#author("2017-06-29T16:46:55+09:00","","")
#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2023-08-28T18:12:04+09:00","","")
* &ruby(ししゃ){死者};の&ruby(ぐんぜい){軍勢}; [#c1941ec7]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Shadow Host, the Dead (Men)|
|~異訳|幽霊部隊、亡霊たちの軍勢|
|~その他の呼び名|誓言破りし者ら(Oathbreakers) &br; 灰色の軍勢(Grey Host) &br; 死者たち(Dead Men) &br; 山々の人間(Men of the Mountains)&br;[[馬鍬砦]]の死者たち(Dead Men of Dunharrow)|
|~スペル|Dead (Men)|
|~異訳|死者(たち)、死せる人間たち|
|~その他の呼び名|&ruby(せいごん){誓言};破りし者ら(Oathbreakers) &br;亡霊軍、亡霊たちの軍勢(大軍)、幽霊部隊(Shadow Host) &br; 灰色の軍勢、灰色の大軍(Grey Host) &br; 眠れぬ死者たち(Sleepless Dead) &br; [[やしろ岡]]の死者たち(Dead Men of Dunharrow) &br; 幻の人間たち(Shadow-men) &br;山々の人間(Men of the Mountains)|
|~種族|[[人間]]の亡霊|

** 解説 [#Explanation]

''死者の王''(King of the Dead)((「&ruby(しびと){死人};たちの王」、「死者たちの王」の訳もあり))に率いられた、[[死者の道]]に巣食う亡霊の軍勢。
[[指輪戦争]]では[[エレヒ]]にて[[アラゴルン二世]]によって召集され、[[ペラルギア]]方面にいた[[モルドール]]軍を駆逐。[[ペレンノール野の合戦]]の勝利に大きな役目を果たした。
[[死者の道]]に巣食う亡霊の軍勢。
[[指輪戦争]]では[[エレヒ]]にて[[アラゴルン二世]]によって召集され、[[ペラルギル]]方面にいた[[モルドール]]の同盟軍を駆逐し、[[ペレンノール野の合戦]]の勝利に大きな役目を果たした。

>「死者たちがついて来る。」レゴラスがいいました。「わたしには人間と馬たちの影が見える。それからちぎれ雲のような色うすい旗が、そして霧の立ちこめる冬の夜の木立ちのような槍が。死者たちがついて来る。」((『[[指輪物語]] [[王の帰還]]』「灰色の一行、罷り通る」))
>「死者たちがついて来る。」[[レゴラス]]がいいました。「わたしには[[人間]]と[[馬]]たちの影が見える。それからちぎれ雲のような色うすい旗が、そして霧の立ちこめる冬の夜の木立ちのような槍が。死者たちがついて来る。」((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「灰色の一行 罷り通る」))

*** 誓言破りし者ら [#laf73ad6]

生前かれらは、[[ドゥイモルベルグ]]付近に住んでいた、[[褐色人]]と近い関係にある''山々の人間''と呼ばれる未開の民族だった。
[[第二紀]]に[[サウロン]]が[[中つ国]]で大きな勢力を持っていたころ、この人間たちはサウロンを崇拝していた。だがサウロンが[[ヌーメノール]]の捕虜として連れ去られ、さらにその後[[イシルドゥア]]によって[[ゴンドール]]が建国されると、かれらは[[エレヒ]]にてイシルドゥアに忠誠を誓う。
やがて[[最後の同盟の戦い>最後の同盟]]が始まると、イシルドゥアは彼らをサウロンとの戦いに召集する。しかしかれらはかつて崇拝していたサウロンと戦うことを拒否。
するとイシルドゥアは怒り、かれらの王に向かい、
生前の彼らは、[[白の山脈>エレド・ニムライス]]付近に住む''山々の人間''と呼ばれる未開の民族であった(『[[追補編>指輪物語/追補編]]』によると[[&ruby(ダンレンデイング){褐色国人};>褐色国人]]と近縁の民であったという)。
[[第二紀]]の[[暗黒時代]]に彼らは[[サウロン]]を崇拝していたが、サウロンが[[ヌーメノール]]へ捕虜として連れ去られ、さらにその後[[イシルドゥル]]によって[[ゴンドール]]が建国されると、山々の王は[[エレヒ]]でイシルドゥルに忠誠を誓う。
ところが[[モルドール]]に戻ったサウロンと戦うため、イシルドゥルが山々の人間を召集すると、彼らはかつて崇拝していたサウロンと戦うことを拒否。これにイシルドゥルは怒り、彼らの王に向かい、

