* &ruby(せいほうご){西方語}; [#r45e6151]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[言語]]|
|~スペル|Westron|
|~その他の呼び名|共通語(Common Tongue, Common Speech)|

** 解説 [#Explanation]

[[エリアドール]]([[ホビット庄]]を含む)、[[ゴンドール]]、[[ロヴァニオン]]などの[[中つ国]]北西部の[[人間]]の間で一般的に使われている言語。共通語とも呼ばれる。[[ドワーフ]]や[[エルフ]]の間にも広まっており、[[ホビット]]も(基本的に)この言葉を使っていた。
[[ヌーメノール人]]の[[アドゥーナイク]]と、[[中つ国]]土着の[[人間]]の言葉が混交したものが元になっており、ヌーメノール人の植民地を中心に広まって共通語となっていった。後に[[エレンディル]]父子に率いられた[[忠実なる者]]たちが[[ヌーメノール]]の没落を逃れて中つ国に王国を築くと、彼らの用いた、より[[エルフ語]]の影響を強く受けた共通語(西方語)があまねく各地に広がり、敵たち([[オーク]]など)の間でさえ使われるようになった。

とはいえ、それが話される種族や国によって、西方語にも地域差や民族差があった。
[[エルフ]]や、[[ゴンドール]]の[[ドゥネダイン]]の間では古雅で質実な表現が生き残っており、ゴンドールと近しい[[ローハン]]の[[ロヒアリム]]の間でも同様だった。
[[ホビット庄]]の[[ホビット]]も、[[アルノール]]の領民となったことにより、西方語を習い覚えて母語とするに至っていったが、かれらの西方語には独特の訛りがあった。その顕著な例が、元来西方語には「敬意を表す二人称代名詞」と「親愛を表す二人称代名詞」との二つが区別されて存在していたが、ホビット庄の西方語からは「敬意を表す二人称代名詞」が抜け落ちてしまったことだった。これはホビットの口調の際だった特徴の一つとなっていたが、英語ではそれを再現することができず、したがって物語上のいくつかの言語的ギャップが分かり難くなってしまったと、トールキンは述べている。

>例を挙げると、[[ペレグリン・トゥック]]は、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]に滞在するようになって最初の数日は、[[デネソール大侯>デネソール二世]]をも含め、あらゆる階級の人に、「親しさ」を表わす代名詞を用いた。これは老執政を興がらせたかもしれないが、従者たちの目をむかせたにちがいない。「親しさ」を表わすこの二人称を、だれかれかまわず使ったために、ペレグリンは、故国では非常に身分の高い者であるという噂が広く流布されるということになったにちがいない。((『[[指輪物語]] [[追補編]]』「FII 翻訳について」))

>歩きながら[[ガンダルフ]]は低い声でピピンに話しました。「ペレグリン君や、よいか、言葉に気をつけるんじゃぞ! ホビット式の出しゃばり口を叩いていい時じゃないからな。 ……」((『指輪物語 [[王の帰還]]』「一 ミナス・ティリス」 デネソールに謁見する前のガンダルフの言葉。))

>「 …… 予はそなたの奉公を嘉納するぞ。そのゆえは、そなたが言葉によってひるむことなく、また礼にかなった物言いを心得ておるからだ。言葉の響きこそ南国のわれらの耳に奇体にひびくがの。 …… 」((同上。ペレグリンの奉公の申し出を受けた際のデネソールの言葉。))

『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』は、「[[原書>西境の赤表紙本]]の文章は[[ホビット]]の西方語で書かれていたが、それを[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]が英語に翻訳して記述した」という形で書いている。したがって物語中では、西方語はすべて英語に置き換えられて表記されており、オリジナルの西方語の単語は直接にはほとんど登場しない。

[[追補編]]にて、[[小さい人>ホビット]](Halfling)は西方語バナキル(Banakil)を英語訳したものであること、[[ホビット庄]](Shire)は西方語スーザ(Sûza)を英語訳したものであること、[[裂け谷]](Rivendell)にあたる西方語はカルニングル(Karningul)であり、[[ドワロウデルフ>モリア]](Dwarrowdelf)は西方語フルナルギアン(Phurunargian)を英語風に表記したものであるということが示されている程度である。
また、[[フロド・バギンズ]]を西方語で表記するとマウラ・ラビンギ(Maura Labingi)となり、[[サムワイズ(サム)>サムワイズ・ギャムジー]]および[[ハムファスト(ハム)・ギャムジー>ハムファスト・ギャムジー]]はそれぞれバナジール(バン)(Banazîr/Ban)およびラヌガド(ラン)・ガルプシ(Ranugad/Ran Galpsi)、[[メリアドク(メリー)・ブランディバック>メリアドク・ブランディバック]]はカリマク(カリ)・ブランダガンバ(Kalimac/Kali Brandagamba)となる。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』および『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#bfe874be]

トールキンの出身地にあわせ、特に[[ホビット]]及び[[ロヒアリム]]は、イギリスアクセントの英語を使うように徹底されている。

** コメント [#Comment]

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