#author("2016-09-19T00:32:42+09:00","","")
#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2024-01-05T18:01:37+09:00","","")
* &ruby(とうい){東夷}; [#b265dc56]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Easterlings|
|~その他の呼び名|&ruby(かっしょくびと){褐色人};(Swarthy Men)(([[第三紀]]の[[褐色人の国]]にいた[[褐色人]](Dunlendings)とは無関係))|
|~その他の呼び名|浅黒肌、褐色人(Swarthy Men)(([[&ruby(ダンランド){褐色国};>褐色国]]にいた[[&ruby(ダンレンデイング){褐色国人};>褐色国人]](Dunlendings)とは無関係。電子書籍版では“浅黒肌”と訳されている)) &br; 侵入者(Incomers)(([[第一紀]]の[[ヒスルム]]での呼び名)) &br; 狼族(Wolf-folk)(([[第一紀]]の[[ヒスルム]]での呼び名。[[サドル]]は「狼の毛をかぶった頭(heads wore wolf-hair)」とも呼んでいる。))|

** 解説 [#Explanation]

[[中つ国]]の[[東方>リューン]]からやって来る[[人間]]の総称。
[[モルゴス]]や[[サウロン]]の影響を受けて邪悪に染まり、[[自由の民]]に敵対した者達を指して主に使われる。
[[モルゴス]]や[[サウロン]]の影響を受けて邪悪に染まり、[[自由の民]]に敵対した者たちを指して主に使われる。

*** [[第一紀]]の東夷 [#q4ba32ff]

褐色や土気色の肌を持つ、''褐色人''と呼ばれる[[人間]]たちを指す。彼らは[[ダゴール・ブラゴルラハ]]の後に東方から[[ベレリアンド]]へやってきた。
[[エダイン]]より遅れて[[ダゴール・ブラゴッラハ]]の後に東方から[[ベレリアンド]]へとやってきた、褐色や土気色の肌を持つ[[人間]]たちを指す。

>褐色人たちが初めてベレリアンドに現われたのは、この頃であると言われている。かれらの中には、もうすでに密かに[[モルゴス]]の傘下に入っていて、かれの召し出しに応じて来る者もいたが、全部がそうではなかった。というのも、ベレリアンドの噂、その土地と河川の、その戦乱と富の噂は今では東方にもあまねく広がっていたからである。そして、放浪を好む人間の足は、当時、常に西へ向かっていたのである。この人間たちは背が低く、身幅があり、力のある長い腕を持っていた。肌の色は日に焼けた褐色で、髪の色は目と同じように黒っぽかった。部族の数は多く、その中には、[[エルフ]]よりも山の[[ドワーフ]]の方にずっと親近感を持つ者もいた。((『[[シルマリルの物語]]』「[[クウェンタ・シルマリルリオン]]第一八章 ベレリアンドの滅亡とフィンゴルフィンの死のこと」。「肌の色は日に焼けた褐色で」と訳されている箇所の原文は'''their skins were swart or sallow,'''))
>浅黒肌の東夷たちが初めてベレリアンドに現われたのは、この頃であると言われている。かれらの中には、もうすでに密かに[[モルゴス]]の傘下に入っていて、かれの召し出しに応じて来る者もいたが、全部がそうではなかった。というのも、ベレリアンドの噂、その土地と河川の、その戦乱と富の噂は今では東方にもあまねく広がっていたからである。そして、放浪を好む人間の足は、当時、常に西へ向かっていたのである。この人間たちは背が低く、身幅があり、力のある長い腕を持っていた。肌の色は日に焼けた褐色で、髪の色は目と同じように黒っぽかった。部族の数は多く、その中には、[[エルフ]]よりも山の[[ドワーフ]]の方にずっと親近感を持つ者もいた。((『[[シルマリルの物語]]』「ベレリアンドの滅亡とフィンゴルフィンの死のこと」。「肌の色は日に焼けた褐色で」と訳されている箇所の原文は'''their skins were swart or sallow,'''(彼らの肌は褐色や土気色で、)))

彼らは[[東ベレリアンド]]に定住した為、[[エダイン]]とは交流を持たず、お互いに親近感もなかった。
[[マイズロス]]は東夷と同盟を結び、その中でも特に力のある族長であった[[ウルファング]]と[[ボール]]に好意を示した。彼らは後に東方からさらに一族を呼び寄せて[[マイズロスの連合]]に加わった。だが東夷はこの時すでに[[モルゴス]]の誘惑を受けており、[[ウルファング]]の息子たちは[[ニアナイス・アルノイディアド]]で主君である[[カランシア]]を裏切り、モルゴス側に寝返った。しかし[[ボール]]の息子たちは最後まで[[マイズロス]]と[[マグロール]]に仕えてウルファングの息子たちと戦い、全員が討ち死にした。他の多くの東夷は背信行為に耐えられず戦場から逃亡した。
彼らは[[東ベレリアンド]]に定住した為、先にベレリンドに来住した人間である[[エダイン]]とは交流を持たず、お互いに親近感もなかった。
[[マエズロス]]は東夷と同盟を結び、その中でも特に力のある族長であった[[ウルファング]]と[[ボール]]に好意を示した。彼らは後に東方からさらに一族を呼び寄せて[[マエズロスの連合]]に加わった。だが東夷はこの時すでに[[モルゴス]]の誘惑を受けており、[[ウルファング]]の息子たちは[[ニルナエス・アルノエディアド]]の合戦で主君である[[カランシル]]を裏切り、モルゴス側に寝返った。しかし[[ボール]]の息子たちは最後まで[[マエズロス]]と[[マグロール]]に仕えてウルファングの息子たちと戦い、全員が討ち死にした。他の多くの東夷は背信行為に耐えられず戦場から逃亡した。
とはいえウルファングの息子たちの裏切りと、それが掻き立てた恐れと憎しみのために[[エルフ]]と[[エダイン]]は大敗を喫し、[[ベレリアンド]]はモルゴスの手に落ちた。これ以後、[[エルフ]]の心は[[エダイン]]以外の[[人間]]から遠ざかった。

