こるはずであった。敵の手に落ちた指輪をサウロンが奪い返せる望みは、その機会を突けば指輪がサウロンを助けるかもしれないという点にあった。そのためサウロンはゴンドールの動静に全注意を集中させる。

実際には[[一つの指輪]]はモルドールに送り込まれており、次に予想されるさらに大規模な攻撃に耐える力はもはや[[ゴンドール]]と[[ローハン]]には残されていなかった。
武力によってサウロンを打倒することはできず、望みは[[指輪所持者]]の任務達成にしかないと看破する[[ガンダルフ]]は、指輪所持者からサウロンの注意を逸らし続けるためには自分達が囮となり、[[黒門]]に捨て身の陽動攻撃を仕掛けるしかないと提案。[[アラゴルン二世]]、[[イムラヒル]]、[[エオメル]]、[[エルロンドの息子]]ら''西軍の大将たち''はこの提案に同意する。

[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]に残る守備隊は、南部諸侯国から新たに送られた援軍で増強され、さらに[[エルフヘルム]]率いる[[ロヒアリム]]主力騎兵3000騎が[[アノリアン]]から敵を駆逐するために残された。

大将たちは割ける限りの総勢7000名を連れて出立する。[[アラゴルン二世]]が南部諸侯国兵からなる2000名を、[[イムラヒル]]が[[ドル・アムロス]]およびミナス・ティリスの兵からなる3500名を、[[エオメル]]が500人の馬を失った[[ロヒアリム]]と500騎の騎兵を率い、それとは別に[[エルロンドの息子]]たちと[[北方のドゥーネダイン>野伏]]が加わったドル・アムロスの騎兵が500騎あった。つまり徒歩の兵が6000名で騎兵が1000名だが、これは行路の足場の悪さを考慮してのことだった。
[[ガンダルフ]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]、[[ピピン]]、[[ベレゴンド]]らもそれに加わっている。だが[[メリー]]は[[黒の息]]の負傷が癒えたばかりだったため、都に残された。

*** 西軍の行軍 [#gd171930]

>もしこれが茶番劇なら、笑うにはあまりにも痛切すぎる。いいや、これは五分五分の大熱戦に最後に進める駒なのだ。そしてどちらが勝ったにしろ、これがゲームを終了させるのだ。((同上 最終戦略会議後の[[アラゴルン>アラゴルン二世]]の言葉))

西軍は[[3019年>大いなる年]]3月18日に[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]を出立。[[オスギリアス]]から[[大河]]を渡り、翌19日には前衛部隊が[[モルグル谷]]に達して[[ミナス・モルグル]]の橋を落とすとともにその原に火を放つ。さらに[[十字路]]には南からの攻撃に備えて[[イシリアン]]の射手からなる強力な分遣隊を残した。21日には[[イシリアン]]で[[モルドール]]の強力な分遣隊にはじめて攻撃されたが、[[ヘンネス・アンヌーン]]の[[マブルング>マブルング(ゴンドール)]]の部隊から警告を受けていたため首尾よく撃退する。しかしこれは、西軍を黒門まで誘導するサウロンの陽動だった。23日に[[ダゴルラド]]に近い荒野に達し、ここで[[アラゴルン二世]]は弱気な者達に去ることを許したが、可能なら[[カイア・アンドロス]]を奪取するよう彼らに命じた。この段階で総勢は6000名に満たなくなっていた。
24日に[[モランノン]]前の荒野で最後の野営をした夜、西軍はおびただしい数のおぼろな影と狼の吠え声に取り囲まれたが、朝になるとそれらは消え失せる。25日に[[黒門]]に達した。
西軍は[[3019年>大いなる年]]3月18日に[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]を出立。[[オスギリアス]]から[[大河]]を渡り、翌19日には前衛部隊が[[モルグル谷]]に達して[[ミナス・モルグル]]の橋を落とすとともに、その原に火を放つ。さらに[[十字路]]には南からの攻撃に備えて、[[イシリアン]]の射手からなる強力な分遣隊を残した。21日には西軍は[[イシリアン]]で、[[モルドール]]の強力な分遣隊にはじめて攻撃されたが、[[ヘンネス・アンヌーン]]の[[マブルング>マブルング(ゴンドール)]]の部隊から警告を受けていたため首尾よく撃退した。しかしこれは、西軍を黒門まで誘導するサウロンの陽動だった。23日に[[ダゴルラド]]に近い荒野に達したが、目に入らないながらも絶えず西軍の上を跳梁していた[[ナズグール]]と[[恐るべき獣]]の恐怖や、モルドールの伝承の恐ろしさ前に、意気をくじかれる兵が続出する。ここで[[アラゴルン二世]]は弱気な者達に去ることを許したが、可能なら[[カイア・アンドロス]]を奪取するよう彼らに命じた。この段階で総勢は6000名に満たなくなっていた。
24日に[[モランノン]]前の荒野で最後の野営をした夜、西軍はおびただしい数のおぼろな影と狼の吠え声に取り囲まれたが、朝になるとそれらは消え失せる。25日に西軍は[[黒門]]に達した。

***黒門前での、戦闘直前の駆け引き [#ga1a2db5]

>「出会え!」と、かれらは叫びました。「[[暗黒の国>モルドール]]の王をここへ出だせ! かれに応報の罰を下さん。不法にも[[ゴンドール]]に戦いを仕かけ、その国土を力づくで奪いしためなり。ここに[[ゴンドールの王>アラゴルン二世]]はかれがその悪を償い、然る後永遠に立ち去ることを要求する。出会え!」 &br; 長い沈黙がありました。城壁からも城門からも、それに答える叫び声も物音も何一つ聞かれません。しかし[[サウロン]]はすでにかれの計画を用意していたのです。そしてこれらのねずみを襲って殺す前に、ます手ひどく弄んでやれと思ったのでした。((同上「十 黒門開く」))

