#author("2018-12-13T16:48:56+09:00","","")
* 森の王国 [#z310edbf]
** 概要 [#Summary]
#author("2022-04-10T01:19:50+09:00;2017-04-10T18:26:11+09:00","","")
#alias(闇の森#Realm)

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Woodland Realm|
|~その他の呼び名|森エルフの王国(Wood-elves' realm)、スランドゥイルの王国(realm of Thranduil, Thranduil's realm)|

** 解説 [#Explanation]

[[闇の森]]の北部にある[[シルヴァン・エルフ>シルヴァン]]の王国。王は[[スランドゥイル]]。[[指輪の仲間]]の一人[[レゴラス]]の出身地。
「森の王国」の名称は『[[二つの塔]]』で一度だけ使われるもので、作中では''森エルフの王国''や''スランドゥイルの王国''、あるいは単に「闇の森」と言及されることが多い。

>あの[[魔の川]]から四日たったころ、一同は、ほとんどブナの木ばかりしげっている場所にでました。はじめのうちは、このかわり方に声をたててよろこびました。それは、びっしり茂る下草がなく、くらがりがひどくなかったからで、あたりには緑色のほの明るさがただよい、道の両がわがかなり遠くまで見とおせるところが、ほうぼうにありました。明るいといっても、とほうもなく大きなたそがれの広間のなかに立ちならぶ柱の列のように、黒っぽい幹が限りなく列をつくっているのが見えるだけです。でも空気には動きがあり、風の音もします。もっともそれはかなしげな音でした。木の葉がひらひらまいおちてきて、森のそとには秋が来ていることを思い知らせました。いままでのかぞえきれない秋ごとに、森の中に落ちてはつもったかぎりない落葉が、ぶあつく赤いじゅうたんとなっていますが、ふきよせられて道の上にもふかくつもったその落葉を、一同はかさかさけちらして歩きました。((『[[ホビットの冒険]]』「ハエとクモ」))

闇の森のエルフは地上や木の上に家や小屋を建てて住み(特に橅を好んだという)、森で狩りをしたり、東の土地で仕事をして生活していた。金属や宝石の採掘や加工は行わず、農業や商業にもあまり熱心ではなかった。
[[エスガロス]]の[[湖の人]]とは交易を行っていた((特に王国内では葡萄が育たないので、森のエルフが好む葡萄酒は輸入に頼っていた。))。[[たての湖(沼地)]]の拡大で[[エルフ道]]などの森の外の土地へ通じる道が使えなくなってからは、[[森の川]]だけが唯一の安全な交易路兼移動路となった。森の王国は森の川を管理下に置き、エスガロスから川の通行料を徴収していたので、そのことで両者が揉めることもあったが、エスガロスの町が[[スマウグ]]の襲撃で潰滅したことを知るといち早く救援に赴くなど、基本的には良好な関係を築いていた。

*** 闇の森のエルフ [#rce7186f]

王国の民の大部分は[[シルヴァン・エルフ(森のエルフ)>シルヴァン]]である。
[[スランドゥイル]]や[[レゴラス]]など統治者層の出自は[[シンダール]]であったが、かれらは森エルフの素朴な暮らしに馴染むことを望み、[[シルヴァン風>シルヴァン語]]の名前と習慣を取り入れていたという。
そのため闇の森のエルフは、[[シンダール]]および[[ノルドール]]の影響をより積極的に受け入れた[[ロスローリエン]]のエルフ([[ガラズリム]])と較べて粗野であり、技量も低かった。

*** 歴史 [#r122c897]

>[[荒地のくに>ロヴァニオン]]で、むかしからずっと森エルフたちは、[[日>太陽]]ののぼる前と[[月]]ののぼる前のたそがれのなかにくらしてきました。そしてのちに、日のかげになる森の中にさまよいこんだのです。 … [[人間]]がやってきてからは、まえよりますます多く、うす暗がりとたそがれにかくれ住むようになりました。((『[[ホビットの冒険]]』「ハエとクモ」))

もともと[[緑森大森林>闇の森]]をはじめとした[[アンドゥインの谷間]]の一帯には、[[ナンドール]]から分かれた[[シルヴァン・エルフ>シルヴァン]]が定住していた。