[[モルゴス]]の側に寝返った東夷には彼らが望んでいた[[ベレリアンド]]の肥沃な土地は与えられず、モルゴスによって[[ヒスルム]]に押し込められた。そこでかれらは[[ハドル家]]の生き残りを迫害し、その子供たちを奴隷とした。[[ロルガン]]はそうした東夷の族長の一人であった。
[[モルゴス]]の側に寝返った東夷には彼らが望んでいた[[ベレリアンド]]の肥沃な土地は与えられず、モルゴスによって[[ヒスルム]]に閉じ込められ、定住を命じられた。そこで東夷は[[ハドルの族]]の生き残りを迫害し、土地と財産を奪い、かれらの子供たちを奴隷にした。一方でエルフのことは「白い魔物」として憎む以上に恐れ、モルゴスの配下から逃れたエルフが隠れ住んだ山岳には近づこうとしなかった。
[[トゥオル]]を奴隷とした[[ロルガン]]はそうした東夷の族長であり、[[ブロッダ]]という東夷は[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]の親戚である[[アエリン]]を妻とした。

[[怒りの戦い]]では他のほとんどの[[人間]]と同様に[[モルゴス]]の側に立って戦い、敗北した。
[[怒りの戦い]]で東夷は他のほとんどの[[人間]]と同様に[[モルゴス]]の側に立って戦い、敗北した。

*** [[第二紀]]の東夷 [#ea91277d]

東方には[[ヴァラール]]と[[モルゴス]]いずれの召し出しにも応じなかった東夷の同族が住んでいた。[[怒りの戦い]]を生き残った邪悪な東夷の中には、東へ逃げ戻り、モルゴスの虚言を用いてかれらの王となる者達もいた。
やがて[[サウロン]]が活動を再開すると、東夷はその影響下に入り、[[モルドール]]の属国となった。『[[終わらざりし物語]]』によると[[ナズグール]]の第二位[[ハムール]]は東夷の出身であったという。
東方には[[ヴァラール]]と[[モルゴス]]いずれの召し出しにも応じなかった東夷の同族が住んでいた。[[怒りの戦い]]を生き残った邪悪な東夷の中には、東へ逃げ戻り、モルゴスの虚言を用いてかれらの王となる者たちもいた。
やがて[[サウロン]]が活動を再開すると東夷はその影響下に入り、[[モルドール]]の属国となった。『[[終わらざりし物語]]』では、[[ナズグール]]の第二位[[ハムール]]は東夷であったことが示唆されている。

>そして、中つ国南部と、僻遠の東の地では人間がその数を増していたが、かれらの大部分は悪に向かっていた、なぜなら、サウロンが活動していたからである。 … &br; 東と南では、ほとんどすべての人間がかれの支配下にあったが、当時かれらは次第に力を得て、多くの町や石の城壁を築いた。この人間たちの数は非常に多く、戦場では凶暴をもって鳴らし、鉄で身を鎧っていた。かれらにとってサウロンは王であり神であり、かれらはサウロンを甚だしく恐れた。なぜなら、かれはその居処に火をめぐらしていたからである。((同上「力の指輪と第三紀のこと」。[[第二紀]]の初期、および[[遁走の時代]]の[[中つ国]]の[[人間]]について))
>そして中つ国南部と、僻遠の東の地では人間がその数を増していたが、かれらの大部分は悪に向かっていた、なぜなら、サウロンが活動していたからである。 … &br; 東と南では、ほとんどすべての人間がかれの支配下にあったが、当時かれらは次第に力を得て、多くの町や石の城壁を築いた。この人間たちの数は非常に多く、戦場では凶暴をもって鳴らし、鉄で身を鎧っていた。かれらにとってサウロンは王であり神であり、かれらはサウロンを甚だしく恐れた。なぜなら、かれはその居処に火をめぐらしていたからである。((同上「力の指輪と第三紀のこと」。[[第二紀]]の初期、および[[遁走の時代]]の[[中つ国]]の[[人間]]について))

*** [[第三紀]]の東夷 [#k7923f10]

[[リューン]]以東に住み、[[ゴンドール]]に侵入してきた人間の総称としてこの言葉が使われた。
[[最後の同盟]]に敗れた[[サウロン]]の霊は東方の荒野に逃れて力を回復し、東夷はいち早くその影響下に立ち戻った。''[[馬車族]]''、''[[バルホス族]]''なども東夷の一派であり、かれらはサウロンの意志に動かされてたびたび[[ロヴァニオン]]へ侵攻し、ゴンドールと衝突した。
[[最後の同盟]]に敗れた[[サウロン]]の霊は東方の荒野に逃れて力を回復し、東夷はいち早くその影響下に立ち戻った。''[[馬車族]]''、''[[バルホス族]]''なども東夷の一派であり、かれらはサウロンの意志に動かされてたびたび[[リョヴァニオン]]へ侵攻し、ゴンドールや[[ローハン]]と衝突した。
[[モルドール]]に帰還したサウロンが復活を宣言すると、東夷はその召し出しに応え、[[ハラドリム]]と並ぶ人間の軍勢として再びモルドールの属国となった。

