* ヴァラリン [#h76a5b0b]
** 概要 [#q2befec3]
#author("2023-05-17T21:27:00+09:00","","")
* ヴァラール語 [#d5dd9a91]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|言語|
|~カテゴリー|[[言語]]|
|~スペル|Vlarin|
|~その他の呼び名||
|~異訳|ヴァラリン|
|~その他の呼び名|Lambe Valarinwa(ランベ・ヴァラリンワ)|

** 解説 [#kb54fd6b]
** 解説 [#Explanation]

[[アマン]]における[[ヴァラール]]自身の言語。[[エルダール]]達ですらこの言語を知るものはほとんどいなかった、とされる。
[[ヴァラール]]自身の言語。[[アマン]]にいた[[エルダール]]達ですら、この言語を知るものはほとんどいなかったとされる。

** 外部リンク [#xc7416da]
** 『[[The War of the Jewels>The History of Middle-earth/The War of the Jewels]]』「Quendi and Eldar」における記述 [#add3c23e]

- [[Quenya - the Ancient Tongue:http://www.uib.no/People/hnohf/quenya.htm]]
[[アイヌル]]([[ヴァラール]]と[[マイアール]])は[[アルダ]]において[[エルの子ら>イルーヴァタールの子ら]]の姿を纏う場合が多かったため、彼らは独自の言語を持っていた。
[[アマン]]の[[エルダール]]([[エルフ]])はアイヌルと交流を持ったが、ヴァラール語を話せるまで学んだ者は、たどたどしい話し方の者を含めてもほとんどおらず、一般には僅かな単語や名前が知られたに過ぎない。ヴァラール語に最も習熟したエルダールは[[フェアノール]]だったが、後の[[ヴァラール]]との対立から、彼はその知識を誰にも教えなかった。
ヴァラール語に関する知識の多くはすでに失われており、残っているもののほとんどは“I Equessi Rúmilo”すなわち“The Saying of Rúmil”([[ルーミル>ルーミル(ティリオン)]]の言葉)とされる口伝や、[[中つ国]]における[[ノルドール]]族の伝承の大家である[[ペンゴロズ]]が伝えたものである。しかしそれらの知識も、ヴァラール語としての正確さは怪しいとされる。

** コメント [#dd6a65fd]
“The Saying of Rúmil”曰く、言語に長けたエルダールでもヴァラール語を自分たちの言葉に大きな変更や短縮なしに取り入れるのは難しく、少数の言葉しか取り入れられなかった。なぜならヴァラールの言葉と声は大きくて厳格で、しかもその動きは素早くかつ繊細で、音の真似をするだけでも困難であり、ヴァラール語の単語も長いものが多かった。
これに対しペンゴロズは、言語としてのヴァラール語は[[エルフ語]]とは異質であり、エルダールにとって馴染みのない子音が多く含まれ、その響きはエルフの耳には明らかに心地よいものではなかった、としている。

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“The Saying of Rúmil”曰く、ヴァラール語の多くの単語や単語の一部はエルフ語に似て、更にそれらは似た意味や同じ意味を持つ。
これに対しペンゴロズは、ヴァラール語は[[人間]]の言葉(特に[[ドゥーネダイン]]と[[マラハの族>ハドル家]]の言葉、つまり[[アドゥーナイク]])に似ているとしている。また[[ドワーフ]]の言葉([[クズドゥル]])にも似ているとし、ドワーフの伝承通り、彼らのために(ヴァラールの一人である)[[アウレ]]が作った言語であるならば不思議ではないとしている。