>『汝は最後の王たるべし。して西方が汝の黒き主人より強きことの判明せし時は、われこの呪いを汝と汝の民とにかけん。汝らの誓言の果たされんまで、永遠の眠りにつくことなからんと。そのゆえは、この戦いの年月数えがたく続きて、終局以前に今一度呼び出さるべきためぞ。』((同上))
>『汝は最後の王たるべし。して西方が汝の黒き主人より強きことの判明せし時は、われこの呪いを汝と汝の民とにかけん。汝らの誓言の果たされんまで、&ruby(とわ){永遠};の眠りにつくことなからんと。そのゆえは、この戦いの年月数えがたく続きて、終局以前に今一度呼び出さるべきためぞ。』((同上))

と呪いをかけた。
かれらはイシルドゥアの怒りの前に逃げ出したが、サウロンに与することもせず、山中に隠れ住んで忘れられた民となった。
山々の人間はイシルドゥルの怒りの前に逃げ出したが、サウロンに与することもせず、山中に隠れ住んで忘れられた民となった。しかし彼らは[[死>死すべき運命]]を得ることができず、亡霊となってこの世に留まることを強いられ続けた。

しかしかれらは死の安らぎを得ることができず、亡霊となってこの世に留まることを強いられ続けた。

*** 誓言の成就 [#v1f1d48f]

>「しかしアラゴルンはここで立ち止まると、大音声で呼ばわった。『いざや来たれ! 黒の石にかけ、われはなんじらを召し出すぞ!』すると突然それまで一番後ろで動きかねていた幽霊部隊が灰色の潮のように押し寄せて、その前にあるものは何もかも一掃してしまった。わたしはかすかな鬨の声を聞いた。かすかに角笛の吹き鳴らされる音も無数の遠い声のざわめきも聞いた。あたかも遠い昔の[[暗黒時代]]の今は忘れられた合戦のこだまのようだった。薄青い剣が抜かれた。だがその刃が昔と変わらず敵に切りつけようとしたかどうか、それはわたしにはわからない。なぜなら死者たちはもはや恐怖以外のどんな武器も必要としなかったのだから。何者もかれらに抵抗しようとはしなかったから。」((同上『最終戦略会議」 [[レゴラス]]による回想。))

[[指輪戦争]]のおり、[[ゴンドール]]南部沿岸に迫る脅威を早急に除く必要に駆られた[[アラゴルン二世]]は、[[エルロンド]]の助言'''時は来たれり。火急の際は、死者の道を忘るなかれ。'''((『王の帰還』「灰色の一行、罷り通る」))を受けて[[死者の道]]を通過して[[エレヒ]]に向かい、そこで[[イシルドゥア]]の世継として死者の軍勢を召集することを考える。すると死者たちは誓言を果たすため自らエレヒの周りに集結し、アラゴルンの意向に従った。
[[指輪戦争]]のおり、[[ゴンドール]]沿岸に迫る脅威を早急に除く必要に駆られた[[アラゴルン二世]]は、[[エルロンド]]の助言'''時は来たれり。火急の際は、死者の道を忘るなかれ。'''((同上「灰色の一行 罷り通る」))を受け、[[灰色の一行]]を率いて[[死者の道]]に入る。すると死者たちは誓言を果たすため自ら[[エレヒ]]の丘の周りに集結し、丘でアラゴルンが[[アルウェンの旗印]]を掲げ見せて[[イシルドゥル]]の世継であることを示すと、死者たちは彼の意向に従った。

アラゴルンに率いられた死者の軍勢は[[ペラルギア]]まで遠征し、そこを襲撃していた[[海賊]]たち[[モルドール]]の同盟軍に著しい恐怖を与えることで、潰走させて駆逐した。
このために、ゴンドール南部諸侯国の軍勢が[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]救援のため[[ペレンノール野の合戦]]に駆けつけることが可能となった。
アラゴルンに率いられた死者の軍勢は灰色の一行と共に[[ペラルギル]]まで遠征し、同地を襲撃していた[[海賊]]に著しい恐怖を与えることで、彼らを潰走させた。誓言を果たした死者たちは、その場でアラゴルンによって呪いから解放され、この世を去った。