-[[第三紀]]の東夷に関する年表
|~年|~事象|h
|RIGHT:490|東夷が初めて[[ゴンドール]]へ侵入する。|
|RIGHT:500|第8代[[ゴンドール]]王[[タロスタール>ローメンダキル一世]]が東夷を撃退し、ローメンダキル(東の勝者)の名を得る。|
|RIGHT:541|新たな東夷によって[[ローメンダキル一世]]が討ち取られる。|
||第9代[[ゴンドール]]王[[トゥランバール]]が父の仇を討ち、東方に多くの領土を獲得する。|
|RIGHT:1015-|第15代[[ゴンドール]]王[[ヒャルメンダキル一世]]の時代に[[ゴンドール]]の国威は絶頂に達し、東は[[リューンの湖]]までを支配。|
||第17代[[ゴンドール]]王[[ナルマキル一世]]の時代に東夷が再び[[ゴンドール]]を攻撃するようになり、ゴンドールと同盟を結んでいた[[北国人]]の中には東夷と組む者が現れる。|
|RIGHT:1248|[[ゴンドール]]の摂政[[ミナルカール>ローメンダキル二世]]が[[ロヴァニオン]]と[[リューンの湖]]の間で東夷の大軍勢を破り、湖の東にある東夷の野営地と居住地を破壊する。この時かれはローメンダキルの名を襲う。|
|RIGHT:1248|[[ゴンドール]]の[[摂政]][[ミナルカール>ローメンダキル二世]]が[[リョヴァニオン]]と[[リューンの湖]]の間で東夷の大軍勢を破り、湖の東にある東夷の野営地と居住地を破壊する。この時かれはローメンダキルの名を襲う。|
|RIGHT:1304|[[ミナルカール>ローメンダキル二世]]が[[ローメンダキル二世]]として第19代[[ゴンドール]]王に即位。|
|RIGHT:1636|東方から[[悪疫]]が広がる。[[ゴンドール]]をはじめ西方諸国は甚大な被害を受けたが、東夷が受けた被害もそれに劣らず、西方への侵入が一時途絶える。|
|RIGHT:1851|[[サウロン]]の密使に焚きつけられた[[馬車族]]が[[ゴンドール]]への襲撃を開始する。|
|RIGHT:1856|第29代[[ゴンドール]]王[[ナルマキル二世]]が[[アンドゥイン]]の先で[[馬車族]]と戦い討ち死にする。&br;国境が[[アンドゥイン]]と[[エミン・ムイル]]まで後退し、馬車族は[[ロヴァニオン]]東南部の国民を奴隷にする。|
|RIGHT:1899|第30代[[ゴンドール]]王[[カリメフタール]]が[[ダゴルラド]]で[[馬車族]]を破る。|
|RIGHT:1856|第29代[[ゴンドール]]王[[ナルマキル二世]]が[[アンドゥイン]]の先で[[馬車族]]と戦い討ち死にする。&br;国境が[[アンドゥイン]]と[[エミュン・ムイル]]まで後退し、馬車族は[[リョヴァニオン]]東南部の国民を奴隷にする。|
|RIGHT:1899|第30代[[ゴンドール]]王[[カリメヘタール>カリメヘタール(ナルマキル二世の息子)]]が[[ダゴルラド]]で[[馬車族]]を破る。|
||[[馬車族]]は東方で勢力を伸長させ、南方の[[ハンド]]人・[[近ハラド]]人と衝突する。やがて両者は講和を結び、協働して[[ゴンドール]]攻撃を計画する。|
|RIGHT:1944|[[ゴンドール]]南北から攻撃される。 &br; 第31代[[ゴンドール]]王[[オンドヘア]]は北軍を指揮して[[馬車族]]と[[モランノン>黒門]]の北で戦い、二人の息子[[アルタミア]]と[[ファラミア>ファラミア(オンドヘアの息子)]]らと共に討ち死にする。&br;南軍の指揮官[[エアルニル>エアルニル二世]]は侵攻してきた[[ハラド]]軍を南[[イシリアン]]で破る。更に退却する北軍を取り込んで[[馬車族]]の本営を襲撃し、多くの[[馬車族]]が[[死者の沼地]]へ追い込まれて敗北する。|
|RIGHT:2510|かねてより[[ドル・グルドゥア]]の影の下にあって[[ロヴァニオン]]に進出していた[[バルホス族]]が[[茶色の国]]から[[アンドゥイン]]を筏で渡河。これに[[霧ふり山脈]]の[[オーク]]が加わり両者は[[カレナルゾン]]を席捲する。&br;[[ゴンドール]]の北軍は[[アンドゥイン]]へと追い詰められるが、[[エオル>エオル(レオドの息子)]]率いる援軍によって敵は一掃される。([[ケレブラントの野の戦い]])|
|RIGHT:2545|初代[[ローハン]]王[[エオル>エオル(レオドの息子)]]が[[高地]]で東夷と戦い討ち死にする。|
|RIGHT:2758|東夷が[[カレナルゾン]]へ侵攻。これに[[褐色人]]や同時期に[[レフヌイ]]川と[[アイゼン]]川の河口に上陸した[[ハラド]]と[[ウンバール]]の[[海賊]]も加わり、[[ローハン]]は東西から挟み撃ちになる。([[大侵略]])|
|RIGHT:1944|[[ゴンドール]]南北から攻撃される。 &br; 第31代[[ゴンドール]]王[[オンドヘル]]は北軍を指揮して[[馬車族]]と[[モランノン>黒門]]の北で戦い、二人の息子[[アルタミル]]と[[ファラミル>ファラミル(オンドヘルの息子)]]らと共に討ち死にする。&br;南軍の指揮官[[エアルニル>エアルニル二世]]は侵攻してきた[[ハラド]]軍を南[[イシリエン]]で破る。更に退却する北軍を取り込んで[[馬車族]]の本営を襲撃し、多くの[[馬車族]]が[[死者の沼地]]へ追い込まれて敗北する。|
|RIGHT:2510|かねてより[[ドル・グルドゥル]]の影の下にあって[[リョヴァニオン]]に進出していた[[バルホス族]]が[[茶色の国]]から[[アンドゥイン]]を筏で渡河。これに[[霧ふり山脈]]の[[オーク]]が加わり両者は[[カレナルゾン]]を席捲する。&br;[[ゴンドール]]の北軍は[[アンドゥイン]]へと追い詰められるが、[[エオル>エオル(レオドの息子)]]率いる援軍によって敵は一掃される。([[ケレブラントの野の戦い]])|
|RIGHT:2545|初代[[ローハン]]王[[エオル>エオル(レオドの息子)]]が[[&ruby(ウォルド){高地};>高地]]で東夷と戦い討ち死にする。|
|RIGHT:2758|東夷が[[カレナルゾン]]へ侵攻。これに[[&ruby(ダンレンデイング){褐色国人};>褐色国人]]や同時期に[[レフヌイ]]川と[[アイゼン]]川の河口に上陸した[[ハラド]]と[[ウンバール]]の[[海賊]]も加わり、[[ローハン]]は東西から挟み撃ちになる。([[大侵略]])|
|RIGHT:2759|[[長い冬]]の後、雪解けにより[[エント川]]で大洪水が発生し、東夷は死ぬか撤退する。[[ゴンドール]]からの援軍もあり、[[ローハン]]の敵は撃退される。|
|RIGHT:2951|[[サウロン]]、[[モルドール]]で公然と名乗りをあげ、兵力を召集する。|
|RIGHT:3007-|再興された[[谷間の国]]の[[ブランド]]王、国力を伸ばす。東境で東夷と小競り合いが起きる。|

***[[指輪戦争]]での東夷 [#a6130295]

[[指輪戦争]]においては[[モルドール]]の同盟軍として参戦し、[[ゴンドール]]や[[はなれ山]]、[[谷間の国]]などを攻撃した。
[[指輪戦争]]においては[[モルドール]]の同盟軍として参戦し、[[ゴンドール]]や[[山の下の王国>エレボール#Kingdom]]、[[谷間の国]]などを攻撃した。

>そして東からは人間たちがひきもきらず動いてきました。剣を帯びる者あり、槍を持つ者あり、馬上の射手あり、首領を乗せた戦車に、輜重を満載した車がありました。[[冥王]]の軍勢はいまや悉く動き出していました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]] 下』「十  一行の離散」 [[フロド・バギンズ]]が[[アモン・ヘン]]の[[視る椅子]]から見た光景の一つ))
>そして東からは人間たちがひきもきらず動いてきました。剣を帯びる者あり、槍を持つ者あり、馬上の射手あり、首領を乗せた戦車に、&ruby(しちょう){輜重};を満載した車がありました。[[冥王]]の軍勢はいまや悉く動き出していました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「一行の離散」 [[フロド・バギンズ]]が[[アモン・ヘン]]の[[視る椅子]]から見た光景の一つ))