***固有名詞 [#ae01e6e7]

:Aȝūlēz|[[アウレ]](Aulë)のこと。意味は不明。
:Arǭmēz((オゴネクが付いた母音ǫは広母音のoを表す))|[[オロメ]](Oromë)のこと。[[エルダール]]は「角笛の音」の意味のエルフ語の語根ROMからの連想で、オロメの名を‘horn-blowing’(角笛を吹く), ‘horn-blower’(角笛を吹く者)と解釈したが、実のところそのような意味はない。黎明期の[[エルフ]]の歴史によると、エルフの前に姿を現した彼が名前を聞かれて明かした名であり、[[アイヌル]]([[ヴァラール]]と[[マイアール]])が本名を明かした唯一の例外である(([[アイヌル]]の名はヴァラール語の名を取り入れたものであれ、翻訳したものであれ、実のところ彼らの役目や特徴を表す称号(titles)である。彼らは本当の名を決して明かさなかった。))。だが意味については「オロメ。私だけにそれは与えられる。だから私はオロメだ」((“Orome. To me only is it given; for I am Orome.”))としか答えなかった。
:Aþāraphelūn|‘appointed dwelling’(定められた住処)の意味とされる。[[クウェンヤ]]に翻訳したものが[[アルダ]](Arda)。''Aþāraphelūn Amanaišāl''で[[メルコール]]が傷つける前の‘Arda Unmarred’(無傷のアルダ)、''Aþāraphelūn Dušamanūðān''でメルコールが傷つけた‘Arda Marred’(傷ついたアルダ)の意味。
:Aþāraigas|‘appointed heat’(定められた熱)の意味とされる。[[太陽]]のこと。
:ayanūz|クウェンヤに取り入れられた形が[[アイヌ>アイヌル]](ainu)(([[アイヌル]](Ainur)の単数形))。またainuから派生したクウェンヤの形容詞が‘holy’(聖なる)の意味のaina。
:Ezellōχār|[[エゼッロハール]](Ezellohar)のこと。クウェンヤではKoron OiolaireやKorollaireと翻訳される。
:Ibrīniðilpathānezel|[[テルペリオン]](Telperion)のこと。
:māχananaškād|縮めて改変した語形が[[マハーナクサール>審判の輪]](Máhanaxar)。クウェンヤでRithil-Anamoと訳されることもある。
:māχanāz(単数形)、māχanumāz(複数形)|‘Authorities’(権威者)の意味。クウェンヤに翻訳したものがアラタール(Aratar)((‘the Supreme’(最高の者)の意味))であり、ヴァラールの中で主だった者たちを指す。クウェンヤにはMáhan(単数形)、Máhani(複数形)の形で受け入れられもした。
:Mānawenūz|‘Blessed One, One (closest) in accord with Eru’(祝福された者、[[エル]]に(最も)沿う者)の意味。クウェンヤに取り込む過程で縮めて改変された形が[[マンウェ]](Manwë)((最も古い形はMánwe(n) ))。
:Oš(o)šai|‘spuming, foaming’(泡立ち)の意味とされる。[[オッセ]](Ossë)のこと。
:næχærra|[[ルーミル>ルーミル(ティリオン)]]によって記録された、[[オロメ]]の乗馬である[[ナハル]](Nahar)のヴァラール語名。ペンゴロズによると、エルフがオロメに乗馬の名とその意味を尋ねた時、オロメは「ナハル、彼の駆けんとする際の鳴き声からそう呼ばれる」((“Nahar, and he is called from the sound of his voice, when he is eager to run.”))と答えたという。
:Phanaikelūth|‘bright mirror’(明るい鏡)の意味とされる。[[月]]のこと。
:Tulukhastāz|‘the golden-haired’(金髪の者)の意味とされる。[[トゥルカス]](Tulkas)のこと。
:Tulukhedelgorūs|[[ラウレリン]](Laurelin)のこと。
:Ul(l)ubōz|クウェンヤに取り込む過程で縮めて改変された語形が[[ウルモ]](Ulmo)。Ulmoの名は「注ぎ出す(pour out)」の意味のエルフ語の語根ULとの連想から、‘the Pourer’(注ぐ者)の意味に解釈された。

