* 角笛城の合戦 [#v7bbc690]

#contents

** 概要 [#c2003051]

|~カテゴリー|歴史・事件|
|~スペル|Battle of the Hornburg|
|~その他の呼び名||

** 解説 [#s3d88f4b]

[[指輪戦争]]において、[[第三紀]]3019年の3月3日から4日にかけて、[[ローハン]]と[[アイゼンガルド]]の間で行われた戦い。
[[サルマン]]はアイゼンガルドより1万を超す大軍を送り出して[[アイゼンの浅瀬]]を突破し、それに対抗するため[[ヘルム峡谷]]の[[角笛城]]に籠城した[[セオデン]]王らの軍勢を包囲攻撃した。
[[サルマン]]はアイゼンガルドより1万を超す大軍を送り出して[[アイゼンの浅瀬]]を突破し、[[ヘルム峡谷]]の[[角笛城]]に籠城して抵抗する[[セオデン]]王らの軍勢を包囲攻撃した。
両軍は夜を徹して戦い、数の上でアイゼンガルド軍が優勢であったが、夜明けとともに[[ガンダルフ]]に率いられた[[エルケンブランド]]ら[[西谷]]の軍団が援軍として到着したことで形成は逆転し、ローハン側の勝利に終わった。

*** 参戦国、勢力 [#mf242406]

:[[ローハン]]側|[[エドラス]]軍、[[ヘルム峡谷]]軍、[[エルケンブランド]]の援軍、[[フオルン]]
:[[アイゼンガルド]]側|[[半オーク]]([[ウルク=ハイ]])、[[オーク]]、[[ワーグ]]、[[褐色人]]

** 戦況 [#l9e1bfde]

*** 開戦にいたるまで [#p006a62a]

[[サルマン]]は[[ローハン]]を手中にするため、あらかじめ[[蛇の舌グリマ>蛇の舌]]を間者に取り込んで[[エドラス]]の宮廷に送り込み、[[セオデン]]を弱体化させるとともに、[[セオドレド]]や[[エオメル]]らが王の信任を失うよう仕向けるなど多年にわたって工作を行った。また、長年ローハンと確執のある[[褐色人の国]]を同盟者に引き入れ、さらに[[ファンゴルン]]の木々を伐採して物資の備蓄を行うなど、密かに戦争の準備を進めていた。
しかし、3018年9月に[[ガンダルフ]]が[[オルサンク]]から脱出したことで、サルマンの裏切りが露呈する。そのためサルマンは公然と[[一つの指輪]]を手に入れるべく行動を開始した。

3019年2月25日と3月2日の二次にわたって行われた[[アイゼンの浅瀬]]の合戦では、サルマンは[[半オーク]]と[[褐色人]]からなる軍勢を送り出して、浅瀬の通行権を奪おうとした。
西マークの軍団長であるセオドレドはこれを察知し、[[西谷]]の[[グリムボルド]]と共に浅瀬を防衛したものの、25日の第一の合戦でセオドレドは討死にする。グリムボルドは駆けつけたエドラスの[[エルフヘルム]]と共に浅瀬に踏みとどまり、サルマンの進撃を阻止した。セオドレドから西マークの指揮権を引き継いだ西谷の領主[[エルケンブランド]]はエドラスに援軍を要請したが、グリマの裏切りのために十分な支援を得られなかった。

その一方でサルマンは浅瀬の攻撃に先立って[[モルドール]]と結託し、[[大河]]を通過するであろう[[指輪の仲間]]を待ち伏せし捕らえるため、[[ウルク=ハイ]]の部隊を派遣していた。
アイゼンガルドとモルドールの部隊は2月26日に[[パルス・ガレン]]で指輪の仲間を襲撃し、二人の[[ホビット]]([[メリアドク・ブランディバック]]と[[ペレグリン・トゥック]])を捕らえることに成功する。部隊は(モルドール隊の意向を無視して)ホビットをアイゼンガルドまで連行しようとしたが、途中[[ファンゴルンの森>ファンゴルン]]のきわで、東マークの軍団長[[エオメル]]の攻撃を受けて全滅してしまう。
ホビット二人は辛くもこの混乱の最中に森に逃げ込み、そこで[[エント]]の[[木の鬚]]に出会う。

また、ホビットを救出するべくウルク=ハイの後を追っていた[[アラゴルン二世]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]は、ウルク=ハイを掃討した後のエオメルと出会い、さらにファンゴルンの森で[[ガンダルフ]]と再会する。ホビットの無事を知った一行はそのまま[[エドラス]]に向かい、ガンダルフは[[セオデン]]を癒やすとともに[[グリマ]]の裏切りを暴露し、グリマは宮廷から追放される。

大河に送り出したウルク=ハイが何の報せももたらさないまま全滅したことに気付いたサルマンは大いに焦り、直ちにローハンを蹂躙すべく[[半オーク]]、[[ワーグ]]、[[褐色人]]からなる1万を超す大軍勢を送り出した。
3月2日のアイゼン浅瀬第二の合戦で、アイゼンガルドの大軍は[[エルフヘルム]]と[[グリムボルド]]の部隊を蹴散らし、[[ヘルム峡谷]]から出撃してきた[[エルケンブランド]]の軍団も敗走させる。このためローハン西谷の軍団は散り散りになる。

エドラスから西へ進軍してきたセオデンらは、そこで浅瀬が突破されたこととエルケンブランドが敗走したことを知り、サルマンの大軍を迎え撃つために急ぎ[[ヘルム峡谷]]へ拠ることを決める。一方、ガンダルフは事態を確かめ、また散り散りになった西マークの諸軍団を呼び集めるため、[[飛蔭]]に乗って走り去った。