>「&ruby(あまた){多勢};の王たちが[[モルドール]]に仕えるべく東から馳せ参じて来たと伝えられております。北から[[ダゴルラド]]の野にかけて小ぜり合いがあり、戦争の噂があります。」((『指輪物語 [[王の帰還]] 上』「三 ローハンの召集」 [[ヒアゴン]]が[[セオデン]]に[[ゴンドール]]への援軍を求めた際の言葉。また彼は[[モルドール]]軍のことを「[[オーク]]どもや褐色人ども(the Orcs and Swarthy Men)」と形容しているが、この褐色人は[[ハラドリム]]のことを指す。))
>「この人間たちは背は高くはありませぬが、体はがっちりとしていて猛々しく、[[ドワーフ]]のように顎鬚があり、大まさかりを使いこなします。広大な東にあるどこかの野蛮国からやって来たものと考えられます。」((『指輪物語 [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「ゴンドールの包囲」 [[カイル・アンドロス]]を奪った軍勢についての[[インゴルド]]の報告。))

>「かれらは強大です。[[かの目>サウロン]]に直属する[[オーク]]どもの大部隊に、われらが未だ出会ったことのない新手の人間たちの無数の集団です。この人間たちは背は高くはありませぬが、体はがっちりとしていて、猛々しく、[[ドワーフ]]のように顎鬚があり、大まさかりを使いこなします。広大な東にあるどこかの野蛮国からやって来たものと考えられます。」((『指輪物語 [[王の帰還]] 上』「四 ゴンドールの包囲」 [[カイア・アンドロス]]を奪った軍勢についての[[インゴルド]]の報告。))

|~年|~月|~日|~事象|
|RIGHT:[[3018>大いなる年#yera3018]]|RIGHT:6|RIGHT:20|東夷と[[ハラドリム]]を含む[[モルドール]]軍が[[オスギリアス]]を攻撃。[[ゴンドール]]軍の駐屯部隊が全滅する。|
|RIGHT:[[3019>大いなる年#yera3019]]|RIGHT:3|RIGHT:5|[[フロド]]が[[黒門]]の前で広大な東の国(the wide Eastlands)から[[サウロン]]の召集に応えてやってきた人間の軍勢を目撃する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:10|[[黒門]]から出撃した[[オーク]]と東夷の軍勢が[[カイア・アンドロス]]を奪い、[[アノリアン]]へ侵入する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:15|[[ペレンノール野の合戦]]。[[ゴスモグ>ゴスモグ(ミナス・モルグル)]]によって「まさかりを持つ東夷たち」が戦場に投入される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:16/17|[[アノリアン]]から[[オーク]]と東夷の大軍が引き返してくるが、[[ロヒアリム]]に迎撃され[[カイア・アンドロス]]へ逃走する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:17|[[カルネン]]川を渡り侵攻してきた[[モルドール]]の同盟軍の東夷に対し、[[谷間の国]]と[[山の下の王国>エレボール]]が[[はなれ山]]山麓で三昼夜にわたり戦う。(谷間の国の合戦)&br;[[ブランド]]王と[[ダイン>ダイン二世]]王は戦死し東夷が勝利するが、[[谷間の国]]の人間と[[ドワーフ]]は[[山の下の王国>エレボール]]に立て籠もり抵抗を続ける。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:21|[[イシリアン]]で[[オーク]]と東夷の強力な一部隊が西軍の先頭部隊を伏撃するも、事前の偵察により撃退に成功する。((この場所は[[ファラミア]]が[[ハラドリム]]の部隊を迎撃したところでもある。))|
|~|RIGHT:3|RIGHT:25|[[黒門の戦い]]。[[エレド・リスイ]]の山かげで待機していた東夷の一軍が黒門から進軍する。&br;[[サウロン]]の消滅により[[モルドール]]軍が崩壊すると、東夷と[[ハラドリム]]の一部は最後の抵抗を示すが大部分の者は東へ逃げるか投降する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:27|西軍勝利の知らせが[[はなれ山]]にも届く。[[バルド二世]]と[[トーリン三世]]が反撃に出て東夷を撃退する。|
|RIGHT:[[3019>大いなる年#yera3019]]|RIGHT:3|RIGHT:5|[[フロド>フロド・バギンズ]]が[[黒門]]の前で広大な東の国(the wide Eastlands)から[[サウロン]]の召集に応えてやってきた人間の軍勢を目撃する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:10|[[黒門]]から出撃した[[オーク]]と東夷の軍勢が[[カイル・アンドロス]]を奪い、[[アノーリエン]]へ侵入する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:15|[[ペレンノール野の合戦]]。[[ゴスモグ>ゴスモグ(モルグル)]]によって「まさかりを持つ東夷たち」が戦場に投入される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:16/17|[[アノーリエン]]から[[オーク]]と東夷の大軍が引き返してくるが、[[ロヒルリム]]に迎撃され[[カイル・アンドロス]]へ逃走する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:17|[[カルネン]]川を渡り侵攻してきた[[モルドール]]の同盟軍の東夷に対し、[[谷間の国]]と[[山の下の王国>エレボール#Kingdom]]が[[はなれ山>エレボール]]山麓で三昼夜にわたり戦う。([[谷間の国の合戦]])&br;[[ブランド]]王と[[ダーイン>ダーイン二世]]王は戦死し東夷が勝利するが、[[谷間の国]]の人間と[[ドワーフ]]は[[山の下の王国>エレボール#Kingdom]]に立て籠もり抵抗を続ける。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:21|[[イシリエン]]で[[オーク]]と東夷の強力な一部隊が[[西軍]]の先頭部隊を伏撃するも、事前の偵察により撃退に成功する。((この場所は[[ファラミル]]が[[ハラドリム]]の部隊を迎撃したところでもある。))|
|~|RIGHT:3|RIGHT:25|[[黒門の戦い]]。[[灰の山脈>エレド・リスイ]]の山かげで待機していた東夷の一軍が黒門から進軍する。&br;[[サウロン]]の消滅により[[モルドール]]軍が崩壊すると、東夷と[[ハラドリム]]の一部は最後の抵抗を示すが大部分の者は東へ逃げるか投降する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:27|[[西軍]]勝利の知らせが[[はなれ山>エレボール]]にも届く。[[バルド二世]]と[[ソーリン三世]]が反撃に出て東夷を撃退する。|
|~|RIGHT:4|>|東夷と[[ハラドリム]]の残党による西方諸国への抵抗が続く。|
|~|RIGHT:5|RIGHT:1|[[エレスサール]]王が即位。その後王は降服してきた東夷たちを許し、彼らを自由にする。|
|~|RIGHT:5|RIGHT:1|[[エレッサール]]王が即位。その後王は降服してきた東夷たちを許し、彼らを自由にする。|

** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#ICE]
** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

***歴史 [#d408dca8]
第一紀に東夷と呼ばれた人々は全てアリューネリム(Arhûnerim)という民族集団に属していた。そのうち[[ベレリアンド]]に侵入してきたのはバラドリム(Baradhrim)という集団で、これらの民が後の[[ウルファング]]の一族ウルバリム(Ulbarim)や[[ボール]]の一族(Borian)となった。[[怒りの戦い]]によってベレリアンドが水没した後、彼らの生き残りの多くは彼らの分派が住む[[リューン]]へと逃げ去った。
戟と盾で武装し、赤い衣と金色の鎧を帯びた重装歩兵として登場。[[フロド>フロド・バギンズ]]が黒門を突破しようとする場面に登場する。また[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の攻城戦で大門が[[グロンド>グロンド(破城槌)]]によって破られた際、[[オーク]]と共に城内へなだれ込んでいる。

第二紀以降の西方世界の歴史に登場する東夷の民はその多くがタラセリム(Taratherim)という一つの大きなグループに属する。彼らは第一紀以降も東方に留まって暮らしていたアラヴァドール(Aravador)という人々の子孫で、主に中つ国の[[未開の国々>Wild lands]]のうち、大陸中央部の平原地帯に住んでいた者たちを指す。第二紀以降の彼らはロリアグ(Loriag)、ウルガス(Ulgath)、ティア(Tyr)、チェイ(Chey)、チィ(Chy)、シェイ(Shay)、アハール(Ahar)、イバヴ(Ibav)という八つグループに分かれて暮らしていた。うちロリアグは[[ヴァリアグ]]と[[バルホス族]]、ウルガスは[[馬車族]]の祖先だった。それ以外の地域にも、西方世界との接触が殆ど無い多くの未開の民の国々が存在していた。それらの国々には[[冥王]]に従属するものだけでなく、[[自由の民]]としてサウロンの配下と戦う者たちや、[[ウォマウ]]のように[[エルフ]]と[[モルゴス]]の双方から学ぶ者たち、逆にどちらの側にもつかぬ者たちもいた。
エクステンデット・エディションや関連書籍では、東夷の外見はペルシアやモンゴル、トルコなど、主に中近東の文化を参考にしている他、兜とそこに彫られた放射状の文様はそれぞれ日本の武士の兜と旭日旗のモチーフにしていることが言及されている。

***文化 [#p7fc4e81]
内陸の乾燥した平原や高原に住む民は遊牧を営み、南西部の温暖湿潤な土地に住む人々は農耕を行い暮らしている。土地の貧しい北方の民は小規模な集落を作って漁業や狩猟を営み、農耕や交易は殆ど行わないが、逆に住民の多くが農耕と牧畜を生業にする[[極東>遠リューン]]の国々は高度で洗練された文明を築いており、都市間では海路を使った商業取引が活発に行われている。その一方で[[赤の山脈>オロカルニ]]周辺には狩猟採集での生活を続ける人々もいる。
*** 画像 [#f90e94a7]

[[指輪物語]]本編に登場する東夷の多くは[[モルゴス]]や[[サウロン]]の同盟者となっているが、それ以外にも多くのものを信仰の対象としている。多くの氏族は第一紀の頃に[[人間]]たちを呼び覚ました[[声の主>イルーヴァタール]]や[[強大な力を持った一人の男>モルゴス]]、彼が築いた最初の寺院や多くの[[精霊>マイアール]]と[[悪霊>バルログ]]を伝説として語り継いでいる。[[ヒルドーリエン]]で目覚めた最初期の人間たちは[[アヴァリ]]や[[オーク]]から[[西方の神々>ヴァラール]]について聞き知っており、それらの力への羨望と畏怖の念がやがて人々に思想や宗教を芽生えさせ、東方や南方の民に浸透していった。第二紀以降も、東夷の間には[[ヴァラール]]にも[[モルゴス]]にも属さない独自の神々や自然への信仰が存在し続けていた他、特異な所では、[[エント女]]を農業の知識を教えた師と見なし崇めた。また、第三紀には[[青の魔法使い>イスリン・ルイン]]が東方を訪れ、多くの民が新たな神秘の知識の数々を授けられた。
&ref(Easterling.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における東夷);

***氏族 [#uec9408f]
誕生した地である[[ヒルドーリエン]]を出て、[[中つ国]]のどの地域に向かったかによって分類される。まず、[[太陽の第一紀]]の[[パリソール]]で起こった[[モルゴス]]配下の種族と[[イルーヴァタールの子ら]]との戦い(パリソールの大戦)を逃れて西方へ向かった集団をリンタドール(Lintaor)と言い、そのうち褐色肌の民を総称してアリューネリム(Arhûnerim)と呼び[[エダイン]]と区別している。後の時代の[[ロスソス]]や[[アングマール]]の[[山岳人]]などもこれに含まれる。
*** グッズ [#g05a64ee]

対して、東の地に留まった集団はアラヴァドール(Aravador)と言い、その多くが[[トールキン]]ないしは[[ビルボ]]によって翻訳された[[赤表紙本>西境の赤表紙本]]には記されていない未開の国々の住民となった。彼らは[[オロカルニ]]を越えて[[極東>遠リューン]]に進出したアヴァリム(Avarim)と[[ドルーエダイン]]の遠戚の東ドルーグ(Eastern Drûghu)、ヒルドーリエンの周辺に留まったリンネリム(Linnerim)、極北に進出したモルネリム(Mornerim)、南方に進出し[[ハラドリム]]の祖となったナルネリム(Narnerim)、大陸中央部に住んだタラセリム(Taratherim)で構成される。
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:Arhûnerim|「東の高地の衆(High East-Host)」の意。[[太陽の第一紀]]の放浪の民。エダインの第二家系である[[ハラディンの族>ハレスの族]]、[[ドルーエダイン]]、ベレリアンドの[[東夷]]の諸部族、後の[[ドゥーネダイン]]以外の西方世界の人間たちの共通の祖先。[[褐色人]]や[[ロスソス]]の祖先等、その一部はベレリアンドに入らず[[エリアドール]]や[[リューンの湖]]周辺の最初の住民となった。
** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|>|>|>|>|>|>|>|>|~アリューネリム系東夷の分類|
|>|>|>|>|>|>|>|>|Lintador|
|>|>|>|>|>|>|>|>|Arhûnerim|
|>|[[エリアドール]]の人間|>|>|Nardhrim([[リューン]]の東夷)|>|>|Baradhrim([[ベレリアンド]]の東夷)|Sea-Easterlings|
|[[アングマール]]の人間|Bead Culture|Bothar|Thuulkan|Uldragor|[[ボール]]の一族|>|[[ウルファング]]の一族|~|
|~|[[ロスソス]]|~|~|~|~|Shrel|Vulszev|~|
[[湖の町>エスガロス]]の住人の中に、東夷出身と思われる浅黒い肌の人物が数人混ざっているのが見られる。

