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* &ruby(おそ){恐};るべき&ruby(けもの){獣}; [#tbeb5bf5]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[動物]]|
|~スペル|Fell Beast|
|~異訳|翼を持つ獣、おぞましい獣、怪鳥|
|~その他の呼び名|翼ある影(winged shadow)、翼を持った使者(Winged Messenger)|

** 解説 [#Explanation]

[[ナズグール]]が乗り物としていた怪鳥。
日本で発行された小説の挿し絵を含め、先史時代の翼竜のような姿で描写されることもある。

[[サウロン]]がおぞましい餌で育て、悪臭を放ち、ついには([[龍]]以外の)空を飛ぶどんな動物よりも大きくなった。そこをナズグールに与えられたという。黒の乗手([[ナズグール]])は、[[ブルイネン]]の浅瀬で[[馬]]を失ってからは、この獣に乗って空を舞うようになった。この獣はナズグールと共に空を舞う事により、その恐怖だけで抵抗する者の戦う意思を奪うほどの存在だった。
[[サウロン]]がおぞましい餌で育て、悪臭を放ち、ついには([[龍]]以外の)空を飛ぶどんな動物よりも大きくなった。そこをナズグールに与えられたという。黒の乗手([[ナズグール]])は、[[ブルイネンの浅瀬]]で[[馬]]を失ってからは、この獣に乗って空を舞うようになった。この獣はナズグールと共に空を舞う事により、その恐怖だけで抵抗する者の戦う意思を奪うほどの存在だった。

>大きな影が落下する雲のように降りて来ました。そして、見よ! これは翼を持った生きものでした。鳥だとすれば、どんな鳥よりも大きな鳥で、裸でした。翼にも尻尾にも体にも羽根が生えていません。そして途方もなく大きな翼は角質の指の間の皮だけでできた水かきのようでした。それにこれはいやな臭いがしました。多分旧世界の生き物なのでしょう。この世のどこか忘れられた冷たい山々の中にでもほそぼそと生き延びてきたのがいて、もうとっくにその時代は終わったのに、生きていて、ぞっとするような高みの巣で、時期をはずれたこの最後の雛を生んだのでしょうが、これに悪に適した素質があったのです。これを[[冥王>サウロン]]が捕え、おぞましい肉で育てましたので、遂には空飛ぶどんな生きものもしのぐほど大きくなってしまいました。冥王はこれを乗りものとして召使に与えました。下へ下へとこのものは降りてきました。それから指の間に水かきのように皮を張った翼を畳むと、しゃがれた叫び声を発し、[[雪の鬣]]のむくろの上に止まって、鈎爪をめり込ませ、長い裸の頸を曲げました。((『[[王の帰還]]』[[ペレンノール野の合戦]]の場面。))

恐るべき獣は、[[指輪の仲間]]が[[サルン・ゲビア]]北の[[アンドゥイン]]西岸に上陸しようとした時にはじめて目撃される。この獣は[[レゴラス]]が[[ロスローリエン]]の弓矢を使って撃ち落としたが、一行には迫ってきた翼ある影の正体はよくわからなかった。
この時東岸から指輪の仲間を攻撃した[[オーク]]の部隊は、恐るべき獣に乗っていた[[ナズグール]]の指揮下にあったらしく、レゴラスによって獣が撃ち落とされてからは東岸からの矢の襲撃は一時的にやんだ。後に[[ウグルク]]と[[グリシュナッハ]]も、ナズグールの乗騎が撃ち落とされたことについて言及している。

[[フロド>フロド・バギンズ]]と[[サムワイズ]]と[[ゴクリ]]は[[死者の沼地]]を突破した時、[[モルドール]]から飛来した恐るべき獣に遭遇している。獣は彼らのいる辺りを旋回した後、モルドールへ戻っていった。

[[ガンダルフ]]と[[セオデン]]たち一行は、[[角笛城の合戦]]と[[オルサンク]]での[[サルマン]]との対面を終えて戻る途中、[[ドル・バラン]]に夜営していた時、オルサンクに向かって飛び去る恐るべき獣を目撃。それまで[[大河]]を渡ることを許されていなかったナズグールが公然と[[ローハン]]に姿を現したことは、[[西方との全面戦争>指輪戦争]]が開始される徴だと受け取ったガンダルフは[[ペレグリン]]を連れて急遽[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]へと向かい、残されたセオデン、[[エオメル]]、[[アラゴルン二世]]たちも急いで[[角笛城]]へと戻った。
これはペレグリンが[[パランティーア]]を覗いて[[サウロン]]にその姿を見せてしまった直後のことだったが、時間的に見てそれとは別件で飛来したものと思われる(ガンダルフはサルマンを尋問するためであろうと推測している)。その後、これと同一のものか新たに飛来したものかは不明ながら、恐るべき獣は[[エドラス]]にも現れてローハンの民に恐怖を与えた。

[[ペレンノール野の合戦]]とそれに付随する戦闘でも、ナズグールは恐るべき獣に乗って飛来し[[ゴンドール]]に甚だしい恐怖を与えた。
[[魔王]]自身は当初は黒馬に乗って戦闘の指揮を執っていたが、曙光と共にローハンの援軍が到着すると恐るべき獣に乗り換え、獣は[[セオデン]]を強襲して瀕死の重傷を負わせる。しかし魔王の乗る獣はその後[[エオウィン]]によって首を切り落とされて斃された。この獣の死体を焼いた跡はその後いつまでたっても黒い不毛地であったという。