『[[終わらざりし物語]]』によると[[第二紀]]以降、[[ロヴァニオン]]のシルヴァンは[[ベレリアンド]]崩壊を逃れてきた[[シンダール]]の公子達を統治者として受け入れた。そうした公子の一人[[オロフェア]]は、[[アンドゥイン]]以東のシルヴァン・エルフを治める王となった。
当初オロフェアは[[闇の森]]の南西部、[[ロスローリエン]]の対岸にある[[アモン・ランク(後のドル・グルドゥア)>ドル・グルドゥア]]の近くに住んでいたが、[[サウロン]]勃興の噂におののいて三度北に移住し、第二紀末には[[エミン・ドゥイア(後の闇の森山脈)>闇の森山脈]]の西部の谷間に住み(([[オロフェア]]が北へ移住したのは[[モリア]]の[[ドワーフ]]や、[[ケレボルン]]と[[ガラドリエル]]が住むようになった[[ロスローリエン]]と距離を置くためともされる。オロフェアと彼と共に来た少数の[[シンダール]]はかつての[[ドリアス]]の遺民であり、彼らは流謫の[[ノルドール]]に好意を持っていなかった。))、彼の民も[[ドワーフ道]](後の[[古森街道]])より北にある森や谷間に住んだ。
かれらは[[最後の同盟]]に参加してサウロンを敵として戦ったが、独立心が強く[[ギル=ガラド]]の最高指揮権を認めなかったことと、装備が軽装であったことから、必要以上の損害を蒙り、大軍であったにも関わらず森へ帰還した時にはその数はもとの三分の一にまで減少していたという((とはいえ後に「[[あやめ野]]の凶事」で[[イシルドゥア]]の部隊を襲撃することになる[[オーク]]の伏兵部隊が攻撃をさし控えるほどには依然として強力だった。))。

オロフェアが最後の同盟の戦いで戦死したため、その息子の[[スランドゥイル]]が[[第三紀]]を通じての王であった。
森のエルフの数は再び増え始めたが、第三紀の[[中つ国]]は着実に[[人間]]の世界へ変化していき、エルフはそれを感じ取って不安に満たされるようになった。森の周囲に[[北方の自由の民]]や[[東夷]]などの人間が増え、[[ドル・グルドゥア]]の闇の勢力が拡大するに伴い、エルフは森の北東部へ後退していき、スランドゥイルは森の端に近い場所に[[宮殿である岩屋>エルフ王の岩屋]]を築いた。

[[第三紀]]2941年には王国内に侵入した[[トーリン二世]]と[[彼の仲間たち>トーリンとその仲間]]を虜囚にするも、[[ビルボ・バギンズ]]の機転で脱獄を許してしまう。その後、事態を注視していた[[スランドゥイル]]は[[スマウグ]]死亡の報を聞いて[[はなれ山>エレボール]]に向けて出陣するが、まずは破壊された[[エスガロス]]への援助を優先し、町の再建の目途が立つと[[バルド]]率いる[[湖の人]]の軍勢と共にはなれ山へ向かった。[[五軍の合戦]]で森の王国のエルフは三軍の一員として戦い、犠牲を出しつつも勝利した。
[[第三紀3018年から3019年>大いなる年]]の[[指輪戦争]]では、森の王国は[[ドル・グルドゥア]]から攻撃を受け、火によって森林に大きな被害が出たが、最後には攻撃を撃退した([[闇の森樹下の合戦]])。指輪戦争が終結するとスランドゥイルは[[闇の森]]の真ん中で[[ケレボルン]]と会見し、闇の森をエリン・ラスガレンに改名するとともに、[[闇の森山脈]]以北の森を自らの王国とした。

[[第四紀]]になると、一部のエルフは[[レゴラス]]に率いられて[[イシリアン]]へ移住し、その地を美しく豊かにしたが、大部分の森のエルフはエリン・ラスガレンで落ち着いて暮らしたようである。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

原作『[[ホビットの冒険]]』では存在が言及されていない[[レゴラス]]や、映画オリジナルキャラクターの[[タウリエル]]が森の王国のエルフとして登場する。

** コメント [#Comment]

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