:Avarim|アヴァリの言葉で「辞退した者たち(Refusing Men)」を意味するアウアラタニ(Auaratani)とも言う。エダインの第一家系[[ベオル家]]の遠戚。第一紀に[[オロカルニ]]を越えて、[[中つ国]]の東岸地域に住み着いた。[[アヴァリ]]と親しい間柄にあり、一部の民は[[エルフ]]から受けた知識によって、[[第二紀]]の東方世界で最も秀でた人間の氏族へと発展したが、後に、[[ハムール]]によって[[サウロン]]の影の支配下に入り、西方の民からは黒き東夷(Black Easterlings)と呼ばれた。
[[ドル・グルドゥル]]で[[白の会議]]のメンバーと戦った[[ナズグール]]の中に、東夷だった[[ハムール]]がいるという設定であり、『ロード・オブ・ザ・リング』での東夷兵と似た鎧を纏っている。

|>|>|>|>|>|>|>|>|>|~アヴァリム系東夷の分類|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Aravador|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Avarim|
|>|>|>|>|Avaradan|Men of [[the Orocarni>オロカルニ]]|[[Woodmen>森人]] of [[the Far East>遠リューン]]|>|>|Suurk Kaelaan|
|>|>|>|[[ウォマウ]]|Ruulurk|Valg|Aegaw|>|>|Surk|
|Cuivac Wômaw|Góakaw|Móakaw|Wôm Shryac|~|~|~|Argaw|Lôchans|Vuulmaw|
*** グッズ [#p4aeac3b]

:Eastern Drûghu|原作に登場する[[ドルーエダイン]]の兄弟氏族。Avarimと同じく[[赤の山脈>オロカルニ]]を越えて[[夜明けの国>遠リューン]]の原初の森に住み着いたが、後に多くの民が[[ウォマウ]]やその分派に征服、吸収された。
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|>|>|>|>|>|~ドルーグ系東夷の分類|
|>|>|>|>|>|Aravador|
|>|>|>|>|>|Eastern Drûghu|
|>|>|Braric|Fale|Proric|Odonti|
|Brôdim|Lakhab|Wôlim|~|~|Wild men of Vulm-Shryak|
**『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

:Linnerim|第一紀に[[ヒルドーリエン]]や[[ヘルカール]]の湖畔に住み、内海が干上がった後も、その名残りである中つ国南東の湖や河川の周辺に住み続けた。
多数の氏族が登場する。
[[茶色の国]]に住むKhundolarは[[バルホス族]]の子孫で、[[青の魔法使い>イスリン・ルイン]]によって作られたと思われる青いローブを纏った妖術師の組織の支援を受けている。
同じバルホス族の子孫であるJangovarは[[ドル・グルドゥル]]と同盟を結び、エレボールと谷間の国を攻撃している。
原作で[[カイル・アンドロス]]を攻撃した、ドワーフに似た東夷はSûhalarという氏族とされている。

|>|>|>|>|>|~リンネリム系東夷の分類|
|>|>|>|>|>|Aravador|
|>|>|>|>|>|Linnerim|
|>|>|Adek|Arklu-shem|Jendiar|Ûsteri|
|Adekdar|Horl|Ibav|Ubain|~|~|
指輪戦争後、Chayasírという氏族が谷間の国の東に難民キャンプを作っており、谷間の国と講和を行った。彼らは何らかの災厄に見舞われてリューンから逃れて来た者たちだが、具体的に何が起こったのかは語ろうとしないため不明瞭である。

:Mornerim|[[モルゴス]]が[[ウトゥムノ]]を築いた[[鉄山脈]]を越えて常冬の極寒地帯に進出した東夷。殆どは北方の大半島の針葉樹の森に住んでいる。[[ロスソス]]や[[ボール]]の一族と近い血筋の民で、後の時代には彼らの一部と合流した。他の代表的な氏族では、[[ドワーフ]]との混血と言われる[[ウムリ]]がいる。
** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#ICE]

|>|>|>|>|~モルネリム系東夷の分類|
|>|>|>|>|Aravador|
|>|>|>|>|Mornerim|
|Orizian|Rúbor|[[ウムリ]]|Urdar|Zettan|
|~|~|Axe-Easterlings|Sled-Horde|~|
***歴史 [#d408dca8]
第一紀に東夷と呼ばれた人々は全てアリューネリム(Arhûnerim)という民族集団に属していた。そのうち[[ベレリアンド]]に侵入してきたのはバラドリム(Baradhrim)という集団で、これらの民が後の[[ウルファング]]の一族ウルバリム(Ulbarim)や[[ボール]]の一族(Borian)となった。[[怒りの戦い]]によってベレリアンドが水没した後、彼らの生き残りの多くは彼らの分派が住む[[リューン]]へと逃げ去った。
そこでバラドリムは勢力を再建し、後からやって来た東夷の別の氏族の上に君臨した。この東夷は彼らは第一紀以降も東方に留まって暮らしていたアラヴァドール(Aravador)という人々の子孫で、主に中つ国の[[未開の国々>Wild lands]]のうち、大陸中央部の平原地帯に住んでいた者たちだった。
バラドリムは第二紀を通じて[[リューンの湖]]周辺における最大の勢力であり続けた。サウロンがモルドールを拠点とすると、再び冥王の陣営に加わり、[[ヌーメノール]]や[[エルフ]]と戦った。だが[[最後の同盟]]にサウロンが敗れると力を失い、急速に衰退していった。