他の[[ナズグール]]はその後も恐るべき獣に乗ってサウロンのための偵察活動を続けた。フロドとサムは、戦場から魔王敗北の報を知らせに[[バラド=ドゥーア]]に戻っていくナズグールを目撃している。二人は[[キリス・ウンゴルの塔]]を脱出するときも、獣に乗ったナズグールに存在を察知された。
しかしサウロンは[[西軍]]を徹底的に監視するために、全てのナズグールを国外へ送り出す。ナズグールの乗った恐るべき獣は[[黒門]]へ向かう[[西軍]]を遥か上空から絶えず見張り、[[黒門の戦い]]では降下してきて[[西軍]]に襲いかかる。そこに[[大鷲]]が現れてナズグールと恐るべき獣に向かっていくが、[[フロド・バギンズ]]が[[一つの指輪]]を指にはめたため[[西軍]]の目論見を感知した[[サウロン]]の指示によって、ナズグールを乗せた恐るべき獣は[[滅びの山]]へと急行する。だが一つの指輪は破壊されて奪取は間に合わず、恐るべき獣はナズグールと共に滅びの山の噴火に巻き込まれて死に絶えてしまったと思われる。

*** 名称について [#ib1c6a4c]

原作にはこの生き物の名前(固有名詞)は登場せず、'''great beast'''、'''fell beast'''あるいはただ単に'''beast'''などと書かれている。[[瀬田貞二]]訳では「翼を持った生き物」「巨大な怪鳥」「怪鳥」となっている。ガンダルフは、サルン・ゲビアの上空でレゴラスが撃ち落とした獣について、ナズグールと併せて「翼を持った使者」(the Winged Messenger)と言っている。[[アイゼンガルド]]近くで目撃されたときは「翼ある影」(the winged shadow)とアラゴルンに呼ばれている。

Fell Beastという設定上の名は[[ICE>Iron Crown Enterprises]]によるが、映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』の設定資料や、ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』などでもこの名で書かれているのが見られる。

日本語版『ロード・オブ・ザ・リング』での訳は「翼を持つ獣」「おぞましい獣」「怪鳥」などと不定。本項目名「恐るべき獣」は、『[[指輪物語ロールプレイング]]』日本語訳に従った。

**アニメ作品 [#ib554b6f]
1978年の[[ラルフ・バクシ版>ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語]]では、一瞬だけだがおそらくはアングマールの魔王が乗っている場面がある。

1980年のランキン-バス版では、後年の実写映画版よりは原作に寄った姿を見せるが、だいぶ小型である。また、それとは別に翼を持った悪魔のような馬も見られた。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]
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ワイバーンのような様相をしている。[[大鷲]]が原作よりも小柄に描写されたため、原作の「この時代の空を飛ぶ生物では最大」という描写を元にすれば、フェルビーストも (これまでの映像化作品では最も大型ではあるが) 原作よりは小柄なのかもしれない。

日本では、劇場公開のパンフレットには竜とは別種族であり、竜よりも古い種族であることが明記されていたものの、多くの視聴者が竜と勘違いした。また、CG制作に関する項目で「体長21mの獣」という記述もあったが、これはフェルビーストと[[ムマキル]]のどちらを指しているのかがわかりづらい。

[[ペレンノール野の合戦]]などで、空から急降下したのちゴンドール兵をつかんだまま飛び上がって空から放り投げたり、[[雪の鬣]]に直接噛みついて放り投げたりと、よりアクションを重視した映像化が行われている。

コンセプトアートでは、より原作の表記に近いハゲタカや翼竜のような姿も見られた。

なお、「竜よりも古い」とされる設定は映画オリジナルの可能性がある。海外における考察では、モルゴスの影響で怪物化してしまい、オロメが狩猟対象としていた生物達にフェルビーストの先祖が含まれていたのではないか、という意見もある。

*** 画像 [#tf8bfa60]

&ref(vlcsnap-00036.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における恐るべき獣);&ref(vlcsnap-00077.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における恐るべき獣);

**ゲーム作品での設定 [#lbfe00e7]
様々なゲームに登場するが、ここでは一部を紹介する。

*** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

恐るべき獣のうち、Lieutenat of Dol Guldur([[ハムール]])の乗る恐るべき獣には、Morskorという名前がつけられている。

&ref(ナズグール/ScreenShot00398.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、The Black Blade of Lebenninと恐るべき獣);&ref(ScreenShot00476.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ペレンノール野の合戦での恐るべき獣に乗った魔王とエオウィン);

***ゲーム『ロード・オブ・ザ・リング:中つ国第三紀』における設定 [#m1bc79b3]
口から対象を弱らせるブレスを吐く。

***ゲーム『[[シャドウ・オブ・ウォー]]』における設定 [#ob53d10a]
直接の登場はないが、火竜とのハイブリッドであるドレイクが登場し、ナズグルの乗騎としても利用されていた。

また、フェルビーストの異名である「ヘルホーク」は、本作では別種の生物に充てられたが、その生物もさながら小型のフェルビーストに少し竜の様相を加えたような姿をしている。

** コメント [#Comment]

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