かくして両軍は、3月3日にヘルム峡谷にて対決することになった。

*** 角笛城の合戦 [#gc7040ac]

[[セオデン]]、[[エオメル]]らに率いられた[[エドラス]]の軍団は、3月3日の夜に[[ヘルム峡谷]]の[[角笛城]]に到着する。エルケンブランドが城に残していた1000名ほどの徒歩の者達と併せれば、城と城壁に人員を配置するには十分だったが、1マイル以上ある[[ヘルムの堤防]]を守るには少なすぎ、また兵士は幼すぎるか歳を取りすぎたものばかりであった。そのためエオメルは自軍の大部分を城と背後の城壁に配置し、堤防にはわずかな後衛だけを残して敵軍に備える。
炬火をかかげて進軍してくるアイゼンガルド軍は、籠城側の何倍もの兵力があり、堤防に置かれていたローハンの後衛はすみやかに城へと撤退することを余儀なくされた。

アイゼンガルド軍は角笛城に肉薄し、峡谷を塞ぐ奥の城壁を、鉤なわや長ばしごで攻撃するとともに、城の大門へ通じる土手道への攻撃を執拗に繰り返し、破城鎚で城門を打ち壊そうとする。これに対しローハン側は、城壁の上から矢を射かけ、また縄やはしごを切断するなどして応戦。エオメル、[[アラゴルン>アラゴルン二世]]、[[ギムリ]]らは城門への攻撃に対して裏口から出撃し、攻め寄せてきたオークや山男らを撃退すると、破壊された城門に代わって障害物を築いた。
そこでオーク達は、上の戦闘が熾烈を極めている隙をつき、渓流が流れ出てくる城壁の暗渠から密かに城内に侵入して、奇襲を仕掛ける。しかしこの侵入に気付いたギムリを筆頭とする者たちの熾烈な反撃に遭い、奇襲は不首尾に終わった。暗渠はその後、[[ドワーフ]]のギムリの助けによって塞がれる。

だが最後にアイゼンガルド軍は暗渠に「火」((作中では'''サルマンの妖術'''、'''オルサンクの火'''、'''爆破用の火'''(いずれのアラゴルンの言)等と呼ばれており、おそらく火薬の類だと思われる))を投入して防壁を吹き飛ばし、大きな穴をあける。これを合図に一斉攻撃を開始したアイゼンガルド軍の猛攻に押され、城壁は敵の手に落ち、そこを守っていたローハン軍は城内への退却を余儀なくされる。また、峡谷内に敵が侵入したことでローハン軍の一部(ギムリ、エオメル、[[ギャムリング]]らを含む)が分断され、かれらは奥の[[燦光洞]]へと退却した。

アイゼンガルド軍はその後も繰り返し「火」を用いて角笛城を揺るがし、夜明け前には城門のアーチを破壊する。
しかしさらにオーク達が攻め入ろうとした瞬間、[[ヘルム]]の大角笛の音が峡谷に響き渡り、馬に打ち跨ったセオデンを先頭に、アラゴルンやマークの諸侯が一斉に出撃する。それに応えて峡谷の奥の洞窟からも鬨の声が上がり、ローハン軍は一斉に反撃を開始。夜明けの光と突然の強力な反撃に圧倒されたアイゼンガルド軍は押し戻され、セオデンらは[[ヘルムの堤防]]まで至ると、谷間がすっかり[[フオルン]]の森で覆われているのを目にする。
さらに西側の谷の上に[[飛蔭]]にまたがった[[ガンダルフ]]と、彼によって呼び集められた[[エルケンブランド]]ら[[西谷]]の徒歩の軍勢が姿を見せる。
籠城軍と、援軍と、フオルンの森に挟み撃ちにされたアイゼンガルド軍は総崩れとなる。[[褐色人]]らは降伏し、オークやウルク=ハイらはフオルンの森に逃げ込んで一匹残らず殲滅された。

かくして合戦はローハン側の勝利に終わる。

*** 戦後 [#s2d939a2]

合戦に並行して[[アイゼンガルド]]は、[[メリー]]と[[ピピン]]に触発された[[ファンゴルン]]の[[エント]]と、それに率いられた[[フオルン]]の攻撃を受けて陥落していた。
この戦いで大きな勝利を得た[[ローハン]]は、[[サルマン]]の脅威を取り除いたことで、[[ゴンドール]]からの援軍要請に大きな戦力を割くことができた。

敗北した[[褐色人]]らは武器を取り上げられ、戦死者の埋葬といった仕事に従事されられた後で国へ返された。
[[角笛城]]の前には二つの塚山が築かれ、そこに戦死した[[西谷]]と[[東谷]]の騎士達が葬られた。また、フオルンたちの手によって二つの塚から離れて[[堤防>ヘルムの堤防]]の外に死んだ[[オーク]]の塚山が築かれ、これは死の丘と呼ばれた。

また、[[アイゼンの浅瀬]]の戦いで戦死した者達は、[[ガンダルフ]]が呼び集めた[[エルフヘルム]]と[[グリムボルド]]の部下の手によって浅瀬の中ノ島に埋葬され、石で囲みいくつもの槍を立てた塚が築かれた。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#gafca1c8]

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基本的な流れは原作をなぞっているが、合戦前に[[ロスローリエン]]から[[エルフ]]の弓兵の援軍がもたらされる、[[エルケンブランド]]は登場せず、代わって(グリマの計略によってエドラスを追放されていた)[[エオメル]]が、[[ガンダルフ]]に連れられた援軍として最後に登場する、[[フオルン]]の介入は描写されない、といったいくつかの大きな相違点がある。
[[エクステンデッド・エディション]]では、壊走するサルマンの軍勢が蠢くフオルンの森に飲み込まれ、消え去るという描写が追加されている。

** コメント [#sbd29015]

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