:Narnerim|[[パリソール]]の戦火を逃れて南方に移動した放牧の民。背が高く黒や茶色の肌の人間たちで、太陽を恐れ、月を信奉していた。一部はさらに南方へ向かい、[[ハラドリム]]の祖となった。
[[第三紀]]以降は、バラドリムの圧力から解放された氏族が変わって勢力を伸ばす。彼らの多くはタラセリム(Taratherim)という一つの大きなグループに属する。彼らはイオリアグ(Ioriag)、ウーガス(Ulgath)、ティア(Tyr)、チェイ(Chey)、チィ(Chy)、シェイ(Shay)、アハール(Ahar)、イバヴ(Ibav)という八つの系統に分かれて暮らしていた。このうち、[[リューンの湖]]から[[リョヴァニオン]]にかけて住み、しばしばゴンドールと敵対した人々にはウーガス系の[[ウルガス]](Urgath)、[[ブライガス]](Brygath)、[[ロガス]](Logath)、[[サガス]](Sagath)、イオリアグ系の[[アスドリアグ]](Asdriags)と[[オドリアグ]](Odhriags)、ヌリアグ(Nuriag)といった氏族が含まれていた。このウーガス系諸民族の連合体が後に[[馬車族]]として統一され、彼らは自らをイガス(Igath)と名乗っていた。対して、[[ヴァリアグ]]や[[バルホス族]]はイオリアグ系の民族の中に含まれる。

|>|>|>|>|~ナルネリム系東夷の分類|
|>|>|>|>|Aravador|
|>|>|>|>|Narnerim|
|>|Harnerim|Jôpi|>|Ts'dan|
|Apysan|Rubor|~|Ts'balla|K'prur|
また、それ以外の地域にも、西方世界との接触が殆ど無い多くの未開の民の国々が存在していた。それらの民には、[[ウォマウ]]やウルダール(Urdar)ように[[エルフ]]と親しくした者や、逆にどちらの側とも殆どかかわりを持たない者たちもいた。

:Taratherim|アヴァリ語で草原の民(Plains-people)を意味する。中つ国の内陸に広がる広大な平原に暮らす人々で、大半の者が遊牧で暮らしている。大小幾つもの部族に分かれており、その数は東夷の中で最も多い。[[ウルファング]]の一族と血筋が近く、小柄でずんぐりとした褐色肌の民が多いが、一部にはエダインの第三家系である[[ハドル家]]から枝分かれした兄弟の血を引き、背が高く明るい髪色をした者たちもいる。
***文化 [#p7fc4e81]
内陸の乾燥した平原や高原に住む民は遊牧を営み、南西部の温暖湿潤な土地に住む人々は農耕を行い暮らしている。土地の貧しい北方の民は小規模な集落を作って漁業や狩猟を営み、農耕や交易は殆ど行わないが、逆に住民の多くが農耕と牧畜を生業にする[[極東>遠リューン]]の国々は高度で洗練された文明を築いており、都市間では海路を使った商業取引が活発に行われている。その一方で[[赤の山脈>オロカルニ]]周辺には狩猟採集での生活を続ける人々もいる。

|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|~タラセリム系東夷の分類|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Aravador|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Taratherim|
|Ahar|>|>|Chailûza|>|>|Loriag|Tyr|>|>|Ulgath|Ibav|
|(6部族)|Chey|Chyan|Shay|[[バルホス族]]|[[ヴァリアグ]]|(5部族)|(9部族)|[[馬車族]]|[[ドルウィンリム]]|(4部族)|~|
[[指輪物語]]本編に登場する東夷の多くは[[モルゴス]]や[[サウロン]]の同盟者となっているが、それ以外にも多くのものを信仰の対象としている。多くの氏族は第一紀の頃に[[人間]]たちを呼び覚ました[[声の主>イルーヴァタール]]や[[強大な力を持った一人の男>モルゴス]]、彼が築いた最初の寺院や多くの[[精霊>マイアール]]と[[悪霊>バルログ]]を伝説として語り継いでいる。[[ヒルドーリエン]]で目覚めた最初期の人間たちは[[アヴァリ]]や[[オーク]]から[[西方の神々>ヴァラール]]について聞き知っており、それらの力への羨望と畏怖の念がやがて人々に思想や宗教を芽生えさせ、東方や南方の民に浸透していった。第二紀以降も、東夷の間には[[ヴァラール]]にも[[モルゴス]]にも属さない独自の神々や自然への信仰が存在し続けていた他、特異な所では、[[エント女]]を農業の知識を教えた師と見なし崇めた。また、第三紀には[[青の魔法使い>イスリン・ルイン]]が東方を訪れ、多くの民が新たな神秘の知識の数々を授けられた。

***言語 [#a260c021]
[[ロガシグ語]]など、[[西方語]]と比べて異質な言語が多く使われている。特に、ウォマウ語(Womarim)をはじめ、[[極東>遠リューン]]地域に住む民の話す言葉の多くが、西方世界では忘れ去られた竜語(Dragon-Speech)やアヴァリ語(Avarin)から影響を受けている。[[モルゴス]]の本拠地があり、配下の種族が長く住んでいた北方地域の民の言語は[[暗黒語]]の原型であるメルコール語(Melkian)や[[オーク語]]の影響を受けた。そして内陸の平原に暮らす東夷の言語には、『[[HoME>The History of Middle-Earth]]』に記述されているように[[クズドゥル]]の影響が見られる。
***氏族 [#uec9408f]
誕生した地である[[ヒルドーリエン]]を出て、[[中つ国]]のどの地域に向かったかによって分類される。まず、[[太陽の第一紀]]に西方へ向かった集団をリンタドール(Lintaor)と言い、そのうち褐色肌の民を総称してアリューネリム(Arhûnerim)と呼び[[エダイン]]と区別している。後の時代の[[ロッソス]]や[[アングマール]]の[[山岳人]]などもこれに含まれる。
対して、東の地に留まった集団はアラヴァドール(Aravador)と言い、その多くが[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]ないしは[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]によって翻訳された[[赤表紙本>西境の赤表紙本]]には記されていない未開の国々の住民となった。彼らは[[オロカルニ]]を越えて[[極東>遠リューン]]に進出したアヴァリム(Avarim)と[[ドルーエダイン]]の遠戚の東ドルーグ(Eastern Drûghu)、ヒルドーリエンの周辺に留まったリンネリム(Linnerim)、極北に進出したモルネリム(Mornerim)、南方に進出し[[ハラドリム]]の祖となったナルネリム(Narnerim)、大陸中央部に住んだタラセリム(Taratherim)で構成される。