***単語 [#wa1a26d7]

:akašān|‘He says’(彼が言う)の意味。彼とは[[エル]]のこと。クウェンヤに取り入れられた形はaxanで‘law, rule, commandment’(法、掟、戒律)の意味。
:(a)šata|‘hair of head’(頭髪)。Tulukhastāzの名に含まれる。
:aþāra|‘appointed’(定められた)の意味。クウェンヤに取り入れられた形はasarで‘fixed time, festival’(定刻、祭)の意味。
:delgumā|‘dome’(丸屋根)の意味。特に[[ヴァリノール]]の上のDome of Varda(ヴァルダの蒼穹)を指す。だが[[タニクウェティル]]にある[[イルマリン]]の館の丸屋根にも使われる。クウェンヤに取り入れられた形はtellumaであり、[[ガラドリエルの哀歌>ナマーリエ]]に含まれる。
:iniðil|‘lily’(百合)または他の大きな花(単数形)のこと。クウェンヤに取り入れられた形はindil。
:ithīr|‘light’(光)。
:maχallām|おそらく[[マーハナクサル]](Máhanaxar)のヴァラールの座席(単数形)のこと。クウェンヤに取り入れられた形はmahalmaで、‘throne’(玉座)の意味。
:māχan|‘authority, authoritative decision’(権威、権威ある決定)の意味とされ、上記のmaχallāmに要素として含む。クウェンヤではMáhanの形で取り入れられ、上記のmāχanāzのようにアラタールの一人を指す。
:mirubhōze-|本来はもっと長い語とされる。‘wine’(果実酒)の意味のmirub-を要素として含む。クウェンヤに取り入れた形がミルヴォーレ(miruvóre)、[[シンダリン]]では[[ミルヴォール]](miruvor)となる。
:šebeth|‘air’(空気)。
:tulukha(n)|‘yellow’(黄色)。Tulukhastāzの名に含まれる((Tulukhedelgorūsにもか))。
:ul(l)u|‘water’(水)。Ul(l)ubōzの名に含まれる。
:uruš, rušur|‘fire’(火)。

***その他 [#z2199371]

[[アマン]](Aman)、アンバール(Ambar)((‘the Earth’(大地)を指す語。))、[[アタニ>人間]](Atani)、[[エア]](Eä)、[[エル]](Eru)、[[エステ]](Este)、[[イルモ]](Irmo)、[[カラキルヤン>カラキルヤ]](Kalakiryan)、[[メルコール]](Melkor)、[[ペローリ]](Pelóri)、[[ナーモ]](Námo)、[[タニクウェティル]](Taniquetil)、[[ヴァラール]](Valar)、[[ヴァルダ]](Varda)はヴァラール語からの翻訳名であるとされる。ただしヴァラール語の原語は不明(([[アマン]]の原語は‘at peace, in accord (with Eru)’(平和な、(エルに)沿う)の意味のヴァラール語とされる))。

ペンゴロズ曰く[[アヴァサール]](Avathar)、[[ネッサ]](Nessa)、[[ウイネン]](Uinen)は[[エルフ語]]の名ではない。ネッサとウイネンのそれぞれの夫の名([[トゥルカス]]と[[オッセ]])はヴァラール語から取り込まれたものなので、彼女たちの名も同様かもしれないとしている。(([[ネッサ]]はエルフ語の名とする異論あり))

[[ヴァンヤール]]族は[[ノルドール]]族よりも多くの言葉をヴァラール語から取り入れたといわれる。古い詩の中にみられる、ヴァンヤール族のみが用いた色の名として、緑が''ezel''または''ezella''、黄が''tulka''、赤が''nasar''、青が''ulban''の四つが挙げられている。

[[ノルドール]]族の[[アマン]]からの逃走に関する古い伝説の一つによると、ノルドール族の視界から[[ヴァリノール]]の山々が[[アラマン]]の霧で隠れた時、[[フェアノール]]は拒絶の仕草として両手を上げ「私は行く。光の中でも闇の中でも再び見ることはないぞ、Dahanigwishtilgūn」((‘I go. Neither in light or shadow will I look upon you again, Dahanigwishtilgūn.’))と叫んだという。''Dahanigwishtilgūn''(別伝では''dāhan-igwiš-telgūn'')は謎の言葉だが、[[タニクウェティル]](Taniquetil)のことではないかともいわれる。

** 外部リンク [#Links]

- [[Valarin - like the glitter of swords:https://folk.uib.no/hnohf/valarin.htm]]

** コメント [#Comment]

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