* &ruby(おおわし){大鷲}; [#v6811273]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]・[[動物]]|
|~スペル|Eagles、Great Eagles|
|~異訳|ワシ|
|~その他の呼び名|マンウェの大鷲たち(Eagles of Manwë)|

** 解説 [#Explanation]

[[マンウェ]]の使いである動物。
高い知能と強い力を持ち、優れた視力によって[[中つ国]]の様々な知らせをマンウェにもたらした。[[ヴァラール]]が[[中つ国]]に直接介入しなくなった後も、その一部は中つ国に留まって[[エルフ]]や[[人間]]を助けることがあった。また、彼らは人間の言葉を話すことができた。

[[第一紀]]には[[ソロンドール]]がその王であり、マンウェに派遣されて[[クリッサイグリム]]に巣を作って[[エルダール]]や[[エダイン]]を助けた。ソロンドールは[[モルゴス]]の顔面に傷を与え、また[[怒りの戦い]]では一族と共に援軍として参加し、[[アンカラゴン]]をはじめとしたモルゴスの[[翼ある龍>龍]]達と戦った。
[[第二紀]]になるとその多くは[[アマン]]へ帰った。だが[[ヌーメノール]]の堕落の時には、[[ヴァラール]]からの警告の印として隊伍を組んで飛来することがあった。
[[第三紀]]末には[[霧ふり山脈]]にその末裔達の巣があった。

*** 『[[シルマリルの物語]]』における大鷲 [#dabcb858]

>「 …… しかし[[ケメンターリ>ヤヴァンナ]]よ、そなたは憶えておらぬか、そなたの思いは常に独りで歌われたわけではないことを。そなたの思いと[[わたし>マンウェ]]の思いが出会い、われらは雲の上高く飛翔する大鳥のように、共に飛び立ったのではなかったか。これも、[[イルーヴァタール]]の御配慮により存在することになろう。そして、子らが目覚める前に、[[西方の諸王>ヴァラール]]の大鷲たちが、風の如き翼もて飛び立ってゆくであろう」((『[[シルマリルの物語]]』「[[クウェンタ・シルマリルリオン]]第二章 アウレとヤヴァンナのこと」 ヤヴァンナに向けたマンウェの言葉))

[[クウェンタ・シルマリルリオン]]の第二章によれば、大鷲たちは[[エント]]と同時に生まれた存在だという。[[アイヌリンダレ]]において[[ヤヴァンナ]]が彼女の眷属である生類の守り手を願った時、彼女の思いとマンウェの思いが出会い、それによって呼び出された精霊たちが[[オルヴァール]]と[[ケルヴァール]]と交わって生まれたのが、エントと大鷲であった。大鷲は[[エルフ]]が目覚めるより早くに[[アルダ]]に現れる。
また、第一章には'''鷹や鷲の姿をとった精霊たちが、絶えずかれ(マンウェ)の宮居に飛び来り飛び去っていった。かれらの目は、深海をその底まで見通すことも、世界の下に隠された洞窟をその中まで見通すこともできた。'''((同上「第一章 世の初まりのこと」))ともある。

[[ノルドール]]族が[[中つ国]]に逃亡すると、マンウェは[[ソロンドール]]の一族を派遣して[[モルゴス]]の動向を見張らせ、また[[自由の民]]を助けさせた。大鷲は[[環状山脈]]の[[クリッサイグリム]]に巣を作り、後にその谷間に[[ゴンドリン]]が築かれるとその守護者となる。
大鷲は、[[サンゴロドリム]]に捕えられた[[マイズロス]]と彼を助けに来た[[フィンゴン]]を救い出し、また[[フィンゴルフィン]]の遺骸をモルゴスの手から奪い返した。[[フーリン]]と[[フオル]]の兄弟をゴンドリンに運び、また[[アングバンド]]から脱出した[[ベレン]]と[[ルーシエン]]を救出したのも大鷲たちである。
[[ゴンドリンの没落]]では、[[キリス・ソロナス]]で[[オーク]]に襲われたゴンドリンの遺民を助け、また[[バルログ]]と相打ちになった[[グロールフィンデル]]の遺骸を谷底から救い上げた。
[[怒りの戦い]]では[[エアレンディル]]の空を飛ぶ[[ヴィンギロト]]と共に[[ヴァリノール]]軍の最後の援軍として現われ、モルゴスの[[翼ある龍>龍]]たちと戦った。