誓言を果たした死者たちは、その場でアラゴルンによって呪いから解放され、この世を去って安らかな眠りを得た。
>「『今ぞイシルドゥルの世継の言葉を聞け! なんじらの誓言は成就せられたり。戻りて二度とかの谷間の地を騒がすことなかれ! 行きて永遠の眠りにつくべし!』とね。
「するとすぐに死者たちの王が亡霊たちの前にくっきりと姿を現わし、持っている槍を折って捨てた。それからかれは低く一礼して去っていった。するとたちまち灰色の大軍は一人残らず突風に追い払われた靄のように撤退して消え失せた。わたしはまるで夢から覚めたような気がしたものだ。」((同上「最終戦略会議」))

>「『今ぞイシルドゥアの世継の言葉を聞け! なんじらの誓言は成就せられたり。戻りて二度とかの谷間の地を騒がすことなかれ! 行きて永遠の眠りにつくべし!』とね。 &br; 「するとすぐに死者たちの王が亡霊たちの前にくっきりと姿を現わし、持っている槍を折って捨てた。それからかれは低く一礼して去っていった。するとたちまち灰色の大軍は一人残らず突風に追い払われた靄のように撤退して消え失せた。わたしはまるで夢から覚めたような気がしたものだ。」((「最終戦略会議」))
こうして海賊の艦隊を鹵獲した灰色の一行は、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]救援のため船で[[アンドゥイン]]を遡って[[ペレンノール野の合戦]]に駆けつけることができた。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

死者の王は、ポール・ノレル(Paul Norell)が演じている(吹き替えは[[納谷六朗]])。

死者の軍勢は原作とは異なり[[死者の道]]で召集される。アラゴルンは鍛え直された[[アンドゥリル]]を用いることで、自分が死者たちに命じる権利のあるイシルドゥアの世継であることを示し、敵対的だったかれらを調伏する展開となっている。
さらに死者の軍勢は[[海賊]]船に乗って[[ペレンノール]]にまでやってきて、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]を攻撃していたモルドール軍を直接攻撃して壊滅させた。(原作では'''かれらは無力ではかないものだよ。'''という[[レゴラス]]の台詞にもあるように、甚だしい恐怖を与える他は物質的な力を持たない存在として描写されているが、映画では直接[[オーク]]や[[ムマキル]]などを攻撃して打ち倒す存在となっている)
死者の軍勢は原作とは異なり[[死者の道]]で召集される。アラゴルンは鍛え直された[[アンドゥーリル]]を用いることで、自分が死者たちに命じる権利のあるイシルドゥルの世継であることを示し、敵対的だった死者を調伏する展開となっている。
さらに死者の軍勢は[[海賊]]船に乗って[[ペレンノール]]にまでやってきて、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]を侵攻していたモルドール軍を直接攻撃して壊滅させた(原作では'''かれらは無力ではかないものだよ。'''という[[レゴラス]]の台詞にもあるように、甚だしい恐怖を与える他は物質的な力を持たない存在として描写されているが、映画では直接[[オーク]]や[[ムーマキル]]などを攻撃して打ち倒す存在となっている)。

[[エクステンデッド・エディション]]では死者の道を出た直後、海賊を襲って船を奪うシーンもある。

*** 画像 [#od5908fc]

&ref(vlcsnap-00020.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における死者の軍勢);

*** グッズ [#jabad174]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

一部の死者たちはサウロンを信奉し続けており、アラゴルンの召集を拒んで留まった。彼らはDrugâtという指導者に付き従い、ゴンドールの住民を脅かしている。
また、アラゴルンとDrugâtのどちらの側に付くか、死者の一人となって選択するセッションプレイがある


&ref(ScreenShot00439.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエレヒでの死者の軍勢の召集); &ref(ScreenShot00556.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における灰色の一行と死者の軍勢); &ref(ScreenShot00569.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における灰色の一行と死者の軍勢);

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