:Arhûnerim|「東の高地の主(High East-Host)」の意。[[太陽の第一紀]]の放浪の民。エダインの第二家系である[[ハラディンの族>ハレスの族]]、[[ドルーエダイン]]、ベレリアンドの[[東夷]]の諸部族、後の[[ドゥーネダイン]]以外の西方世界の人間たちの共通の祖先。[[&ruby(ダンレンデイング){褐色国人};>褐色国人]]や[[ロッソス]]の祖先等、その一部はベレリアンドに入らず[[エリアドール]]や[[リューンの湖]]周辺の最初の住民となった。
:Avarim|アヴァリの言葉で「辞退した者たち(Refusing Men)」を意味するアウアラタニ(Auaratani)とも言う。エダインの第一家系[[ベオル家]]の遠戚。第一紀に[[オロカルニ]]を越えて、[[中つ国]]の東岸地域に住み着いた。[[アヴァリ]]と親しい間柄にあり、一部の民は[[エルフ]]から受けた知識によって、東方で最も秀でた人間の氏族へと発展した。
:Linnerim|第一紀に[[ヒルドーリエン]]や[[ヘルカール]]の湖畔に住み、内海が干上がった後も、その名残りである中つ国南東の湖や河川の周辺に住み続けた。
:Mornerim|[[モルゴス]]が[[ウトゥムノ]]を築いた[[鉄山脈]]を越えて常冬の極寒地帯に進出した東夷。殆どは北方の大半島の針葉樹の森に住んでいる。[[ロッソス]]や[[ボール]]の一族と近い血筋の民で、後の時代には彼らの一部と合流した。他の代表的な氏族では、[[ドワーフ]]との混血と言われる[[ウムリ]]がいる。
:Narnerim|[[パリソール]]の戦火を逃れて南方に移動した放牧の民。背が高く黒や茶色の肌の人間たちで、太陽を恐れ、月を信奉していた。一部はさらに南方へ向かい、[[ハラドリム]]の祖となった。
:Taratherim|アヴァリ語で草原の民(Plains-people)を意味する。中つ国の内陸に広がる広大な平原に暮らす人々で、大半の者が遊牧で暮らしている。大小幾つもの部族に分かれており、その数は東夷の中で最も多い。[[ウルファング]]の一族と血筋が近く、小柄でずんぐりとした褐色肌の民が多いが、一部にはエダインの第三家系である[[ハドル家]]から枝分かれした兄弟の血を引き、背が高く明るい髪色をした者たちもいる。
:その他の民|記述はあるものの、系統がはっきりと分からない氏族が多数言及されている。

***系統 [#c01ac2db]

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]
-Arhûnerim
--Baradhrim
---[[ボール]]の一族
---[[ウルファング]]の一族
---Shrel
---Vulszev
--[[リューンの湖]]の海賊
-Avarim
--[[ウォマウ]](別名Avaradan)
---Lôchans
---Argaw
---Vuulmaw
-Linnerim
--Horl
--Rariani 
--Adekdar 
-Mornerim 
--Urdar 
---Sled-Horde
--Dyrians 
--[[ロッソス]]
--[[ウムリ]]
-[[タラセリム]]
---[[ヴァリアグ]]
---[[アスドリアグ]](Asdriags)
---Nuriag
--Ulgath 
---[[ロガス]](Logath)
---[[サガス]](Sagath)
---[[ウルガス]](Urgath)
---[[ブライガス]](Brygath)
---[[ドルウィンリム]]
--Ahar 
---[[オドリアグ]](Odhriags)
--Tyr 
--Ibavi 
--Shay 
--Chyans
-系統不明の民
--Wôlim
--Arklu-shem
--K'prur
--Fale 

戟と盾で武装し、赤い衣と金色の鎧を帯びた重装歩兵として登場。原作に基づき[[フロド]]が黒門を突破しようとする場面に登場する。また[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の攻城戦で大門が[[グロンド]]によって破られた際、[[オーク]]と共に城内へなだれ込んでいる。
***言語 [#a260c021]
[[ロガシグ語]]など、[[西方語]]と比べて異質な言語が多く使われている。特に、ウォマウ語(Womarim)をはじめ、[[極東>遠リューン]]地域に住む民の話す言葉の多くが、西方世界では忘れ去られた竜語(Dragon-Speech)やアヴァリ語(Avarin)から影響を受けている。[[モルゴス]]の本拠地があり、配下の種族が長く住んでいた北方地域の民の言語は[[暗黒語]]の原型であるメルコール語(Melkian)や[[オーク語]]の影響を受けた。そして内陸の平原に暮らす東夷の言語には、『[[HoME>The History of Middle-earth]]』に記述されているように[[クズドゥル]]の影響が見られる。

エクステンデット・エディションや関連書籍では、東夷の外見はペルシアやモンゴル,トルコなど、主に中近東の文化を参考にしている他、兜とそこに彫られた放射状の文様はそれぞれ日本の武士の兜と旭日旗のモチーフにしていることが言及されている。

*** 画像 [#f90e94a7]

&ref(Easterling.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における東夷);

*** グッズ [#g05a64ee]

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**[[ゲームズ・ワークショップ]]による設定 [#g8bbc42b]

映画に登場しなかった騎兵の他、弓隊や戦車隊、軍祭司(war priests)等、ゲームオリジナルの兵種が多数販売されている。
彼らはいずれも、竜の騎士(dragon knight)と呼ばれる軍団に属し、「刃の王」の異名を持つ指揮官[[アムドゥーア]]に率いられている。
彼らはいずれも、竜の騎士(dragon knight)と呼ばれる軍団に属し、「刃の王」の異名を持つ指揮官[[アムドゥーア]]に率いられている。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

[[湖の町>エスガロス]]の住人の中に、東夷出身と思われる浅黒い肌の人物が数人混ざっているのが見られる。

[[ドル・グルドゥア]]で[[白の会議]]のメンバーと戦った[[ナズグール]]の中に、東夷だった[[ハムール]]がいるという設定であり、『ロード・オブ・ザ・リング』での東夷兵と似た鎧を纏っている。

**『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#Lotro]

多数の氏族が登場する。[[茶色の国]]に住むフンドラール(Khundolar)は[[バルホス族]]の子孫で、[[青の魔法使い]]によって作られたと思われる青いローブを纏った妖術師の組織の支援を受けている。同じバルホス族の子孫であるジャンゴヴァール(Jangovar)は[[闇の森]]の東側から[[リューンの湖]]の湖畔にかけて部族連合を形成しており、[[ドル・グルドゥア]]やより強力な東方の国ロスタマッシュ(Rostamash)と同盟を結んでいる。原作で[[カイア・アンドロス]]を攻撃した、ドワーフに似た東夷はスーハラール(Sûhalar)という氏族とされている。

** コメント [#Comment]

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