*** 『[[ホビットの冒険]]』における大鷲 [#a2673a8f]

[[ゴブリン町]]から逃げ出したあと、[[ゴブリン]]と[[アクマイヌ(ワーグ)>ワーグ]]から逃れるため木に登っていた[[ビルボ・バギンズ]]、[[ガンダルフ]]、[[トーリン二世]]たちをワシの王(Lord of the Eagles)が発見し、自分の使いの15羽の鷲とともにビルボたちを救出する。ワシの王は、かつて自分がガンダルフに助けられた恩を返すため、自分たちの巣のそばまでビルボ達を運び、ウサギや羊など食べ物になる動物を与えて一晩休ませた後、[[岩山(カーロック)>カーロック]]までビルボ達を運んでやった(ワシの王によると、弓で撃たれることがあるため、人間達がいるところまでは近づきたくなかったという)。

その後、ゴブリン達の動きを警戒していたワシの王は、[[人間]]、[[エルフ]]、[[ドワーフ]]の援軍として[[五軍の合戦]]に現れ、[[エレボール]]の高地を占拠していたゴブリンを払い落として戦局を有利に導いた。その後[[ダイン二世]]はワシの王に黄金の冠を謝礼として渡し、友好の誓いとした。

*** 『[[指輪物語]]』における大鷲 [#s3f32d9c]

[[指輪戦争]]の時代の鷲の長は[[グワイヒア]]で、これが『[[ホビットの冒険]]』におけるワシの王と同じ個体なのかははっきりしないが、ガンダルフとの会話に当時のことへの言及がないことからすると、おそらく別の鷲と思われる。
[[ラダガスト]]からの伝言を聞いたグワイヒアは、[[オルサンク]]で[[サルマン]]に捕らえられていた[[ガンダルフ]]を発見して救出し、[[エドラス]]まで送り届けた。さらに[[ガラドリエル]]に遣わされたグワイヒアは、[[ドゥリンの禍>バルログ#DurinsBane]]と戦って[[ジラクジギル>ケレブディル]]で力尽きていたガンダルフを発見し、[[ロスローリエン]]まで送り届けた。

[[黒門]]前の戦いでは、グワイヒアらが配下の鷲を引き連れて[[自由の民]]の味方として現れ、[[ナズグール]]と[[恐るべき獣]]に立ち向かった(この時、自分が倒した[[トロル]]の下敷きになって意識を失おうとしていた[[ペレグリン・トゥック]]は、鷲が現れたという知らせを聞き、ビルボの話にあった[[五軍の合戦]]を思い出しながら気絶している)。[[一つの指輪]]が破壊され、[[モルドール]]の力が崩壊すると、[[ガンダルフ]]はグワイヒアを呼び出し、[[ランドローヴァル]]、[[メネルドール]]らと共に、[[滅びの山]]にいた[[フロド・バギンズ]]たちの救出に向かって、彼らをすくい上げた。また一部の鷲は[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]まで飛んでいき、[[サウロン]]敗北の報をいち早く人々に知らせた。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#LotRmovie]

登場するが、言葉は発さず、また名前もわずかに[[グワイヒア]]のものが出るのみ。現れる前兆として蛾がやってくる描写になっている。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

『ロード・オブ・ザ・リング』における鷲と同様に、言葉は発しない。
原作と似たような状況で、[[アゾグ]]らと[[ワーグ]]に追い詰められた[[ビルボ・バギンズ]]たちを助けているが、偶然ではなく、[[ガンダルフ]]が蛾をつかって助けを呼んだように描かれている(『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』でも、ガンダルフは[[オルサンク]]にて蛾を使い[[グワイヒア]]を呼び寄せた)。ビルボ達を自分たちの巣ではなく、[[カーロック]]へと直接運んでいる。

[[五軍の合戦]]では恐らく[[ラダガスト]]に呼ばれて彼を背中に乗せ、[[ビヨルン]]も運んで、戦いに参加している。

** コメント [#Comment]

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