* &ruby(つかやま){塚山};&ruby(しゅつど){出土};の&ruby(けん){剣}; [#qf1632c7]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[物・品の名前]]|
|~スペル|the sword of the Barrow-downs|
|~その他の呼び名|塚山出土の太刀(Barrow-blade)|

** 解説 [#Explanation]

>ホビットたちの一人一人にかれは短剣を一ふりずつ選んでくれました。長い木の葉型の切れ味のよいすばらしいこしらえの業物で、赤と金の蛇の形の文様のある鋼でできていました。トムが黒い鞘から抜き放つと刃はきらきらと輝きました。その鞘は何か変わった金属でできていて、軽くて丈夫で、燃えるように光るたくさんの宝石で飾られていました。これらの鞘に秘められた何かの力によるのか、それともこの塚にかけられた呪文によるのか、短剣の刃は少しも時の影響を受けていないようでした。錆一つなくとぎすまされ、きらきらと日にきらめいていました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]] 上』「八 霧の塚山丘陵」))

[[フロド]]ら四人の[[ホビット]]が[[塚人]]に囚えられた[[塚>塚山丘陵]]にあった副葬品の中から、[[トム・ボンバディル]]が彼らの護身用にと選んで与えた剣。[[人間]]にとっては短剣((原文ではdagger, knife, short swordと表記される))だが、短躯のホビットにとっては剣にあたる。
[[北方王国]]の[[ドゥーネダイン]]の手になるもので、[[ヌーメノール]]の技術で鍛えられた鋭利な刃を持ち、[[アラゴルン二世]]によれば[[モルドール]]の滅びを願う呪いが周りに刻まれている。そのため[[ナズグール]]の魔力を打ち破り、傷を負わせるほどの力が宿っていた。
[[風見が丘]]で一行がナズグールに襲われた時、[[一つの指輪]]で幽界に身を置いた[[フロド]]は自分の剣の刃が松明のように燃える光を放っているのを見ており、迫ってくるナズグールがそれにひるんだような描写もある。剣の刃が赤く光る描写は[[モルグルの刃]]により半ば幽鬼になりつつあったフロドの視点にも登場する。また[[黒門]]前でモルドール軍との戦いに臨んだ[[ピピン]]は、自分の剣の刃に刻まれたヌーメノールの文字がやはり火のように光るのを見た。

*** 四振りの剣 [#sbc3b8fc]

[[トム・ボンバディル]]によって四人のホビットにそれぞれ与えられたが、[[メリー]]の剣は[[魔王]]を破る使命を果たして消失した。((メリーはその後[[ローハン]]の騎士として武具を与えられたので、その中にはローハンの剣もあった思われる。彼はホビット庄の掃蕩で何度か剣を抜き、[[水の辺村の合戦]]ではごろつきの首領を討ち取った。))

:[[フロド>フロド・バギンズ]]の剣|[[風見が丘]]で[[魔王]]の足許に斬りかかったが当たらなかったらしく、魔王の黒いマントをわずかに切るに留まった。その後[[ブルイネン]]の浅瀬でフロドが[[ナズグール]]達と対峙した時、魔王の呪力で刃を折られてしまった。折れた剣は[[ビルボ]]が預かっていたが、彼が刀鍛冶に修理を依頼するのを失念したため、代わりにフロドは[[つらぬき丸]]を身に帯びるようになった。折れた剣がその後どうなったかは不明。

:[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]の剣|[[モリアの壁]]ではフロドを掴んだ[[水中の監視者]]の腕を切りつけて彼を救い、[[マザルブルの間]]での戦闘では[[オーク]]を一人倒した。[[トレヒ・ウンゴル]]では[[シェロブ]]の糸を切断しようとしたが、[[つらぬき丸]]ほどの効果は上がらなかった。フロドがシェロブに捕まると、サムは右手に自分の剣、左手に落ちていたつらぬき丸を持って彼女に襲いかかり、自分の剣でシェロブの複眼の片方を刺した。シェロブ撃退後、毒で仮死状態だったフロドを死んだものと思ったサムは[[一つの指輪]]と[[玻璃瓶]]と共につらぬき丸を主人から受け継ぎ、代わりに自分の剣をフロドの許に残した。フロドが[[キリス・ウンゴルの塔]]に囚われると、サムの剣は[[ミスリルの胴着]]や[[エルフのマント]]などと一緒にフロドから奪われ、[[シャグラト]]が塔から持ち去った。これらの装身具は[[黒門]]前で[[サウロンの口]]が西軍の大将達を脅迫するのに使用したが、[[ガンダルフ]]が奪い返した。剣は[[コルマルレン]]の野でガンダルフからサムに返却された。

:[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]の剣|[[エミン・ムイル]]で[[指輪の仲間]]が離散した時、遭遇した[[オーク]]達を切りつけるが、捕えられた上に剣は[[ウグルク]]に取り上げられた。だがウグルクは火傷でもしたかのようにその場で剣を投げ捨てた。その後[[アラゴルン二世]]がメリーとピピンの剣を発見して預かり、[[アイゼンガルド]]で二人と再会した際に返却した。メリーはこの剣で[[セオデン]]に忠誠を誓った。[[ペレンノール野の合戦]]では[[エオウィン]]の助太刀として[[魔王]]の膝の後ろを突き刺し、彼の者の呪力を打ち破って深手を負わせた。魔王に止めを刺したエオウィンの剣は火花を散らせて砕け散り、メリーの剣は火のついた枯れ枝のように燃え尽きた。
>こうして[[西方国]]の作、塚山出土の剣は消滅しました。しかし遥かな昔ドゥネダインがまだ若く、かれらの敵の中の第一の者が恐るべき[[アングマール]]の王国と[[魔術師たるその王>魔王]]であった当時、[[北方王国]]でこの剣を時間をかけて作り上げた人がこの剣の運命を知れば、さぞ喜んだことでしょう。他の刃であれば、たとえもっと力ある手によって揮われたにしろ、これほど耐えがたい傷手をかの敵に負わすこともなかったでしょう。不死身の肉を切り裂き、その見えざる筋肉をかれの意思通りに編み合わせていた呪文を破ったのですから。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 上』「六 ペレンノール野の合戦」))

:[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]の剣|アイゼンガルドまでの経緯はメリーの剣の項を参照。彼が[[デネソール二世]]に忠誠を誓う際に使われた。剣を手に取ったデネソールはそれが北方の[[ドゥーネダイン]]の作であることを看破した。[[黒門の戦い]]では、山[[トロル]]の首領を急所を突くことで倒した。ホビット庄の掃蕩ではフロドを侮辱したごろつきに抜き身の剣を見せつけて威嚇した。その際彼は自分の剣を「トロルをやっつけた剣」((原語はtroll's baneで「トロルの禍」))と呼んだ。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#b8453abd]

[[塚山>塚山丘陵]]のエピソード自体が削られたため登場しない。代わりに[[風見が丘]]でアラゴルンは、出所不明の小剣をフロドたちに渡している。これらの剣は[[ローハン]]製のものとのデザインの類似が指摘されていて、アラゴルンが[[センゲル]]に仕えていた頃に手に入れたものではないかとされている((『[[The Lord of the Rings Weapons and Warfare]]』の記述より))。
また、メリアドクが魔王を刺すときに使ったのは別の剣となっている。

** コメント [#Comment]

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