西軍は戦いに先立って軍使を立て、[[サウロン]]に宣戦布告する。西軍の軍使団は[[ガンダルフ]]を長として、[[アラゴルン二世]]、[[エルロンドの息子]]たち、[[イムラヒル]]、[[エオメル]]ら大将たちが同行し、さらに[[レゴラス]]、[[ギムリ]]、[[ペレグリン]]が加わった。これでサウロンを敵とする全ての[[自由の民]]の種族から最低一人は証人が出ることになった。これに近衛騎士団と旗手、ふれ役と喇叭手が続いた。
西軍の呼び出しに応じて現れた[[モルドール]]の軍使団は、[[サウロンの口]]を先頭にその護衛兵の一隊が続いたのみで、黒地の赤目のサウロンの旗印を一つ携えていた。

姿を現したサウロンの口は西軍の大将たちを侮辱するとともに、[[キリス・ウンゴルの塔]]で[[フロド]]から押収された[[塚山出土の剣]]、[[ロスローリエン]]のマントとブローチ、[[ミスリルの胴着]]といった装身具を示して彼らを脅迫する。口は捕虜の[[ホビット]]への拷問をちらつかせて「[[ゴンドール]]とその同盟者は二度とサウロンを攻撃しないと誓言して直ちに[[大河]]以西に撤退すること」「大河以東の土地は永久にサウロンの直轄地となること、大河以西の[[霧ふり山脈]]から[[ローハン谷]]にかけてはサウロンの属領とすること」「[[アイゼンガルド]]はサウロンの口の居城とし、自由の民はその再建に手を貸すこと」といったサウロンからの条件を伝えた。
姿を現したサウロンの口は西軍の大将たちを侮辱するとともに、[[キリス・ウンゴルの塔]]で[[フロド]]から押収された[[塚山出土の剣]]、[[ロスローリエン]]の[[マントとブローチ>エルフのマント]]、[[ミスリルの胴着]]といった装身具を示して彼らを脅迫する。口は捕虜の[[ホビット]]への拷問をちらつかせて「[[ゴンドール]]とその同盟者は二度とサウロンを攻撃しないと誓言して直ちに[[大河]]以西に撤退すること」「大河以東の土地は永久にサウロンの直轄地となること、大河以西の[[霧ふり山脈]]から[[ローハン谷]]にかけてはサウロンの属領とすること」「[[アイゼンガルド]]はサウロンの口の居城とし、自由の民はその再建に手を貸すこと」といったサウロンからの条件を伝えた。
しかしガンダルフは口のわずかな反応からホビットが実は捕らえられていないことを見抜いて条件を拒否。口から装身具を奪い返した。

サウロンの口は西軍の大将たちの怒気に圧されて反転遁走したが、その途中に部下たちが取り決められていた合図の角笛を吹き鳴らし、[[黒門]]は開け放たれて戦いが開始された。

***黒門前での戦闘 [#xefa27fe]

(編集中です、協力をお願いします)

***戦いの終わり [#i7908e5d]

(編集中です、協力をお願いします)

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#lotrmovie]

最終戦略会議は[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の外のテントではなく、[[白の塔]]の王と執政の間で行われており、[[レゴラス]]や[[ギムリ]]もその場にいる。だが[[イムラヒル]]は登場しない。
劇場公開版([[コレクターズ・エディション]])と[[エクステンデッド・エディション]]では、この場面の編集が異なっている。[[ガンダルフ]]が、サウロンがこの陽動にひっかからないのではと懸念するのに対し、劇場公開版では、ギムリの発言が作戦遂行を後押しした形になっているが、エクステンデッド・エディションではギムリの発言は、ガンダルフの懸念発言の前となっている。代わりに[[アラゴルン>アラゴルン二世]]が作戦に自信を見せ、[[パランティーア]]を使ってサウロンを挑発する場面が付け加えられている。

黒門への行軍の間の、[[十字路]]の過程などは省略された。

[[サウロンの口]]は劇場公開版では登場していないが、[[エクステンデッド・エディション]]には登場している。ただし原作とは異なり、[[アラゴルン>アラゴルン二世]]に首をはねられて死んでいる。

黒門での戦闘開始前に、映画オリジナルのアラゴルンの演説シーンが入っている。また敵に向かっていくアラゴルンに続き、[[ペレグリン・トゥック]]と(原作では[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]で療養しているためこの戦いには参加していなかった)[[メリアドク・ブランディバック]]が走り、それに続いて他の兵士たちが駆けだしていくという演出にされた。
[[一つの指輪]]破壊後は、西軍がいる場所以外は、[[黒門]]や[[歯の塔]]を含めて地面が崩落しており、サウロンの軍勢はそれに飲み込まれている。

初期の脚本では、この場面で[[サウロン]]とアラゴルンの直接対決が行われる予定だったが、実際には原作通りサウロンは登場せず(詳細は[[サウロン]]の項目を参照)、撮影済みのサウロンとアラゴルンの戦闘シーンは、編集によってトロルとアラゴルンの戦闘に差し替えられた。
また、モルドールの不毛な荒野の再現のため、このシーンはニュージーランド軍の射爆場で撮影された(その場面に黒門などが合成されている)。そのため出演者は事前に、不発弾についての入念な説明を受けたという。
さらにエキストラにも、ニュージーランド軍の兵士が多数参加している。そのため初めて、軍の整列が綺麗にできたという。

** コメント [#sbd29015]

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